2018/06/17(日) - 09:49
ツール・ド・スイス最終日前日の第8ステージを締めくくる大集団スプリント。ピュアスプリンターが揃うハイスピードバトルで、仏王者アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)がガビリア、クリストフ、サガン、ストゥイヴェンらを下した。
ツール・ド・スイス第8ステージはイタリア語圏ベッリンツォーナの21.5km周回コースを6周する123.8km(ニュートラル区間5.2kmを除く)。山がちなスイスにしては珍しく平坦基調の周回コースで、カテゴリー山岳も設定されておらず、ステージ全体の獲得標高差は1,000mに満たない。厳しい山岳3連戦を乗り越えたピュアスプリンターたちにラストチャンスが回ってきた。
ウィリー・スミット(南アフリカ、カチューシャ・アルペシン)、エドワード・ダンバー(アイルランド、アクアブルースポート)、ネイサン・ブラウン(アメリカ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、ポール・オウスラン(フランス、ディレクトエネルジー)の4名が序盤から逃げグループを形成したものの、ラストチャンスをものにしたいクイックステップフロアーズやボーラ・ハンスグローエ、ロット・スーダルが集団先頭に立ってパトロールしたためタイム差は2分前後で推移。残り28km地点でタイム差は1分を割り込み、最終周回に差し掛かるころには30秒まで縮まった。
早すぎる逃げ吸収を避けたいメイン集団はペースを調整しながら、スプリンターチームが隊列を組み直して勝負に備えながら、残り5km地点で逃げグループを吸収する。以下は周回コースのラップタイムと平均スピード、そしてジャック・ヘイグ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)の平均出力。
周回/ラップタイム/平均スピード/ヘイグの平均出力
2周目 29分43秒 42.8km/h 189W
3周目 28分41秒 44.4km/h 203W
4周目 28分23秒 44.8km/h 195W
5周目 27分19秒 46.6km/h 227W
6周目 25分23秒 50.1km/h 272W
逃げ吸収後、グルパマFDJとボーラ・ハンスグローエがメイン集団の先頭で競り合いながらフィニッシュに向かって突き進んだ。残り1kmアーチを前に主導権を握ったのはグルパマFDJ。ラモン・シンケルダム(オランダ)とジャコポ・グアルニエーリ(イタリア)がアルノー・デマール(フランス)のためにリードアウトを見せる。
残り500mでクイックステップフロアーズのマキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)とフェルナンド・ガビリア(コロンビア)が後方から加速してグルパマFDJの前に出る。ガビリアの後ろにデマール、アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が続き、緩いコーナーを曲がりながらスプリントが始まった。
残り200mでコーナーのイン側を突いたガビリアと、仕事を終えたリケーゼをアウト側から抜いてスプリントしたデマール。最短ラインを突き進んだガビリアだったが、デマールのスプリントが伸びた。トップスピードに乗った状態からケイデンス112rpm前後でトップギアを踏んだデマールが最高速68.4km/hでガビリアをパス。サガンやクリストフの追い上げを阻止した青白赤のフランスチャンピオンジャージが大きく両手を広げた。
デマールは「大集団でのスプリントは今大会初めて。ツールに向けた重要な指標になるこのレースで、チームの完璧な仕事を勝利に結びつけることができてとても満足している。この美しいナショナルチャンピオンジャージを着て走る最後のレースで勝つことができて本当に良かった」と、今シーズン2勝目、キャリア通算49勝目を喜ぶ。スイスでは2013年の第4ステージでも優勝しており、これがステージ通算2勝目。今大会の前半ステージでは山岳で遅れて勝負に絡めずにいた。
「マックス(リケーゼ)が完璧なタイミングで先頭まで引き上げてくれて残り200mからスプリントに持ち込んだけど、今日はデマールのほうが強かった」と語るのはステージ2位のガビリア。初出場するツール・ド・フランスに向けて調子を上げる23歳は「敗れたものの、調子の良い状態が続いていることを前向きに捉えたい。このツール・ド・スイス終了後、リヴィーニョで高地トレーニングを行なってツールの準備を仕上げたい」と語っている。
フィニッシュ地点での獲得ポイントが比較的低く、中間スプリントでの獲得ポイントが高いツール・ド・スイスのポイント賞において、この日ステージ4位のサガンが首位に返り咲いた。自身7回目(2016年はリケーゼ獲得)のポイント賞獲得をほぼ確定させたサガンは「全力を尽くした。もちろんステージ優勝できれば良かったけど、スプリントは見た目以上に複雑で難しいんだ。調子の良さには満足しているし、引き続き今後のレースに向けてトレーニングを続けるよ」と、他のスプリンターたちと同様に7月の大一番に目を向ける。
