2018/08/20(月) - 09:05
世界最大の自転車ショー、ユーロバイクで見つけた新製品をピックアップするレポートをお届けします。第10弾となる今回は、コルナゴ、シーポをピックアップ。加えて、E-BIKE関連ブランドが集められたホールで気になったプロダクト、その他ブランドをダイジェストで紹介しよう。
コルナゴ:イタリアン・テーラーメイドバイク「C64」を筆頭とした2019ラインアップ
2018年シーズン開幕直後にイタリアで行われたワールドプレミアで新型フラッグシップロード「C64」を発表したコルナゴ。2019年ラインアップも世界最高峰のレースで戦うC64、V2-r、CONCEPTという3本柱を頂点とする製品展開を継続する。ユーロバイクではそれらのニューカラーを発表すると共に、C64のスペシャルモデル、ミドルグレードのお披露目を行った。
C64のスペシャルモデルは「Private Collection」と名付けられており、"1 of 64"とブースに描かれていた通り64台のみ展開される限定品。ゴールドの差し色が入るカラーリングに加えて、超豪華なパーツ類がアセンブルされる1台に仕立てられている。ディスクブレーキ仕様のC64はケーブル類が完全内装となるため、完成車とした際も洗練されたルックスは損なわれない。
ちなみに、ドライブトレインはシマノのDURA-ACE Di2のディスクブレーキ仕様、クランクはSRMのカーボン製品、チェーンリングはスパイダー部分がカーボンで作られるカーボンチ製品、ディスクブレーキローターも恐らくカーボンチ、プーリーはセラミックスピード製の大径モデルに変更されている。ホイールはライトウェイトのWEGWEISER。
ミドルグレードのCLXもデビューを果たす。上級マシンのエッセンスを随所に取り入れたフレーム造形としており、トップチューブからシートステーに接続する部分はまるでV2-rのよう。フォーククラウンから流れるようにダウンチューブ、ヘッドチューブに繋がるポイントはCONCEPTのようなエアロデザインとされている。人気のカーボンエントリーグレードと並び、これからカーボンバイクに乗ろうと考えている方にピッタリな1台だ。
シーポ:ユーロバイクアワードを獲得した独創性あふれるトライアスロンバイク「Shadow-R」
数多くの新製品が登場するユーロバイクにおいて、輝いていたプロダクトの一つにシーポのShadow-Rを挙げても良いだろう。ユーロバイクアワードも獲得し、全世界のサイクリストから注目を集め、実際に会場でも数多くの来場者が食い入るように製品を見つめるほどのトライアスロンバイクだ。
トライアスロンバイクは形状に関してUCIルールに縛られていないため、ユニークな形状のバイクがリリースされるジャンルでもある。近年はシートチューブとシートステーを持たないV字型フレームを採用するバイクが大きなインパクトを与えていた。Shadow-Rではそれを採用した上で、独創的なフロントフォークを装備することで、自転車好きに衝撃を与えた。
そのフロントフォークとは従来のフォークレッグを廃し、フェンダーのようにホイールの上側半分を覆うカウルから伸びるステーによってハブを支える方式を採用したもの。円周方向のフェンダーと水平方向のカウルによって、前方から当たる空気に対するエアロダイナミクスを追求していることがわかる。
優れた空力性能を備えていることはもちろん、この特徴的なフォークがもたらすルックスも格好良い。宇宙船の船首のようなヘッドチューブ周りや、フロントタイヤからリアホイールのハブまで直線的に伸びるフレームのラインなど。ド派手な印象というよりも、洗練された機能美という言葉がふさわしいだろう。
番外編:ユーロバイクのE-BIKEブースを巡る
ここからは各ブランドの紹介ではなくユーロバイクで出展されていたE-BIKEにフォーカスを当てる。欧州では販売台数が年々増しており、サイクルスポーツにおいて欠かせない存在になってると耳に挟んでいたが、現地で見たE-BIKEの存在感の強さには圧倒される物があった。
フリードリヒスハーフェンのメッセにある計12のホール全てを借り切るユーロバイク。そのホールの1つをE-BIKEエリアとしているだけではなく、ほぼすべてのバイクブランドが電動アシストモデルを用意するほどだ。それほどE-BIKEの規模は大きい。
