2019/01/28(月) - 11:16
ダウンアンダーから1週間を空け、オーストラリアのジーロングを舞台にカデルエヴァンス・グレートオーシャン・ロードレースが開催された。エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)が勝利した男子レース、與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ)が出場した女子レースの模様をレポート。
男子レース:集団スプリントでユアンを抑えたヴィヴィアーニが勝利
ジーロングの街をスタートしていく (c)CorVos
1月27日に開催されたワールドツアー第2戦、カデルエヴァンス・グレートオーシャン・ロードレースは、その名の通りオーストラリア人として初のツール・ド・フランス制覇を成し遂げたカデル・エヴァンスの功績を称えて2015年から開催されているワンデーレース。
今年でワールドツアー3年目となり、ツアー・ダウンアンダーを終えた各チームがトレーニングキャンプを経てそのまま出場するのが恒例。2010年の世界選手権開催地となったジーロングのコースに向けて、15のワールドチーム、そしてオーストラリアナショナルチームを加えた合計16チーム、112名の選手たちがスタートを切った。
レースは序盤、ローレンス・デフリーズ(ベルギー、アスタナ)とナショナルチーム2名による3名の逃げが決まり、後半まで昨年覇者ジェイ・マッカーシー(オーストラリア)擁するボーラ・ハンスグローエや、ダウンアンダーを連覇し波に乗るダリル・インピー(南アフリカ)のミッチェルトン・スコットがメイン集団を率いて推移する。
今大会の難関登坂チャランブラ・クレセント(距離1.2km/平均勾配8.4%/最大勾配22%)が合計4回登場する16.8kmの周回コース(合計3周回半)に入ると、逃げグループ内では唯一のワールドツアー所属選手であるデフリーズが全てのKOMを先着。若手を牽引しながら山岳賞を獲得した。
急勾配のチャランブラクレセントをメイン集団がよじ登る (c)CorVos
サーティーンスビーチを通過するプロトン (c)CorVos
メイン集団内で走るロバート・ヘーシンク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) (c)CorVos
メイン集団からはダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アスタナ)とニコラス・ドラミニ(南アフリカ、ディメンションデータ)が飛び出し、ドラミニを振り切ったバッレリーニがチームメイトのデフリーズに合流し、パス。しかしフィニッシュに向けてメイン集団もペースアップを行なったことで、最後のチャランブラ・クレセントをもってアスタナの積極策は幕を閉じる。
頂上付近ではディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)を中心としたアタックが掛かり、メイン集団が分裂したものの、集団スプリントを狙う各チームの組織的な動きで吸収。残り5kmを切ったタイミングでルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)やディラン・ファンバーレ(オランダ、チームスカイ)、さらにリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)らがそれぞれ単独アタックを繰り出したものの集団との差を稼ぐには至らない。メイン集団は全てのアタックを吸収し、ダニエル・オス(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)らの牽引で集団スプリントへとなだれ込んでいった。
最後の直線に入り、絶好の位置を確保したのはダウンアンダー初日に勝利しているエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)だった。デンマーク王者ミカエル・モルコフのリードアウトを受け、タイミングを見計らってスプリントを開始。マックスパワー1450W、平均パワー1000Wで16秒間もがき続けたイタリア王者に対し、ひときわ低い姿勢でカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)が並びかけるも抜け出せない。リオ五輪金メダリストが今季早くも2勝目を飾った。
スプリント勝負を繰り広げるエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)とカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) (c)CorVos
昨年の雪辱を晴らしたエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos
表彰台で乾杯するトップスリー (c)CorVos
「昨年大会で2位に甘んじたので今年は勝ちたいと思っていた。今日のチームの走りはパーフェクトで、誰かが登りでふるい落としにかかった時もスマートにチームプレイで凌ぎきったんだ。疲れ知らずに働き通し、完璧なリードアウトをしてくれたチームに感謝したい。最終盤でも僕らは4人を残し、その中でモルコフがいてくれたのは本当に心強かったんだ。これ以上ないシーズン幕開けになったよ」と、昨年のリベンジを達成したヴィヴィアーニは喜んでいる。
女子レースは独走で決着 與那嶺恵理は27位でフィニッシュ
