2018/07/20(金) - 18:45
世界最大の自転車ショー、ユーロバイクで見つけた新製品をピックアップするレポートをお届けします。第2弾となる今回は、シャフトドライブのコンポーネントを発表したセラミックスピード、ワフー、IRC、フィドロック、ABUSをピックアップ。
セラミックスピード:驚愕のシャフトドライブを発表
これまでセラミックベアリングやビッグプーリー、チェーンコーティングを駆使し駆動効率を追求してきたセラミックスピードが次に着目したのは、そもそものドライブトレイン自体だった。ユーロバイクでドライブシャフト「Driven」を発表。チェーンやベルトドライブが当たり前のスポーツサイクルにおいて、驚愕の試作コンポーネントをひと目見ようと、セラミックスピードのブースには3日通して常に人が集まるほどの人気を集めていた。
ブース担当者によると「チェーン駆動の場合では、チェーンリングで2箇所、上下のプーリーで4箇所、カセットスプロケットで2箇所、計8箇所のコンタクトポイントがあり摩擦が生まれます。ベアリング付きのシャフトに置き換えると、それらを少なくすることができる」という。また、発表資料によると、通常のシマノDURA-ACEよりも49%も摩擦を減らすことに成功しているとも。
Drivenは、カーボン製のシャフトとセラミックスピードのベアリングが21個組み合わされた構造となっている。カセットスプロケットは円盤状おろし金のように、ベアリングを噛む歯の山がバイクの外側に向いている。通常のチェーンとスプロケットの位置を垂直に配置しなおしたようなイメージだ。シャフトの中には変速用の機構と電池、パワーメーターが内蔵されており、変速を行うとシャフトのベアリングが移動する仕組みだという。
カセットスプロケットをはじめドライブトレイン自体にカバーを取り付ければエアロダイナミクスのアドバンテージを受けられるとも。チェーンドライブと比較しメンテナンスフリーであることもメリットだという。実用化されるかは不明だが、セラミックスピードが駆動効率を高めることを追求していることがわかる試作品だ。今後の展開に期待したい。
ABUS:コンパクトサイズのブレードロックや新型ヘルメット
ドイツ発のセキュリティブランドABUSも一際大きなブースを構え、数多くの来場者を受け入れていた。まずは、先日日本での発売も発表された「Bordo Lite 6055/60 MINI」をピックアップしよう。このモデルの最大の特徴は、ブレード式ながら手のひら大、iPhone7サイズに収められていること。大きく、重いことから持ち運びにくいブレードロックながら、バックポケットに入れて携帯することができるのは嬉しい。詳しくはレビューを参照のこと。
ロックの最先端を行くブランドだけあり、スマートロックももちろん揃えられている。スマートフォンと連携することで、持ち主が離れた際に不審な振動を検知すると警告音を鳴らし、さらに続けてロックが動かされるとアラームが鳴るという仕組みだ。施錠・解錠にキーは必要ないため、何処かでなくすという心配が少ない。ラインアップにはU字ロックとブレードロックが用意されている。
ABUSは近年ヘルメットも開発するようになり、モビスターの選手たちが着用しツール・ド・フランスを走っている。GameChangerやAventorなどが主なロードモデルにAIRBREAKERという新製品が登場。ヒルクライムなどで使うために開発されたもので、通気性とエアロダイナミクスを追求しているプロダクトだ。このモデルの今後の展開にも期待したい。
IRC:BOKEN+やTANKENなどオフロード系タイヤをリリース
チューブレスタイヤのパイオニアIRCもユーロバイクに出展。ヨーロッパでもチューブレスタイヤは徐々に普及しつつあるといい、使用してみてアドバンテージに気がつくユーザーが多いという。やはりプロダクトは使ってみないとわからないことが多いのだろう。主要なロードラインナップには大きな変更はないが、ASPITE PRO WETのネーミングがASPITE PRO RBCCへと変更される予定とのこと。
ユーロバイクでは、今年の春先にリリースされたグラベルロード用チューブレスレディタイヤ「BOKEN」の650Bバージョンがリリースされた。これまでの700Cタイヤとはトレッドパターンが異なり、センター部分は転がり抵抗を低減させる仕様。幅は42Cと47Cの2種類がラインアップされる。
また「TANKEN」という長いダウンヒルやシングルトラックを走るMTBエンデューロ用のタイヤも登場した。大きいノブをメインに構成することで、ソフトな路面やマッドコンディションでもトラクションが掛かるグリップ力を発揮してくれるという。
