2018/12/27(木) - 17:22
いよいよ2019年に向けてのカウントダウン開始。2018年も色んなことがありました。あの勝利やあのアタック、あの落車・・・。海外ロードレースのシーズンを4回に分けて振り返るプレーバック第1弾、初回は1月から3月までを振り返ります。
1月
2018年も海外ロードシーズンは南半球のオーストラリアで開幕。シーズン開幕戦として定着したUCIワールドツアー初戦のサントス・ツアー・ダウンアンダーには別府史之(トレック・セガフレード)と新城幸也(バーレーン・メリダ)が顔を揃え、さらに世界王者ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が出場。トップスプリンターが揃う大会はサガンによるクリテリウム勝利で幕明けました。エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)やアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)が安定感ある走りで平坦ステージを制する中、サガンは山岳ステージでも勝利して存在感をアピール。リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)が5年連続で名物のウィランガヒル山頂フィニッシュ制覇という偉業を成し遂げますが、総合優勝のタイトルはタイム差なしでダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)の手に渡っています。ダウンアンダーの1週間後にメルボルン近郊で開催されたカデルエヴァンス・グレートオーシャン・ロードレースではジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)が勝利を収めました。
アルゼンチンで同時期に開催されたブエルタ・ア・サンフアンではフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)が開幕スプリント制覇を果たしますが、その後に落車リタイア。並み居るUCIワールドチームを押しのけて、クイーンステージを制したアルゼンチンチャンピオンのゴンサロ・ナハル(アルゼンチン、シンジケートエンプレアード・パブリコスサンフアン)が総合優勝に輝きました。しかしナハルは期間中に行われたドーピング検査でCERA(第3世代EPO)陽性が発覚。総合優勝のタイトルはオスカル・セビーリャ(スペイン、メデリン)の手に渡っています。
1月下旬に入ると、ヨーロッパでは比較的温暖な地中海周辺でシーズンが始動。チャレンジマヨルカではジョン・デゲンコルプ(ドイツ)らの活躍によりトレック・セガフレードが4戦3勝という幸先良いシーズンスタートを切りました。
2月
トップスプリンターが集結した中東3連戦の初戦ドバイツアーではディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)やマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)、ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)がそれぞれの持ち味を発揮してステージ優勝をつかんだものの、唯一ステージ2勝を飾ったヴィヴィアーニが総合優勝。続くツアー・オブ・オマーンではブライアン・コカール(フランス、ヴィタルコンセプト)が開幕スプリントを制し、登りスプリントでグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)が勝利。クイーンステージでワンツー勝利を飾ったアスタナが総合争いで一歩リードし、アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)が総合優勝に輝いています。
¥ドバイツアーと同様にジロ・デ・イタリア主催者RCSスポルトが手がけるアブダビツアーでは、アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)やヴィヴィアーニがそのスピードを遺憾なく発揮。個人タイムトライアルを制したローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)が一時は首位に立ったものの、クイーンステージで逆転が起こります。2月上旬にスペインで開催されたボルタ・ア・ヴァレンシアナでステージ2勝&3度目の総合優勝を果たしていたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が、アブダビ近郊の岩山ジュベルハフィートで勝利。狙いすました走りでアブダビツアー総合優勝に輝きました。
コロンビアのトップ選手が集結したコロンビア・オロ・イ・パスでは、先輩オールラウンダーたちを退けたエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)が総合優勝。鳴り物入りでチームスカイ入りした21歳が早速その才能を遺憾無く発揮しました。
前年のブエルタ・ア・エスパーニャ期間中に発覚した気管支拡張剤サルブタモールの陽性に対する処分が決まらないままクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)が出場したブエルタ・ア・アンダルシアでは、チームスカイやアスタナ、モビスターが激突。山岳ステージでワウト・プールス(オランダ、チームスカイ)が、個人タイムトライアルでダビ・デラクルス(スペイン、チームスカイ)が優勝を飾りますが、難易度の高い石畳フィニッシュを制したティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)が総合優勝に輝きました。チームスカイは同時期にポルトガルで開催されたヴォルタ・アン・アルガルヴェでも力を発揮し、ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)が個人タイムトライアルで優勝するとともに山岳ステージで2勝を飾ったミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)が総合優勝を果たしています。
2月下旬にはベルギーではセミクラシックが開幕。オンループ・ヘットニュースブラッドでミケル・ヴァルグレン(デンマーク、アスタナ)が、クールネ〜ブリュッセル〜クールネでディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)が優勝。ル・サミンではクイックステップフロアーズが他を圧倒しました。
