2019/03/06(水) - 15:31
ファストフォワードのロードホイールで定番モデルのF3RとF4Rをインプレッション。2019年モデルでリムとスポークパターンを刷新しフルモデルチェンジ、さらなる性能向上を果たしたエアロカーボンクリンチャーホイールを紹介しよう。
昨年に引き続きプロコンチネンタルチームのディレクトエネルジーに、そして新たに今季からはアンドレ・グライペルも加入したフランス籍のチーム、アルケア・サムシックもサポートしているファストフォワード。プロチームへの供給を長年絶やさず継続し、得意とするエアロダイナミクスを武器に高い信頼を獲得しているオランダのホイールメーカーである。
2019年モデルで同社のメインプロダクトであるカーボンホイールがフルモデルチェンジ。カーボンリムを刷新するとともにスポークパターンも変更、リムグラフィックも新規デザインが採用され装い新たに生まれ変わっている。今回はその中でもリムブレーキ用のカーボンクリンチャーモデル「F3R FCC」と「F4R FCC」をインプレッションした。
従来は化粧カーボンの織り目がリム表面に浮かび上がったルックスだったが、モデルチェンジに伴いカーボン繊維が単一方向に重なるUDカーボンへと素材を変更。3Kカーボンとミックスしてカーボンレイアップを最適化することで、さらなるリム剛性強化と軽量化を実現している。
ブランドロゴも一新され従来よりも直線的でアグレッシブな印象に。リム面からはみ出るように大きくあしらわれたインパクトのあるデザインが特徴的だ。UDカーボンのマットブラックカラーに同じくブラックロゴを重ね、精悍で落ち着いたルックスに仕上がっている。リム表面のグラフィックにはUVプロテクト加工も施され長期間の使用を可能にする耐久性も獲得している。
リムハイトは既存モデルと同じくF3Rは30mm、F4Rは45mmを採用。その上で昨今のトレンドに沿って、新たにチューブレスレディへと対応した新設計リムへアップデートされた。旧型のリムは内幅16mm/外幅22.4mmだったが、今作は内幅19mm/外幅27mm(F4Rは26mm)とさらにワイド化が進み、25C以上のタイヤとの親和性を高めエアロ性能を向上させている。
またF4Rのリムには、エアロダイナミクスを強化するファストフォワード独自の”DARC(ダルク)”プロファイルを投入。サイドウォールの中央部分を内側に湾曲させることで、走行中にリムにかかる空気の圧力を増大させ、ホイール上の気流を速め空気抵抗を減少させている。またリム面に沿うように空気が流れるため、ヨー角のついた風に対しても抗力低減を叶えている。
ブレーキトラックにも改良が加えられ、新たに3Kナノブレーキテクノロジーを採用した。ブレーキ面のベース素材を従来の1.5Kカーボンから3Kカーボンへ変更することで強度や耐熱性を強化。あらゆるコンディションで従来以上の制動力とコントロール性を発揮するよう性能を進化させている。
組み合わせるハブはDTスイスのDT350とし、フリーのスターラチェット構造によって効率的なパワー伝達を可能に。リアホイールは新たにスポークパターンを2:1組みへとアップデートし、左右のスポークテンションを均一化することで耐荷重性を強化。かつストレートプル仕様とすることでホイール全体の剛性と耐久性を高めている。
専用のホイールバッグ、クイックリリース、カーボンブレーキシュー、リムテープ、チューブレスバルブが付属し、F3Rが187,000円(税抜)、F4Rが197,000円(税抜)だ。取り扱いはジェイピースポーツグループ。
― 編集部インプレッション
ファストフォワードと言えば、過去には赤スポークやブルー/グリーン/チェレステなどのカラーデカールモデルもリリースし、バイクとのマッチングを楽しんだ人もいたことだろう。シンプルなスタイルが昨今のトレンドとあって、今回のモデルチェンジによってオールブラックのカラーに変更となったが、これもまたバイクのルックスを引き締めてくれるとあって個人的には好印象だ。
F3RとF4Rともに乗り比べてみて、共通して感じるのは圧倒的な転がりの軽さと反応の良さ。スピードに乗ってしまえば足を止めてもずっと転がり続けてくれるような印象で、例えばレースでの集団走行であれば確実に体力を節約して走れそうだ。DT350ハブの良好な回転性能、そしてなによりもアップデートされたリムがホイール外周部の軽量化に貢献しており、よりキレを増した軽い走りを実現しているのだと感じた。
メーカー曰くリム剛性も上がっているとのことだが、走ってみて持て余すような硬さは感じない。足へダメージが残りやすかったり、ダンシングのテンポが取りづらかったりといったネガティブな印象は皆無。体重の軽い筆者のパワーではホイールがたわむことなどなく、踏み込んだ時にリニアに加速してくれる反応性の良さを感じられた。