開発担当の松田さんイチオシのタイヤはBMX用「SIREN PRO」とのこと。世界チャンピオンであり、オリンピックメダリストであるサム・ウィロビーとともに開発したタイヤなのだとか。40秒でレースが決してしまうBMXでは、スタート時のトラクションなどが重要視され、一つ一つの性能を煮詰めていったという。
ワフー:新型ミドルグレード「KICKR CORE」とローラー台と連携する送風機「HEAD WIND」
チームスカイやカチューシャ、ボーラハンスグローエらをサポートするフィットネスデバイスブランドのワフー。スマートトレーナーのKICKRシリーズとサイクルコンピューターのELEMNTシリーズの2つを主なラインアップとして据えるブランドだ。昨年のユーロバイクでは、前輪をリフトさせることでヴァーチャルサイクリングソフトの斜度を再現するKICKR CLIMBをリリースした。
今年はスマートトレーナーなどと連携するファンと、KICKRシリーズのミドルグレードCoreという2種類がリリースされた。ワフーが作る送風機は、出力されたパワーに応じて風が強くなるという機能が備えられたスマートデバイス。ペダリングが激しくなるにつれ体は熱くなるもの。それに応じて風が強くなってくれるのは嬉しい。
CoreはハイエンドモデルのKICKRに次ぐ、ダイレクトドライブ式固定ローラーのセカンドグレード。駆動方式はフラッグシップモデルを踏襲しながら、バーチャルサイクリングソフトの再現可能斜度や、ハードウェアの面をアジャストすることで、優れたコストパフォーマンスを実現している。タイヤドライブ式のSNAPと並ぶトレーナーの出現により、ZWIFTなどをより楽しめる人が増えそうだ。
フィドロック:マグネット式ボトルケージを現地でチェック!
日本でも展開が開始されたばかりのフィドロックのブースも訪問。ドイツに拠点を構えるボタンメーカーはマグネット式バックルを得意とし、そのテクノロジーをボトルに応用したプロダクトをリリースしている。ユーロバイクでもボトルケージレスのボトルシステム「ツイストボトル」を中心とした展示が行われており、ワンタッチでボトルを装着できるシステムに数多くの来場者が注目していた。
数あるプロダクトの中でもフルサスMTBのダウンチューブにも装着できるミニボトルと、ボアクロージャーシステムを使用したストレージが来場者の興味の的。ボアのストレージは、ワイヤーで荷物を締め上げるだけという非常に簡素なプロダクトだが、キャンプツーリングなどで活躍してくれるだろう。
text&photo:Gakuto Fujiwara
セラミックスピード:驚愕のシャフトドライブを発表
これまでセラミックベアリングやビッグプーリー、チェーンコーティングを駆使し駆動効率を追求してきたセラミックスピードが次に着目したのは、そもそものドライブトレイン自体だった。ユーロバイクでドライブシャフト「Driven」を発表。チェーンやベルトドライブが当たり前のスポーツサイクルにおいて、驚愕の試作コンポーネントをひと目見ようと、セラミックスピードのブースには3日通して常に人が集まるほどの人気を集めていた。
ブース担当者によると「チェーン駆動の場合では、チェーンリングで2箇所、上下のプーリーで4箇所、カセットスプロケットで2箇所、計8箇所のコンタクトポイントがあり摩擦が生まれます。ベアリング付きのシャフトに置き換えると、それらを少なくすることができる」という。また、発表資料によると、通常のシマノDURA-ACEよりも49%も摩擦を減らすことに成功しているとも。
Drivenは、カーボン製のシャフトとセラミックスピードのベアリングが21個組み合わされた構造となっている。カセットスプロケットは円盤状おろし金のように、ベアリングを噛む歯の山がバイクの外側に向いている。通常のチェーンとスプロケットの位置を垂直に配置しなおしたようなイメージだ。シャフトの中には変速用の機構と電池、パワーメーターが内蔵されており、変速を行うとシャフトのベアリングが移動する仕組みだという。
カセットスプロケットをはじめドライブトレイン自体にカバーを取り付ければエアロダイナミクスのアドバンテージを受けられるとも。チェーンドライブと比較しメンテナンスフリーであることもメリットだという。実用化されるかは不明だが、セラミックスピードが駆動効率を高めることを追求していることがわかる試作品だ。今後の展開に期待したい。
ABUS:コンパクトサイズのブレードロックや新型ヘルメット
ドイツ発のセキュリティブランドABUSも一際大きなブースを構え、数多くの来場者を受け入れていた。まずは、先日日本での発売も発表された「Bordo Lite 6055/60 MINI」をピックアップしよう。このモデルの最大の特徴は、ブレード式ながら手のひら大、iPhone7サイズに収められていること。大きく、重いことから持ち運びにくいブレードロックながら、バックポケットに入れて携帯することができるのは嬉しい。詳しくはレビューを参照のこと。
