3月27日、地中海に浮かぶコルシカ島で第79回クリテリウム・アンテルナシオナル(UCI2.HC)が開幕。アームストロング(アメリカ)とコンタドール(スペイン)が今シーズン初めて顔を合わした。ステージ優勝は、頂上ゴールを制したピエリック・フェドリゴ(フランス、Bboxブイグテレコム)。

スタート地点に登場したアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)スタート地点に登場したアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) photo:A.S.O.毎年3月下旬に開催されるクリテリウム・アンテルナシオナルは、2日間の日程で開催される短いステージレース。2日目は短いロードレースと個人タイムトライアルが行なわれるのが通例だ。今年はコルシカ島を舞台に開催された。

開幕前から、ランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック)とアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)の直接対決に注目が集まった今大会。レースには他にもカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)らが顔を揃え、ハイレベルな闘いを予感させた。

コルシカ島南部の山岳地帯を走る選手たちコルシカ島南部の山岳地帯を走る選手たち photo:A.S.O.なお、過去に5回総合優勝に輝いているイェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク)は、同時期開催のボルタ・ア・カタルーニャ出場中のため欠場。スキル・シマノからは、今年も土井雪広が出場した。

初日の第1ステージは、ポルト・ヴェッキオからロスペダル峠まで、5つのカテゴリー山岳をクリアする難易度の高い175km。最後のロスペダル峠は登坂距離14.2km・標高差863m・平均勾配6.2%の難関山岳であり、中盤から勾配はコンスタントに7%を刻む。

レース前半に逃げたアルバート・ティマー(オランダ、スキル・シマノ)とセドリック・ピノー(フランス、ルーベ・リール)レース前半に逃げたアルバート・ティマー(オランダ、スキル・シマノ)とセドリック・ピノー(フランス、ルーベ・リール) photo:A.S.O.レースはヤン・ウゲ(フランス、スキル・シマノ)とクリストフ・モロー(フランス、ケースデパーニュ)のファーストアタックでスタート。遅れて先頭に合流したアルバート・ティマー(オランダ、スキル・シマノ)とセドリック・ピノー(フランス、ルーベ・リール)の2人が抜け出して逃げ始めた。

1つ目のカテゴリー山岳はピノーが先頭で通過し、その後方では土井雪広が3番手通過する。先頭のティマーとピノーは大きなリードを稼げないまま、110km地点でメイン集団に吸収された。

レース後半に逃げたディミトリ・シャンピオン(フランス、アージェードゥーゼル)、ピエール・ロラン(フランス、Bboxブイグテレコム)、ブリース・フェイユ(フランス、ヴァカンソレイユ)レース後半に逃げたディミトリ・シャンピオン(フランス、アージェードゥーゼル)、ピエール・ロラン(フランス、Bboxブイグテレコム)、ブリース・フェイユ(フランス、ヴァカンソレイユ) photo:A.S.O.一旦フリダシに戻ったメイン集団からは、この日3つ目のカテゴリー山岳でディミトリ・シャンピオン(フランス、アージェードゥーゼル)、ピエール・ロラン(フランス、Bboxブイグテレコム)、ブリース・フェイユ(フランス、ヴァカンソレイユ)がアタック。このフレンチトリオは50秒ほどのリードを得て2つのカテゴリー山岳を越えた。

メイン集団はアスタナやエウスカルテルがコントロールし、最後のロスペダル峠までに逃げていたシャンピオンらを吸収。登坂距離14.2kmのロスペダル峠は、コンタドールのためにアスタナチームがペースを作って上って行く。

ロスペダル峠で飛び出したピエリック・フェドリゴ(フランス、Bboxブイグテレコム)とティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)ロスペダル峠で飛び出したピエリック・フェドリゴ(フランス、Bboxブイグテレコム)とティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック) photo:A.S.O.有力選手の中で最初に脱落したのはアームストロング。ゴールまで5kmを残して、ヴィノクロフが牽くメイン集団からアームストロングが脱落してしまう。

アームストロングの後退に伴い、ラスト2kmでチームメイトのティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)がアタックすると、これにフェドリゴが合流。コンタドールはこの動きに反応出来なかった。

