2018/05/19(土) - 14:05
ほぼ登りしかない過酷な1日に、エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)が圧勝。リーダージャージを取り戻し、自身初となるワールドツアー総合優勝にあと一歩まで迫った。
7日間で争われるツアー・オブ・カリフォルニア(UCIワールドツアー)は、いよいよ総合成績を決定づけるクイーンステージに直面した。フォルソムを出発した直後にシエラネバダ山脈に取り付き、3級、1級、2級、2級とクリアしつつ標高2,615mの最高標高地点カールソンパス(カテゴリー2級)をクリア。一度1,469m地点まで下ってから1級山岳ダゲットサミット(標高2,235m)を越え、最後に3級山岳サウスレイクタホを目指す。196.5kmで総獲得標高4,876mという過酷なコースがクライマーたちの戦いを見届けた。
この日は序盤に9名の逃げが決まった。メンバーはフローリス・デティエ(ベルギー、ロットNLユンボ)、トムイェルト・スラフテル(ベルギー、ディメンションデータ)、エヴァン・ハフマン(アメリカ、ラリーサイクリング)、ブノワ・コズネフロワ(フランス、アージェードゥーゼル)、シーン・ベネット(アメリカ、ハーゲンスベルマン・アクセオン)、ローソン・クラドック(アメリカ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、グレゴリー・ラスト(スイス、トレック・セガフレード)、トームス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)、セルゲイ・トヴェトコフ(ラトビア、ユナイテッドヘルスケア)。
山岳ポイントではランキング3位(13ポイント)のスクインシュと同5位(12ポイント)のハフマンが激しく火花を散らした。最初の3級山岳を2位通過したハフマンがスクインシュを逆転したが、スクインシュは続く1級山岳スライパークロードサミット(登坂距離4.5km/平均勾配7.9%)、続く2級山岳モルモンエミグラントサミット(2.7km/6.9%)を先頭通過し、標高2,432mの2級山岳カークウッドサミット(3.9km/6.3%)でもハフマンを抑えて2位通過。カールソンパスではハフマンの先行を許したが、山岳2ヶ所を残した段階で1ポイント差の暫定首位に立つ。
メイン集団ではエガン・ベルナル(コロンビア)の必勝態勢を敷くチームスカイがコントロールを担い、ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)の総合リードを守りたいBMCレーシングがその後ろをマーク。山岳ポイント争いを繰り広げる逃げグループとのタイム差を1分程度まで縮めて後半の1級山岳ダゲットサミット(登坂距離12.7km/6.1%)に突入した。
序盤からチームスカイがペースアップを始め、中腹付近で逃げグループをキャッチしたことで山岳ポイント争いが終わり、スクインシュの山岳賞が確定する。昨年大会で総合7位に入ったラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ)が単独アタックするも十分なリードは稼げなかった。
セバスティアン・エナオ(コロンビア、チームスカイ)の牽引によって総合6位のラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)が千切れ、ヴァンガーデレンのアシストも不在に。総合5位のタオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームスカイ)の揺さぶりによって総合バトルのゴングが打ち鳴らされた。
ヴァンガーデレンとベルナル、総合3位ダニエル・マルティネス(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、総合4位アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)だけが残り、間髪入れずにベルナルがアタック。14km以上を残したアタックにヴァンガーデレンは追従できなかった。
緩斜面でアウターギアを踏むベルナルは一瞬でリードを稼ぎ出し、ヴァンガーデレンとの総合タイム差23秒をひっくり返した。苦しいヴァンガーデレンは一時千切れたイェーツやマルティネスと共に追走したが、その差は開いていくばかり。ダゲットサミット頂上でリードは1分まで広がった。
続く下りと平坦で後続グループは6人(ヴァンガーデレン、マルティネス、イェーツ、ゲオゲガンハート、マイカ、ブランドン・マクナルティ)がまとまったが、お見合いによって数の利を活かせない。1分20秒差を得たベルナルはゴールまで続く最後の3級山岳(1.7km/5.9%)に到達。苦しい表情を見せながらも最後まで重いギアを踏み切った。
21歳の若き総合エースがチームロゴをアピールしてフィニッシュした1分半後、ヴァンガーデレンもゴール。ベルナルは自身初のワールドツアー総合優勝に王手を掛けた。
「僕がアタックした時点でフィニッシュまでは10km以上あった。僕を助けてくれたチームメイトと同じように、平坦区間では全力でプッシュした。残り100mで総合優勝できるんだと分かったよ。屈強なチームメイトを持てたことを誇りに思うし、スタッフも含めて全ての人に感謝したい。今回の勝利は僕だけではなく、彼らの勝利だ」とリーダージャージを奪い返したベルナルはチームの働きを賞賛する。
一方、敗れたヴァンガーデレンはシンプルにベルナルを称えた。「ベルナルが動いた峠で全開に達してしまった。今日みたいな日にはライバルを称えるしかない。彼は輝かしい未来を持つヤングタレント。僕と彼では登りで釣り合わなかった。次のレースで活躍することを目標にしたい」。
また、ダゲットサミットで登坂勝負に持ち込まれた女子レースの第2ステージでは、昨年大会の最終日に逆転で総合優勝を逃したケイティ・ホール(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)が圧勝。昨年のリベンジ達成にあと一歩のところまで迫っている。
7日間で争われるツアー・オブ・カリフォルニア(UCIワールドツアー)は、いよいよ総合成績を決定づけるクイーンステージに直面した。フォルソムを出発した直後にシエラネバダ山脈に取り付き、3級、1級、2級、2級とクリアしつつ標高2,615mの最高標高地点カールソンパス(カテゴリー2級)をクリア。一度1,469m地点まで下ってから1級山岳ダゲットサミット(標高2,235m)を越え、最後に3級山岳サウスレイクタホを目指す。196.5kmで総獲得標高4,876mという過酷なコースがクライマーたちの戦いを見届けた。
