2010/03/14(日) - 06:48
スペインでの高地トレーニングキャンプを終えたアスタナのエンリーコ・ガスパロット(イタリア)は、現在ティレーノ〜アドリアティコに出場中。「世界で最も勝ちたいレース」に挙げたミラノ〜サンレモに向けて、ガスパロットは自信を覗かせた。
「トレーニングでのハードワークは必ず報われると信じている。シーズン前半の目標レースであるティレーノ〜アドリアティコとミラノ〜サンレモで、良い走りが出来るはず。充実したトレーニングを積んだ自信があるから、今は落ち着いている」。
実際にガスパロットの努力は結果として現れた。3月6日に開催されたモンテパスキ・ストラーデビアンケで、ガスパロットはチームメイトのマキシム・イグリンスキー(カザフスタン)とともに決定的な先頭グループに入ったのだ。
「12人のグループの中にアスタナの選手が2人。有利にレースを進められると思った。その先頭グループから僕は2回アタックしたけど、両方ともフィリッポ・ポッツァートに潰された。彼もアタックしたけど結局は失敗。アタック合戦の末に、チームメイトのマックス(イグリンスキー)が4人の先頭グループに入った」。
シエナのカンポ広場で繰り広げられたスプリント勝負で、“マックス”はトーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームスカイ)とマイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)を下して優勝。ガスパロットは9位に入った。スペインでのトレーニングキャンプからイタリアに戻った僅か3日後の話だ。
ガスパロットはチームメイト9名と一緒に、スペイン・テイデで12日間に渡って行なわれた高地トレーニングキャンプに参加した。ガスパロットがイタリアに帰国したのは3月3日のこと。キャンプで得た勢いそのままに、ストラーデビアンケに出場した。
「シーズン中はずっと世界を転戦するから、今の時期ぐらい家でゆっくりするのもいいかと思っていた。でも近代のロードレースにおいて(高地トレーニングなどの)トレーニングテクニックは欠かせない。アスタナ以外の選手も高地トレーニングを積んでいるんだ」。
今年で開催4回目を迎えるストラーデビアンケは、190kmのコースに未舗装区間が合計57.2kmも組み込まれた砂利道レース。ガスパロットは今回が初めての出場だった。
「初出場だったので、まるで学校に入学したばかりの新入生のようだった。次に何が起こるのか分からないし、砂利道の難しさも理解していなかった。はっきり言ってメチャクチャ厳しいレースだったよ」。
ガスパロットが照準を合わせているのは、現在開催中のティレーノ〜アドリアティコと、3月20日のミラノ〜サンレモ。ガスパロットは2008年のティレーノ〜アドリアティコでリーダージャージを着用し、最終的に総合2位に入った。今年もステージ優勝と総合成績が目標だ。
「高地トレーニングの後には、いつも良い結果がついてくる。ティレーノは決してイージーなレースじゃない。後半の3日間はとても厳しく、力が無い選手はすぐに振るい落とされる。特にキエーティにゴールするステージは、全長が240kmオーバーで、常にアップダウンの繰り返し。最も強い選手が勝利を得ると思う。その次の日もまたハードだ」。
ミラノ〜サンレモが開催されるのは、ティレーノ最終日の4日後、そしてガスパロット28歳の誕生日の2日前。「自分のような脚質のイタリア人選手にとって、ミラノ〜サンレモは世界で一番重要なレースなんだ」。果たしてガスパロットのドリームウィンは叶うだろうか。
text:Gregor Brown
photo:Cor Vos
translation:Kei Tsuji
Gregor.Brown (グレゴー・ブラウン)
イタリア・レッコ在住のアメリカ人プロサイクリング・ジャーナリスト。2005、2006年ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランス、春のクラシック等で綾野 真(シクロワイアード編集長/フォトジャーナリスト)に帯同し、取材活動を行う。2007年よりサイクリングニュース(イギリス)の主筆ジャーナリストとして活躍後、フリーランスに。2009年12月よりシクロワイアード契約ジャーナリストとなる。今後、主にイタリア・英語圏プロサイクリングメディアに活動の舞台を移す。
