カリフォルニア州を駆け巡る7日間のツアー・オブ・カリフォルニア(UCIワールドツアー)がまもなく開幕。過酷極まりないクイーンステージや、豪華スプリンター陣が揃った北米最大級のステージレースをプレビュー。



カリフォルニアの海岸線を走るツアー・オブ・カリフォルニアカリフォルニアの海岸線を走るツアー・オブ・カリフォルニア photo:www.amgentourofcalifornia.com
ツアー・オブ・カリフォルニア2018 コースマップツアー・オブ・カリフォルニア2018 コースマップ (c)www.amgentourofcalifornia.com2006年に初回大会が開催され、今年で13回目を迎える北米最大級のステージレース、アムジェン・ツアー・オブ・カリフォルニア(通称ATOC)が現地時間の5月13日(日本時間14日早朝)に開幕する。ジロ・デ・イタリアと同時期ながら例年多くのワールドツアーチームが参加し、その多くがエース級の選手を参加させることで毎年注目を集めているレースだ。

UCIワールドツアー昇格して2年目を迎える2018年大会は、昨年と異なりカリフォルニア州南部のロングビーチから北上し、サクラメントを目指すルートを取る。第4ステージの個人タイムトライアルを含めて総走行距離は7日間で1000kmオーバー。日本よりも広大な土地面積を誇る「ゴールデンステイト」を駆け巡る。

ここ2年間は山頂フィニッシュが1ステージのみと難易度が下がっていたが、今年は第2日間に山頂ゴールが割り当てられた。第2ステージの山場は超級山岳ジブラルタルロード(登坂距離12km/平均勾配8%)のみだが、最終日前日の第5ステージは過酷極まりないレイアウトをもって選手たちを待ち受ける。

序盤から3級、1級、2級、2級とクリアしつつ標高2615mの最高標高地点カールソンパス(カテゴリー2級)まで一気に登り、一度1469m地点まで下ってから1級山岳ダゲットサミット(標高2235m)をクリアし、最後に3級山岳サウスレイクタホを目指すルートの獲得標高はなんと4876m。登坂力次第で総合大逆転も可能なクイーンステージを経て、カリフォルニア州都のサクラメントでフィナーレを迎える。

ツアー・オブ・カリフォルニア2018 第2ステージツアー・オブ・カリフォルニア2018 第2ステージ (c)www.amgentourofcalifornia.comツアー・オブ・カリフォルニア2018 第3ステージツアー・オブ・カリフォルニア2018 第3ステージ (c)www.amgentourofcalifornia.com

ツアー・オブ・カリフォルニア2018 第4ステージツアー・オブ・カリフォルニア2018 第4ステージ (c)www.amgentourofcalifornia.comツアー・オブ・カリフォルニア2018 第6ステージツアー・オブ・カリフォルニア2018 第6ステージ (c)www.amgentourofcalifornia.com


集団スプリントが予想されているのは第1、第5、第7ステージ。世界に名を轟かせる名物サーキット「ラグナセカ」に至る第3ステージはパンチャー向けで、2年前は小集団スプリントに持ち込んだペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が勝利している。昨年から10km距離を伸ばした個人タイムトライアルの開催地点は、スペシャライズドが本社を置くモーガンヒル。ボーラ・ハンスグローエとクイックステップフロアーズは何としても勝利を掴みたいはずだ。
ツアー・オブ・カリフォルニア2018ステージリスト
5月13日 第1ステージ ロングビーチ〜ロングビーチ 134.5km
5月14日 第2ステージ ヴェンチュラ〜ジブラルタルロード 157km
5月15日 第3ステージ キングシティ〜ラグナセカサーキット 197km
5月16日 第4ステージ サンノゼ〜モーガンヒル 34.7km(個人TT)
5月17日 第5ステージ ストックトン〜エルクグローブ 176.5km
5月18日 第6ステージ フォルソム〜サウスレイクタホ 196.5km
5月19日 第7ステージ サクラメント〜サクラメント 143km
強豪勢が出席したプレスカンファレンス強豪勢が出席したプレスカンファレンス (c)www.amgentourofcalifornia.com
13のワールドチームと4つのプロコンチネンタルチームが顔を揃える今大会には、山岳の厳しいジロ・デ・イタリアを回避したトップスプリンターたちが豪華勢揃いした。

”ミスターカリフォルニア”と称しても過言ではない通算16勝のサガンを筆頭に、昨年初参加したジロでポイント賞に輝いたフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)、マルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)、アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)、カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)、マキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、サンウェブ)、ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)、ネイサン・ハース(オーストラリア、カチューシャ・アルペシン)と枚挙に暇がない。

カリフォルニアで自身の名を冠したオフロードライドイベントを走ったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)カリフォルニアで自身の名を冠したオフロードライドイベントを走ったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) (c)www.saganfondo.comカレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) photo:Kei Tsuji / TDWsport

フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) photo:Kei Tsuji / TDWsport最強スプリントトレインを揃えたクイックステップフロアーズ最強スプリントトレインを揃えたクイックステップフロアーズ (c)www.amgentourofcalifornia.com

マルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)マルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrariマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)とアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)とアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) (c)CorVos


特にクイックステップフロアーズはアルバロ・ホッジ(コロンビア)、マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)、イーリョ・ケイセ(ベルギー)と最強トレインをアメリカに渡らせており、間違いなくゴール前を席巻するはず。アムステル・ゴールドレースからまるまる1ヶ月の休養を取ったサガンは早々にカリフォルニア入りし、チームメイトと共に自身の名を冠したオフロードライドイベント「サガンフォンド」に参加。心身ともに万全の状態で得意レースに挑む。

過去にはサガンが総合優勝を果たしたこともあったが、非常に厳しい山岳ステージが用意されているため、総合優勝候補はグランツールレーサーの中から生まれるだろう。昨年覇者ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)はジロ出場中で不在だが、休養明けで昨年2位のラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)や、2013年大会覇者ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)、アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)、そしてカタルーニャでの骨折明け早々、ツール・ド・ロマンディで総合2位に割り込んだエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)らが顔を揃える。34kmの個人TTはヴァンガーデレンやマイカ向きだが、ベルナルも現コロンビアのTT王者であり決して不得意にはしていない。

エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) photo:Tour de Romandie.昨年大会2位のラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)昨年大会2位のラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrariティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji


オリヴァー・ナーセン(ベルギー)とマティアス・フランク(スイス)のアージェードゥーゼルコンビ、ピーター・ステティーナ(アメリカ、トレック・セガフレード)、ダニエル・マルティネス(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)らも忘れてはならない存在。また、今年からプロコンに昇格したアメリカンチーム勢も顔を揃えており、自国最大のレースにかける思いはどのトップチームよりも強いはず。あらゆるステージで展開に絡んでくるだろう。

text:So.Isobe

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