この日は序盤に9名の逃げが決まった。メンバーはフローリス・デティエ(ベルギー、ロットNLユンボ)、トムイェルト・スラフテル(ベルギー、ディメンションデータ)、エヴァン・ハフマン(アメリカ、ラリーサイクリング)、ブノワ・コズネフロワ(フランス、アージェードゥーゼル)、シーン・ベネット(アメリカ、ハーゲンスベルマン・アクセオン)、ローソン・クラドック(アメリカ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、グレゴリー・ラスト(スイス、トレック・セガフレード)、トームス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)、セルゲイ・トヴェトコフ(ラトビア、ユナイテッドヘルスケア)。
山岳ポイントではランキング3位(13ポイント)のスクインシュと同5位(12ポイント)のハフマンが激しく火花を散らした。最初の3級山岳を2位通過したハフマンがスクインシュを逆転したが、スクインシュは続く1級山岳スライパークロードサミット(登坂距離4.5km/平均勾配7.9%)、続く2級山岳モルモンエミグラントサミット(2.7km/6.9%)を先頭通過し、標高2,432mの2級山岳カークウッドサミット(3.9km/6.3%)でもハフマンを抑えて2位通過。カールソンパスではハフマンの先行を許したが、山岳2ヶ所を残した段階で1ポイント差の暫定首位に立つ。
メイン集団ではエガン・ベルナル(コロンビア)の必勝態勢を敷くチームスカイがコントロールを担い、ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)の総合リードを守りたいBMCレーシングがその後ろをマーク。山岳ポイント争いを繰り広げる逃げグループとのタイム差を1分程度まで縮めて後半の1級山岳ダゲットサミット(登坂距離12.7km/6.1%)に突入した。
序盤からチームスカイがペースアップを始め、中腹付近で逃げグループをキャッチしたことで山岳ポイント争いが終わり、スクインシュの山岳賞が確定する。昨年大会で総合7位に入ったラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ)が単独アタックするも十分なリードは稼げなかった。
セバスティアン・エナオ(コロンビア、チームスカイ)の牽引によって総合6位のラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)が千切れ、ヴァンガーデレンのアシストも不在に。総合5位のタオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームスカイ)の揺さぶりによって総合バトルのゴングが打ち鳴らされた。
ヴァンガーデレンとベルナル、総合3位ダニエル・マルティネス(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、総合4位アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)だけが残り、間髪入れずにベルナルがアタック。14km以上を残したアタックにヴァンガーデレンは追従できなかった。
緩斜面でアウターギアを踏むベルナルは一瞬でリードを稼ぎ出し、ヴァンガーデレンとの総合タイム差23秒をひっくり返した。苦しいヴァンガーデレンは一時千切れたイェーツやマルティネスと共に追走したが、その差は開いていくばかり。ダゲットサミット頂上でリードは1分まで広がった。
続く下りと平坦で後続グループは6人(ヴァンガーデレン、マルティネス、イェーツ、ゲオゲガンハート、マイカ、ブランドン・マクナルティ)がまとまったが、お見合いによって数の利を活かせない。1分20秒差を得たベルナルはゴールまで続く最後の3級山岳(1.7km/5.9%)に到達。苦しい表情を見せながらも最後まで重いギアを踏み切った。
21歳の若き総合エースがチームロゴをアピールしてフィニッシュした1分半後、ヴァンガーデレンもゴール。ベルナルは自身初のワールドツアー総合優勝に王手を掛けた。
「僕がアタックした時点でフィニッシュまでは10km以上あった。僕を助けてくれたチームメイトと同じように、平坦区間では全力でプッシュした。残り100mで総合優勝できるんだと分かったよ。屈強なチームメイトを持てたことを誇りに思うし、スタッフも含めて全ての人に感謝したい。今回の勝利は僕だけではなく、彼らの勝利だ」とリーダージャージを奪い返したベルナルはチームの働きを賞賛する。
一方、敗れたヴァンガーデレンはシンプルにベルナルを称えた。「ベルナルが動いた峠で全開に達してしまった。今日みたいな日にはライバルを称えるしかない。彼は輝かしい未来を持つヤングタレント。僕と彼では登りで釣り合わなかった。次のレースで活躍することを目標にしたい」。
また、ダゲットサミットで登坂勝負に持ち込まれた女子レースの第2ステージでは、昨年大会の最終日に逆転で総合優勝を逃したケイティ・ホール(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)が圧勝。昨年のリベンジ達成にあと一歩のところまで迫っている。
ステージ結果
1位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | 5h30’58” |
2位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | +1’28” |
3位 | タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームスカイ) | +1’30” |
4位 | ブランドン・マクマルティ(アメリカ、ラリーサイクリング) | +1’33” |
5位 | ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ) | +1’38” |
6位 | マティアス・フランク(スイス、アージェードゥーゼル) | |
7位 | ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) | |