「トレーニングでのハードワークは必ず報われると信じている。シーズン前半の目標レースであるティレーノ〜アドリアティコとミラノ〜サンレモで、良い走りが出来るはず。充実したトレーニングを積んだ自信があるから、今は落ち着いている」。
実際にガスパロットの努力は結果として現れた。3月6日に開催されたモンテパスキ・ストラーデビアンケで、ガスパロットはチームメイトのマキシム・イグリンスキー(カザフスタン)とともに決定的な先頭グループに入ったのだ。
「12人のグループの中にアスタナの選手が2人。有利にレースを進められると思った。その先頭グループから僕は2回アタックしたけど、両方ともフィリッポ・ポッツァートに潰された。彼もアタックしたけど結局は失敗。アタック合戦の末に、チームメイトのマックス(イグリンスキー)が4人の先頭グループに入った」。
シエナのカンポ広場で繰り広げられたスプリント勝負で、“マックス”はトーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームスカイ)とマイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)を下して優勝。ガスパロットは9位に入った。スペインでのトレーニングキャンプからイタリアに戻った僅か3日後の話だ。
ガスパロットはチームメイト9名と一緒に、スペイン・テイデで12日間に渡って行なわれた高地トレーニングキャンプに参加した。ガスパロットがイタリアに帰国したのは3月3日のこと。キャンプで得た勢いそのままに、ストラーデビアンケに出場した。
「シーズン中はずっと世界を転戦するから、今の時期ぐらい家でゆっくりするのもいいかと思っていた。でも近代のロードレースにおいて(高地トレーニングなどの)トレーニングテクニックは欠かせない。アスタナ以外の選手も高地トレーニングを積んでいるんだ」。
今年で開催4回目を迎えるストラーデビアンケは、190kmのコースに未舗装区間が合計57.2kmも組み込まれた砂利道レース。ガスパロットは今回が初めての出場だった。
「初出場だったので、まるで学校に入学したばかりの新入生のようだった。次に何が起こるのか分からないし、砂利道の難しさも理解していなかった。はっきり言ってメチャクチャ厳しいレースだったよ」。
ガスパロットが照準を合わせているのは、現在開催中のティレーノ〜アドリアティコと、3月20日のミラノ〜サンレモ。ガスパロットは2008年のティレーノ〜アドリアティコでリーダージャージを着用し、最終的に総合2位に入った。今年もステージ優勝と総合成績が目標だ。
「高地トレーニングの後には、いつも良い結果がついてくる。ティレーノは決してイージーなレースじゃない。後半の3日間はとても厳しく、力が無い選手はすぐに振るい落とされる。特にキエーティにゴールするステージは、全長が240kmオーバーで、常にアップダウンの繰り返し。最も強い選手が勝利を得ると思う。その次の日もまたハードだ」。
ミラノ〜サンレモが開催されるのは、ティレーノ最終日の4日後、そしてガスパロット28歳の誕生日の2日前。「自分のような脚質のイタリア人選手にとって、ミラノ〜サンレモは世界で一番重要なレースなんだ」。果たしてガスパロットのドリームウィンは叶うだろうか。
text:Gregor Brown
photo:Cor Vos
translation:Kei Tsuji
Gregor.Brown (グレゴー・ブラウン)
イタリア・レッコ在住のアメリカ人プロサイクリング・ジャーナリスト。2005、2006年ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランス、春のクラシック等で綾野 真(シクロワイアード編集長/フォトジャーナリスト)に帯同し、取材活動を行う。2007年よりサイクリングニュース(イギリス)の主筆ジャーナリストとして活躍後、フリーランスに。2009年12月よりシクロワイアード契約ジャーナリストとなる。今後、主にイタリア・英語圏プロサイクリングメディアに活動の舞台を移す。