各ブースで目につく電動アシストバイクの多くはMTBモデル。トレイルヘッドまではヒルクライムをこなし、ダウンヒルを楽しむMTBの遊び方では、E-BIKEの恩恵は大きいからだろう。特に登りが苦手なオールマウンテン系MTBでもアシストさえ搭載されていれば、下りを楽しむ本数を増やすことができる。遊びの幅を広げてくれるとしてヨーロッパではE-MTBが人気なのだろう。
一方で、ロードバイクモデルも少ないわけではない。ウィリエールやラピエール、ルックなど日本でも高い知名度を持つロードレーシングバイクの雄たちもE-BIKEをリリースしている。ロードモデルで求められるのはやはり重量なのだろうか。ウィリエールからは9.8kgのCENTO1 HYBRIDが登場していた。
ロードモデルは、FAZUAやebikemotionというユニットメーカーを採用している点が共通項。ダウンチューブにバッテリーをビルトインできるこのユニットは、ロードバイクのシャープなデザインを崩さないというメリットと、コンパクトで軽量というアドバンテージがある。国内法規にアジャストしたユニットが搭載されたモデルが、日本に上陸することを期待したい。
スポーツモデルに加えて、シティモデルにもE-BIKE化の波が来ているようだ。クロスバイクに電動アシストユニットを搭載するのはもちろん、いわゆる日本で見たことのある電動アシスト軽快車(ママチャリ)の数も非常に多い。他にもカーゴバイクや、オートバイのような形状をしたカーボンフレームなども展示されており、ヨーロッパでのE-BIKEは日本同様生活の足となっているのだろう。デモエリアではクランクを装備していながら、ペダルを漕がなくても進む「それ自転車なの!?」と疑問を投げたくなるバイクが駆け巡っていたのも面白い発見だった。
また、ブース紹介でも触れたが、E-BIKE用のパーツ類が非常に多くリリースされ始めている。フルクラムやクランクブラザーズのE-MTB用ホイール、プロロゴやセッレイタリア、セラロイヤルのサドルなど。電動アシストの強大なパワーに対応するものがリリースされており、E-BIKEというジャンルの深さは増々増しているようだ。
写真で振り返るユーロバイク
ここまでのブース紹介でお伝えしきれなかったブランドを写真で振り返ります。また、ユーロバイク関連の写真をまとめたフォトギャラリーはこちら。過去のブースピックアップ記事で紹介した写真もこちらから確認することができます。
text&photo:Gakuto Fujiwara
コルナゴ:イタリアン・テーラーメイドバイク「C64」を筆頭とした2019ラインアップ
2018年シーズン開幕直後にイタリアで行われたワールドプレミアで新型フラッグシップロード「C64」を発表したコルナゴ。2019年ラインアップも世界最高峰のレースで戦うC64、V2-r、CONCEPTという3本柱を頂点とする製品展開を継続する。ユーロバイクではそれらのニューカラーを発表すると共に、C64のスペシャルモデル、ミドルグレードのお披露目を行った。
C64のスペシャルモデルは「Private Collection」と名付けられており、"1 of 64"とブースに描かれていた通り64台のみ展開される限定品。ゴールドの差し色が入るカラーリングに加えて、超豪華なパーツ類がアセンブルされる1台に仕立てられている。ディスクブレーキ仕様のC64はケーブル類が完全内装となるため、完成車とした際も洗練されたルックスは損なわれない。
ちなみに、ドライブトレインはシマノのDURA-ACE Di2のディスクブレーキ仕様、クランクはSRMのカーボン製品、チェーンリングはスパイダー部分がカーボンで作られるカーボンチ製品、ディスクブレーキローターも恐らくカーボンチ、プーリーはセラミックスピード製の大径モデルに変更されている。ホイールはライトウェイトのWEGWEISER。
ミドルグレードのCLXもデビューを果たす。上級マシンのエッセンスを随所に取り入れたフレーム造形としており、トップチューブからシートステーに接続する部分はまるでV2-rのよう。フォーククラウンから流れるようにダウンチューブ、ヘッドチューブに繋がるポイントはCONCEPTのようなエアロデザインとされている。人気のカーボンエントリーグレードと並び、これからカーボンバイクに乗ろうと考えている方にピッタリな1台だ。
シーポ:ユーロバイクアワードを獲得した独創性あふれるトライアスロンバイク「Shadow-R」
数多くの新製品が登場するユーロバイクにおいて、輝いていたプロダクトの一つにシーポのShadow-Rを挙げても良いだろう。ユーロバイクアワードも獲得し、全世界のサイクリストから注目を集め、実際に会場でも数多くの来場者が食い入るように製品を見つめるほどのトライアスロンバイクだ。
