2019/01/30(水) - 18:30
やんばるの森を颯爽と駆け抜け、海岸線を猛烈なスピードで突き進む色とりどりのチームジャージ。ダウンアンダーから帰国直後の新城幸也(バーレーン・メリダ)も参加し、ナショナルチームの強化指定選手たちが沖縄北部で行った長期のトレーニングキャンプの模様をお届けします。
温暖な沖縄でベースアップを目指したナショナルチーム
本州が真冬の寒さに震える1月、沖縄本島中央に位置する恩納村の「沖縄かりゆしビーチリゾート・オーシャンスパ」にて日本ナショナルチームの強化合宿が開催された。本格シーズン入り前に国内コンチネンタルチームもこぞって利用する同ホテルでナショナルチームが合宿を行うのは2年連続。沖縄北部へのアクセスの良さに加え、ロードバイクの保管スペースやワットバイク、フィットネスジムなど、合宿に最適な環境がその人気の秘密だ。
1月10日から18日間の日程で行われた男子エリートの合宿に参加したのはJCF強化指定選手の増田成幸(宇都宮ブリッツェン)、雨澤毅明(リュブリャナ・グスト・ザウラム)、山本元喜(キナンサイクリング)、入部正太朗(シマノレーシング)、小石祐馬(チーム右京)で、サントス・ツアー・ダウンアンダーを終えたばかりの新城幸也(バーレーン・メリダ)も1月25日に合流した。
さらに、2月4日から9日までカメルーンで開催されるツール・ド・レスポワールに出場予定の松田祥位(EQADS)、冨尾大地(CIEL BLEU KANOYA)、大前翔(慶應義塾大学/愛三レーシング)、渡辺歩(POC Cote de Lumiere)、蠣崎優仁(EQADS)らU23の選手たちが温暖な沖縄でトレーニングに励んだ。他にも、現地で自主的に合宿を行っていた過去に強化指定実績のある畑中勇介(チーム右京)と中田拓也(シマノレーシング)、小笠原匠海(EQADS)が浅田顕代表監督の許可を得て合流。金子広美(イナーメ信濃山形)や唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)、牧瀬翼(TWC Maaslandster Zuid Limburg)ら女子選手11名や、男子ジュニア12名も時期をずらして現地で乗り込みを行なっている。
「近年、アジア選手権に向けた強化合宿を沖縄で開く傾向にありますが、今年はアジア選手権が例年より遅めの4月に開催されるので、今回はエリートの強化指定の一部の選手と、ツール・ド・レスポワールに出場するU23の選手を中心にメンバーを集めました。エリートとU23を合わせると11名で、自主参加の畑中や中田、小笠原を含めると2グループに別れても7名ずつ集まった」と、レンタルした大型バンのハンドルを握りながらトレーニングライドに帯同する浅田監督は語る。
19日間でエリート男子の選手たちは約2400kmの距離を乗り込んだ。選手たちがこなしたのは、浅田監督が組んだトレーニングメニュー。毎日9時半に「かりゆしビーチリゾート」をスタートして沖縄北部に向かい、時に200km近い距離をこなしてホテルに帰着し、穴田悠吾マッサーが身体をメンテナンスする。いわゆる山原(やんばる)と呼ばれる沖縄本島北部の環境について浅田監督は「ツール・ド・おきなわでも走るこの一帯は適度にアップダウンがあって、登りもあって、15km止まらずに走れる平坦区間もあって、交通量も少なくて、気候も良い。ヨーロッパほどではないにしろ、環境が整っている」という。
「合宿前半は乗り込みのベースを作って、そこにスピード練習を短めに入れていきながら後半はアップダウンを含むメニューを組みました。今回の合宿の目的は選手のベースアップ。レース強度の追い込みを短い時間で詰め込んでいます。今はどの選手もパワーメーターを使っているので、この時期に『短い時間における最高記録を出しておこう』と言っています。一般的に、この時期は長い距離を乗って基礎体力を作ることが優先されている。確かにそれも一理あるのですが、いつもと同じベース作りをしても到達点が変わらない。特にエリートの選手は身体が出来上がっているので、この時期に自分の限界まで追い込めるようなことをした方が、新しいシーズンを作れると思っています」。