総合上位陣は同タイムでフィニッシュし、リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)が総合首位をキープ。ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)に対して17秒のリードで最終日の34.1km個人タイムトライアルに挑むポートは「集団内はとても混沌としていて、ストレスも多くて落ち着く暇もなかった。フィル・アンダーソンに続く史上2人目のオーストラリア人総合優勝者になる夢の実現がすぐそこに迫っている。明日の個人タイムトライアルをしっかりこなしたい」と語っている。
ツール・ド・スイス第8ステージはイタリア語圏ベッリンツォーナの21.5km周回コースを6周する123.8km(ニュートラル区間5.2kmを除く)。山がちなスイスにしては珍しく平坦基調の周回コースで、カテゴリー山岳も設定されておらず、ステージ全体の獲得標高差は1,000mに満たない。厳しい山岳3連戦を乗り越えたピュアスプリンターたちにラストチャンスが回ってきた。
ウィリー・スミット(南アフリカ、カチューシャ・アルペシン)、エドワード・ダンバー(アイルランド、アクアブルースポート)、ネイサン・ブラウン(アメリカ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、ポール・オウスラン(フランス、ディレクトエネルジー)の4名が序盤から逃げグループを形成したものの、ラストチャンスをものにしたいクイックステップフロアーズやボーラ・ハンスグローエ、ロット・スーダルが集団先頭に立ってパトロールしたためタイム差は2分前後で推移。残り28km地点でタイム差は1分を割り込み、最終周回に差し掛かるころには30秒まで縮まった。
早すぎる逃げ吸収を避けたいメイン集団はペースを調整しながら、スプリンターチームが隊列を組み直して勝負に備えながら、残り5km地点で逃げグループを吸収する。以下は周回コースのラップタイムと平均スピード、そしてジャック・ヘイグ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)の平均出力。
周回/ラップタイム/平均スピード/ヘイグの平均出力
2周目 29分43秒 42.8km/h 189W
3周目 28分41秒 44.4km/h 203W
4周目 28分23秒 44.8km/h 195W
5周目 27分19秒 46.6km/h 227W
6周目 25分23秒 50.1km/h 272W
逃げ吸収後、グルパマFDJとボーラ・ハンスグローエがメイン集団の先頭で競り合いながらフィニッシュに向かって突き進んだ。残り1kmアーチを前に主導権を握ったのはグルパマFDJ。ラモン・シンケルダム(オランダ)とジャコポ・グアルニエーリ(イタリア)がアルノー・デマール(フランス)のためにリードアウトを見せる。
残り500mでクイックステップフロアーズのマキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)とフェルナンド・ガビリア(コロンビア)が後方から加速してグルパマFDJの前に出る。ガビリアの後ろにデマール、アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が続き、緩いコーナーを曲がりながらスプリントが始まった。
残り200mでコーナーのイン側を突いたガビリアと、仕事を終えたリケーゼをアウト側から抜いてスプリントしたデマール。最短ラインを突き進んだガビリアだったが、デマールのスプリントが伸びた。トップスピードに乗った状態からケイデンス112rpm前後でトップギアを踏んだデマールが最高速68.4km/hでガビリアをパス。サガンやクリストフの追い上げを阻止した青白赤のフランスチャンピオンジャージが大きく両手を広げた。
デマールは「大集団でのスプリントは今大会初めて。ツールに向けた重要な指標になるこのレースで、チームの完璧な仕事を勝利に結びつけることができてとても満足している。この美しいナショナルチャンピオンジャージを着て走る最後のレースで勝つことができて本当に良かった」と、今シーズン2勝目、キャリア通算49勝目を喜ぶ。スイスでは2013年の第4ステージでも優勝しており、これがステージ通算2勝目。今大会の前半ステージでは山岳で遅れて勝負に絡めずにいた。
「マックス(リケーゼ)が完璧なタイミングで先頭まで引き上げてくれて残り200mからスプリントに持ち込んだけど、今日はデマールのほうが強かった」と語るのはステージ2位のガビリア。初出場するツール・ド・フランスに向けて調子を上げる23歳は「敗れたものの、調子の良い状態が続いていることを前向きに捉えたい。このツール・ド・スイス終了後、リヴィーニョで高地トレーニングを行なってツールの準備を仕上げたい」と語っている。
フィニッシュ地点での獲得ポイントが比較的低く、中間スプリントでの獲得ポイントが高いツール・ド・スイスのポイント賞において、この日ステージ4位のサガンが首位に返り咲いた。自身7回目(2016年はリケーゼ獲得)のポイント賞獲得をほぼ確定させたサガンは「全力を尽くした。もちろんステージ優勝できれば良かったけど、スプリントは見た目以上に複雑で難しいんだ。調子の良さには満足しているし、引き続き今後のレースに向けてトレーニングを続けるよ」と、他のスプリンターたちと同様に7月の大一番に目を向ける。
