2018/07/28(土) - 09:02
世界最大の自転車ショー、ユーロバイクで見つけた新製品をピックアップするレポートをお届けします。第5弾となる今回は、アルゴン18、DTスイス、タックス、フィジーク、WTBをピックアップして紹介しよう。
アルゴン18:エアロロードNITROGEN DISC登場 フロントシングル版も
ツール・ド・フランスでステージ2連勝を挙げる快進撃をみせたアスタナをサポートするのがアルゴン18だ。カナダを拠点とするバイクブランドが用意した2019年モデルはエアロロードのNITROGENのディスクブレーキ仕様と、グラベルロードのDARK MATTERだ。
トライアスロンやタイムトライアルバイクを得意とするアルゴン18のノウハウが投入されたエアロロードNITROGEN。これまでのモデルは空気抵抗を抑えるためにバイクのシルエットと一体となるVブレーキを採用していたが、2019年モデルでディスクブレーキ版を投入。従来型NITROGENの設計思想を受け継ぎつつも、ブレーキが廃されたシートステー周りのデザインを一新していることが特徴だ。
アルゴン18を象徴するテクノロジーである3Dヘッドチューブシステムを採用した通常モデルに加えて、ユーロバイクでは「NITROGEN DISC SE」を発表した。"SE"はウルフトゥースのフロントシングルチェーンリングを装備するワンバイ仕様のバイク。ハンドルも通常モデルとは異なるヴィジョンMetronがアセンブルされ、3Dヘッドチューブは省略されている。特別モデルにふさわしいセッティングが施されたこのバイクはトライアスロンなどに似合いそうだ。
DARK MATTERと男子の心を掴むようなネーミングがされたこのバイクは、45Cのタイヤでも楽々装着できるほどのクリアランスを持つグラベルロードだ。低いBBハイト、長いホイールベースによって安定性を備えている一方で、チェーンステーを短くし、俊敏な回頭性と反応性を確保しているレーシーなジオメトリーも特徴。シクロクロスレースにもマッチするだろう。
そして、世界で最も有名な自動車メーカーの1つであるメルセデス・ベンツとコラボレーション。エンデュランスロード「KRYPTON」をベースに、メルセデス・ベンツを象徴するシルバーアローデザインが与えられた。SILVER 41と名付けられたコラボ第1弾のニューバイクは興味をそそられる1台だった。
DTスイス:新型サスペンション 535 ONEデビュー
DTスイスよりオールマウンテン系のMTBサスペンション「535 ONE」がデビューした。F 535 ONE(フロント用)には、27.5インチと29er用2種類、トラベル量が130~160mmまで10mm刻みの4種類、計8種類が揃う。リア用のR 535ONEは、スタンダードマウント用とトラニオンマウント用の2種類が用意される。サイズはスタンダードが8つ、トラニオンが6つが揃い、様々なバイクに装着できるようになっている。
フロントサスペンションのエアスプリング側アウターレッグ底面にはコイルスプリングが備えられており、細かい凹凸をしなやかにいなせるようになっている。一定以上の力がかかると本来のエアスプリングが働きだすという仕組みだ。通常のサスペンションよりも滑らか、しなやかに動くことが特徴だという。加えて、肩部分にはスペーサーが搭載されており、このスペーサーの数によってサスペンションがフルボトムした時の動きを調整することが可能だという。
ダンパーはロック、ドライブ、オープンという3種類のモードが用意されているのは一般的なサスと同じ。F 535 ONEではPLUSHPORTテクノロジーによってロースピードコンプレッションの調節が可能となっているため、ライダーに適したセッティングに合わせやすい。また、RWSスルーアクスルのレバーは、15mmアーレンキーとT10トルクスレンチのマルチ工具となっており、T10側でコンプレッションとリバウンドのセッティングが行えるようになっている。
タックス:Neo Bike Smart Trainer、FLUX2、新型ボトルケージが登場
ズイフトなど充実したソフトウェアの人気とともに注目を集めているスマートトレーナー。ヴァーチャルサイクリングに収録されたルートの斜度や集団走行時のスリップストリームを再現するためには欠かせない存在であり、インドアトレーニングを楽しみながら取り組むためには重量なプロダクトとなっている。
