2018/05/03(木) - 13:34
マリアローザ争いと並行して繰り広げられるのがマリアチクラミーノ(ポイント賞)、マリアアッズーラ(山岳賞)、マリアビアンカ(ヤングライダー賞)をかけた戦い。各賞のシステムや注目選手を紹介します。
マリアチクラミーノ ポイント賞
ステージレースに花を添えるのがビッグスプリンターたちによる華々しい集団スプリント。最強スプリンターの証であるポイント賞ジャージは、2017年のスポンサー変更に伴って真っ赤なマリアロッサからシクラメン色のマリアチクラミーノに戻された。引き続きセガフレード社がジャージスポンサーについている。
長年ジロではステージの種類に関わらず一律のポイントが与えられてきたため、総合狙いの選手たちがポイント賞のトップに輝くパターンが多く発生してきた。2009年から2012年までのポイント賞受賞者はいずれも総合上位に絡むようなオールラウンダー&クライマーたち。しかし2014年にポイントシステムに変更が加えられ、平坦ステージでより多くのポイントを稼ぐことができる配分になり、ずばりスプリンター向きの賞になったと言っていい。例えば平坦ステージで優勝すれば50ポイント獲得だが、超級山岳ステージやタイムトライアルで勝利しても15ポイント(平坦ステージの中間スプリント以下)しか獲得できない。ポイント配分は以下の通り。
フィニッシュ ポイント配分
A&Bカテゴリー(平坦:第2,3,7,12,13,17,21ステージ):
50pts, 35pts, 25pts, 18pts, 14pts, 12pts, 10pts, 8pts, 7pts, 6pts, 5pts, 4pts, 3pts, 2pts, 1pt
Cカテゴリー(中級山岳:第4,5,8,10,11ステージ):
25pts, 18pts, 12pts, 8pts, 6pts, 5pts, 4pts, 3pts, 2pts, 1pt
D&Eカテゴリー(超級山岳/TT:第1,6,9,14,15,16,18,19,20ステージ):
15pts, 12pts, 9pts, 7pts, 6pts, 5pts, 4pts, 3pts, 2pts, 1pt
スプリントポイント ポイント配分
A&Bカテゴリー(平坦:第2,3,7,12,13,17,21ステージ):
20pts, 12pts, 8pts, 6pts, 4pts, 3pts, 2pts, 1pt
Cカテゴリー(中級山岳:第4,5,8,10,11ステージ):
10pts, 6pts, 3pts, 2pts, 1pt
Dカテゴリー(超級山岳:第6,9,14,15,18,19,20ステージ):
8pts, 4pts, 1pt
マリアチクラミーノ着用は1日につき750ユーロ(約99000円)。最終的なポイント賞獲得者には賞金10,000ユーロ(約131万7000円)が与えられる。
合計7つの平坦ステージで勝利を量産すると見られるのが、チームスカイから移籍してエーススプリンターの座を固めたエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)だ。リオ五輪オムニアム金メダリストのヴィヴィアーニは、意外にも2015年ジロのステージ1勝が唯一のグランツールでの勝ち星。今シーズン6勝を飾っており、総合エースのいないチームのフルサポートを受ける。フィニッシュ手前でミケル・モルコフ(デンマーク)とファビオ・サバティーニ(イタリア)にリードアウトされる姿が見られるだろう。
イタリアンスプリンターとしては、2015年ジロでステージ2勝を飾ったサーシャ・モードロ(EFエデュケーションファースト・ドラパック)や、直前のツアー・オブ・クロアチアでスプリント勝利しているニッコロ・ボニファツィオ(バーレーン・メリダ)の他、アンドレア・グアルディーニ(バルディアーニCSF)やヤコブ・マレツコ(ウィリエール・トリエスティーナ)が揃う。出場レースのカテゴリーが異なるため比較しにくいが、マレツコはヴィヴィアーニを上回る今シーズン8勝を飾っている。
イタリア勢に勝負を挑むのはサム・ベネット(アイルランド)とリュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ)がタッグを組むボーラ・ハンスグローエや、オランダの兄弟スプリンターのダニー・ファンポッペル(ロットNLユンボ)とボーイ・ファンポッペル(トレック・セガフレード)ら。イスラエルステージで結果を残したいイスラエルサイクリングアカデミーはクリスティアン・ズバラーリ(イタリア)、ザッカリ・デンプスター(オーストラリア)、ギヨーム・ボワヴァン(カナダ)というスプリント力のある3人を揃える。
スプリンターではないが、丘陵ステージでの注目選手としてディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)やティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・フィックスオール)、ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)らの名前も挙げておきたい。
歴代ポイント賞受賞者
2017年 フェルナンド・ガビリア(コロンビア)
2016年 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア)
2015年 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア)
2014年 ナセル・ブアニ(フランス)
