シクロクロス世界選手権を走ったトッププロのバイクを紹介する連載も最終回。女子王者サンヌ・カント(ベルギー)やマリアンヌ・フォス(オランダ)ら4名のバイクを取り上げます。
サンヌ・カント(ベルギー) スティーヴンス SUPER PRESTIGE
サンヌ・カント(ベルギー)のスティーヴンス SUPER PRESTIGE
ブラック/ホワイトにアルカンシエルをあしらったデザイン
ガンメタリックのバイクはローラー台にセットされていた
オランダ勢による包囲網を突破し、3年連続の世界王者に輝いたサンヌ・カント(ベルギー)が駆るのはスティーヴンスのSUPER PRESTIGE。カントやジュニア王者のベン・トゥレット(イギリス)が所属するIKO・ベオバンクはマチュー・ファンデルポールが所属するコレンドン・サーカスの女子・男子育成チームだが、使用機材が異なることが特徴だ。
今回の世界選手権でカントは普段使用するブラック/ホワイトにアルカンシエルをあしらったバイクと、白地とベルジャンブルーにベルギー国旗を巻くバイクを用意。ガンメタリックのバイクはウォーミングアップ用としてローラー台に据え付けられており、3種類のカラーにはいずれもネームとイニシャルロゴ「S/C」が記される。
全てのバイクにイニシャルロゴがあしらわれていた
ハンドル周りはイーストン。ステムはEC90、ハンドルはEC70
Di2ケーブルはRDハンガーにタイラップ留め処理
チェーンリングはウィックワークス。アウター歯数は44Tだ
コンポーネントはR9170系DURA-ACE Di2だが、チェーンリングはウィックワークス(アウター44T、インナー不明)で、ディスクブレーキローターはTRP、パワーメーターはステージスと複数ブランドを混ぜて運用していた。
ホイールはコールのT38LITEもしくはT50LITEで、組み合わせるタイヤは少数派のFMBだ。「SERVICE COURSE」のロゴが入る33mm幅のマッドタイヤを使用し、スペアバイクには32mm幅のタイヤが取り付けられていた。ハンドル周りは全てイーストンで、ステムとシートポストはEC90、ハンドルはセカンドグレードのEC70。アルカンシエル入りのサドルも当然カント専用のオリジナルだ。
ローレンス・スウィーク(ベルギー)スティーヴンス SUPER PRESTIGE
ローレンス・スウィーク(ベルギー)のスティーヴンス SUPER PRESTIGE
ベルギーの強豪選手の一人、ローレンス・スウィークのバイクもスティーヴンスのSUPER PRESTIGE。彼が所属するパウエルスサウゼン・ファストフードサービスは2019年1月1日にコルナゴからスティーヴンスにスイッチしており、スウィークは世界選手権直前から玉虫色に輝くスペシャルペイントのバイクとヘルメットを使用中。トップチューブにはまだお腹の中にいる子供のイラストがエアブラシで描かれている。
スウィークはスラムの新型RED eTAP AXSをフロントシングルで運用していることが特徴で、パワーメーター搭載のチェーンリングを使い、歯数は46T。チームはコルナゴ時代からロヴァールのホイールを使用しており、今回スウィークはCLX 32をチョイスした。リムのロゴは供給専用のホワイトバージョンで、組み合わせたタイヤはデュガスのRhino(33mm)だった。
マリアンヌ・フォス(オランダ) ジャイアント TCX ADVANCED SL
マリアンヌ・フォス(オランダ)のジャイアント TCX ADVANCED SL
オランダチームの司令塔としてレースを動かし、自身も3位銅メダルを獲得したマリアンヌ・フォス(オランダ)のバイクはジャイアントのTCX ADVANCED SL。フォスのチームは2018年末までリドレーを使用していたが、CCC・リブとなった2019年1月1日からリブにスイッチ。リブのラインナップにカーボンのシクロクロスバイクが存在しないため、Livロゴを貼り付けたジャイアントのTCX ADVANCED SLを使用している。
CCC・リブはスラムのサポートを受けており、コンポーネントは新型のRED eTAP AXS。フォスは40Tチェーンリングでフロントシングルを運用しており、リアは最もワイドな10-33T。ファンアールトとは異なりチェーンリングに印字が無くプロトモデルだと思われる。チェーン落ち対策としてウォッチャーを装備していることもポイントの一つと言えるだろう。
新型RED eTAP AXSをフロントシングル運用。チェーンリングは44Tだ
情報公開前であったため、各所のロゴは目隠し処理。カセット10-33Tだ
ジャイアントのプロトホイールにデュガスのRhino(32mm)をセット
ホイールは開発中と思われるジャイアント製ディスクブレーキ用カーボンチューブラーで、タイヤはデュガスのRhino。ハッチソンのコンパウンド「11STORM」ロゴを貼り付けたものや、「FOX」のロゴが入るものなど複数バリエーションが画像でも確認できる。
ハンドル周りやシートポスト、サドルなども全てジャイアント製品で統一される。XTRのペダルは唯一のシマノ製品であり、ボディ側面のロゴは消されている。
ステフェン・ハイド(アメリカ) キャノンデール SUPERX
ステフェン・ハイド(アメリカ)のキャノンデール SUPERX
星条旗カラーにペイントされたキャノンデールのSUPER Xは、全米王者のステフェン・ハイド(アメリカ)のマシン。ハイドは複数デザインのバイクを運用中で、このバイクはその中の一台。フォーク内側やシートステー内側に配された無数の星がアクセントだ。
ハイドが所属するキャノンデールはスラムサポートチームの一つ。新型REDではなくFORCE 1を使用し、クランクのみ旧型RED。歯数はフロント44T、リア11-36Tという構成だ。ペダルはシマノXTRを使用するが、フォスとは異なりロゴ消しは行われていない。
ホイールはジップの303 Firecrest。ハイドはトップ選手の中では数少ないヴィットリアユーザーで、マッドコンディション用のWETがセットされていた。ハンドルやステム、シートポストもジップで統一されるが、セカンドグレードのService Course SLシリーズを使う。
大口径ヘッドチューブを採用したSUPERXにタンゲのヘッドキャップを用いてハンドル位置を下げる手法は、SUPERXを使用する選手の定番カスタム。その他スペシャルカラーのファブリックサドルなど、多くのカスタムが行われていた。
text:So.Isobe
photo:Nobuhiko.Tanabe
サンヌ・カント(ベルギー) スティーヴンス SUPER PRESTIGE