具体的には、合宿前半にかけて選手たちは6分の登坂と2分の平坦高速走行を重視して取り組んできた。回数よりも1回の(強度の)高さを求めるメニュー。「それによって極端に伸びた選手はいませんが、低い部分が改善された印象です」と浅田監督。
日本ナショナルチームは7月から8月にかけて4週間前後のヨーロッパ遠征を計画している。そこでスペインのオルディシアコクラシカ(UCI1.1)やフランスのツール・アルザス(UCI2.2)、チェコサイクリングツアー(UCI2.1)に出場する予定だ。「これまで強化指定選手はUCIポイントで上位20位ほどの選手を選んできましたが、UCIポイントだけでは選手の力は測れない部分がある。夏のヨーロッパ遠征で動ける選手を想定してメンバー選抜しています。そこでUCIポイントを取って実証したい」と意気込む。
新城幸也の合流で合宿のペースが上がる
実質的に4日間だけの合流となったが、合宿にスパイスを加えたのが新城幸也だった。「幸也の合流で、まず練習のペースが上がりました。ちょうど少し強度を落とす期間があって、その後の良いタイミングで合流してくれたので足並みが揃った」と浅田監督は語る。
新城が期間中にこなした距離は840km。これはダウンアンダーの6日間でこなした828kmを超えている。意外にも2008年のツール・ド・おきなわ以来となる沖縄本島でのライドをこなした新城は「4日間ともTSSが300を超えましたし、この時期に強度の高いトレーニングをこなしたかったので参加して良かった」と語るが、強行スケジュールの中で合宿に参加した目的はその他にもある。
「若い選手に僕がどういったトレーニングを行なっているのかを見て欲しかったんです。実際に今回一緒に走ってみて、彼らにはまだまだやることがいっぱいあると感じました。練習の仕方には改善の余地があると感じ、それをミーティングで伝えました。言葉では伝えにくいけど、走っているスピードだったり、フリー走という名のレースペースの模擬レースだったり、一緒に走ることで伝えることができる」と、ブイグテレコム時代から数えてヨーロッパチーム11年目の34歳は語る。「U23の彼らはここまで2週間乗り込んできて、2週間後にカメルーンに行く。シーズンを通して結果を出すことが目的ですが、彼らが目指すところは僕が今いる場所です。だから僕の走りを早いうちに見れるのは悪いことじゃないと思います」。
浅田監督と新城が声を揃えたのが増田成幸(宇都宮ブリッツェン)の調子の良さ。年の近い新城と増田の2人が終始トレーニングライドでペースを作った。「ツール・ド・台湾や、今年僕が出れないであろうアジア選手権に出場するエリートの選手たちにとって良い練習台になったと思うし、増田さんの調子が良くて心強かったですね。僕一人でペースを上げて誰もついてこないのでは意味がないし、増田さんのおかげでペースを維持して、僕の練習にもなりました」と新城は語る。そして「JCFがこのキャンプを2週間以上という長い期間開催してくれたおかげで参加できた。マッサージも受けることができて、施設も整っていて、とても意義のある合宿でした」と評価した。
東京五輪に向けて、ナショナルチームができること
日本ナショナルチームとして、やはり目線は1年半後に迫った2020年東京五輪に向く。日本は開催国として出場枠を「2枠」確保している。これを「3枠」にするためには、UCIのナショナルランキング21位以内(2019年10月27日時点)を目指さなければならないが、浅田監督は「2枠を3枠にするというのは、現実的に考えていません」と語る。実際、日本は同ランキング31位で、21位以内を目指すためには現在の2倍近いポイントが必要になる。
「3枠を獲得することを考えるならば、UCIアジアツアーに絞るしかない(UCIポイントを稼ぐことに専念するしかない)。でもそれが本質的に選手の強化に繋がるとは思っていません。今はナショナルチームがUCIヨーロッパツアーでUCIポイントを取れる力を身につけることを目標にしています。今回の合宿でも、高い出力を短い時間出して、しっかり勝負に絡めるようにするためのメニューを組んでいます。3枠にするというのは強化の分かりやすい理由づけにはなるものの、それが根本的に流れを改善していくことにはならない」と、ナショナルチーム全体としてのレベルアップを見据える。
