2018/05/17(木) - 01:57
丘の町オージモに向かう最大勾配16%の登りでライバルたちを置き去りにしたマリアローザ。トム・デュムランに2秒差をつけたサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が今大会ステージ2勝目を飾った。
聖地アッシジをスタートし、アペニン山脈を横切ってオージモに向かう起伏に富んだ156kmコースで行われたジロ・デ・イタリア第11ステージ。3級山岳コルネッロ峠と3級山岳ヴァリコ・ディ・ピエトラロッサを通過し、後半にかけてマルケ州特有の「ムーロ(壁)」と呼ばれるカテゴリーのついていない急坂をこなす。獲得標高差は2,800m。丘の上の町オージモに向かって最大勾配16%の急坂区間も登場するレイアウトは、パンチャーたちのモチベーションを上げた。
前日に続き、この日も逃げグループ形成までのアタック合戦は熾烈を極めた。アンドローニジョカトリ・シデルメクを中心に断続的にアタックが繰り返された結果、31km地点でルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)とアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)が徐々にリードを広げ始める。このUCIワールドチーム2名を追いかける形で、ファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)とミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF)、アレックス・トゥリン(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)というUCIプロコンチネンタルチーム3名がそれぞれカウンターアタック。49km地点で先頭グループは5名にまとまった。
逃げグループの中で総合成績が最も良いのは総合25位/11分37秒遅れ。つまりマリアローザに危険を及ぼさない逃げグループだが、ミッチェルトン・スコットはタイム差を4分以内に抑え込んだ。ここにステージ優勝を狙うロット・フィックスオールとトレック・セガフレード、ロットNLユンボの3チームが集団コントロールに合流したため、タイム差はレース中盤にかけて3分前後で推移した。
平坦区間の少ないジェットコースターのような丘陵コースを主催者の想定時間よりも速いペースで進んだ逃げグループとメイン集団。2つの3級山岳を先頭通過したマスナダは合計14ポイントを獲得して山岳賞6位から4位まで順位を上げることに成功している。
レースは残り29km地点で故ミケーレ・スカルポーニが住んでいたフィロットラーノを通過した。フィロットラーノ旧市街に向かう最大勾配16%のムーロを通過した時点でタイム差は2分を割り込む。やがて逃げグループの中で脚の差が出始め、トゥリンとマエストリが脱落。残されたサンチェス、デマルキ、マスナダの3人は42秒のリードで残り10kmアーチを通過した。
先頭にステージ優勝狙いのチームに総合狙いのチームが入り混じり、逃げグループとのタイム差を削り取ったメイン集団。最後まで抵抗したサンチェスとデマルキは、残り5kmを切ってから始まる最大勾配16%の石畳坂に突入するとと同時に吸収される。すると、石畳坂のスペシャリストであるゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ)とティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・フィックスオール)が勢いよく飛び出した。
石畳坂でメイン集団から10秒のリードを築いたスティバルとウェレンスの2人。そのまま下りを終え、残り1.8km地点から再び始まる最大勾配16%の登りに向かったが、ジャック・ヘイグ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)率いるメイン集団がこれを許さなかった。
最後の急坂に突入するとと同時にウェレンスが独走に持ち込んだものの、ヘイグのアシストを受けたマリアローザがメイン集団から一気に加速する。ライバルたちを置き去りにするアタックを仕掛けたサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が先頭のウェレンスを抜き去り、勾配が16%を刻む残り1.5km地点で先頭に立った。
トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)やダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)が追撃したものの、軽快かつ力強いダンシングで急勾配区間をクリアしたイェーツが数十メートルのリードを築く。石畳が敷かれたオージモ旧市街を駆け上がり、ライバルたちに追いつくチャンスを与えない走りを見せたイェーツが独走フィニッシュした。
2秒遅れでデュムランがフィニッシュし、フォルモロが5秒差のステージ3位に。ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)やティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)といった総合ライバルたちがタイムロスを8秒に抑えた一方で、残り5km地点の石畳坂で集団から脱落したクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)は40秒遅れている。
「今日のようなコースではティム・ウェレンスらが有利なので、チームには逃げグループを捕まえる意思はなかった。でも、逃げグループが吸収されれば、ステージ優勝を狙わない理由がなかった」。再び最強の登坂力を見せつけたイェーツは語る。 序盤からアタックが続き、逃げグループ形成後もスピードが落ちなかったため、ステージ全体の平均スピードは45.463km/hを記録している。
ライバルたちにタイム差をつけるとともに、ボーナスタイム10秒を獲得したイェーツ。第9ステージの1級山岳グランサッソ・ディタリアに続く今大会2勝目。両者の総合タイム差は41秒から47秒に広がっている(デュムランもボーナスタイム6秒を獲得したため)。「トム・デュムランとの総合タイム差が広がったことを嬉しく思う。今日デュムランは他の選手たちよりも登りに強いことを見せつけた。彼の調子は日に日に上がっているように見える」。
総合上位8名の順位に変動は無し。パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)が総合11位から総合9位に、ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ)が総合14位から総合10位に順位を上げた一方で、40秒遅れたフルームは総合12位までダウンしている。
聖地アッシジをスタートし、アペニン山脈を横切ってオージモに向かう起伏に富んだ156kmコースで行われたジロ・デ・イタリア第11ステージ。3級山岳コルネッロ峠と3級山岳ヴァリコ・ディ・ピエトラロッサを通過し、後半にかけてマルケ州特有の「ムーロ(壁)」と呼ばれるカテゴリーのついていない急坂をこなす。獲得標高差は2,800m。丘の上の町オージモに向かって最大勾配16%の急坂区間も登場するレイアウトは、パンチャーたちのモチベーションを上げた。
前日に続き、この日も逃げグループ形成までのアタック合戦は熾烈を極めた。アンドローニジョカトリ・シデルメクを中心に断続的にアタックが繰り返された結果、31km地点でルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)とアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)が徐々にリードを広げ始める。このUCIワールドチーム2名を追いかける形で、ファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)とミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF)、アレックス・トゥリン(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)というUCIプロコンチネンタルチーム3名がそれぞれカウンターアタック。49km地点で先頭グループは5名にまとまった。
逃げグループの中で総合成績が最も良いのは総合25位/11分37秒遅れ。つまりマリアローザに危険を及ぼさない逃げグループだが、ミッチェルトン・スコットはタイム差を4分以内に抑え込んだ。ここにステージ優勝を狙うロット・フィックスオールとトレック・セガフレード、ロットNLユンボの3チームが集団コントロールに合流したため、タイム差はレース中盤にかけて3分前後で推移した。
平坦区間の少ないジェットコースターのような丘陵コースを主催者の想定時間よりも速いペースで進んだ逃げグループとメイン集団。2つの3級山岳を先頭通過したマスナダは合計14ポイントを獲得して山岳賞6位から4位まで順位を上げることに成功している。
レースは残り29km地点で故ミケーレ・スカルポーニが住んでいたフィロットラーノを通過した。フィロットラーノ旧市街に向かう最大勾配16%のムーロを通過した時点でタイム差は2分を割り込む。やがて逃げグループの中で脚の差が出始め、トゥリンとマエストリが脱落。残されたサンチェス、デマルキ、マスナダの3人は42秒のリードで残り10kmアーチを通過した。