トライアスロンバイクは形状に関してUCIルールに縛られていないため、ユニークな形状のバイクがリリースされるジャンルでもある。近年はシートチューブとシートステーを持たないV字型フレームを採用するバイクが大きなインパクトを与えていた。Shadow-Rではそれを採用した上で、独創的なフロントフォークを装備することで、自転車好きに衝撃を与えた。
そのフロントフォークとは従来のフォークレッグを廃し、フェンダーのようにホイールの上側半分を覆うカウルから伸びるステーによってハブを支える方式を採用したもの。円周方向のフェンダーと水平方向のカウルによって、前方から当たる空気に対するエアロダイナミクスを追求していることがわかる。
優れた空力性能を備えていることはもちろん、この特徴的なフォークがもたらすルックスも格好良い。宇宙船の船首のようなヘッドチューブ周りや、フロントタイヤからリアホイールのハブまで直線的に伸びるフレームのラインなど。ド派手な印象というよりも、洗練された機能美という言葉がふさわしいだろう。
番外編:ユーロバイクのE-BIKEブースを巡る
ここからは各ブランドの紹介ではなくユーロバイクで出展されていたE-BIKEにフォーカスを当てる。欧州では販売台数が年々増しており、サイクルスポーツにおいて欠かせない存在になってると耳に挟んでいたが、現地で見たE-BIKEの存在感の強さには圧倒される物があった。
フリードリヒスハーフェンのメッセにある計12のホール全てを借り切るユーロバイク。そのホールの1つをE-BIKEエリアとしているだけではなく、ほぼすべてのバイクブランドが電動アシストモデルを用意するほどだ。それほどE-BIKEの規模は大きい。
各ブースで目につく電動アシストバイクの多くはMTBモデル。トレイルヘッドまではヒルクライムをこなし、ダウンヒルを楽しむMTBの遊び方では、E-BIKEの恩恵は大きいからだろう。特に登りが苦手なオールマウンテン系MTBでもアシストさえ搭載されていれば、下りを楽しむ本数を増やすことができる。遊びの幅を広げてくれるとしてヨーロッパではE-MTBが人気なのだろう。
一方で、ロードバイクモデルも少ないわけではない。ウィリエールやラピエール、ルックなど日本でも高い知名度を持つロードレーシングバイクの雄たちもE-BIKEをリリースしている。ロードモデルで求められるのはやはり重量なのだろうか。ウィリエールからは9.8kgのCENTO1 HYBRIDが登場していた。
ロードモデルは、FAZUAやebikemotionというユニットメーカーを採用している点が共通項。ダウンチューブにバッテリーをビルトインできるこのユニットは、ロードバイクのシャープなデザインを崩さないというメリットと、コンパクトで軽量というアドバンテージがある。国内法規にアジャストしたユニットが搭載されたモデルが、日本に上陸することを期待したい。
スポーツモデルに加えて、シティモデルにもE-BIKE化の波が来ているようだ。クロスバイクに電動アシストユニットを搭載するのはもちろん、いわゆる日本で見たことのある電動アシスト軽快車(ママチャリ)の数も非常に多い。他にもカーゴバイクや、オートバイのような形状をしたカーボンフレームなども展示されており、ヨーロッパでのE-BIKEは日本同様生活の足となっているのだろう。デモエリアではクランクを装備していながら、ペダルを漕がなくても進む「それ自転車なの!?」と疑問を投げたくなるバイクが駆け巡っていたのも面白い発見だった。
また、ブース紹介でも触れたが、E-BIKE用のパーツ類が非常に多くリリースされ始めている。フルクラムやクランクブラザーズのE-MTB用ホイール、プロロゴやセッレイタリア、セラロイヤルのサドルなど。電動アシストの強大なパワーに対応するものがリリースされており、E-BIKEというジャンルの深さは増々増しているようだ。
写真で振り返るユーロバイク
ここまでのブース紹介でお伝えしきれなかったブランドを写真で振り返ります。また、ユーロバイク関連の写真をまとめたフォトギャラリーはこちら。過去のブースピックアップ記事で紹介した写真もこちらから確認することができます。
text&photo:Gakuto Fujiwara
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