ミャンマーで開催されたアジア選手権は日本が初日のチームタイムトライアル優勝。男子ジュニアの日野泰静、男子U23の山本大喜がロードレースでそれぞれ金メダルを獲得し、男子エリートの別府史之はロードレースで2位に入っています。
3月
3月に入るとヨーロッパ各地でロードシーズンが本格化。イタリア中部トスカーナ州の未舗装路を舞台にしたストラーデビアンケは生憎(?)の雨に見舞われ、過酷な泥レースをティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル)が制しています。直後に開幕したティレーノ〜アドリアティコでは、BMCレーシングが3年連続開幕チームTT勝利を達成。移籍後に低迷していたマルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)がステージ2勝を飾って復調をアピールしました。総合争いはトーマスやミケル・ランダ(スペイン、モビスター)、アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が絡む展開で、デニスが勝利した最終個人タイムトライアルでクウィアトコウスキーが大会制覇を射止めています。
同時期開催のパリ〜ニースではワウト・プールス(オランダ、チームスカイ)やルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)が前半から首位を争い、悪天候に見舞われた大会7日目のクイーンステージを制したサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が首位浮上。しかし最終日に逆転が起こり、デラクルスらと逃げ切ったマルク・ソレル(スペイン、モビスター)が4秒差の総合優勝に輝いています。
ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)による華麗な逃げ切り勝利が決まったミラノ〜サンレモを皮切りに本格的なクラシックシーズンに突入。ドワーズ・ドール・ウエストフラーンデレンでは再びクイックステップフロアーズの力が炸裂し、チームは勢いそのままに
レコードバンク・E3ハーレルベーケとブルージュ〜デパンヌ3日間レース、ドワーズ・ドール・フラーンデレンで連勝を飾りました。「北のクラシック」初戦のヘント〜ウェヴェルヘムは20名による集団スプリントに持ち込まれ、ヴィヴィアーニやデマールを下したペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が3度目の優勝を飾っています。
ベルギーでクラシック熱が上がる頃、スペインではボルタ・ア・カタルーニャが開催。集団スプリントでも山頂フィニッシュでも勝利したバルベルデが2年連続3度目の大会制覇。サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)やヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード)が山岳ステージで目立った走りを見せたものの、バルベルデとキンタナの総合ワンツー体制は崩れませんでした。
アジアではツール・ド・台湾とツール・ド・ランカウイが開催され、日本ナショナルチームから出場した新城幸也が台湾総合優勝を達成。ランカウイではクイーンステージを制したアルテム・オヴェチキン(ロシア、トレンガヌサイクリングチーム)が総合優勝に輝いています。
text:Kei Tsuji
1月
2018年も海外ロードシーズンは南半球のオーストラリアで開幕。シーズン開幕戦として定着したUCIワールドツアー初戦のサントス・ツアー・ダウンアンダーには別府史之(トレック・セガフレード)と新城幸也(バーレーン・メリダ)が顔を揃え、さらに世界王者ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が出場。トップスプリンターが揃う大会はサガンによるクリテリウム勝利で幕明けました。エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)やアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)が安定感ある走りで平坦ステージを制する中、サガンは山岳ステージでも勝利して存在感をアピール。リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)が5年連続で名物のウィランガヒル山頂フィニッシュ制覇という偉業を成し遂げますが、総合優勝のタイトルはタイム差なしでダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)の手に渡っています。ダウンアンダーの1週間後にメルボルン近郊で開催されたカデルエヴァンス・グレートオーシャン・ロードレースではジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)が勝利を収めました。
アルゼンチンで同時期に開催されたブエルタ・ア・サンフアンではフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)が開幕スプリント制覇を果たしますが、その後に落車リタイア。並み居るUCIワールドチームを押しのけて、クイーンステージを制したアルゼンチンチャンピオンのゴンサロ・ナハル(アルゼンチン、シンジケートエンプレアード・パブリコスサンフアン)が総合優勝に輝きました。しかしナハルは期間中に行われたドーピング検査でCERA(第3世代EPO)陽性が発覚。総合優勝のタイトルはオスカル・セビーリャ(スペイン、メデリン)の手に渡っています。
1月下旬に入ると、ヨーロッパでは比較的温暖な地中海周辺でシーズンが始動。チャレンジマヨルカではジョン・デゲンコルプ(ドイツ)らの活躍によりトレック・セガフレードが4戦3勝という幸先良いシーズンスタートを切りました。
2月
トップスプリンターが集結した中東3連戦の初戦ドバイツアーではディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)やマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)、ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)がそれぞれの持ち味を発揮してステージ優勝をつかんだものの、唯一ステージ2勝を飾ったヴィヴィアーニが総合優勝。続くツアー・オブ・オマーンではブライアン・コカール(フランス、ヴィタルコンセプト)が開幕スプリントを制し、登りスプリントでグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)が勝利。クイーンステージでワンツー勝利を飾ったアスタナが総合争いで一歩リードし、アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)が総合優勝に輝いています。