先頭にステージ優勝狙いのチームに総合狙いのチームが入り混じり、逃げグループとのタイム差を削り取ったメイン集団。最後まで抵抗したサンチェスとデマルキは、残り5kmを切ってから始まる最大勾配16%の石畳坂に突入するとと同時に吸収される。すると、石畳坂のスペシャリストであるゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ)とティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・フィックスオール)が勢いよく飛び出した。
石畳坂でメイン集団から10秒のリードを築いたスティバルとウェレンスの2人。そのまま下りを終え、残り1.8km地点から再び始まる最大勾配16%の登りに向かったが、ジャック・ヘイグ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)率いるメイン集団がこれを許さなかった。
最後の急坂に突入するとと同時にウェレンスが独走に持ち込んだものの、ヘイグのアシストを受けたマリアローザがメイン集団から一気に加速する。ライバルたちを置き去りにするアタックを仕掛けたサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が先頭のウェレンスを抜き去り、勾配が16%を刻む残り1.5km地点で先頭に立った。
トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)やダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)が追撃したものの、軽快かつ力強いダンシングで急勾配区間をクリアしたイェーツが数十メートルのリードを築く。石畳が敷かれたオージモ旧市街を駆け上がり、ライバルたちに追いつくチャンスを与えない走りを見せたイェーツが独走フィニッシュした。
2秒遅れでデュムランがフィニッシュし、フォルモロが5秒差のステージ3位に。ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)やティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)といった総合ライバルたちがタイムロスを8秒に抑えた一方で、残り5km地点の石畳坂で集団から脱落したクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)は40秒遅れている。
「今日のようなコースではティム・ウェレンスらが有利なので、チームには逃げグループを捕まえる意思はなかった。でも、逃げグループが吸収されれば、ステージ優勝を狙わない理由がなかった」。再び最強の登坂力を見せつけたイェーツは語る。 序盤からアタックが続き、逃げグループ形成後もスピードが落ちなかったため、ステージ全体の平均スピードは45.463km/hを記録している。
ライバルたちにタイム差をつけるとともに、ボーナスタイム10秒を獲得したイェーツ。第9ステージの1級山岳グランサッソ・ディタリアに続く今大会2勝目。両者の総合タイム差は41秒から47秒に広がっている(デュムランもボーナスタイム6秒を獲得したため)。「トム・デュムランとの総合タイム差が広がったことを嬉しく思う。今日デュムランは他の選手たちよりも登りに強いことを見せつけた。彼の調子は日に日に上がっているように見える」。
総合上位8名の順位に変動は無し。パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)が総合11位から総合9位に、ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ)が総合14位から総合10位に順位を上げた一方で、40秒遅れたフルームは総合12位までダウンしている。
ジロ・デ・イタリア2018第11ステージ結果
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 3:25:53 |
2位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:02 |
3位 | ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:05 |
4位 | アレクサンドル・ジェニエス(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:00:08 |
5位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
6位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
7位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | |
8位 | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、クイックステップフロアーズ) | 0:00:11 |
9位 | ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) | 0:00:18 |
10位 | ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 0:00:21 |
11位 | リカルド・カラパス(エクアドル、モビスター) | 0:00:23 |
12位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) | |
15位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:00:30 |
20位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ) | 0:00:36 |
23位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 0:00:40 |
40位 | マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | 0:01:05 |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 47:08:21 |
2位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:47 |
3位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 0:01:04 |
4位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:01:18 |
5位 | リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター) | 0:01:56 |
6位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) | 0:02:09 |
7位 | ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) | 0:02:36 |
8位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ) | 0:02:54 |
9位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:02:55 |
10位 | ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 0:03:10 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 178pts |
2位 | サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 112pts |
3位 | ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | 87pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 58pts |
2位 | エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) | 47pts |
3位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 36pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター) | 47:10:17 |
2位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:01:21 |
3位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ) | 0:01:29 |
チーム総合成績
1位 | ミッチェルトン・スコット | 141:31:24 |
2位 | アスタナ | 0:04:13 |
3位 | チームスカイ | 0:05:09 |
text:Kei Tsuji in Osimo, Italy
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