2018/12/30(日) - 21:54
国内レースプレーバック2018。第2回は6月のツール・ド・熊野、全日本選手権、7月のニセコクラシックとJプロツアー、8月のインターハイ、インカレまでを振り返ります。
6月 混戦の熊野 石川県と島根県で開催された全日本選手権
5月31日から6月3日に開催されたツール・ド・熊野は、リーダージャージが最終日まで毎日入れ替わる混戦となりました。
初日の個人TTは、宇都宮ブリッツェンの阿部嵩之が2年ぶりのステージ優勝。キャンセルとなった第1ステージを経て、第2ステージはシマノレーシングの入部正太朗がステージ優勝して総合首位に立ちました。しかし7秒という僅差を守りきれず、チーム右京のマルク・デマールが最終日の第3ステージに逆転で個人総合優勝を決めました。デマールはポイント賞、山岳賞も獲得して3賞を独占しました。一方で、佐野淳哉(マトリックスパワータグ)が第3ステージで優勝し、行われた3ステージ全てで日本人がステージ優勝という結果となりました。
全日本選手権直前に開催されたJプロツアー第9戦、第10戦は那須地域を舞台として開催されました。JR那須塩原駅前で行われたクリテリウムは、ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ )が昨年に続き大会連覇を達成し、今季2勝目を挙げました。2015年の全日本選手権コースの一部を使用して行われた那須ロードレースは雨中の混戦を木村圭祐が制し、プロ初勝利を挙げました。
6月17日、全日本選手権タイムトライアルが、能登半島の西側に位置する石川県志賀町で開催されました。
男子エリートはチームブリヂストンサイクリングの窪木一茂が初優勝しました。窪木は2位に入った同チームの近谷涼を1分以上上回るハイペースで圧勝しました。最有力の優勝候補と目されていたマトリックスパワータグの佐野淳哉は、メカトラにより大きくタイムを失い6位に終わりました。
女子エリートは與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)が4連覇、計5度目のタイムトライアル女王となりました。2位の唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)に2分近い差をつけて圧倒し、力の差を見せつけました。
6月22日から24日、ロードレース日本一を決める全日本選手権は島根県益田市で開催されました。
初日に行われた女子エリートは、與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)が3連覇。個人タイムトライアル同様、2位以下に大差をつけて通算4度目の優勝を決めました。
最終日に行われた男子エリートのレースは、序盤に形成された30名以上の先頭集団がそのまま勝ち逃げ集団となる、全日本選手権では数年に一度起きる展開となりました。前年チャンピオンの畑中勇介(チーム右京)をはじめ、各チームのエース級を含む後方集団は最大で8分以上開いた差を最後までゼロにすることなくレースを終えます。勝負は佐野淳哉(マトリックスパワータグ)、小石祐馬(チーム右京)、山本元喜(キナンサイクリングチーム)、新城雄大(キナンサイクリングチーム)ら4人に絞られ、最終周回でアタックを決めた山本が全日本選手権初優勝を遂げました。
7月 岡泰誠が制したニセコクラシック Jプロツアー5連戦でシーズンの流れが決定的に
7月8日、国内唯一のUCIグランフォンド「ニセコ・クラシック」が開催されました。市民レーサーにとっては11月のツール・ド・おきなわ市民210kmと並び称される大会で、アップダウンに富むニセコのハードなコースで、トップ市民レーサー同士の熱いバトルが繰り広げられました。
レースは前年優勝の田崎友康(F(t)麒麟山Racing)、森本誠(GOKISO)、岩島啓太(MIVRO)ら5人の強豪選手によるスプリント勝負となりました。優勝したのは岡泰誠(イナーメ信濃山形)。僅差の2位は、Jエリートツアーでも好調さを見せていた紺野元汰(SBC Vertex Racing Team)でした。
全22戦のJプロツアーは、7月には早くも後半戦に入りました。8月の中断期間を前に5つのレースが連続する中で、今シーズンの流れが決定づけられました。