タックスのNeo Smartは圧倒的な静粛性と、ズイフトのグラベル路面を再現できる機能などを備えており、注目度が高い機種の1つである。そのNeoをベースとしたインドアバイクのコンセプトモデルが2017年のユーロバイクで発表され、今年はその完成形「Neo Bike Smart」がユーロバイクに登場した。
フィットネスジムに置いてあるスピニングマシンのような外見だが、ドロップハンドルに備えられたブラケットでシフトチェンジやブレーキングが行えるなど、Neoに自転車が備え付けられたように扱える。ギアの歯数も設定可能だという。ヴァーチャルドライブトレインが何処のギアにかかっているかは、前方に用意されたディスプレイで確認できる。ここではスピードや心拍数、ワット数などもチェック可能だ。
送風機やボトルケージ、タブレットホルダー、USBポートが2口備えられている。サドルやハンドルバーは好みのものを装着できる上、ポジションの調整もある程度は自由に行えそうだ。通常のNeoと同様、電源を繋がなくても使用できるのは嬉しいポイント。
タックスのミドルグレードスマートトレーナーがモデルチェンジを果たし「FLUX2」となる。外見上の大きな変更点は無いが、フライホイール効果が大きくなり実走感が増している。最大出力が1500wから2000wへ、再現斜度10%から15%へと上昇。負荷の掛かり方も調整が行われ、よりホビーライダー向けのホームトレーナーとなっているという。
ボトルケージの新型Radarも登場。サイドエントリー型となっており、小さいフレームサイズでもボトルの抜き差しをおこないやすくなっているという。また、ボーラ・ハンスグローエらが使用していると表すロゴが掲げられたボトルケージがCiroだ。Devaの基本形状を踏襲しつつ、グラスファイバー製コアとカーボンを組み合わせたモデルであり、軽量かつ高いホールド力を実現している。
フィジーク:ゲラント・トーマスの足元を支えるR1B INFINITO KNITの2019年モデル
フィジークブースでメインに展示されていたのはロードシューズ「R1B INFINITO KNIT」の2019年モデル。継続モデルではあるが、グレーカラーはチームスカイのゲラント・トーマスがツール・ド・フランスで着用しているモデルで、実際にラルプデュエズが登場したステージで優勝を果たしているという。グレーカラーはBoaダイヤルとアッパー上部までニット素材のスタイリングとなっているため、他カラーとは雰囲気が異なる。
ニットは通気性や快適性、フィット性に優れた素材。生地の伸び、パワーロスについての心配する声もあったというが、プロ選手たちが積極的に選び結果を残していることからも、そのような心配を気にする必要は無さそうだ。ブースに展示されていた他のカラーはGREEN/YELLOW FLUO、PURPLE/BLUE。国内でのラインアップ詳細は未定だという。
加えてARIONE、ANTARES、ALIANTEの「VERSUS EVO 00」も展示されていた。各モデルのVERSUS EVOモデルは2018年より展開されていたが、フィジークが誇る最上位"00"クラスのモデルは未展開であった。2019年モデルより、従来のVERSUSよりも軽量かつ快適なEVOサドルをプロスペックで堪能することができるはずだ。
WTB:新コンパウンドテクノロジー「TRITEC」をVIGILANTE、TRAIL BOSSに投入
オフロード系パーツに造詣が深いWTBがユーロバイクでお披露目したのは、新しいコンパウンドテクノロジーTRITEC(トライテック)。1つのタイヤで3種類のコンパウンドを使用する技術だ。トレッド全体とノブのベース部分には最も固いラバーを配すことで、ノブがコーナリング途中に折れにくくしている。
一方で、ノブの表層部分にはセンターとサイドでそれぞれ固さが異なるラバーを採用。センターは中間の固さのラバーとすることで、軽い転がり抵抗を犠牲にせず、路面を捉えるトラクション性能と耐久性を向上させている。サイドノブは最も柔らかいラバーを採用し、コーナリング中でも安心できるトラクション性能を獲得した。
このTRITECは2種類のMTB用タイヤに投入されている。1つはWTBの顔とも言えるトレイル/エンデューロ用タイヤ「VIGILANTE」、もう1つはクロスカントリーやトレイルなど登りを含むライドに適した「TRAIL BOSS」だ。いずれも新たなコンパウンドを手に入れたことで、更に走行性能に磨きがかかっているだろう。
