2019/02/03(日) - 08:32
トーマス・ピッドコック(イギリス)がシクロクロス世界選手権男子U23レースで圧倒。ライバルのエリ・イゼルビッド(ベルギー)を突き放しイギリスに2枚目のアルカンシエルをもたらした。日本勢では織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が46位完走。
優勝候補のトーマス・ピッドコック(イギリス)が最前列に並ぶ photo:Nobuhiko.Tanabe
U23カテゴリー2連覇を狙うエリ・イゼルビッド(ベルギー) photo:Nobuhiko.Tanabe
村上功太郎(松山工業高校)、江越海玖也、織田聖(共に弱虫ペダルサイクリングチーム)が出場した男子U23レースは、U23フランス王者で昨年6位のアントワン・ブノワ(フランス)のスタートダッシュで幕開ける。密集した集団内で、中盤スタートの織田はポジションをキープしながら駒を進めた。
プッシュを続けるブノワには、2連覇を狙うエリ・イゼルビッド(ベルギー)やランダー・ロークス(ベルギー)、U23初年度のロリス・ルイエ(スイス)、ヤコブ・ドリゴーニ(イタリア)が追従。やがて静かな滑り出しを見せた優勝候補最右翼、トーマス・ピッドコック(イギリス)も合流した。
ホールショットを決めたアントワン・ブノワ(フランス)が先頭を牽引 photo:Nobuhiko.Tanabe
上々の滑り出しを見せた織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Nobuhiko.Tanabe
キャンバーの上り下りが続く区間。コースの芝生が剥がれ、滑りやすい土がむき出しとなった photo:Nobuhiko.Tanabe
ハイペースで先頭を走るエリ・イゼルビッド(ベルギー) photo:Nobuhiko.Tanabe
序盤、5番手付近でレースを進めるベン・ターナーとトーマス・ピッドコック(共にイギリス) photo:Nobuhiko.Tanabe
集団を絞り込むようにイゼルビッドがハイペースを刻み、平均速度26.6km/hで集団先頭を牽引。全8周回中の3周目には5秒リードを得て独走体制に持ち込みかけたが、昨年大会のリベンジを誓うピッドコックの追走によって引き戻される。そして追いつきざまに、ピッドコックが攻撃に転じた。
強烈なアタックを繰り出したピッドコックはすぐさま独走に持ち込み、レース全体の最速ラップタイムを叩き出しながらリードを広げていく。イゼルビッドは反応こそしたものの次第に遅れ、追撃した3位グループに飲み込まれた。
強烈なアタックで独走態勢に持ち込んだトーマス・ピッドコック(イギリス) photo:Nobuhiko.Tanabe
ピッドコックを追うエリ・イゼルビッド(ベルギー)ら2位グループ photo:Nobuhiko.Tanabe
江越海玖也(弱虫ペダルサイクリングチーム)と村上功太郎(松山工業高校)がキャンバーの登り返しに向かう photo:Nobuhiko.Tanabe
ロードレースではチームウィギンズに所属し、2017年に個人TT世界ジュニア王者に輝いているピッドコックが独走。シクロクロスU23欧州王者であり、エリートのナショナル王者でもあるイギリス期待の19歳が刻むハイペースに対し、イゼルビッドら2番手グループは成す術がなかった。
ピッドコックは最終周回まで力強い走りを保ち、観客から受け取ったユニオンジャックを纏いながらフィニッシュ。男子ジュニアレースを制したベン・トゥレットに続く2枚目のアルカンシエルをイギリスにもたらした。
ユニオンジャックと共にフィニッシュするトーマス・ピッドコック(イギリス) (c)CorVos
シクロクロスジュニア、ロードジュニア個人TTに続く3枚目のアルカンシエルを射止めたトーマス・ピッドコック(イギリス) photo:Nobuhiko.Tanabe
シクロクロス世界選手権2019 男子U23表彰台 photo:Nobuhiko.Tanabe
「今日はすごく調子が良かったんだと思う。昨日試走した時はただただレースが楽しみだったけれど、今日はとても緊張していたんだ。途中バイクの不具合でピットインしたけれど、すぐ先頭に戻ることができたので良かった。集団内で走っている時にミスが出たことに気づき、レース先頭を走ろうと切り替えアタックした。アルカンシエルを着用できるので嬉しいし、イギリスにとって最高の結果になった」とピッドコックはレース直後のインタビューで語っている。
一時スピードを失いながらも持ち直したイゼルビッドが2位。序盤に攻め続けたブノワは、昨年のジュニアレースで銀メダルを獲得したU23初年度のトマス・コペツキー(チェコ)ら強豪勢を引き離しフランスに銅メダルをもたらしている。