では、誰が東京五輪に出るのか。
JCFの『第32回オリンピック競技大会の選手選考基準(PDF)』には『2018年UCIワールドランキング配点表のポイントに、次の表に該当するランクにより対応する係数を乗じて計算したポイント合計の上位者から順に選考する。選考対象期間:2019年1月1日~2020年5月31日』とある。「(山岳が厳しい)五輪コースの特色を加味して、山岳色の強いレースの配点を高くするなど、明確な選考基準ができました」浅田監督は説明する。
例えば『Bランク』に指定されたサントス・ツアー・ダウンアンダーを総合39位で終えた新城は10ポイントを獲得しており、ここに『6』の係数をかけて合計60ポイントを保有している状態だ。
浅田監督は「五輪において評価されるのはメダルだけ。メダルを取るか取らないかです。メダルを取ることを軸に、では我々は何をするのか。でもメダルを取ると言ってもその裏付けが必要になる。そこに行き着くには実績が必要です。だから幸也には『どんな形でもいいからUCIワールドツアーレースで表彰台に上ってほしい』と言っている。その実績がないとメダルを取るとは言えない。幸也とフミ(別府史之)にはUCIワールドツアーレースでトップ10の実績はある。次の目標はトップ6で、その次が表彰台です」と、現実的なステップアップを期待する。
「リオ五輪の幸也の成績(27位)は決して悪くなかったと思っています。先頭グループに残れなかったものの、同じグループの中には『メダルを取る』と言っていたバルベルデやロッシュがいた。現状として、東京五輪のコースで一番上位に絡む走りができるのは幸也だと言っていいと思います」と浅田監督。ハンドルを握りながら見つめる先では、強い追い風が吹き付ける海岸沿いの平坦区間を猛烈な勢いで引き続ける新城と増田がいた。
text:Kei Tsuji
温暖な沖縄でベースアップを目指したナショナルチーム
本州が真冬の寒さに震える1月、沖縄本島中央に位置する恩納村の「沖縄かりゆしビーチリゾート・オーシャンスパ」にて日本ナショナルチームの強化合宿が開催された。本格シーズン入り前に国内コンチネンタルチームもこぞって利用する同ホテルでナショナルチームが合宿を行うのは2年連続。沖縄北部へのアクセスの良さに加え、ロードバイクの保管スペースやワットバイク、フィットネスジムなど、合宿に最適な環境がその人気の秘密だ。
1月10日から18日間の日程で行われた男子エリートの合宿に参加したのはJCF強化指定選手の増田成幸(宇都宮ブリッツェン)、雨澤毅明(リュブリャナ・グスト・ザウラム)、山本元喜(キナンサイクリング)、入部正太朗(シマノレーシング)、小石祐馬(チーム右京)で、サントス・ツアー・ダウンアンダーを終えたばかりの新城幸也(バーレーン・メリダ)も1月25日に合流した。
さらに、2月4日から9日までカメルーンで開催されるツール・ド・レスポワールに出場予定の松田祥位(EQADS)、冨尾大地(CIEL BLEU KANOYA)、大前翔(慶應義塾大学/愛三レーシング)、渡辺歩(POC Cote de Lumiere)、蠣崎優仁(EQADS)らU23の選手たちが温暖な沖縄でトレーニングに励んだ。他にも、現地で自主的に合宿を行っていた過去に強化指定実績のある畑中勇介(チーム右京)と中田拓也(シマノレーシング)、小笠原匠海(EQADS)が浅田顕代表監督の許可を得て合流。金子広美(イナーメ信濃山形)や唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)、牧瀬翼(TWC Maaslandster Zuid Limburg)ら女子選手11名や、男子ジュニア12名も時期をずらして現地で乗り込みを行なっている。