7月1日、2日に広島で開催された第11戦「西日本ロードクラシック」と、第12戦「広島クリテリウム」は、窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング )が2連勝しました。7月16日の第13戦石川ロードからは、全日本選手権前後に失速していた宇都宮ブリッツェンが息を吹き返し、7月末の第15戦やいた片岡ロードレースまで3連勝を挙げました。個人総合は窪木、団体総合は宇都宮ブリッツェンが首位の足場を固めた1ヶ月でした。
8月 女子種目正式化のインターハイ、オムニアムとマディソンが加わったインカレ
8月4日から修善寺の日本CSCで行われたインターハイ自転車競技。公開競技として行われてきた女子種目が今年から正式種目となり、各種目でインターハイ初代女王が誕生しました。
最終日に行われたロードレースでは、女子は駒澤大学高校1年の渡部春雅が、ジュニア全日本チャンピオンの石上夢乃(横浜創学館高校)を下して優勝しました。男子は栄北高校2年の川崎三織が、U15+17全日本チャンピオンの津田悠義(三好高校)、前年優勝の日野泰静(松山城南高校)ら強豪を退けて優勝しました。
8月17日から3日間、修善寺のベロドロームでインカレのトラック競技が開催されました。今年から選手強化を念頭に、オリンピック種目のオムニアムとマディソンが新たに加わりました。
オムニアム男子は、最終種目のポイントレースで逆転した明治大学の渡邉慶太が優勝しました。女子はこの種目の全日本チャンピオン中村愛花(日本体育大学)を下した中井彩子(鹿屋体育大学)が優勝しました。
マディソン男子は、武山晃輔と貝原涼太の日本大学チームが他を圧倒して優勝しました。女子は伊藤真生と中村愛花の日本体育大学チームが優勝しました。
ロードレースは2週間のインターバルを置いた9月2日、長野県大町市で開催されました。このレースでは、長年インカレを取材し、2017年に急逝したフォト・ジャーナリスト高木秀彰氏を偲び、男女の優勝選手の大学に贈られる「高木秀彰賞」が設けられました。
女子は鹿屋体育大学の中井彩子が優勝し、全日本選手権U23優勝に次ぐタイトルを獲得しました。男子は明治大学の野本空が、前年優勝の武山晃輔の追走を振り切って2年ぶりの優勝を決めました。
大学対抗の総合成績では、男子は日本大学、女子は日本体育大学が、昨年に続き総合優勝を決めました。
第3回は、年間優勝が決まった9月のJプロツアー、初開催のおおいたアーバンクラシック、ジャパンカップ 、ツール・ド・沖縄などをプレーバックします。
text:Satoru Kato
6月 混戦の熊野 石川県と島根県で開催された全日本選手権
5月31日から6月3日に開催されたツール・ド・熊野は、リーダージャージが最終日まで毎日入れ替わる混戦となりました。
初日の個人TTは、宇都宮ブリッツェンの阿部嵩之が2年ぶりのステージ優勝。キャンセルとなった第1ステージを経て、第2ステージはシマノレーシングの入部正太朗がステージ優勝して総合首位に立ちました。しかし7秒という僅差を守りきれず、チーム右京のマルク・デマールが最終日の第3ステージに逆転で個人総合優勝を決めました。デマールはポイント賞、山岳賞も獲得して3賞を独占しました。一方で、佐野淳哉(マトリックスパワータグ)が第3ステージで優勝し、行われた3ステージ全てで日本人がステージ優勝という結果となりました。
全日本選手権直前に開催されたJプロツアー第9戦、第10戦は那須地域を舞台として開催されました。JR那須塩原駅前で行われたクリテリウムは、ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ )が昨年に続き大会連覇を達成し、今季2勝目を挙げました。2015年の全日本選手権コースの一部を使用して行われた那須ロードレースは雨中の混戦を木村圭祐が制し、プロ初勝利を挙げました。
6月17日、全日本選手権タイムトライアルが、能登半島の西側に位置する石川県志賀町で開催されました。
男子エリートはチームブリヂストンサイクリングの窪木一茂が初優勝しました。窪木は2位に入った同チームの近谷涼を1分以上上回るハイペースで圧勝しました。最有力の優勝候補と目されていたマトリックスパワータグの佐野淳哉は、メカトラにより大きくタイムを失い6位に終わりました。
女子エリートは與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)が4連覇、計5度目のタイムトライアル女王となりました。2位の唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)に2分近い差をつけて圧倒し、力の差を見せつけました。
6月22日から24日、ロードレース日本一を決める全日本選手権は島根県益田市で開催されました。