2013年 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)
2012年 ホアキン・ロドリゲス(スペイン)
2011年 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア)
2010年 カデル・エヴァンス(オーストラリア)
2009年 ダニーロ・ディルーカ(イタリア)
2008年 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア)
2007年 ダニーロ・ディルーカ(イタリア)
2006年 パオロ・ベッティーニ(イタリア)
2005年 パオロ・ベッティーニ(イタリア)
2004年 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア)
2003年 ジルベルト・シモーニ(イタリア)
2002年 マリオ・チポッリーニ(イタリア)
2001年 マッシモ・ストラッツェール(イタリア)
2000年 ディミトリ・コニシェフ(ロシア)
マリアアッズーラ 山岳賞
グランツールの中で最も山岳の難易度が高いと言われるジロ・デ・イタリア。それだけにジロの山岳賞ジャージには大きな価値がある。
かつては緑色のマリアヴェルデが採用されていたが、2012年から青色に変更された。「クライミング」「俊敏さ」「スタミナ」を象徴するジャージの名称はマリアアッズーラ(青色ジャージ)。引き続きメディオラヌム銀行がスポンサーにつく。
登場するカテゴリー山岳は、チーマコッピ(大会最高地点のフィネストレ峠)、1級山岳、2級山岳、3級山岳、4級山岳の5種類。当然のことながら難易度の高いカテゴリー山岳に高ポイントが与えられており、仮に連日逃げて4級山岳を11回先頭通過しても、1回の1級山岳通過でひっくり返る計算だ。なお、ツール・ド・フランスで採用されている山頂フィニッシュのポイント2倍システムは無い。
山岳賞 ポイント配分
チーマコッピ:45pts, 30pts, 20pts, 14pts, 10pts, 6pts, 4pts, 2pts, 1pt
1級山岳:35pts, 18pts, 12pts, 9pts, 6pts, 4pts, 2pts, 1pt
2級山岳:15pts, 8pts, 6pts, 4pts, 2pts, 1pt
3級山岳:7pts, 4pts, 2pts, 1pt
4級山岳:3pts, 2pts, 1pt
マリアアッズーラ着用は1日につき750ユーロ(約99000円)。最終的な山岳賞の賞金5,000ユーロ(約60万8000円)はマリアチクラミーノやマリアビアンカの半額だ。
高い登坂力をもつ選手は必然的に総合争いに流れ、さらに多くのクライマーたちがアシストとしてエースのために走ることを強いられるため、登坂力ランキングがそのまま山岳賞ランキングになることはない。総合順位を落としたマリアローザ候補たちが山岳賞に目標をスイッチすることもあるため予想が難しい賞だ。
過去2年間は総合争いで苦戦したチームスカイが山岳賞を獲得している。チームスカイは登坂力勝負でライバルたちを圧倒すると見られるが、クリストファー・フルーム(イギリス)のマリアローザが第一目標であり、よほどのトラブルがない限りアシストのクライマーたちは自由に動くことができないだろう。
マリアローザ候補になるような絶対的なエースのいないトレック・セガフレードはヤルリンソン・パンタノ(コロンビア)とジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア)を揃えての出場。同じく明確な総合エースのいないモビスターはカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア)やエドゥアルド・セプルベダ(アルゼンチン)、ラファエル・バルス(スペイン)といったクライマーを揃えており、山岳ステージでの活躍を目指すうちに山岳賞ランキングでも順位を上げるはずだ。
歴代山岳賞受賞者
2017年 ミケル・ランダ(スペイン)
2016年 ミケル・ニエベ(スペイン)
2015年 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア)
2014年 ジュリアン・アレドンド(コロンビア)
2013年 ステファノ・ピラッツィ(イタリア)
2012年 マッテーオ・ラボッティーニ(イタリア)
2011年 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア)
2010年 マシュー・ロイド(オーストラリア)
2009年 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア)
2008年 エマヌエーレ・セッラ(イタリア)
2007年 レオナルド・ピエポリ(イタリア)
2006年 フアンマヌエル・ガラーテ(スペイン)
2005年 ホセ・ルハノ(ベネズエラ)
2004年 ファビアン・ウェーグマン(ドイツ)
2003年 フレディ・ゴンザレス(コロンビア)
2002年 フリオ・ペレスクアピオ(メキシコ)
2001年 フレディ・ゴンザレス(コロンビア)
2000年 フランチェスコ・カーザグランデ(イタリア)
マリアビアンカ ヤングライダー賞
若手選手を対象としたヤングライダー賞。トップの選手には純白のホワイトジャージが与えられる。長らくブルーの複合賞ジャージにその座を奪われていたが、10年前に復活した。対象となるのは誕生日が1993年1月1日以降の選手。ディスカウント系スーパーマーケットのユーロスピンがスポンサーを務める。