8位 | ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | +1’45” |
9位 | エドワルド・ラヴァージ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | +1’46” |
10位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | +1’50 |
個人総合成績
1位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | 22h26’40” |
2位 | ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) | +1’25” |
3位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | +2’14” |
4位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | +2’16” |
5位 | タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームスカイ) | +2’28” |
6位 | ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | +3’01” |
7位 | ブランドン・マクマルティ(アメリカ、ラリーサイクリング) | +3’28” |
8位 | ローレンス・デプルス(ベルギー、クイックステップフロアーズ) | +3’50” |
9位 | クリスティアン・デュラセク(クロアチア、UAEチームエミレーツ) | +3’59” |
10位 | マティアス・フランク(スイス、アージェードゥーゼル) | +4’01” |
ポイント賞
1位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | 36pts |
2位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 33pts |
3位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) | 30pts |
山岳賞
1位 | トームス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード) | 34pts |
2位 | エヴァン・ハフマン(アメリカ、ラリーサイクリング) | 33pts |
3位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | 26pts |
ヤングライダー賞
1位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | 22h26’40” |
2位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | +2’14’ |
3位 | タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームスカイ) | +2’28” |
チーム総合成績
1位 | チームスカイ | 67h32’44” |
2位 | トレック・セガフレード | +8’18” |
3位 | BMCレーシング | +9’26” |
女子レース第2ステージ結果
1位 | ケイティ・ホール(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア) | 3h06’41” |
2位 | タイラー・ウィレス(アメリカ、トレック・ドロップス) | +25” |
3位 | カタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド、キャニオン・スラム) | +1’01” |
4位 | エリカ・マグナルディ(イタリア、ビーピンク) | +1’02” |
5位 | ブロディ・チャップマン(オーストラリア、ティブコSVB) | +1’06” |
6位 | カロリーナ・ロドリゲス(メキシコ、アスタナ) | +1’10” |
7位 | サラ・ポワドゥヴァン(カナダ、ラリーサイクリング) | +1’33” |
8位 | レア・トーマス(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア) | +2’14” |
9位 | ジュリエット・ラボウ(フランス、サンウェブ) | +2’18” |
10位 | マルセラ・プリエト(メキシコ、スワピット・アゴリコ) | +2’21” |
35位 | 樫木祥子(チームイルミネイト) | +9’18” |
女子レース総合成績
1位 | ケイティ・ホール(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア) | 6h13’39” |
2位 | タイラー・ウィレス(アメリカ、トレック・ドロップス) | +29” |
3位 | カタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド、キャニオン・スラム) | +1’07” |
4位 | エリカ・マグナルディ(イタリア、ビーピンク) | +1’12” |
5位 | ブロディ・チャップマン(オーストラリア、ティブコSVB) | +1’16” |
6位 | カロリーナ・ロドリゲス(メキシコ、アスタナ) | +1’20” |
7位 | サラ・ポワドゥヴァン(カナダ、ラリーサイクリング) | +1’43” |
8位 | レア・トーマス(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア) | +2’24” |
9位 | ジュリエット・ラボウ(フランス、サンウェブ) | +2’28” |
10位 | マルセラ・プリエト(メキシコ、スワピット・アゴリコ) | +2’31” |
text:So.Isobe
photo:CorVos,Amgen Tour of California
photo:CorVos,Amgen Tour of California
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