text&photo:Gakuto Fujiwara
アルゴン18:エアロロードNITROGEN DISC登場 フロントシングル版も
ツール・ド・フランスでステージ2連勝を挙げる快進撃をみせたアスタナをサポートするのがアルゴン18だ。カナダを拠点とするバイクブランドが用意した2019年モデルはエアロロードのNITROGENのディスクブレーキ仕様と、グラベルロードのDARK MATTERだ。
トライアスロンやタイムトライアルバイクを得意とするアルゴン18のノウハウが投入されたエアロロードNITROGEN。これまでのモデルは空気抵抗を抑えるためにバイクのシルエットと一体となるVブレーキを採用していたが、2019年モデルでディスクブレーキ版を投入。従来型NITROGENの設計思想を受け継ぎつつも、ブレーキが廃されたシートステー周りのデザインを一新していることが特徴だ。
アルゴン18を象徴するテクノロジーである3Dヘッドチューブシステムを採用した通常モデルに加えて、ユーロバイクでは「NITROGEN DISC SE」を発表した。"SE"はウルフトゥースのフロントシングルチェーンリングを装備するワンバイ仕様のバイク。ハンドルも通常モデルとは異なるヴィジョンMetronがアセンブルされ、3Dヘッドチューブは省略されている。特別モデルにふさわしいセッティングが施されたこのバイクはトライアスロンなどに似合いそうだ。
DARK MATTERと男子の心を掴むようなネーミングがされたこのバイクは、45Cのタイヤでも楽々装着できるほどのクリアランスを持つグラベルロードだ。低いBBハイト、長いホイールベースによって安定性を備えている一方で、チェーンステーを短くし、俊敏な回頭性と反応性を確保しているレーシーなジオメトリーも特徴。シクロクロスレースにもマッチするだろう。
そして、世界で最も有名な自動車メーカーの1つであるメルセデス・ベンツとコラボレーション。エンデュランスロード「KRYPTON」をベースに、メルセデス・ベンツを象徴するシルバーアローデザインが与えられた。SILVER 41と名付けられたコラボ第1弾のニューバイクは興味をそそられる1台だった。
DTスイス:新型サスペンション 535 ONEデビュー
DTスイスよりオールマウンテン系のMTBサスペンション「535 ONE」がデビューした。F 535 ONE(フロント用)には、27.5インチと29er用2種類、トラベル量が130~160mmまで10mm刻みの4種類、計8種類が揃う。リア用のR 535ONEは、スタンダードマウント用とトラニオンマウント用の2種類が用意される。サイズはスタンダードが8つ、トラニオンが6つが揃い、様々なバイクに装着できるようになっている。
フロントサスペンションのエアスプリング側アウターレッグ底面にはコイルスプリングが備えられており、細かい凹凸をしなやかにいなせるようになっている。一定以上の力がかかると本来のエアスプリングが働きだすという仕組みだ。通常のサスペンションよりも滑らか、しなやかに動くことが特徴だという。加えて、肩部分にはスペーサーが搭載されており、このスペーサーの数によってサスペンションがフルボトムした時の動きを調整することが可能だという。
ダンパーはロック、ドライブ、オープンという3種類のモードが用意されているのは一般的なサスと同じ。F 535 ONEではPLUSHPORTテクノロジーによってロースピードコンプレッションの調節が可能となっているため、ライダーに適したセッティングに合わせやすい。また、RWSスルーアクスルのレバーは、15mmアーレンキーとT10トルクスレンチのマルチ工具となっており、T10側でコンプレッションとリバウンドのセッティングが行えるようになっている。
タックス:Neo Bike Smart Trainer、FLUX2、新型ボトルケージが登場
ズイフトなど充実したソフトウェアの人気とともに注目を集めているスマートトレーナー。ヴァーチャルサイクリングに収録されたルートの斜度や集団走行時のスリップストリームを再現するためには欠かせない存在であり、インドアトレーニングを楽しみながら取り組むためには重量なプロダクトとなっている。
タックスのNeo Smartは圧倒的な静粛性と、ズイフトのグラベル路面を再現できる機能などを備えており、注目度が高い機種の1つである。そのNeoをベースとしたインドアバイクのコンセプトモデルが2017年のユーロバイクで発表され、今年はその完成形「Neo Bike Smart」がユーロバイクに登場した。
