世界最大の自転車ショー、ユーロバイクで見つけた新製品をピックアップするレポートをお届けします。第6弾となる今回は、メリダとフルクラム、アスチュート、rh+、ボーマをピックアップ。



メリダ:プロチームが実戦投入するTIME WARP TT、新型シクロクロスとMTB

タイムトライアルバイク「TIME WARP TT」が展示されていたタイムトライアルバイク「TIME WARP TT」が展示されていた
深い前傾ポジションが取れるようなヘッドまわりのデザイン深い前傾ポジションが取れるようなヘッドまわりのデザイン Di2のジャンクションはBB上に設置するDi2のジャンクションはBB上に設置する


メリダのユーロバイクブースでは、タイムトライアル用バイク「TIME WARP TT」のバーレーン・メリダ仕様が展示されていた。トライアスロン用としてラインアップされるWARP 5000の形状に似ているが、よりアグレッシブなポジションが取れるようにステムとトップチューブが面一になる設計、トップとシートチューブの集合部分のボリュームなど所々アップデートが加えられた一台だ。

シクロクロスもフルモデルチェンジを果たしMISSION CXとなる。メリダはレーシングフレームでありながら、トレーニングや通勤など全てをカバーできるオールインワンなバイクだと説明している。現行モデルのブラッシュアップ版ではなく、新しいコンセプトをもとに開発を行ったという。このバイクおけるターゲットは、現在のメリダバイクのデザインを踏襲、最新のスタンダード規格を採用、タイヤとつま先のクリアランスを確保すること。

新型シクロクロスバイク「MISSION CX」新型シクロクロスバイク「MISSION CX」
マッドガード用のブリッジも備えられているマッドガード用のブリッジも備えられている 短めのヘッドチューブとされている短めのヘッドチューブとされている


現行モデルはディスクブレーキがポストマウントだが、新型ではフラットマウントに。スルーアクスルは前後共に12mm径を採用(現行は前15mm、後ろ12mm)。タイヤクリアランスは35mmまで。シートステーにはマッドガード用のブリッジが備えられている。重量はCF2カーボンモデルはフレーム885g、フォーク402g、アルミモデルはフレーム1622g、フォーク402gという設定だ。

メリダはトレイル/エンデューロ向けMTBのONE-SIXTYという1つのモデルだけで、9種類ものE-BIKEを用意している。登りはアシストされながら気持ちよく駆け抜け、下りは全力でアタックできるはずだ。新モデルに「e ONE-SIXTY M#RIDA」というアグレッシブなデザインが施された1台が登場する。ユニットはシマノE8000。ホイールにはフルクラムのE-BIKEモデル「E-Fire500」が搭載される。

e ONE-SIXTY M#RIDAというエンデューロ系E-MTBが登場しているe ONE-SIXTY M#RIDAというエンデューロ系E-MTBが登場している
スラムのNX Eagleが装備されるスラムのNX Eagleが装備される バッテリーもフレームデザインに合わせたデカールが貼られているバッテリーもフレームデザインに合わせたデカールが貼られている




フルクラム:E-BIKE用ラインアップ、ロード用ディスクブレーキホイールが充実

E-BIKE向けのホイールがリリースされるE-BIKE向けのホイールがリリースされる
先述したようにフルクラムからE-BIKE用のホイールが数種類登場する。ブースで展示されていたのはE-METALとE-FIREというE-MTB用で、それぞれに2グレード用意されていた。E-BIKE用のホイールは前後でリムプロファイルが異なる設計で、電動ユニットによる重量増やアシストトルクに対応するアップデートが加えられている。

前後で共通するのはスポークの先端分が通常品より太いものを選ぶと共に、ニップルとハウジングを強化している点。ディスクブレーキローターを搭載するフランジも重量増とスピード増に対応するべく5%強度を高めている。そして最も力を受けるであろうフリーハブも大きいトルクを受け止めるために強化されたスチールを素材とした。欧州ではE-BIKE自体は既に定着し、安全性含む走行性能を向上させるパーツが登場するフェーズに移っているようだ。ユーロバイクを取材し、E-BIKEが本当にいちジャンルとして盛り上がっていることを肌で感じる。

RACING ZERO CARBON DBがついに登場RACING ZERO CARBON DBがついに登場 アルミスポークや2to1などRACING ZEROのアイデンティティはそのままだアルミスポークや2to1などRACING ZEROのアイデンティティはそのままだ

プロスペックのチューブラーホイールSPEED40と55にもディスクブレーキ版が登場プロスペックのチューブラーホイールSPEED40と55にもディスクブレーキ版が登場 こちらも通常モデルと同じようなスポーキングこちらも通常モデルと同じようなスポーキング