ロスペダル峠で独走するピエリック・フェドリゴ(フランス、Bboxブイグテレコム)ロスペダル峠で独走するピエリック・フェドリゴ(フランス、Bboxブイグテレコム) photo:A.S.O.先頭ではフェドリゴとマシャドが集団を振り切ってゴールへ。最後はマシャドを振り切ったフェドリゴが独走に持ち込み、マシャドを11秒、サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)率いるメイン集団を15秒引き離してゴールした。

「今日はゴールが近づくに連れて調子が上がって行った。最後は脚の好調さを実感したから勝負に出たんだ。昨日この(ロスペダル峠の)上りを下見したけど、悪天候の影響で頂上までチェック出来なかった。今日アタックしたのは、まさに昨日下見を諦めた場所。集団に捕まらずに逃げ切ったことは本当に驚きだ」。今シーズン初勝利を飾ったフェドリゴは自分の走りに驚いている様子。

独走でロスペダル峠にゴールするピエリック・フェドリゴ(フランス、Bboxブイグテレコム)独走でロスペダル峠にゴールするピエリック・フェドリゴ(フランス、Bboxブイグテレコム) photo:A.S.O.フェドリゴはボーナスタイム10秒し、総合リーダージャージを獲得。翌日の第2ステージ・平坦ロードレースと第3ステージ・個人タイムトライアルでリーダージャージを守り切ることが出来るだろうか。

注目のコンタドールは1分13秒遅れ、アームストロングは4分51秒遅れでゴール。二強が早々に総合争いから脱落した。土井雪広は13分30秒遅れでゴールしている。

リーダージャージに袖を通したピエリック・フェドリゴ(フランス、Bboxブイグテレコム)リーダージャージに袖を通したピエリック・フェドリゴ(フランス、Bboxブイグテレコム) photo:A.S.O.コンタドールはガゼッタ紙のインタビューの中で「昨夜からアレルギーに悩まされていたんだ。2年前のジロ・デ・イタリアでも同じアレルギーに苦しめられたけど、あの時は重要なステージの日に雨が降ったので助かった。今は落ち着いて戦況を見ている。チームの動きはとても良かったよ。明日の個人タイムトライアルは僕向き。雨が降って空気が洗浄されたらいいんだけど」と語っている。

対するアームストロングは「今は(5月の)ツアー・オブ・カリフォルニアに向けて調子を上げている段階。カリフォルニアはチームにとって重要なレース。でも一番重要なのは7月に開催されるロッテルダムからパリまでの3週間のレースだ」とコメント。アームストロングはカリフォルニアでリーヴァイ・ライプハイマーをアシストする予定だ。

二強が沈む中、サンチェスやエヴァンス、マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)らは集団内でゴール。逆転総合優勝に向けて好ポジションにつけている。

レース展開はレース公式サイト、選手コメントはガゼッタ紙より。


クリテリウム・アンテルナシオナル2010第1ステージ結果
1位 ピエリック・フェドリゴ(フランス、Bboxブイグテレコム)      5h19'45"
2位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)           +11"
3位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)            +15"
4位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)
5位 ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)
6位 マッテーオ・カラーラ(イタリア、ヴァカンソレイユ)
7位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)
8位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック)
9位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、レディオシャック)
10位 ダビ・ロペスガルシア(スペイン、ケースデパーニュ)

23位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)           +1'13"
50位 ランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック)       +4'51"
75位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)                  +13'30"

個人総合成績
1位 ピエリック・フェドリゴ(フランス、Bboxブイグテレコム)      5h19'35"
2位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)           +15"
3位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)            +21"
4位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)       +25"
5位 ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)
6位 マッテーオ・カラーラ(イタリア、ヴァカンソレイユ)
7位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)
8位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック)
9位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、レディオシャック)
10位 ダビ・ロペスガルシア(スペイン、ケースデパーニュ)

ポイント賞
ピエリック・フェドリゴ(フランス、Bboxブイグテレコム)

山岳賞
ピエール・ロラン(フランス、Bboxブイグテレコム)

新人賞
ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)

チーム総合成績
レディオシャック

text:Kei Tsuji
photo:A.S.O.

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