「近年、アジア選手権に向けた強化合宿を沖縄で開く傾向にありますが、今年はアジア選手権が例年より遅めの4月に開催されるので、今回はエリートの強化指定の一部の選手と、ツール・ド・レスポワールに出場するU23の選手を中心にメンバーを集めました。エリートとU23を合わせると11名で、自主参加の畑中や中田、小笠原を含めると2グループに別れても7名ずつ集まった」と、レンタルした大型バンのハンドルを握りながらトレーニングライドに帯同する浅田監督は語る。
19日間でエリート男子の選手たちは約2400kmの距離を乗り込んだ。選手たちがこなしたのは、浅田監督が組んだトレーニングメニュー。毎日9時半に「かりゆしビーチリゾート」をスタートして沖縄北部に向かい、時に200km近い距離をこなしてホテルに帰着し、穴田悠吾マッサーが身体をメンテナンスする。いわゆる山原(やんばる)と呼ばれる沖縄本島北部の環境について浅田監督は「ツール・ド・おきなわでも走るこの一帯は適度にアップダウンがあって、登りもあって、15km止まらずに走れる平坦区間もあって、交通量も少なくて、気候も良い。ヨーロッパほどではないにしろ、環境が整っている」という。
「合宿前半は乗り込みのベースを作って、そこにスピード練習を短めに入れていきながら後半はアップダウンを含むメニューを組みました。今回の合宿の目的は選手のベースアップ。レース強度の追い込みを短い時間で詰め込んでいます。今はどの選手もパワーメーターを使っているので、この時期に『短い時間における最高記録を出しておこう』と言っています。一般的に、この時期は長い距離を乗って基礎体力を作ることが優先されている。確かにそれも一理あるのですが、いつもと同じベース作りをしても到達点が変わらない。特にエリートの選手は身体が出来上がっているので、この時期に自分の限界まで追い込めるようなことをした方が、新しいシーズンを作れると思っています」。
具体的には、合宿前半にかけて選手たちは6分の登坂と2分の平坦高速走行を重視して取り組んできた。回数よりも1回の(強度の)高さを求めるメニュー。「それによって極端に伸びた選手はいませんが、低い部分が改善された印象です」と浅田監督。
日本ナショナルチームは7月から8月にかけて4週間前後のヨーロッパ遠征を計画している。そこでスペインのオルディシアコクラシカ(UCI1.1)やフランスのツール・アルザス(UCI2.2)、チェコサイクリングツアー(UCI2.1)に出場する予定だ。「これまで強化指定選手はUCIポイントで上位20位ほどの選手を選んできましたが、UCIポイントだけでは選手の力は測れない部分がある。夏のヨーロッパ遠征で動ける選手を想定してメンバー選抜しています。そこでUCIポイントを取って実証したい」と意気込む。
新城幸也の合流で合宿のペースが上がる
実質的に4日間だけの合流となったが、合宿にスパイスを加えたのが新城幸也だった。「幸也の合流で、まず練習のペースが上がりました。ちょうど少し強度を落とす期間があって、その後の良いタイミングで合流してくれたので足並みが揃った」と浅田監督は語る。
新城が期間中にこなした距離は840km。これはダウンアンダーの6日間でこなした828kmを超えている。意外にも2008年のツール・ド・おきなわ以来となる沖縄本島でのライドをこなした新城は「4日間ともTSSが300を超えましたし、この時期に強度の高いトレーニングをこなしたかったので参加して良かった」と語るが、強行スケジュールの中で合宿に参加した目的はその他にもある。
「若い選手に僕がどういったトレーニングを行なっているのかを見て欲しかったんです。実際に今回一緒に走ってみて、彼らにはまだまだやることがいっぱいあると感じました。練習の仕方には改善の余地があると感じ、それをミーティングで伝えました。言葉では伝えにくいけど、走っているスピードだったり、フリー走という名のレースペースの模擬レースだったり、一緒に走ることで伝えることができる」と、ブイグテレコム時代から数えてヨーロッパチーム11年目の34歳は語る。「U23の彼らはここまで2週間乗り込んできて、2週間後にカメルーンに行く。シーズンを通して結果を出すことが目的ですが、彼らが目指すところは僕が今いる場所です。だから僕の走りを早いうちに見れるのは悪いことじゃないと思います」。