日本勢では複数名グループの中に入り走行した織田が4分47秒遅れの46位で目標としていた完走を確保。江越と村上はそれぞれ58位と59位で完走には手が届かなかった。以下は3選手それぞれのコメント。
織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)
スリッピーなキャンバー区間を走る織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Nobuhiko.Tanabe
キツかったです。前日試走時とは違い、泥というか、とにかく滑りやすい路面でした。タイヤ選択が上手くいって、第一コーナーにアウト側から進入したことも良かった。するすると前に上がることができて後は耐えきるのみ。オーバーペースでしたが、抜かされつつもパック(グループ)で走ることを心掛けました。スタートのジャンプアップで30番手まで上げましたが、そこから15番しか落とさなかったのは悪くないと感じます。この距離が短くラップされやすいコースで完走できたことは自信にも繋がります。残るレースはJCX最終戦の前橋のみですが、しっかり最後まで走りたいと思います。
江越海玖也(弱虫ペダルサイクリングチーム)
江越海玖也(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Nobuhiko.Tanabe
平坦基調で1周の短いスピードコースになり、自分のフィジカルの弱さが全面に出たレースでした。それでもキャンバー区間乗り降りをしっかりと見極めスムーズにこなせたり、初の海外レースで経験のない中で焦らず走れたなど良い部分もありました。マイナス2ラップと納得いく結果は出せず悔しい気持ちはありますが、もっと強くなってまた出場したいと感じました。
村上功太郎(松山工業高校)
村上功太郎(松山工業高校) photo:Nobuhiko.Tanabe
初のU23クラスでの世界選手権。自分が思っていた以上に厳しいレースとなりました。コース状況は、表面は泥と下が硬い土の2層になっており、少し油断するとすぐにグリップがなくなりました。タイヤはデュガスのタイフーンでキャンバーの下りでのパンクを考えて低圧にし過ぎない設定にしました。
寒さ対策でインナーを2枚着ていましたが、ウエアのサイズが合わずセパレート部分から風が入ってお腹が冷えてしまいました。体が芯から冷え、うまく力が入らなくなってしまいました。シクロクロスの世界選手権で初めて80%で切られてしまいましたが、やり切ったという思いを強く感じました。今の自分の全てを出しきることができたこと、このレースを走ることができたことを嬉しく思います。たくさんの応援ありがとうございました。
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村上功太郎(松山工業高校)、江越海玖也、織田聖(共に弱虫ペダルサイクリングチーム)が出場した男子U23レースは、U23フランス王者で昨年6位のアントワン・ブノワ(フランス)のスタートダッシュで幕開ける。密集した集団内で、中盤スタートの織田はポジションをキープしながら駒を進めた。
プッシュを続けるブノワには、2連覇を狙うエリ・イゼルビッド(ベルギー)やランダー・ロークス(ベルギー)、U23初年度のロリス・ルイエ(スイス)、ヤコブ・ドリゴーニ(イタリア)が追従。やがて静かな滑り出しを見せた優勝候補最右翼、トーマス・ピッドコック(イギリス)も合流した。
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集団を絞り込むようにイゼルビッドがハイペースを刻み、平均速度26.6km/hで集団先頭を牽引。全8周回中の3周目には5秒リードを得て独走体制に持ち込みかけたが、昨年大会のリベンジを誓うピッドコックの追走によって引き戻される。そして追いつきざまに、ピッドコックが攻撃に転じた。
強烈なアタックを繰り出したピッドコックはすぐさま独走に持ち込み、レース全体の最速ラップタイムを叩き出しながらリードを広げていく。イゼルビッドは反応こそしたものの次第に遅れ、追撃した3位グループに飲み込まれた。
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ロードレースではチームウィギンズに所属し、2017年に個人TT世界ジュニア王者に輝いているピッドコックが独走。シクロクロスU23欧州王者であり、エリートのナショナル王者でもあるイギリス期待の19歳が刻むハイペースに対し、イゼルビッドら2番手グループは成す術がなかった。
ピッドコックは最終周回まで力強い走りを保ち、観客から受け取ったユニオンジャックを纏いながらフィニッシュ。男子ジュニアレースを制したベン・トゥレットに続く2枚目のアルカンシエルをイギリスにもたらした。