普段リム高25mmのローハイトアルミホイールを使用している筆者だが、F3Rは30mmハイトかつ27mmものワイド幅にも関わらず、重量的には変わらない仕上がりで、特に登りでの軽快感が際立っている。伝達効率の良さに重量的な軽さが加わり、踏み込んだ瞬間にタイムラグなくバイクが前に進んでいく一体感は非常に気持ち良い。それでいて30mm高のエアロリムによってローハイトリム以上の巡航性能も見せてくれ、ただ登りの軽さだけでない、あらゆるシーンで軽快で楽しい走りができるホイールに仕上がっている。
対してF4Rは、45mmというリムハイトもあって平坦と下りでのハイスピード維持が圧倒的に楽だ。時速30kmを超えたあたりからエアロ効果を感じられ、明らかに少ないパワーで高速巡航を維持できる。DARCプロファイルを採用したリムは見た目にもユニークで、他社ホイールにはないファストフォワードらしさが出ており所有欲も満たしてくれるだろう。F3Rと比較すれば登りの瞬発的な加速は苦手だが、レース用途も含めオールラウンドに速さを求めるならF4Rを選んで欲しい。
装着されていたブレデシュタインのFORTEZZA DURA LITEタイヤも、やや硬めの乗り心地だがスーッと路面を駆ける感触で抜群の転がり性能を見せてくれた。センタートレッドがスリックのため路面抵抗も少なく、まっすぐ走っていると非常に気持ちよく、そして速い。乗り心地も重視したいのであれば、チューブレスレディのリムを活かしてチューブレスタイヤの使用をオススメしたい。
また付属するブレーキシュー(スイスストップのブラックプリンス)との相性も良く、ドライコンディションでのブレーキタッチはアルミリムと遜色ないフィーリングで使うことができた。一般的なカーボンリムというとシューが表面で滑るようなイメージもあるが、改良されたブレーキトラックはしっかりとブレーキシューが食い込む感覚で、非常にコントローラブルかつしっかりとした制動性能を実現している。
ハイエンドカーボンクリンチャーホイールと言うと30万円前後の価格帯のものが多いが、ファストフォワードは20万円を切ってくる価格も大きな魅力だろう。堅実な性能とともにコストパフォーマンスも求めたいレーサー、アップグレードホイールとして見た目も格好良く決まるカーボンリムを選びたいホビーライダーはぜひチェックしてみて欲しい。(CW編集部:村田悠人)
ファストフォワード F3R FCC/F4R FCC
リム:フルカーボンクリンチャー
リムプロファイル:
F3R ハイト30mm、内幅19mm、外幅27mm
F4R ハイト45mm、内幅19mm、外幅26mm
ハブ:DT350
重量:1,410g(F3R)、1,525g(F4R)
付属品:ホイールバッグ、クイックリリース、カーボンブレーキシュー、リムテープ、チューブレスバルブ
価格:187,000円(税抜、F3R)
197,000円(税抜、F4R)
昨年に引き続きプロコンチネンタルチームのディレクトエネルジーに、そして新たに今季からはアンドレ・グライペルも加入したフランス籍のチーム、アルケア・サムシックもサポートしているファストフォワード。プロチームへの供給を長年絶やさず継続し、得意とするエアロダイナミクスを武器に高い信頼を獲得しているオランダのホイールメーカーである。
2019年モデルで同社のメインプロダクトであるカーボンホイールがフルモデルチェンジ。カーボンリムを刷新するとともにスポークパターンも変更、リムグラフィックも新規デザインが採用され装い新たに生まれ変わっている。今回はその中でもリムブレーキ用のカーボンクリンチャーモデル「F3R FCC」と「F4R FCC」をインプレッションした。
従来は化粧カーボンの織り目がリム表面に浮かび上がったルックスだったが、モデルチェンジに伴いカーボン繊維が単一方向に重なるUDカーボンへと素材を変更。3Kカーボンとミックスしてカーボンレイアップを最適化することで、さらなるリム剛性強化と軽量化を実現している。
ブランドロゴも一新され従来よりも直線的でアグレッシブな印象に。リム面からはみ出るように大きくあしらわれたインパクトのあるデザインが特徴的だ。UDカーボンのマットブラックカラーに同じくブラックロゴを重ね、精悍で落ち着いたルックスに仕上がっている。リム表面のグラフィックにはUVプロテクト加工も施され長期間の使用を可能にする耐久性も獲得している。
リムハイトは既存モデルと同じくF3Rは30mm、F4Rは45mmを採用。その上で昨今のトレンドに沿って、新たにチューブレスレディへと対応した新設計リムへアップデートされた。旧型のリムは内幅16mm/外幅22.4mmだったが、今作は内幅19mm/外幅27mm(F4Rは26mm)とさらにワイド化が進み、25C以上のタイヤとの親和性を高めエアロ性能を向上させている。
またF4Rのリムには、エアロダイナミクスを強化するファストフォワード独自の”DARC(ダルク)”プロファイルを投入。サイドウォールの中央部分を内側に湾曲させることで、走行中にリムにかかる空気の圧力を増大させ、ホイール上の気流を速め空気抵抗を減少させている。またリム面に沿うように空気が流れるため、ヨー角のついた風に対しても抗力低減を叶えている。
ブレーキトラックにも改良が加えられ、新たに3Kナノブレーキテクノロジーを採用した。ブレーキ面のベース素材を従来の1.5Kカーボンから3Kカーボンへ変更することで強度や耐熱性を強化。あらゆるコンディションで従来以上の制動力とコントロール性を発揮するよう性能を進化させている。
組み合わせるハブはDTスイスのDT350とし、フリーのスターラチェット構造によって効率的なパワー伝達を可能に。リアホイールは新たにスポークパターンを2:1組みへとアップデートし、左右のスポークテンションを均一化することで耐荷重性を強化。かつストレートプル仕様とすることでホイール全体の剛性と耐久性を高めている。
専用のホイールバッグ、クイックリリース、カーボンブレーキシュー、リムテープ、チューブレスバルブが付属し、F3Rが187,000円(税抜)、F4Rが197,000円(税抜)だ。取り扱いはジェイピースポーツグループ。
― 編集部インプレッション
ファストフォワードと言えば、過去には赤スポークやブルー/グリーン/チェレステなどのカラーデカールモデルもリリースし、バイクとのマッチングを楽しんだ人もいたことだろう。シンプルなスタイルが昨今のトレンドとあって、今回のモデルチェンジによってオールブラックのカラーに変更となったが、これもまたバイクのルックスを引き締めてくれるとあって個人的には好印象だ。
F3RとF4Rともに乗り比べてみて、共通して感じるのは圧倒的な転がりの軽さと反応の良さ。スピードに乗ってしまえば足を止めてもずっと転がり続けてくれるような印象で、例えばレースでの集団走行であれば確実に体力を節約して走れそうだ。DT350ハブの良好な回転性能、そしてなによりもアップデートされたリムがホイール外周部の軽量化に貢献しており、よりキレを増した軽い走りを実現しているのだと感じた。
メーカー曰くリム剛性も上がっているとのことだが、走ってみて持て余すような硬さは感じない。足へダメージが残りやすかったり、ダンシングのテンポが取りづらかったりといったネガティブな印象は皆無。体重の軽い筆者のパワーではホイールがたわむことなどなく、踏み込んだ時にリニアに加速してくれる反応性の良さを感じられた。
普段リム高25mmのローハイトアルミホイールを使用している筆者だが、F3Rは30mmハイトかつ27mmものワイド幅にも関わらず、重量的には変わらない仕上がりで、特に登りでの軽快感が際立っている。伝達効率の良さに重量的な軽さが加わり、踏み込んだ瞬間にタイムラグなくバイクが前に進んでいく一体感は非常に気持ち良い。それでいて30mm高のエアロリムによってローハイトリム以上の巡航性能も見せてくれ、ただ登りの軽さだけでない、あらゆるシーンで軽快で楽しい走りができるホイールに仕上がっている。
対してF4Rは、45mmというリムハイトもあって平坦と下りでのハイスピード維持が圧倒的に楽だ。時速30kmを超えたあたりからエアロ効果を感じられ、明らかに少ないパワーで高速巡航を維持できる。DARCプロファイルを採用したリムは見た目にもユニークで、他社ホイールにはないファストフォワードらしさが出ており所有欲も満たしてくれるだろう。F3Rと比較すれば登りの瞬発的な加速は苦手だが、レース用途も含めオールラウンドに速さを求めるならF4Rを選んで欲しい。
装着されていたブレデシュタインのFORTEZZA DURA LITEタイヤも、やや硬めの乗り心地だがスーッと路面を駆ける感触で抜群の転がり性能を見せてくれた。センタートレッドがスリックのため路面抵抗も少なく、まっすぐ走っていると非常に気持ちよく、そして速い。乗り心地も重視したいのであれば、チューブレスレディのリムを活かしてチューブレスタイヤの使用をオススメしたい。
また付属するブレーキシュー(スイスストップのブラックプリンス)との相性も良く、ドライコンディションでのブレーキタッチはアルミリムと遜色ないフィーリングで使うことができた。一般的なカーボンリムというとシューが表面で滑るようなイメージもあるが、改良されたブレーキトラックはしっかりとブレーキシューが食い込む感覚で、非常にコントローラブルかつしっかりとした制動性能を実現している。
ハイエンドカーボンクリンチャーホイールと言うと30万円前後の価格帯のものが多いが、ファストフォワードは20万円を切ってくる価格も大きな魅力だろう。堅実な性能とともにコストパフォーマンスも求めたいレーサー、アップグレードホイールとして見た目も格好良く決まるカーボンリムを選びたいホビーライダーはぜひチェックしてみて欲しい。(CW編集部:村田悠人)
ファストフォワード F3R FCC/F4R FCC
リム:フルカーボンクリンチャー
リムプロファイル:
F3R ハイト30mm、内幅19mm、外幅27mm
F4R ハイト45mm、内幅19mm、外幅26mm
ハブ:DT350
重量:1,410g(F3R)、1,525g(F4R)
付属品:ホイールバッグ、クイックリリース、カーボンブレーキシュー、リムテープ、チューブレスバルブ
価格:187,000円(税抜、F3R)
197,000円(税抜、F4R)
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