ロックの最先端を行くブランドだけあり、スマートロックももちろん揃えられている。スマートフォンと連携することで、持ち主が離れた際に不審な振動を検知すると警告音を鳴らし、さらに続けてロックが動かされるとアラームが鳴るという仕組みだ。施錠・解錠にキーは必要ないため、何処かでなくすという心配が少ない。ラインアップにはU字ロックとブレードロックが用意されている。
ABUSは近年ヘルメットも開発するようになり、モビスターの選手たちが着用しツール・ド・フランスを走っている。GameChangerやAventorなどが主なロードモデルにAIRBREAKERという新製品が登場。ヒルクライムなどで使うために開発されたもので、通気性とエアロダイナミクスを追求しているプロダクトだ。このモデルの今後の展開にも期待したい。
IRC:BOKEN+やTANKENなどオフロード系タイヤをリリース
チューブレスタイヤのパイオニアIRCもユーロバイクに出展。ヨーロッパでもチューブレスタイヤは徐々に普及しつつあるといい、使用してみてアドバンテージに気がつくユーザーが多いという。やはりプロダクトは使ってみないとわからないことが多いのだろう。主要なロードラインナップには大きな変更はないが、ASPITE PRO WETのネーミングがASPITE PRO RBCCへと変更される予定とのこと。
ユーロバイクでは、今年の春先にリリースされたグラベルロード用チューブレスレディタイヤ「BOKEN」の650Bバージョンがリリースされた。これまでの700Cタイヤとはトレッドパターンが異なり、センター部分は転がり抵抗を低減させる仕様。幅は42Cと47Cの2種類がラインアップされる。
また「TANKEN」という長いダウンヒルやシングルトラックを走るMTBエンデューロ用のタイヤも登場した。大きいノブをメインに構成することで、ソフトな路面やマッドコンディションでもトラクションが掛かるグリップ力を発揮してくれるという。
開発担当の松田さんイチオシのタイヤはBMX用「SIREN PRO」とのこと。世界チャンピオンであり、オリンピックメダリストであるサム・ウィロビーとともに開発したタイヤなのだとか。40秒でレースが決してしまうBMXでは、スタート時のトラクションなどが重要視され、一つ一つの性能を煮詰めていったという。
ワフー:新型ミドルグレード「KICKR CORE」とローラー台と連携する送風機「HEAD WIND」
チームスカイやカチューシャ、ボーラハンスグローエらをサポートするフィットネスデバイスブランドのワフー。スマートトレーナーのKICKRシリーズとサイクルコンピューターのELEMNTシリーズの2つを主なラインアップとして据えるブランドだ。昨年のユーロバイクでは、前輪をリフトさせることでヴァーチャルサイクリングソフトの斜度を再現するKICKR CLIMBをリリースした。
今年はスマートトレーナーなどと連携するファンと、KICKRシリーズのミドルグレードCoreという2種類がリリースされた。ワフーが作る送風機は、出力されたパワーに応じて風が強くなるという機能が備えられたスマートデバイス。ペダリングが激しくなるにつれ体は熱くなるもの。それに応じて風が強くなってくれるのは嬉しい。
CoreはハイエンドモデルのKICKRに次ぐ、ダイレクトドライブ式固定ローラーのセカンドグレード。駆動方式はフラッグシップモデルを踏襲しながら、バーチャルサイクリングソフトの再現可能斜度や、ハードウェアの面をアジャストすることで、優れたコストパフォーマンスを実現している。タイヤドライブ式のSNAPと並ぶトレーナーの出現により、ZWIFTなどをより楽しめる人が増えそうだ。
フィドロック:マグネット式ボトルケージを現地でチェック!
日本でも展開が開始されたばかりのフィドロックのブースも訪問。ドイツに拠点を構えるボタンメーカーはマグネット式バックルを得意とし、そのテクノロジーをボトルに応用したプロダクトをリリースしている。ユーロバイクでもボトルケージレスのボトルシステム「ツイストボトル」を中心とした展示が行われており、ワンタッチでボトルを装着できるシステムに数多くの来場者が注目していた。
数あるプロダクトの中でもフルサスMTBのダウンチューブにも装着できるミニボトルと、ボアクロージャーシステムを使用したストレージが来場者の興味の的。ボアのストレージは、ワイヤーで荷物を締め上げるだけという非常に簡素なプロダクトだが、キャンプツーリングなどで活躍してくれるだろう。
text&photo:Gakuto Fujiwara
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