2019/02/20(水) - 09:10
圧倒的な静粛性を誇るタックスのスマートトレーナー「Neo Smart」がモデルチェンジを果たし第2世代となった。これまでの優れたシミュレーション機能を継承しつつ、左右独立したペダリングパワーの計測を実現した1台となった。バーチャルサイクリングはもちろん本格的なトレーニングのパートナーとして相応しいローラー台だ。
ボーラ・ハンスグローエやドゥクーニンク・クイックステップら7つのUCIワールドチーム、ボエルス・ドルマンスなど3つのUCIウィメンズチームをサポートするオランダのトレーニング機器ブランドのタックス。プロ選手たちのレース前のアップでローラー台らしからぬフォルムのローラ台「Neo Smart」を使用している光景を見たことのある方もいるだろう。
Neo Smartのローンチは2015年。今や世界的に人気のバーチャルサイクリング「ズイフト」がツール・ド・フランスの休息日にオンラインデモを行い、世界に向けて発信を開始した年でもある。当初はオリジナルアプリとの連携を前提としたものであったが、パソコンの双方向通信を行えるローラー台の先駆け的存在の1つであることは間違いない。
そして2016年にズイフトが日本語対応となり、サイクリスト達がバーチャルサイクリングを始める時の選択肢として有力候補の1つとして挙げられていたのがNeo Smartであった。住環境次第であるが、非常に優れた静粛性、振動の少なさから集合住宅でもおおよそ使うことができそうな性能がサイクリストたちの心を掴んだ。
第2世代でも継承されているNeoシリーズのスペックや機能をおさらいしよう。負荷調整システムは唯一無二のブラシレスモーターを採用。これにより優れた静粛性を獲得するとともに、低速走行時でも25%の斜度再現を可能としている。最大2200Wまで対応。
さらにブラシレスモーターが、ズイフトやタックスのFilmsといったバーチャルサイクリングの路面状況、石畳や砂利道などを再現。味気のないローラー台練習に実走感を加えてくれるため、楽しさを感じながらインドアライドに取り組むことができる。これがNeoシリーズが持つ最大の魅力だろう。
デビューより3年、さらなる進化を見据えた第2世代となる「Neo2 Smart」を2018年の年末に発売開始した。一見して見受けられるの大きな変化は、レッグ部分の色がタックスのブランドカラーである水色で彩られていること。形状などはこれまでのNeo Smartと同じであるため、購入前に使用できるフレームか確認したほうが良い。
目に見えない部分ではあるがCPUは高性能化を果たしており、バーチャルサイクリングなどから得た情報を素早くトレーナーに反映させる処理能力が向上した。ズイフトの斜度や路面状況の再現がリニアに行われるようになり、バーチャルサイクリングの画面に表示される情報と体のフィーリングにタイムラグが発生しにくくなるため、より高い没入感でインドアライドを楽しめる。
静電容量センサーを新たに搭載することで、従来のケイデンス、パワー計測よりも優れた精度でデータを取得することが可能となった。タックスの純正ソフトを使用するとペダリングの左右パワーを見ることができることもポイント。ペダリング分析をできるパワーメーターは希少な存在であり、導入している方は多くない。高価なパワーメーターを所有していない方でも、インドアトレーニングでペダリングに関するトレーニングを行えるようになるのは、非常に魅力的なポイントだろう。
また、Neo2 Smartでは内蔵のメモリーが改良されたという。将来のアップデートを保存できるようにするものであり、タックスのトレーナーを進化させることへの姿勢が見て取れる。静粛性に関しても現段階でできることを限界まで行い従来型よりも進歩を目指したという。
対応するエンド規格は現代のスタンダードである、9mmクイックリリース、142×12mm/148×12mmスルーアクスル。新型ではアダプターが付属するようになったため、数が増えつつあるディスクブレーキの自転車でも購入後そのままNeo2 Smartで遊ぶことができる。決して安くはないスマートトレーナーにおいて、オプション購入のコストが掛からないのは嬉しい。
編集部インプレッション
ズイフトという黒船が襲来して以来、シリアスなアスリートだけではなくフィットネス層のサイクリストまで楽しめるようになったインドアトレーニング。そのパートナーとして欠かせないのが、PCやスマホ/タブレットと連携することができるスマートトレーナーだ。如何にインドアライドを楽しく、ストレス無く行えるかが選択の決め手となるため、要求されるスペックは高くなりがちである。
まず求められるのはローラー台の静粛性。集合住宅にお住まいの方であれば隣人トラブルの種となる騒音はできる限り排除したいものであり、静かで振動が少ないローラー台が優先要件となる。その点ではNeo2 Smartは非常に有力な選択肢となりうる静粛性を備えており、ベルトドライブ式のFLUX2と比較してもそのノイズの少なさは際立つ。