風光明媚な海岸線を行くメイン集団 (c)CorVos
また、男子レースの前日には全日本チャンピオン與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ)も出場した女子レースが行われた。序盤から昨年覇者のクロエ・ホスキング(オーストラリア、アレ・チポッリーニ)がスプリントポイントを連取し、断続的にアタックが続く出入りの多い展開で進んだ。
後半に入ると一時横風分断で與那嶺やホスキングを含む20名ほどが抜け出すも、逃したくないメイン集団が再びキャッチ。「トレック・セガフレードも一緒にローテをして一度20名ほどに分断成功し、このまま決めるつもりで仕事をします。が、風が弱い区間も多く一度メイン集団へ吸収されました」と與那嶺は振り返っている。
すると最後のチャランブラ・クレセントを前にした残り20kmでホスキングがチェーン噛み込みによって脱落。復帰に時間を要したことでチャンスが失われてしまった。
海に面した登りをメイン集団が進む (c)CorVos
独走でフィニッシュに飛び込むアーレニス・シエラ(キューバ、アスタナ) (c)CorVos
波を模したトロフィーを受け取ったアーレニス・シエラ(キューバ、アスタナ) (c)CorVos
登坂ではCCC・リブに移籍したアシュレー・ムールマンパシオ(南アフリカ、CCC・リブ)のアタックで集団は散り散りとなり、6名の先頭集団からアーレニス・シエラ(キューバ、アスタナ)がアタック。他メンバーは追走できず、そのまま独走を守り切ったシエラが単独でフィニッシュラインへと飛び込んだ。
與那嶺は55秒遅れの第2集団に入り、27位でフィニッシュ。「私は前に入ることは出来ず。メイン集団で登りあとはそのままゴールへなだれ込みました。昨年、クロエで優勝ができたレース。今年はUCIポイントの獲得が出来ず、正直残念です」と悔しさをにじませる全日本王者は今後、3日間を開けてオーストラリアで2レースをこなし、その後ヨーロッパに戻る予定だという。
男子レース:集団スプリントでユアンを抑えたヴィヴィアーニが勝利
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1月27日に開催されたワールドツアー第2戦、カデルエヴァンス・グレートオーシャン・ロードレースは、その名の通りオーストラリア人として初のツール・ド・フランス制覇を成し遂げたカデル・エヴァンスの功績を称えて2015年から開催されているワンデーレース。
今年でワールドツアー3年目となり、ツアー・ダウンアンダーを終えた各チームがトレーニングキャンプを経てそのまま出場するのが恒例。2010年の世界選手権開催地となったジーロングのコースに向けて、15のワールドチーム、そしてオーストラリアナショナルチームを加えた合計16チーム、112名の選手たちがスタートを切った。
レースは序盤、ローレンス・デフリーズ(ベルギー、アスタナ)とナショナルチーム2名による3名の逃げが決まり、後半まで昨年覇者ジェイ・マッカーシー(オーストラリア)擁するボーラ・ハンスグローエや、ダウンアンダーを連覇し波に乗るダリル・インピー(南アフリカ)のミッチェルトン・スコットがメイン集団を率いて推移する。
今大会の難関登坂チャランブラ・クレセント(距離1.2km/平均勾配8.4%/最大勾配22%)が合計4回登場する16.8kmの周回コース(合計3周回半)に入ると、逃げグループ内では唯一のワールドツアー所属選手であるデフリーズが全てのKOMを先着。若手を牽引しながら山岳賞を獲得した。
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メイン集団からはダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アスタナ)とニコラス・ドラミニ(南アフリカ、ディメンションデータ)が飛び出し、ドラミニを振り切ったバッレリーニがチームメイトのデフリーズに合流し、パス。しかしフィニッシュに向けてメイン集団もペースアップを行なったことで、最後のチャランブラ・クレセントをもってアスタナの積極策は幕を閉じる。
頂上付近ではディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)を中心としたアタックが掛かり、メイン集団が分裂したものの、集団スプリントを狙う各チームの組織的な動きで吸収。残り5kmを切ったタイミングでルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)やディラン・ファンバーレ(オランダ、チームスカイ)、さらにリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)らがそれぞれ単独アタックを繰り出したものの集団との差を稼ぐには至らない。メイン集団は全てのアタックを吸収し、ダニエル・オス(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)らの牽引で集団スプリントへとなだれ込んでいった。
最後の直線に入り、絶好の位置を確保したのはダウンアンダー初日に勝利しているエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)だった。デンマーク王者ミカエル・モルコフのリードアウトを受け、タイミングを見計らってスプリントを開始。マックスパワー1450W、平均パワー1000Wで16秒間もがき続けたイタリア王者に対し、ひときわ低い姿勢でカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)が並びかけるも抜け出せない。リオ五輪金メダリストが今季早くも2勝目を飾った。