そしてフルクラムは、ユーロバイク前に発表したRACING ZERO DBに続き、そのカーボンリムモデルである「RACING ZERO CARBON DB」をリリースする。基本的にはアルミリムと同じであり、前後共に2to1スポーキングとなり、アルミスポーク21本で構成される。リアハブはアルミ素材、ベアリングはUSBだ。重量は1,450g。ちなみにアルミモデルの重量は1,590g。

プロスペックのSPEED40と55Tにもディスクブレーキ版が登場。"T"という文字が示す通りいずれもチューブラー仕様で、前後のスポーキングはやはり21本ずつの2to1。40Tの重量は1,320g、55Tの重量は1,395g。ロードディスクブレーキも各社ハイスペックモデルをリリースしており、完成車スペックからアップグレードすることが可能になりつつある。ディスクブレーキロードを積極的に選びやすくなる時代は近いのかもしれない。



アスチュート:ディメンションデータと開発を行ったハイエンド「ONE」

ONEを持つアンドレア・リザットCEOONEを持つアンドレア・リザットCEO
きれいなカーボンの編み目きれいなカーボンの編み目 シートレールまでカーボンだシートレールまでカーボンだ


ユーロバイク開幕前に非常に手頃な価格にも関わらず、200gを切る軽量性を実現したサドル「SUN VT」を発表したアスチュート。今回のユーロバイクではSUNとは対称的なフラッグシップモデル「ONE」がお披露目された。ONEはアスチュートがサポートするUCIワールドチームのディメンションデータも開発に貢献しているハイグレードの逸品。

パッドすら使用しないフルカーボン製となっており、恐らくビアンキとフェラーリがコラボしているバイクに搭載されるのはこのサドル。重量は98gだ。クッションがないためマッチする人は限られてくると思うが、カーボンの網目と座面とノーズ部分の曲線が美しく、バイクのラグジュアリーさや戦闘力を引き立ててくれるはずだ。イタリアのクラフトマンシップが光る逸品だ。



rh+:イタリアのデザインラボとのコラボモデル

独創的なデザインが特徴のrh+ bike fashion lab独創的なデザインが特徴のrh+ bike fashion lab
イタリアのライダーギアブランド「rh+」のブースは、2018SSコレクションより展開が開始された「Bike Fashion Lab」を中心とした展開。このコレクションは、イタリアのハンドクラフトプリンティングをリードするISA Spaという会社とコラボしたもので、グラフィカルなデザインが特徴だ。

これまではウェアだけのラインアップであったが、ユーロバイクではグラフィカルなアートが描かれたヘルメットも。色鮮やかで気分を盛り上げてくれそうなものや、背筋を伸ばしてカッコつけたくなるようなクールなものが並べられており、本格的に展開されるのが楽しみになってくる。アイウェアの展示はワイヤーを張ったホイールのリムに掛けるというユニークな方法がとられていた。

カラフルなウェアだけではなく、ハイスペックを期待させるウェアも用意されていた。フロントパネルだけで3種類以上の生地を使い分け、肩部分はさらに異なる生地を使用しており、そのルックスからも高機能であることを期待できるだろう。

ヘルメットまでアグレッシブなデザインが施されるヘルメットまでアグレッシブなデザインが施される 柄物ながらサイクルウェアに馴染んでいる柄物ながらサイクルウェアに馴染んでいる

ホイールのリムをサングラス用ディスプレイにするホイールのリムをサングラス用ディスプレイにする 非常に多くの素材を使用するジャージも登場非常に多くの素材を使用するジャージも登場




ボーマ:日本が誇る西陣織フレームをヨーロッパで展開

西陣織のカーボンレイヤーをあしらうSWOOP TRK西陣織のカーボンレイヤーをあしらうSWOOP TRK
展示では実際のカーボンを目にすることができた展示では実際のカーボンを目にすることができた 複雑な織り目が際立つデザインだ複雑な織り目が際立つデザインだ


那須ブラーゼンをサポートするジャパニーズバイクブランドの「BOMA(ボーマ)」もユーロバイクに出展。カーボン繊維商社を前身とするASK TRADINGが手がけるブランドであり、ロードはもちろんトラックやTT用フレーム、パーツ類を展開しており、今ユーロバイクではトラックを中心とした展示を行っていた。

目を引くのは日本の伝統的な織物である西陣織の化粧カーボンを纏ったトラックフレーム「SWOOP TRK」だ。このバイクは競輪選手やトラックのエリート選手からフィードバックを受けて開発が進められたモデルで、2020年の東京五輪を見据えて設計されたという。性能の良さもあり、このバイク、しかも西陣織バージョンに乗る海外の方もいるのだとか。



text&photo:Gakuto Fujiwara