フィットネスジムに置いてあるスピニングマシンのような外見だが、ドロップハンドルに備えられたブラケットでシフトチェンジやブレーキングが行えるなど、Neoに自転車が備え付けられたように扱える。ギアの歯数も設定可能だという。ヴァーチャルドライブトレインが何処のギアにかかっているかは、前方に用意されたディスプレイで確認できる。ここではスピードや心拍数、ワット数などもチェック可能だ。
送風機やボトルケージ、タブレットホルダー、USBポートが2口備えられている。サドルやハンドルバーは好みのものを装着できる上、ポジションの調整もある程度は自由に行えそうだ。通常のNeoと同様、電源を繋がなくても使用できるのは嬉しいポイント。
タックスのミドルグレードスマートトレーナーがモデルチェンジを果たし「FLUX2」となる。外見上の大きな変更点は無いが、フライホイール効果が大きくなり実走感が増している。最大出力が1500wから2000wへ、再現斜度10%から15%へと上昇。負荷の掛かり方も調整が行われ、よりホビーライダー向けのホームトレーナーとなっているという。
ボトルケージの新型Radarも登場。サイドエントリー型となっており、小さいフレームサイズでもボトルの抜き差しをおこないやすくなっているという。また、ボーラ・ハンスグローエらが使用していると表すロゴが掲げられたボトルケージがCiroだ。Devaの基本形状を踏襲しつつ、グラスファイバー製コアとカーボンを組み合わせたモデルであり、軽量かつ高いホールド力を実現している。
フィジーク:ゲラント・トーマスの足元を支えるR1B INFINITO KNITの2019年モデル
フィジークブースでメインに展示されていたのはロードシューズ「R1B INFINITO KNIT」の2019年モデル。継続モデルではあるが、グレーカラーはチームスカイのゲラント・トーマスがツール・ド・フランスで着用しているモデルで、実際にラルプデュエズが登場したステージで優勝を果たしているという。グレーカラーはBoaダイヤルとアッパー上部までニット素材のスタイリングとなっているため、他カラーとは雰囲気が異なる。
ニットは通気性や快適性、フィット性に優れた素材。生地の伸び、パワーロスについての心配する声もあったというが、プロ選手たちが積極的に選び結果を残していることからも、そのような心配を気にする必要は無さそうだ。ブースに展示されていた他のカラーはGREEN/YELLOW FLUO、PURPLE/BLUE。国内でのラインアップ詳細は未定だという。
加えてARIONE、ANTARES、ALIANTEの「VERSUS EVO 00」も展示されていた。各モデルのVERSUS EVOモデルは2018年より展開されていたが、フィジークが誇る最上位"00"クラスのモデルは未展開であった。2019年モデルより、従来のVERSUSよりも軽量かつ快適なEVOサドルをプロスペックで堪能することができるはずだ。
WTB:新コンパウンドテクノロジー「TRITEC」をVIGILANTE、TRAIL BOSSに投入
オフロード系パーツに造詣が深いWTBがユーロバイクでお披露目したのは、新しいコンパウンドテクノロジーTRITEC(トライテック)。1つのタイヤで3種類のコンパウンドを使用する技術だ。トレッド全体とノブのベース部分には最も固いラバーを配すことで、ノブがコーナリング途中に折れにくくしている。
一方で、ノブの表層部分にはセンターとサイドでそれぞれ固さが異なるラバーを採用。センターは中間の固さのラバーとすることで、軽い転がり抵抗を犠牲にせず、路面を捉えるトラクション性能と耐久性を向上させている。サイドノブは最も柔らかいラバーを採用し、コーナリング中でも安心できるトラクション性能を獲得した。
このTRITECは2種類のMTB用タイヤに投入されている。1つはWTBの顔とも言えるトレイル/エンデューロ用タイヤ「VIGILANTE」、もう1つはクロスカントリーやトレイルなど登りを含むライドに適した「TRAIL BOSS」だ。いずれも新たなコンパウンドを手に入れたことで、更に走行性能に磨きがかかっているだろう。
text&photo:Gakuto Fujiwara
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