¥ドバイツアーと同様にジロ・デ・イタリア主催者RCSスポルトが手がけるアブダビツアーでは、アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)やヴィヴィアーニがそのスピードを遺憾なく発揮。個人タイムトライアルを制したローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)が一時は首位に立ったものの、クイーンステージで逆転が起こります。2月上旬にスペインで開催されたボルタ・ア・ヴァレンシアナでステージ2勝&3度目の総合優勝を果たしていたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が、アブダビ近郊の岩山ジュベルハフィートで勝利。狙いすました走りでアブダビツアー総合優勝に輝きました。
コロンビアのトップ選手が集結したコロンビア・オロ・イ・パスでは、先輩オールラウンダーたちを退けたエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)が総合優勝。鳴り物入りでチームスカイ入りした21歳が早速その才能を遺憾無く発揮しました。
前年のブエルタ・ア・エスパーニャ期間中に発覚した気管支拡張剤サルブタモールの陽性に対する処分が決まらないままクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)が出場したブエルタ・ア・アンダルシアでは、チームスカイやアスタナ、モビスターが激突。山岳ステージでワウト・プールス(オランダ、チームスカイ)が、個人タイムトライアルでダビ・デラクルス(スペイン、チームスカイ)が優勝を飾りますが、難易度の高い石畳フィニッシュを制したティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)が総合優勝に輝きました。チームスカイは同時期にポルトガルで開催されたヴォルタ・アン・アルガルヴェでも力を発揮し、ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)が個人タイムトライアルで優勝するとともに山岳ステージで2勝を飾ったミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)が総合優勝を果たしています。
2月下旬にはベルギーではセミクラシックが開幕。オンループ・ヘットニュースブラッドでミケル・ヴァルグレン(デンマーク、アスタナ)が、クールネ〜ブリュッセル〜クールネでディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)が優勝。ル・サミンではクイックステップフロアーズが他を圧倒しました。
ミャンマーで開催されたアジア選手権は日本が初日のチームタイムトライアル優勝。男子ジュニアの日野泰静、男子U23の山本大喜がロードレースでそれぞれ金メダルを獲得し、男子エリートの別府史之はロードレースで2位に入っています。
3月
3月に入るとヨーロッパ各地でロードシーズンが本格化。イタリア中部トスカーナ州の未舗装路を舞台にしたストラーデビアンケは生憎(?)の雨に見舞われ、過酷な泥レースをティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル)が制しています。直後に開幕したティレーノ〜アドリアティコでは、BMCレーシングが3年連続開幕チームTT勝利を達成。移籍後に低迷していたマルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)がステージ2勝を飾って復調をアピールしました。総合争いはトーマスやミケル・ランダ(スペイン、モビスター)、アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が絡む展開で、デニスが勝利した最終個人タイムトライアルでクウィアトコウスキーが大会制覇を射止めています。
同時期開催のパリ〜ニースではワウト・プールス(オランダ、チームスカイ)やルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)が前半から首位を争い、悪天候に見舞われた大会7日目のクイーンステージを制したサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が首位浮上。しかし最終日に逆転が起こり、デラクルスらと逃げ切ったマルク・ソレル(スペイン、モビスター)が4秒差の総合優勝に輝いています。
ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)による華麗な逃げ切り勝利が決まったミラノ〜サンレモを皮切りに本格的なクラシックシーズンに突入。ドワーズ・ドール・ウエストフラーンデレンでは再びクイックステップフロアーズの力が炸裂し、チームは勢いそのままに
レコードバンク・E3ハーレルベーケとブルージュ〜デパンヌ3日間レース、ドワーズ・ドール・フラーンデレンで連勝を飾りました。「北のクラシック」初戦のヘント〜ウェヴェルヘムは20名による集団スプリントに持ち込まれ、ヴィヴィアーニやデマールを下したペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が3度目の優勝を飾っています。
ベルギーでクラシック熱が上がる頃、スペインではボルタ・ア・カタルーニャが開催。集団スプリントでも山頂フィニッシュでも勝利したバルベルデが2年連続3度目の大会制覇。サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)やヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード)が山岳ステージで目立った走りを見せたものの、バルベルデとキンタナの総合ワンツー体制は崩れませんでした。
アジアではツール・ド・台湾とツール・ド・ランカウイが開催され、日本ナショナルチームから出場した新城幸也が台湾総合優勝を達成。ランカウイではクイーンステージを制したアルテム・オヴェチキン(ロシア、トレンガヌサイクリングチーム)が総合優勝に輝いています。
text:Kei Tsuji
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