総合上位陣は同タイムでフィニッシュし、リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)が総合首位をキープ。ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)に対して17秒のリードで最終日の34.1km個人タイムトライアルに挑むポートは「集団内はとても混沌としていて、ストレスも多くて落ち着く暇もなかった。フィル・アンダーソンに続く史上2人目のオーストラリア人総合優勝者になる夢の実現がすぐそこに迫っている。明日の個人タイムトライアルをしっかりこなしたい」と語っている。
ツール・ド・スイス2018第8ステージ
1位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 2:41:07 |
2位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) | |
3位 | アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) | |
4位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
5位 | ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) | |
6位 | ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード) | |
7位 | レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ) | |
8位 | ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
9位 | アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル) | |
10位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) |
個人総合成績
1位 | リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) | 28:47:17 |
2位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | 0:00:17 |
3位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:52 |
4位 | エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) | 0:00:53 |
5位 | サム・オーメン(オランダ、サンウェブ) | 0:01:13 |
6位 | ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) | 0:01:28 |
7位 | ミケル・ランダ(スペイン、モビスター) | 0:01:31 |
8位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) | 0:01:37 |
9位 | シモン・スピラク(スロベニア、カチューシャ・アルペシン) | 0:01:48 |
10位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | 0:02:26 |
ポイント賞
1位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 26pts |
2位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) | 24pts |
3位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) | 24pts |
山岳賞
1位 | マーク・クリスティアン(イギリス、アクアブルースポート) | 36pts |
2位 | ネイサン・ハース(オーストラリア、カチューシャ・アルペシン) | 32pts |
3位 | ロメン・シカール(フランス、ディレクトエネルジー) | 24pts |
ヤングライダー賞
1位 | エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) | 28:48:10 |
2位 | サム・オーメン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:20 |
3位 | ビョルグ・ランブレヒト(ベルギー、ロット・スーダル) | 0:02:22 |
チーム総合成績
1位 | アスタナ | 85:49:02 |
2位 | アージェードゥーゼール | 0:01:42 |
3位 | モビスター | 0:03:50 |
text:Kei Tsuji
photo:CorVos
photo:CorVos
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