マリアビアンカ着用は1日につき750ユーロ(約99000円)で、最終的なヤングライダー賞獲得者には賞金10,000ユーロ(約131万7000円)が与えられる。
出場予定の176名の選手のうち対象となるのは39名。その中で1994年2月4日生まれの24歳ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)がマリアビアンカ候補の筆頭だと言える。同じく南米出身で、直前のブエルタ・アストゥリアスで総合優勝を飾ったリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター)もダークホースとして注目だ。
サム・オーメン(オランダ、サンウェブ)やベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ)、ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、ジャック・ヘイグ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)らもマリアビアンカ対象選手。しかし先輩オールラウンダーのアシストという使命を負っているため自分の成績は二の次となる。
なお、メンバーの平均年齢が最も高いのは31.9歳のグルパマFDJで、次いで平均31.5歳のチームスカイ。最年少チームは平均26.1歳のバルディアーニCSFで、モビスターも平均27.8歳と若いメンバーを揃えている。
歴代ヤングライダー賞受賞者
2017年 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク)
2016年 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク)
2015年 ファビオ・アル(イタリア)
2014年 ナイロ・キンタナ(コロンビア)
2013年 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア)
2012年 リゴベルト・ウラン(コロンビア)
2011年 ロマン・クロイツィゲル(チェコ)
2010年 リッチー・ポート(オーストラリア)
2009年 ケヴィン・シールドライヤース(ベルギー)
2008年 リカルド・リッコ(イタリア)
2007年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク)
1995年〜2006年 ジャージ未設定
その他の特別賞
ステージ成績、総合成績、ポイント賞、山岳賞、ヤングライダー賞の他にも、ジロには中間スプリント賞(ステージ&総合)、10名以下のグループで逃げた距離で争われる逃げ賞(ステージ&総合)、ステージ成績と中間スプリントと山岳ポイントの合計で争われる敢闘賞(ステージ&総合)、時間制のチーム総合成績"ウィニングチーム"、ポイント制のチーム総合成績”スーパーチーム”、警告や罰金など処分の少ないチームを対象にしたフェアプレー賞が設定されている。
text:Kei Tsuji in Jerusalem, Israel
マリアチクラミーノ ポイント賞
ステージレースに花を添えるのがビッグスプリンターたちによる華々しい集団スプリント。最強スプリンターの証であるポイント賞ジャージは、2017年のスポンサー変更に伴って真っ赤なマリアロッサからシクラメン色のマリアチクラミーノに戻された。引き続きセガフレード社がジャージスポンサーについている。
長年ジロではステージの種類に関わらず一律のポイントが与えられてきたため、総合狙いの選手たちがポイント賞のトップに輝くパターンが多く発生してきた。2009年から2012年までのポイント賞受賞者はいずれも総合上位に絡むようなオールラウンダー&クライマーたち。しかし2014年にポイントシステムに変更が加えられ、平坦ステージでより多くのポイントを稼ぐことができる配分になり、ずばりスプリンター向きの賞になったと言っていい。例えば平坦ステージで優勝すれば50ポイント獲得だが、超級山岳ステージやタイムトライアルで勝利しても15ポイント(平坦ステージの中間スプリント以下)しか獲得できない。ポイント配分は以下の通り。
フィニッシュ ポイント配分
A&Bカテゴリー(平坦:第2,3,7,12,13,17,21ステージ):
50pts, 35pts, 25pts, 18pts, 14pts, 12pts, 10pts, 8pts, 7pts, 6pts, 5pts, 4pts, 3pts, 2pts, 1pt
Cカテゴリー(中級山岳:第4,5,8,10,11ステージ):
25pts, 18pts, 12pts, 8pts, 6pts, 5pts, 4pts, 3pts, 2pts, 1pt
D&Eカテゴリー(超級山岳/TT:第1,6,9,14,15,16,18,19,20ステージ):
15pts, 12pts, 9pts, 7pts, 6pts, 5pts, 4pts, 3pts, 2pts, 1pt
スプリントポイント ポイント配分
A&Bカテゴリー(平坦:第2,3,7,12,13,17,21ステージ):
20pts, 12pts, 8pts, 6pts, 4pts, 3pts, 2pts, 1pt
Cカテゴリー(中級山岳:第4,5,8,10,11ステージ):
10pts, 6pts, 3pts, 2pts, 1pt
Dカテゴリー(超級山岳:第6,9,14,15,18,19,20ステージ):
8pts, 4pts, 1pt