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「昨年大会で2位に甘んじたので今年は勝ちたいと思っていた。今日のチームの走りはパーフェクトで、誰かが登りでふるい落としにかかった時もスマートにチームプレイで凌ぎきったんだ。疲れ知らずに働き通し、完璧なリードアウトをしてくれたチームに感謝したい。最終盤でも僕らは4人を残し、その中でモルコフがいてくれたのは本当に心強かったんだ。これ以上ないシーズン幕開けになったよ」と、昨年のリベンジを達成したヴィヴィアーニは喜んでいる。
女子レースは独走で決着 與那嶺恵理は27位でフィニッシュ
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また、男子レースの前日には全日本チャンピオン與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ)も出場した女子レースが行われた。序盤から昨年覇者のクロエ・ホスキング(オーストラリア、アレ・チポッリーニ)がスプリントポイントを連取し、断続的にアタックが続く出入りの多い展開で進んだ。
後半に入ると一時横風分断で與那嶺やホスキングを含む20名ほどが抜け出すも、逃したくないメイン集団が再びキャッチ。「トレック・セガフレードも一緒にローテをして一度20名ほどに分断成功し、このまま決めるつもりで仕事をします。が、風が弱い区間も多く一度メイン集団へ吸収されました」と與那嶺は振り返っている。
すると最後のチャランブラ・クレセントを前にした残り20kmでホスキングがチェーン噛み込みによって脱落。復帰に時間を要したことでチャンスが失われてしまった。
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登坂ではCCC・リブに移籍したアシュレー・ムールマンパシオ(南アフリカ、CCC・リブ)のアタックで集団は散り散りとなり、6名の先頭集団からアーレニス・シエラ(キューバ、アスタナ)がアタック。他メンバーは追走できず、そのまま独走を守り切ったシエラが単独でフィニッシュラインへと飛び込んだ。
與那嶺は55秒遅れの第2集団に入り、27位でフィニッシュ。「私は前に入ることは出来ず。メイン集団で登りあとはそのままゴールへなだれ込みました。昨年、クロエで優勝ができたレース。今年はUCIポイントの獲得が出来ず、正直残念です」と悔しさをにじませる全日本王者は今後、3日間を開けてオーストラリアで2レースをこなし、その後ヨーロッパに戻る予定だという。
男子レース結果
1位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 3h54'35" |
2位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) | |
3位 | ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) | |
4位 | ライアン・ギブソン(南アフリカ、ディメンションデータ) | |
5位 | イェンス・デブシェール(ベルギー、カチューシャ・アルペシン) | |
6位 | ルーク・ロウ(イギリス、チームスカイ) | |
7位 | ミカエル・モルコフ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
8位 | ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
9位 | オウェイン・ドゥール(イギリス、チームスカイ) | |
10位 | ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) |
女子レース結果
1位 | アーレニス・シエラ(キューバ、アスタナ) | 3h07'10" |
2位 | ルーシー・ケネディ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | +19" |
3位 | アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | |
4位 | アシュレー・ムールマンパシオ(南アフリカ、CCC・リブ) | +34" |
5位 | エリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
6位 | ブロディ・チャップマン(オーストラリア、ティブコ・シリコンバレーバンク) | |
7位 | レイチェル・ネイラン(オーストラリア、コルダメンテ・リアルエステート) | +39" |
8位 | エミリー・ローパー(オーストラリア、コルダメンテ・リアルエステート) | +55" |
9位 | ルス・ウィンダー(アメリカ、トレック・セガフレード) | |
10位 | グレイス・ブラウン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | |
27位 | 與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ) |
text:So.Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos