2018/10/23(火) - 19:50
ジャパンカップにてアントワン・トールクの2位、クーン・ボウマンの山岳賞獲得など大いに観客を沸かせたロットNLユンボ。レース翌日は東京に移動しビアンキバイクストア丸の内でスキルアップセミナーを開催。また明治神宮や表参道を散策し東京観光を楽しんだ。
昨年に引き続き2年連続のジャパンカップ参戦となったワールドツアーチームのロットNLユンボ。惜しくも優勝には届かなかったが、序盤から積極的な走りを見せつけ、スペシャルバイクを駆り逃げに乗ったクーン・ボウマンは2回の山岳賞を獲得。ビッグネーム、ロベルト・ヘーシンクのアシストを受けた若干24歳のアントワン・トールクが2位に入る健闘を見せ、上々の結果で今シーズンラストレースを終えた。
レース翌日、チームはファン交流も兼ねた「ロードバイクスキルアップセミナー」のため宇都宮から東京に場所を移し、オフィスビルが立ち並ぶ一等地に店舗を構えるビアンキバイクストア丸の内へ集合した。東京駅から徒歩5分、大手町駅から徒歩1分ほどに位置し、ビアンキのフルラインアップが揃うブランド直営の旗艦店だ。レースモデルからシティバイク、アパレル、アクセサリーまでビアンキの全てが詰まった空間が広がる。
選手らはみなリラックスしたムードで雑談をしているが、チーム内の会話はほとんどオランダ語(来日した6人中5人がオランダ人)のため何を話しているかはちょっと分からない…。カタコトの英語でみんなに挨拶をすると、非常ににこやかな返事を返してくれオフシーズンらしい気を張らない雰囲気を感じることができた。
トッププロ選手に走り方やトレーニングのあれこれを教えてもらう、めったにない貴重な場として設けられた今回のセミナー。平日の月曜日ながら20人弱の参加者が集まり、選手らに適宜疑問点を投げかけるなどフランクな雰囲気で会は進められた。やや強面のラース・ボームや、エース格の年長者として存在感を放つヘーシンクも今日ばかりは和やかな表情だ。
まずはジャパンカップ参戦メンバーで一番人気のイケメン、ボウマンがフィッティングマシンを使用しペダリングを披露。そこにヘーシンクが解説を付けるというなんとも豪華な内容でセミナーが開始した。参加者はトップライダーの体の使い方を記録しようと、みなこぞってスマホのカメラを動画モードに。ボウマンがサドルの上で分厚い体幹を見せつけると思わずオオッーと歓声が漏れる。
「まず我々はエアロを優先したポジションを第一に考えています。アグレッシブな姿勢は体の負担も大きいので、一般のサイクリストはやや余裕を持ったポジションが良いでしょう。あとは体格や走り方に合ったバイクを選ぶとベストです。ビアンキで言うなら、よりパワーのあるライダーなら我々が普段乗っているOltre XR4はパーフェクト。アントワンみたいに小柄で軽い選手はSpecialissimaの方が走らせやすいかな」とヘーシンクが説明する。
「またプロライダーと言えどステムやハンドル、サドルはしっかり自分にマッチしたものを選びます。体に合ったシューズとビブショーツをチョイスすることも長距離を走る上で非常に重要です」と基本を押さえた解説も逆に新鮮というもの。
登りとスプリントで体の使い方はどう違う?という質問には、ボウマンが「長い登りはなるべくリラックスして空気を多く取り込むように体を起こすんだ。でもスプリントの時には低い姿勢で脇を締めてよりエアロに。こんな風にね」と迫力満点の全力ペダリングを間近で見せてくれた。スプリントの際それぞれ最高出力は何ワット?と続いての疑問には、ボームが1500wと自信満々に答えたのに対し、最も細身のアントワンは900wとやや小声だった様子が笑いを誘っていた。
選手の食事について聞かれると「シーズン中は栄養士が出すメニューを淡々と食べるだけ。食事も仕事と割り切っている。レースでどれだけカロリーを消費したかを計算し、それを補うように各々メニューを調整してくれるんだ。ようやくオフシーズンで何も気にせず食事ができるよ」と流石プロといったコメントも。
その他には「石畳は筋肉と体幹で暴れるバイクを押さえつけて走るんだ。レースが終わった後は路面からの振動で全身が痛いほどさ」とはクラシックレースに強いボームの言葉。総合エースを担うことの多いヘーシンクは「グランツール中は消費カロリーが多すぎてみるみる体重が減っていく。エネルギーが足りないと思考力も低下してまともに走るのも難しくなるんだ。最終週までいかに精神に余裕を持てるかがとても大変なのさ」とトップレーサーの苦労を語った。
セミナー後半は事前応募で集まった希望者へのパーソナルレッスンに。自身のバイクをローラー台にセットしペダリングを実際に選手たちに見てもらえる夢のような時間となった。バイクのポジションを見るやいなや、サドル位置を変更した方が良いかもと鋭いアドバイスも飛んでいた。選手たちと1対1ないし1対2もの手厚い講習となり、直接会話をしながらより良い漕ぎ方や体の使い方を教えてくれたようだ。
セミナーを受けた中の一人、宇佐美さんは「憧れのヘーシンクにコーチングをしてもらえるなんて一生の思い出になりました。パッと見ただけでサドルを5mm下げた方が良いと言ってくれて、実際ちゃんと漕ぎやすくなったので驚きです。世界最高峰のアドバイスを受けることができて、とてもタメになる会になりました」と嬉しそうな表情を浮かべながらコメントしてくれた。
合間の時間には記念撮影やサインなどにも気軽に応じており、近い距離感にファンの皆さんも大満足の様子。ジャージやボトルは定番だが、中には日曜日のロードレースにて自身で撮った各選手の写真を持参し、そこにサインを書いてもらった人の姿も。セミナーのためにバイクを持ち込んだ人は、フレームにもサインを書いてもらうなど特別な思い出にもなったことだろう。
さて、セミナーを終えたロットNLユンボ一行は残り少ない時間で東京観光に繰り出すことに。まずは昼食ということで日本らしくお寿司屋さんをチョイス。移動中は東京のビル群を目の当たりにしテンションは上がり気味の様子だ。ビル建設用の赤白のタワークレーンを見て「あれは東京タワーか?」と聞いてくるなど新鮮な反応を見ることができた。
食事はといえばみんな器用に箸を使いあっという間にお皿を空にしていく。ボームは日本酒を注文しているし、ダンディなヒゲが特徴的なマールテン・ワイナンツとヘーシンクはビールを飲んでご機嫌なよう。反対に20歳台の若手3人はやや遠慮気味な様子で、この辺は年の差が表れているのだろうか。
昼食後はみんなで明治神宮へ。手水舎にてやり方の見本を見せると、見よう見真似で左手右手と清めていく。ヘーシンクはデジカメを持参しており、柄杓が日本らしくフォトジェニックだったのか様々なアングルで写真を撮っていた。その他のメンバーも鳥居の前で各々セルフィーを撮ったり、お守りを買ったりして神社の雰囲気を楽しんでいる様子だった。
最後に表参道でショッピング。各々自由行動でお店を見て回ったが、その中でもボームはまさかのアップルストアに寄ってアップルウォッチを即買いしたのだとか。ボウマンはビアンキのマネージャー、クラウディオ氏とともにビアンキストア表参道に挨拶に行っており若手ながらスポンサーへのアピールも欠かさない。半日という短い時間ながら東京を満喫した様子で、一行は本日のメインイベントであるアフターパーティーへ向かうのであった。
アフターパーティー編へ続く。
text&photo:Yuto.Murata
昨年に引き続き2年連続のジャパンカップ参戦となったワールドツアーチームのロットNLユンボ。惜しくも優勝には届かなかったが、序盤から積極的な走りを見せつけ、スペシャルバイクを駆り逃げに乗ったクーン・ボウマンは2回の山岳賞を獲得。ビッグネーム、ロベルト・ヘーシンクのアシストを受けた若干24歳のアントワン・トールクが2位に入る健闘を見せ、上々の結果で今シーズンラストレースを終えた。
レース翌日、チームはファン交流も兼ねた「ロードバイクスキルアップセミナー」のため宇都宮から東京に場所を移し、オフィスビルが立ち並ぶ一等地に店舗を構えるビアンキバイクストア丸の内へ集合した。東京駅から徒歩5分、大手町駅から徒歩1分ほどに位置し、ビアンキのフルラインアップが揃うブランド直営の旗艦店だ。レースモデルからシティバイク、アパレル、アクセサリーまでビアンキの全てが詰まった空間が広がる。
選手らはみなリラックスしたムードで雑談をしているが、チーム内の会話はほとんどオランダ語(来日した6人中5人がオランダ人)のため何を話しているかはちょっと分からない…。カタコトの英語でみんなに挨拶をすると、非常ににこやかな返事を返してくれオフシーズンらしい気を張らない雰囲気を感じることができた。
トッププロ選手に走り方やトレーニングのあれこれを教えてもらう、めったにない貴重な場として設けられた今回のセミナー。平日の月曜日ながら20人弱の参加者が集まり、選手らに適宜疑問点を投げかけるなどフランクな雰囲気で会は進められた。やや強面のラース・ボームや、エース格の年長者として存在感を放つヘーシンクも今日ばかりは和やかな表情だ。
まずはジャパンカップ参戦メンバーで一番人気のイケメン、ボウマンがフィッティングマシンを使用しペダリングを披露。そこにヘーシンクが解説を付けるというなんとも豪華な内容でセミナーが開始した。参加者はトップライダーの体の使い方を記録しようと、みなこぞってスマホのカメラを動画モードに。ボウマンがサドルの上で分厚い体幹を見せつけると思わずオオッーと歓声が漏れる。
「まず我々はエアロを優先したポジションを第一に考えています。アグレッシブな姿勢は体の負担も大きいので、一般のサイクリストはやや余裕を持ったポジションが良いでしょう。あとは体格や走り方に合ったバイクを選ぶとベストです。ビアンキで言うなら、よりパワーのあるライダーなら我々が普段乗っているOltre XR4はパーフェクト。アントワンみたいに小柄で軽い選手はSpecialissimaの方が走らせやすいかな」とヘーシンクが説明する。
「またプロライダーと言えどステムやハンドル、サドルはしっかり自分にマッチしたものを選びます。体に合ったシューズとビブショーツをチョイスすることも長距離を走る上で非常に重要です」と基本を押さえた解説も逆に新鮮というもの。
登りとスプリントで体の使い方はどう違う?という質問には、ボウマンが「長い登りはなるべくリラックスして空気を多く取り込むように体を起こすんだ。でもスプリントの時には低い姿勢で脇を締めてよりエアロに。こんな風にね」と迫力満点の全力ペダリングを間近で見せてくれた。スプリントの際それぞれ最高出力は何ワット?と続いての疑問には、ボームが1500wと自信満々に答えたのに対し、最も細身のアントワンは900wとやや小声だった様子が笑いを誘っていた。
選手の食事について聞かれると「シーズン中は栄養士が出すメニューを淡々と食べるだけ。食事も仕事と割り切っている。レースでどれだけカロリーを消費したかを計算し、それを補うように各々メニューを調整してくれるんだ。ようやくオフシーズンで何も気にせず食事ができるよ」と流石プロといったコメントも。
その他には「石畳は筋肉と体幹で暴れるバイクを押さえつけて走るんだ。レースが終わった後は路面からの振動で全身が痛いほどさ」とはクラシックレースに強いボームの言葉。総合エースを担うことの多いヘーシンクは「グランツール中は消費カロリーが多すぎてみるみる体重が減っていく。エネルギーが足りないと思考力も低下してまともに走るのも難しくなるんだ。最終週までいかに精神に余裕を持てるかがとても大変なのさ」とトップレーサーの苦労を語った。
セミナー後半は事前応募で集まった希望者へのパーソナルレッスンに。自身のバイクをローラー台にセットしペダリングを実際に選手たちに見てもらえる夢のような時間となった。バイクのポジションを見るやいなや、サドル位置を変更した方が良いかもと鋭いアドバイスも飛んでいた。選手たちと1対1ないし1対2もの手厚い講習となり、直接会話をしながらより良い漕ぎ方や体の使い方を教えてくれたようだ。
セミナーを受けた中の一人、宇佐美さんは「憧れのヘーシンクにコーチングをしてもらえるなんて一生の思い出になりました。パッと見ただけでサドルを5mm下げた方が良いと言ってくれて、実際ちゃんと漕ぎやすくなったので驚きです。世界最高峰のアドバイスを受けることができて、とてもタメになる会になりました」と嬉しそうな表情を浮かべながらコメントしてくれた。
合間の時間には記念撮影やサインなどにも気軽に応じており、近い距離感にファンの皆さんも大満足の様子。ジャージやボトルは定番だが、中には日曜日のロードレースにて自身で撮った各選手の写真を持参し、そこにサインを書いてもらった人の姿も。セミナーのためにバイクを持ち込んだ人は、フレームにもサインを書いてもらうなど特別な思い出にもなったことだろう。
さて、セミナーを終えたロットNLユンボ一行は残り少ない時間で東京観光に繰り出すことに。まずは昼食ということで日本らしくお寿司屋さんをチョイス。移動中は東京のビル群を目の当たりにしテンションは上がり気味の様子だ。ビル建設用の赤白のタワークレーンを見て「あれは東京タワーか?」と聞いてくるなど新鮮な反応を見ることができた。
食事はといえばみんな器用に箸を使いあっという間にお皿を空にしていく。ボームは日本酒を注文しているし、ダンディなヒゲが特徴的なマールテン・ワイナンツとヘーシンクはビールを飲んでご機嫌なよう。反対に20歳台の若手3人はやや遠慮気味な様子で、この辺は年の差が表れているのだろうか。
昼食後はみんなで明治神宮へ。手水舎にてやり方の見本を見せると、見よう見真似で左手右手と清めていく。ヘーシンクはデジカメを持参しており、柄杓が日本らしくフォトジェニックだったのか様々なアングルで写真を撮っていた。その他のメンバーも鳥居の前で各々セルフィーを撮ったり、お守りを買ったりして神社の雰囲気を楽しんでいる様子だった。
最後に表参道でショッピング。各々自由行動でお店を見て回ったが、その中でもボームはまさかのアップルストアに寄ってアップルウォッチを即買いしたのだとか。ボウマンはビアンキのマネージャー、クラウディオ氏とともにビアンキストア表参道に挨拶に行っており若手ながらスポンサーへのアピールも欠かさない。半日という短い時間ながら東京を満喫した様子で、一行は本日のメインイベントであるアフターパーティーへ向かうのであった。
アフターパーティー編へ続く。
text&photo:Yuto.Murata
リンク
Amazon.co.jp