初日に行われた女子エリートは、與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)が3連覇。個人タイムトライアル同様、2位以下に大差をつけて通算4度目の優勝を決めました。
最終日に行われた男子エリートのレースは、序盤に形成された30名以上の先頭集団がそのまま勝ち逃げ集団となる、全日本選手権では数年に一度起きる展開となりました。前年チャンピオンの畑中勇介(チーム右京)をはじめ、各チームのエース級を含む後方集団は最大で8分以上開いた差を最後までゼロにすることなくレースを終えます。勝負は佐野淳哉(マトリックスパワータグ)、小石祐馬(チーム右京)、山本元喜(キナンサイクリングチーム)、新城雄大(キナンサイクリングチーム)ら4人に絞られ、最終周回でアタックを決めた山本が全日本選手権初優勝を遂げました。
7月 岡泰誠が制したニセコクラシック Jプロツアー5連戦でシーズンの流れが決定的に
7月8日、国内唯一のUCIグランフォンド「ニセコ・クラシック」が開催されました。市民レーサーにとっては11月のツール・ド・おきなわ市民210kmと並び称される大会で、アップダウンに富むニセコのハードなコースで、トップ市民レーサー同士の熱いバトルが繰り広げられました。
レースは前年優勝の田崎友康(F(t)麒麟山Racing)、森本誠(GOKISO)、岩島啓太(MIVRO)ら5人の強豪選手によるスプリント勝負となりました。優勝したのは岡泰誠(イナーメ信濃山形)。僅差の2位は、Jエリートツアーでも好調さを見せていた紺野元汰(SBC Vertex Racing Team)でした。
全22戦のJプロツアーは、7月には早くも後半戦に入りました。8月の中断期間を前に5つのレースが連続する中で、今シーズンの流れが決定づけられました。
7月1日、2日に広島で開催された第11戦「西日本ロードクラシック」と、第12戦「広島クリテリウム」は、窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング )が2連勝しました。7月16日の第13戦石川ロードからは、全日本選手権前後に失速していた宇都宮ブリッツェンが息を吹き返し、7月末の第15戦やいた片岡ロードレースまで3連勝を挙げました。個人総合は窪木、団体総合は宇都宮ブリッツェンが首位の足場を固めた1ヶ月でした。
8月 女子種目正式化のインターハイ、オムニアムとマディソンが加わったインカレ
8月4日から修善寺の日本CSCで行われたインターハイ自転車競技。公開競技として行われてきた女子種目が今年から正式種目となり、各種目でインターハイ初代女王が誕生しました。
最終日に行われたロードレースでは、女子は駒澤大学高校1年の渡部春雅が、ジュニア全日本チャンピオンの石上夢乃(横浜創学館高校)を下して優勝しました。男子は栄北高校2年の川崎三織が、U15+17全日本チャンピオンの津田悠義(三好高校)、前年優勝の日野泰静(松山城南高校)ら強豪を退けて優勝しました。
8月17日から3日間、修善寺のベロドロームでインカレのトラック競技が開催されました。今年から選手強化を念頭に、オリンピック種目のオムニアムとマディソンが新たに加わりました。
オムニアム男子は、最終種目のポイントレースで逆転した明治大学の渡邉慶太が優勝しました。女子はこの種目の全日本チャンピオン中村愛花(日本体育大学)を下した中井彩子(鹿屋体育大学)が優勝しました。
マディソン男子は、武山晃輔と貝原涼太の日本大学チームが他を圧倒して優勝しました。女子は伊藤真生と中村愛花の日本体育大学チームが優勝しました。
ロードレースは2週間のインターバルを置いた9月2日、長野県大町市で開催されました。このレースでは、長年インカレを取材し、2017年に急逝したフォト・ジャーナリスト高木秀彰氏を偲び、男女の優勝選手の大学に贈られる「高木秀彰賞」が設けられました。
女子は鹿屋体育大学の中井彩子が優勝し、全日本選手権U23優勝に次ぐタイトルを獲得しました。男子は明治大学の野本空が、前年優勝の武山晃輔の追走を振り切って2年ぶりの優勝を決めました。
大学対抗の総合成績では、男子は日本大学、女子は日本体育大学が、昨年に続き総合優勝を決めました。
第3回は、年間優勝が決まった9月のJプロツアー、初開催のおおいたアーバンクラシック、ジャパンカップ 、ツール・ド・沖縄などをプレーバックします。
text:Satoru Kato
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