ツール・ド・フランスにて未来のマイヨジョーヌ候補が純白のジャージを争うマイヨブラン。1993年以降に生まれたヤングライダーたちがしのぎを削るこの賞の有力選手を紹介します。



1993年1月1日以降の選手が対象のヤングライダー賞

2017年にマイヨブランを獲得したサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)2017年にマイヨブランを獲得したサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) photo:Kei Tsuji / TDWsport
1975年のツール・ド・フランスで初めて導入されたマイヨブランは、将来のマイヨジョーヌ候補がしのぎを削るもう一つの総合争い。現在マイヨブランを争っているメンバーが5年後、10年後にマイヨジョーヌを巡って競り合うことになる。ジャージスポンサーは眼鏡販売会社のクリス社。

日本語で「新人賞」と訳されがちだが、マイヨブランの対象となるのはプロ1年目の新人やツール初出場の選手だけではなく、誕生日が1993年1月1日以降の選手。つまり正確には「ヤングライダー賞」であり、25歳以下の選手が対象となる。

ヤングライダー賞対象選手が総合優勝に輝いたのは過去に数例ある。1983年にローラン・フィニョン(フランス)、1997年にヤン・ウルリッヒ(ドイツ)、2007年にアルベルト・コンタドール(スペイン)が、マイヨジョーヌとマイヨブランを同時に獲得している。2010年に総合2位でフィニッシュしたアンディ・シュレク(ルクセンブルク)は3度目のヤングライダー賞を獲得。総合優勝したコンタドールがその後のドーピング違反発覚で失格になったことで、史上4例目のヤングライダー賞対象選手による総合優勝が決まった。



イェーツ兄弟は卒業 ベルナルやソレル、ラトゥールら次世代選手が争う

カリフォルニアに総合優勝を飾ったエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)カリフォルニアに総合優勝を飾ったエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) photo:Amgen Tour of California
過去2年間イェーツ兄弟(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が獲得しているマイヨブラン。1992年生まれのイェーツが対象から外れるため、その次の世代の選手がマイヨブランを争うことになる。

単純な総合力ではエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)が頭一つ抜け出た存在だろう。ツアー・オブ・カリフォルニアで総合優勝を飾ったベルナルは出場選手中最年少でしかもグランツール初挑戦。しかしフルームのアシストがチームの最優先事項のため、ベルナルは山岳アシストとしてエースに仕えることになる。ベルナルも「前半のステージでマイヨブランを着ることになるかもしれないけど、それが目的ではないし、ジャージを守るために走ることはない」と断言している。

パリ〜ニース総合優勝者のマルク・ソレル(スペイン、モビスター)や、クリテリウム・デュ・ドーフィネでマイヨブランを獲得したピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)、アントワン・トルホーク(オランダ、ロットNLユンボ)といった次世代オールラウンダーもベルナルと同様にアシストとしての仕事が最優先だ。

一方でマイヨブランに向けて自由に動けるのはティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル)やギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール)、ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)ら。序盤ステージではスプリンターのフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)やディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)、ジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ)らがマイヨブランを着ることになるだろう。

ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) photo:Kei Tsuji / TDWsport
マルク・ソレル(スペイン、モビスター)マルク・ソレル(スペイン、モビスター) photo:A.S.O.
マイヨブラン対象選手のティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル)マイヨブラン対象選手のティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル) photo:Kei Tsuji



ツール・ド・フランス2017ヤングライダー賞ランキング
1位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)        86:27:09
2位 ルイス・メインチェス(南アフリカ、UAEチームエミレーツ)      02:06
3位 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)      27:07
4位 ティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル)          35:50
5位 ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール)     47:38
6位 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)     1:18:45
7位 リリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)    1:29:02
8位 ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、アスタナ)           2:19:22
9位 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)         2:31:25
10位 ディラン・ファンバーレ(オランダ、キャノンデール・ドラパック) 2:40:57



歴代のマイヨブラン獲得者(同年の総合成績)
2017年 サイモン・イェーツ(イギリス)        総合7位
2016年 アダム・イェーツ(イギリス)         総合4位
2015年 ナイロ・キンタナ(コロンビア)        総合2位
2014年 ティボー・ピノ(フランス)          総合3位
2013年 ナイロ・キンタナ(コロンビア)        総合2位
2012年 ティージェイ・ヴァンガーデレン)       総合5位
2011年 ピエール・ロラン(フランス)         総合10位
2010年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク)     総合1位
2009年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク)     総合2位
2008年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク)     総合12位
2007年 アルベルト・コンタドール(スペイン)     総合1位
2006年 ダミアーノ・クネゴ(イタリア)        総合12位
2005年 ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ)    総合12位
2004年 ウラディミール・カルペツ(ロシア)      総合13位
2003年 デニス・メンショフ(ロシア)         総合11位
2002年 イヴァン・バッソ(イタリア)         総合11位
2001年 オスカル・セビリャ(スペイン)        総合7位
2000年 フランシスコ・マンセーボ(スペイン)     総合9位
1999年 ブノワ・サルモン(フランス)         総合16位
1998年 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ)          総合2位
1997年 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ)          総合1位
1996年 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ)          総合2位
1995年 マルコ・パンターニ(イタリア)        総合13位
1994年 マルコ・パンターニ(イタリア)        総合3位
1993年 アントニオ・マルティン・ベラスコ(スペイン) 総合12位
1992年 エディ・ボウマンス(オランダ)        総合14位
1991年 アルバロ・メヒア(コロンビア)        総合19位
1990年 ジル・ドリオン(フランス)          総合15位

text:Kei Tsuji in La Roche-sur-Yon, France

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