浅田監督と新城が声を揃えたのが増田成幸(宇都宮ブリッツェン)の調子の良さ。年の近い新城と増田の2人が終始トレーニングライドでペースを作った。「ツール・ド・台湾や、今年僕が出れないであろうアジア選手権に出場するエリートの選手たちにとって良い練習台になったと思うし、増田さんの調子が良くて心強かったですね。僕一人でペースを上げて誰もついてこないのでは意味がないし、増田さんのおかげでペースを維持して、僕の練習にもなりました」と新城は語る。そして「JCFがこのキャンプを2週間以上という長い期間開催してくれたおかげで参加できた。マッサージも受けることができて、施設も整っていて、とても意義のある合宿でした」と評価した。
東京五輪に向けて、ナショナルチームができること
日本ナショナルチームとして、やはり目線は1年半後に迫った2020年東京五輪に向く。日本は開催国として出場枠を「2枠」確保している。これを「3枠」にするためには、UCIのナショナルランキング21位以内(2019年10月27日時点)を目指さなければならないが、浅田監督は「2枠を3枠にするというのは、現実的に考えていません」と語る。実際、日本は同ランキング31位で、21位以内を目指すためには現在の2倍近いポイントが必要になる。
「3枠を獲得することを考えるならば、UCIアジアツアーに絞るしかない(UCIポイントを稼ぐことに専念するしかない)。でもそれが本質的に選手の強化に繋がるとは思っていません。今はナショナルチームがUCIヨーロッパツアーでUCIポイントを取れる力を身につけることを目標にしています。今回の合宿でも、高い出力を短い時間出して、しっかり勝負に絡めるようにするためのメニューを組んでいます。3枠にするというのは強化の分かりやすい理由づけにはなるものの、それが根本的に流れを改善していくことにはならない」と、ナショナルチーム全体としてのレベルアップを見据える。
では、誰が東京五輪に出るのか。
JCFの『第32回オリンピック競技大会の選手選考基準(PDF)』には『2018年UCIワールドランキング配点表のポイントに、次の表に該当するランクにより対応する係数を乗じて計算したポイント合計の上位者から順に選考する。選考対象期間:2019年1月1日~2020年5月31日』とある。「(山岳が厳しい)五輪コースの特色を加味して、山岳色の強いレースの配点を高くするなど、明確な選考基準ができました」浅田監督は説明する。
例えば『Bランク』に指定されたサントス・ツアー・ダウンアンダーを総合39位で終えた新城は10ポイントを獲得しており、ここに『6』の係数をかけて合計60ポイントを保有している状態だ。
浅田監督は「五輪において評価されるのはメダルだけ。メダルを取るか取らないかです。メダルを取ることを軸に、では我々は何をするのか。でもメダルを取ると言ってもその裏付けが必要になる。そこに行き着くには実績が必要です。だから幸也には『どんな形でもいいからUCIワールドツアーレースで表彰台に上ってほしい』と言っている。その実績がないとメダルを取るとは言えない。幸也とフミ(別府史之)にはUCIワールドツアーレースでトップ10の実績はある。次の目標はトップ6で、その次が表彰台です」と、現実的なステップアップを期待する。
「リオ五輪の幸也の成績(27位)は決して悪くなかったと思っています。先頭グループに残れなかったものの、同じグループの中には『メダルを取る』と言っていたバルベルデやロッシュがいた。現状として、東京五輪のコースで一番上位に絡む走りができるのは幸也だと言っていいと思います」と浅田監督。ハンドルを握りながら見つめる先では、強い追い風が吹き付ける海岸沿いの平坦区間を猛烈な勢いで引き続ける新城と増田がいた。
text:Kei Tsuji
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