ローラー台自体が静かであってもチェーンやスプロケットの相性、ディレイラーの調整などによってノイズや振動が発生することはある。その場合はドライブトレインからのノイズのほうが大きくなりがち。フリーの空転なども一切の無音状態とはならないため、隣家の生活音が聞こえるような住宅の場合は、バイク調整を行ってからインドアライドを楽しんだほうが良さそうだ。
今回はTacx Desktop AppのFilmsから、無料で遊ぶことのできる「コッペンベルグ」の実写再現ライドを中心に遊んでみた。Neo2 Smartの負荷調整は非常に細かく行われている印象で、斜度が0.5%変化しただけで足への負担が大きくなることを実感できる。印象としてはやや負荷は強めにかかるようだ。
コッペンベルグのコースで面白いのはなんと言っても石畳区間に突入する瞬間。スピードをあげて石畳に入ると負荷装置部分がカタカタカタと音をたて、ペダルに振動を伝えてくる。最初は思わず感嘆の声を上げてしまったほど。生憎、コッペンベルグを走ったことはないのでリアルであるかはわからないが、石畳の雰囲気は再現してくれる。力をかけるとタイヤがスリップしたかのようにペダリングから力が抜ける仕様も非常に面白い。
その後は斜度20%の地獄が待っているわけだが、プロ選手たちは物凄いスピードで駆け上がっていく姿を想像するとクラシックハンターたちは恐るべき力を持っているのだと思いを馳せることができる。今回のテストは筆者だけではなく他の部員たちが見守る中で行ったため、激励の言葉を飛ばしてくれるのがクラシックレースのようで心地よかった。もしできるのであれば友人を家に招き、一緒に遊んでみても良いかもしれない。その時は声を張り上げすぎて隣人に迷惑をかけないように注意してほしい。
映像が滑らかに動く実写のTacx Desktop App、インドアトレーニングのプラットフォームと定着したズイフトなど遊ぶソフトは選り取り見取り。そこにリアリティ、楽しさを加えてくれるところが、Neo2 Smartの魅力だ。
タックス Neo2 Smart
駆動方式:ダイレクトドライブ
電源:必要(自家発電も可)
負荷装置:モーターブレーキ
キャリブレーション:不要
最大トルク:85Nm
最大ブレーキ力:250N
最大出力:2200ワット
再現斜度:25%
フライホイール:仮想
フライホイール効果:125kgまで可変(電子制御)
サイズ:575mm×750mm×550mm
重量:21.5kg
通信規格:ANT+ FE-C / Bluetooth Smart open
パワー計測精度:1%未満の誤差
付属品:スカイライナー、クイックレリース、142mm×12mm & 148mm×12mm用スルーアクセルアダプタ スプロケット:付属しない、Shimano/SRAM 8s 9s 10s 11s対応、Campagnoloはオプション
価格:178,000円(税抜)
ボーラ・ハンスグローエやドゥクーニンク・クイックステップら7つのUCIワールドチーム、ボエルス・ドルマンスなど3つのUCIウィメンズチームをサポートするオランダのトレーニング機器ブランドのタックス。プロ選手たちのレース前のアップでローラー台らしからぬフォルムのローラ台「Neo Smart」を使用している光景を見たことのある方もいるだろう。
Neo Smartのローンチは2015年。今や世界的に人気のバーチャルサイクリング「ズイフト」がツール・ド・フランスの休息日にオンラインデモを行い、世界に向けて発信を開始した年でもある。当初はオリジナルアプリとの連携を前提としたものであったが、パソコンの双方向通信を行えるローラー台の先駆け的存在の1つであることは間違いない。
そして2016年にズイフトが日本語対応となり、サイクリスト達がバーチャルサイクリングを始める時の選択肢として有力候補の1つとして挙げられていたのがNeo Smartであった。住環境次第であるが、非常に優れた静粛性、振動の少なさから集合住宅でもおおよそ使うことができそうな性能がサイクリストたちの心を掴んだ。
第2世代でも継承されているNeoシリーズのスペックや機能をおさらいしよう。負荷調整システムは唯一無二のブラシレスモーターを採用。これにより優れた静粛性を獲得するとともに、低速走行時でも25%の斜度再現を可能としている。最大2200Wまで対応。
さらにブラシレスモーターが、ズイフトやタックスのFilmsといったバーチャルサイクリングの路面状況、石畳や砂利道などを再現。味気のないローラー台練習に実走感を加えてくれるため、楽しさを感じながらインドアライドに取り組むことができる。これがNeoシリーズが持つ最大の魅力だろう。
デビューより3年、さらなる進化を見据えた第2世代となる「Neo2 Smart」を2018年の年末に発売開始した。一見して見受けられるの大きな変化は、レッグ部分の色がタックスのブランドカラーである水色で彩られていること。形状などはこれまでのNeo Smartと同じであるため、購入前に使用できるフレームか確認したほうが良い。
目に見えない部分ではあるがCPUは高性能化を果たしており、バーチャルサイクリングなどから得た情報を素早くトレーナーに反映させる処理能力が向上した。ズイフトの斜度や路面状況の再現がリニアに行われるようになり、バーチャルサイクリングの画面に表示される情報と体のフィーリングにタイムラグが発生しにくくなるため、より高い没入感でインドアライドを楽しめる。