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「今日はすごく調子が良かったんだと思う。昨日試走した時はただただレースが楽しみだったけれど、今日はとても緊張していたんだ。途中バイクの不具合でピットインしたけれど、すぐ先頭に戻ることができたので良かった。集団内で走っている時にミスが出たことに気づき、レース先頭を走ろうと切り替えアタックした。アルカンシエルを着用できるので嬉しいし、イギリスにとって最高の結果になった」とピッドコックはレース直後のインタビューで語っている。
一時スピードを失いながらも持ち直したイゼルビッドが2位。序盤に攻め続けたブノワは、昨年のジュニアレースで銀メダルを獲得したU23初年度のトマス・コペツキー(チェコ)ら強豪勢を引き離しフランスに銅メダルをもたらしている。
日本勢では複数名グループの中に入り走行した織田が4分47秒遅れの46位で目標としていた完走を確保。江越と村上はそれぞれ58位と59位で完走には手が届かなかった。以下は3選手それぞれのコメント。
織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)
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キツかったです。前日試走時とは違い、泥というか、とにかく滑りやすい路面でした。タイヤ選択が上手くいって、第一コーナーにアウト側から進入したことも良かった。するすると前に上がることができて後は耐えきるのみ。オーバーペースでしたが、抜かされつつもパック(グループ)で走ることを心掛けました。スタートのジャンプアップで30番手まで上げましたが、そこから15番しか落とさなかったのは悪くないと感じます。この距離が短くラップされやすいコースで完走できたことは自信にも繋がります。残るレースはJCX最終戦の前橋のみですが、しっかり最後まで走りたいと思います。
江越海玖也(弱虫ペダルサイクリングチーム)
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平坦基調で1周の短いスピードコースになり、自分のフィジカルの弱さが全面に出たレースでした。それでもキャンバー区間乗り降りをしっかりと見極めスムーズにこなせたり、初の海外レースで経験のない中で焦らず走れたなど良い部分もありました。マイナス2ラップと納得いく結果は出せず悔しい気持ちはありますが、もっと強くなってまた出場したいと感じました。
村上功太郎(松山工業高校)
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初のU23クラスでの世界選手権。自分が思っていた以上に厳しいレースとなりました。コース状況は、表面は泥と下が硬い土の2層になっており、少し油断するとすぐにグリップがなくなりました。タイヤはデュガスのタイフーンでキャンバーの下りでのパンクを考えて低圧にし過ぎない設定にしました。
寒さ対策でインナーを2枚着ていましたが、ウエアのサイズが合わずセパレート部分から風が入ってお腹が冷えてしまいました。体が芯から冷え、うまく力が入らなくなってしまいました。シクロクロスの世界選手権で初めて80%で切られてしまいましたが、やり切ったという思いを強く感じました。今の自分の全てを出しきることができたこと、このレースを走ることができたことを嬉しく思います。たくさんの応援ありがとうございました。
シクロクロス世界選手権2019 男子U23結果
1位 | トーマス・ピッドコック(イギリス) | 47’42” |
2位 | エリ・イゼルビッド(ベルギー) | +15” |
3位 | アントワン・ブノワ(フランス) | +23” |
4位 | トーマス・コペツキー(チェコ) | +31” |
5位 | ヤコブ・ドリゴーニ(イタリア) | +35” |
6位 | ベン・ターナー(イギリス) | +38” |
7位 | ライアン・クンプ(オランダ) | +46” |
8位 | ロリス・ルイエ(スイス) | +56” |
9位 | トーマス・メイン(イギリス) | +1’07” |
10位 | ニールス・ファンデプッテ(ベルギー) | +1’22” |
46位 | 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) | +4’47” |
58位 | 江越海玖也(弱虫ペダルサイクリングチーム) | -2LAP |
59位 | 村上功太郎(松山工業高校) | -2LAP |
text:So.Isobe
photo:Nobuhiko.Tanabe in Bogense, Denmark
photo:Nobuhiko.Tanabe in Bogense, Denmark
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