オランダ勢による包囲網を突破し、3年連続の世界王者に輝いたサンヌ・カント(ベルギー)が駆るのはスティーヴンスのSUPER PRESTIGE。カントやジュニア王者のベン・トゥレット(イギリス)が所属するIKO・ベオバンクはマチュー・ファンデルポールが所属するコレンドン・サーカスの女子・男子育成チームだが、使用機材が異なることが特徴だ。
今回の世界選手権でカントは普段使用するブラック/ホワイトにアルカンシエルをあしらったバイクと、白地とベルジャンブルーにベルギー国旗を巻くバイクを用意。ガンメタリックのバイクはウォーミングアップ用としてローラー台に据え付けられており、3種類のカラーにはいずれもネームとイニシャルロゴ「S/C」が記される。




コンポーネントはR9170系DURA-ACE Di2だが、チェーンリングはウィックワークス(アウター44T、インナー不明)で、ディスクブレーキローターはTRP、パワーメーターはステージスと複数ブランドを混ぜて運用していた。
ホイールはコールのT38LITEもしくはT50LITEで、組み合わせるタイヤは少数派のFMBだ。「SERVICE COURSE」のロゴが入る33mm幅のマッドタイヤを使用し、スペアバイクには32mm幅のタイヤが取り付けられていた。ハンドル周りは全てイーストンで、ステムとシートポストはEC90、ハンドルはセカンドグレードのEC70。アルカンシエル入りのサドルも当然カント専用のオリジナルだ。
ローレンス・スウィーク(ベルギー)スティーヴンス SUPER PRESTIGE