静電容量センサーを新たに搭載することで、従来のケイデンス、パワー計測よりも優れた精度でデータを取得することが可能となった。タックスの純正ソフトを使用するとペダリングの左右パワーを見ることができることもポイント。ペダリング分析をできるパワーメーターは希少な存在であり、導入している方は多くない。高価なパワーメーターを所有していない方でも、インドアトレーニングでペダリングに関するトレーニングを行えるようになるのは、非常に魅力的なポイントだろう。
また、Neo2 Smartでは内蔵のメモリーが改良されたという。将来のアップデートを保存できるようにするものであり、タックスのトレーナーを進化させることへの姿勢が見て取れる。静粛性に関しても現段階でできることを限界まで行い従来型よりも進歩を目指したという。
対応するエンド規格は現代のスタンダードである、9mmクイックリリース、142×12mm/148×12mmスルーアクスル。新型ではアダプターが付属するようになったため、数が増えつつあるディスクブレーキの自転車でも購入後そのままNeo2 Smartで遊ぶことができる。決して安くはないスマートトレーナーにおいて、オプション購入のコストが掛からないのは嬉しい。
編集部インプレッション
ズイフトという黒船が襲来して以来、シリアスなアスリートだけではなくフィットネス層のサイクリストまで楽しめるようになったインドアトレーニング。そのパートナーとして欠かせないのが、PCやスマホ/タブレットと連携することができるスマートトレーナーだ。如何にインドアライドを楽しく、ストレス無く行えるかが選択の決め手となるため、要求されるスペックは高くなりがちである。
まず求められるのはローラー台の静粛性。集合住宅にお住まいの方であれば隣人トラブルの種となる騒音はできる限り排除したいものであり、静かで振動が少ないローラー台が優先要件となる。その点ではNeo2 Smartは非常に有力な選択肢となりうる静粛性を備えており、ベルトドライブ式のFLUX2と比較してもそのノイズの少なさは際立つ。
ローラー台自体が静かであってもチェーンやスプロケットの相性、ディレイラーの調整などによってノイズや振動が発生することはある。その場合はドライブトレインからのノイズのほうが大きくなりがち。フリーの空転なども一切の無音状態とはならないため、隣家の生活音が聞こえるような住宅の場合は、バイク調整を行ってからインドアライドを楽しんだほうが良さそうだ。
今回はTacx Desktop AppのFilmsから、無料で遊ぶことのできる「コッペンベルグ」の実写再現ライドを中心に遊んでみた。Neo2 Smartの負荷調整は非常に細かく行われている印象で、斜度が0.5%変化しただけで足への負担が大きくなることを実感できる。印象としてはやや負荷は強めにかかるようだ。
コッペンベルグのコースで面白いのはなんと言っても石畳区間に突入する瞬間。スピードをあげて石畳に入ると負荷装置部分がカタカタカタと音をたて、ペダルに振動を伝えてくる。最初は思わず感嘆の声を上げてしまったほど。生憎、コッペンベルグを走ったことはないのでリアルであるかはわからないが、石畳の雰囲気は再現してくれる。力をかけるとタイヤがスリップしたかのようにペダリングから力が抜ける仕様も非常に面白い。
その後は斜度20%の地獄が待っているわけだが、プロ選手たちは物凄いスピードで駆け上がっていく姿を想像するとクラシックハンターたちは恐るべき力を持っているのだと思いを馳せることができる。今回のテストは筆者だけではなく他の部員たちが見守る中で行ったため、激励の言葉を飛ばしてくれるのがクラシックレースのようで心地よかった。もしできるのであれば友人を家に招き、一緒に遊んでみても良いかもしれない。その時は声を張り上げすぎて隣人に迷惑をかけないように注意してほしい。
映像が滑らかに動く実写のTacx Desktop App、インドアトレーニングのプラットフォームと定着したズイフトなど遊ぶソフトは選り取り見取り。そこにリアリティ、楽しさを加えてくれるところが、Neo2 Smartの魅力だ。
タックス Neo2 Smart
駆動方式:ダイレクトドライブ
電源:必要(自家発電も可)
負荷装置:モーターブレーキ
キャリブレーション:不要
最大トルク:85Nm
最大ブレーキ力:250N
最大出力:2200ワット
再現斜度:25%
フライホイール:仮想
フライホイール効果:125kgまで可変(電子制御)
サイズ:575mm×750mm×550mm
重量:21.5kg
通信規格:ANT+ FE-C / Bluetooth Smart open
パワー計測精度:1%未満の誤差
付属品:スカイライナー、クイックレリース、142mm×12mm & 148mm×12mm用スルーアクセルアダプタ スプロケット:付属しない、Shimano/SRAM 8s 9s 10s 11s対応、Campagnoloはオプション
価格:178,000円(税抜)
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