ベルギーの強豪選手の一人、ローレンス・スウィークのバイクもスティーヴンスのSUPER PRESTIGE。彼が所属するパウエルスサウゼン・ファストフードサービスは2019年1月1日にコルナゴからスティーヴンスにスイッチしており、スウィークは世界選手権直前から玉虫色に輝くスペシャルペイントのバイクとヘルメットを使用中。トップチューブにはまだお腹の中にいる子供のイラストがエアブラシで描かれている。
スウィークはスラムの新型RED eTAP AXSをフロントシングルで運用していることが特徴で、パワーメーター搭載のチェーンリングを使い、歯数は46T。チームはコルナゴ時代からロヴァールのホイールを使用しており、今回スウィークはCLX 32をチョイスした。リムのロゴは供給専用のホワイトバージョンで、組み合わせたタイヤはデュガスのRhino(33mm)だった。
マリアンヌ・フォス(オランダ) ジャイアント TCX ADVANCED SL

オランダチームの司令塔としてレースを動かし、自身も3位銅メダルを獲得したマリアンヌ・フォス(オランダ)のバイクはジャイアントのTCX ADVANCED SL。フォスのチームは2018年末までリドレーを使用していたが、CCC・リブとなった2019年1月1日からリブにスイッチ。リブのラインナップにカーボンのシクロクロスバイクが存在しないため、Livロゴを貼り付けたジャイアントのTCX ADVANCED SLを使用している。
CCC・リブはスラムのサポートを受けており、コンポーネントは新型のRED eTAP AXS。フォスは40Tチェーンリングでフロントシングルを運用しており、リアは最もワイドな10-33T。ファンアールトとは異なりチェーンリングに印字が無くプロトモデルだと思われる。チェーン落ち対策としてウォッチャーを装備していることもポイントの一つと言えるだろう。



ホイールは開発中と思われるジャイアント製ディスクブレーキ用カーボンチューブラーで、タイヤはデュガスのRhino。ハッチソンのコンパウンド「11STORM」ロゴを貼り付けたものや、「FOX」のロゴが入るものなど複数バリエーションが画像でも確認できる。
ハンドル周りやシートポスト、サドルなども全てジャイアント製品で統一される。XTRのペダルは唯一のシマノ製品であり、ボディ側面のロゴは消されている。
ステフェン・ハイド(アメリカ) キャノンデール SUPERX

星条旗カラーにペイントされたキャノンデールのSUPER Xは、全米王者のステフェン・ハイド(アメリカ)のマシン。ハイドは複数デザインのバイクを運用中で、このバイクはその中の一台。フォーク内側やシートステー内側に配された無数の星がアクセントだ。
ハイドが所属するキャノンデールはスラムサポートチームの一つ。新型REDではなくFORCE 1を使用し、クランクのみ旧型RED。歯数はフロント44T、リア11-36Tという構成だ。ペダルはシマノXTRを使用するが、フォスとは異なりロゴ消しは行われていない。
ホイールはジップの303 Firecrest。ハイドはトップ選手の中では数少ないヴィットリアユーザーで、マッドコンディション用のWETがセットされていた。ハンドルやステム、シートポストもジップで統一されるが、セカンドグレードのService Course SLシリーズを使う。
大口径ヘッドチューブを採用したSUPERXにタンゲのヘッドキャップを用いてハンドル位置を下げる手法は、SUPERXを使用する選手の定番カスタム。その他スペシャルカラーのファブリックサドルなど、多くのカスタムが行われていた。
text:So.Isobe
photo:Nobuhiko.Tanabe
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