マリアチクラミーノ着用は1日につき750ユーロ(約99000円)。最終的なポイント賞獲得者には賞金10,000ユーロ(約131万7000円)が与えられる。
合計7つの平坦ステージで勝利を量産すると見られるのが、チームスカイから移籍してエーススプリンターの座を固めたエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)だ。リオ五輪オムニアム金メダリストのヴィヴィアーニは、意外にも2015年ジロのステージ1勝が唯一のグランツールでの勝ち星。今シーズン6勝を飾っており、総合エースのいないチームのフルサポートを受ける。フィニッシュ手前でミケル・モルコフ(デンマーク)とファビオ・サバティーニ(イタリア)にリードアウトされる姿が見られるだろう。
イタリアンスプリンターとしては、2015年ジロでステージ2勝を飾ったサーシャ・モードロ(EFエデュケーションファースト・ドラパック)や、直前のツアー・オブ・クロアチアでスプリント勝利しているニッコロ・ボニファツィオ(バーレーン・メリダ)の他、アンドレア・グアルディーニ(バルディアーニCSF)やヤコブ・マレツコ(ウィリエール・トリエスティーナ)が揃う。出場レースのカテゴリーが異なるため比較しにくいが、マレツコはヴィヴィアーニを上回る今シーズン8勝を飾っている。
イタリア勢に勝負を挑むのはサム・ベネット(アイルランド)とリュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ)がタッグを組むボーラ・ハンスグローエや、オランダの兄弟スプリンターのダニー・ファンポッペル(ロットNLユンボ)とボーイ・ファンポッペル(トレック・セガフレード)ら。イスラエルステージで結果を残したいイスラエルサイクリングアカデミーはクリスティアン・ズバラーリ(イタリア)、ザッカリ・デンプスター(オーストラリア)、ギヨーム・ボワヴァン(カナダ)というスプリント力のある3人を揃える。
スプリンターではないが、丘陵ステージでの注目選手としてディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)やティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・フィックスオール)、ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)らの名前も挙げておきたい。
歴代ポイント賞受賞者
2017年 フェルナンド・ガビリア(コロンビア)
2016年 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア)
2015年 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア)
2014年 ナセル・ブアニ(フランス)
2013年 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)
2012年 ホアキン・ロドリゲス(スペイン)
2011年 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア)
2010年 カデル・エヴァンス(オーストラリア)
2009年 ダニーロ・ディルーカ(イタリア)
2008年 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア)
2007年 ダニーロ・ディルーカ(イタリア)
2006年 パオロ・ベッティーニ(イタリア)
2005年 パオロ・ベッティーニ(イタリア)
2004年 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア)
2003年 ジルベルト・シモーニ(イタリア)
2002年 マリオ・チポッリーニ(イタリア)
2001年 マッシモ・ストラッツェール(イタリア)
2000年 ディミトリ・コニシェフ(ロシア)
マリアアッズーラ 山岳賞
グランツールの中で最も山岳の難易度が高いと言われるジロ・デ・イタリア。それだけにジロの山岳賞ジャージには大きな価値がある。
かつては緑色のマリアヴェルデが採用されていたが、2012年から青色に変更された。「クライミング」「俊敏さ」「スタミナ」を象徴するジャージの名称はマリアアッズーラ(青色ジャージ)。引き続きメディオラヌム銀行がスポンサーにつく。
登場するカテゴリー山岳は、チーマコッピ(大会最高地点のフィネストレ峠)、1級山岳、2級山岳、3級山岳、4級山岳の5種類。当然のことながら難易度の高いカテゴリー山岳に高ポイントが与えられており、仮に連日逃げて4級山岳を11回先頭通過しても、1回の1級山岳通過でひっくり返る計算だ。なお、ツール・ド・フランスで採用されている山頂フィニッシュのポイント2倍システムは無い。
山岳賞 ポイント配分
チーマコッピ:45pts, 30pts, 20pts, 14pts, 10pts, 6pts, 4pts, 2pts, 1pt
1級山岳:35pts, 18pts, 12pts, 9pts, 6pts, 4pts, 2pts, 1pt
2級山岳:15pts, 8pts, 6pts, 4pts, 2pts, 1pt
3級山岳:7pts, 4pts, 2pts, 1pt
4級山岳:3pts, 2pts, 1pt
マリアアッズーラ着用は1日につき750ユーロ(約99000円)。最終的な山岳賞の賞金5,000ユーロ(約60万8000円)はマリアチクラミーノやマリアビアンカの半額だ。
高い登坂力をもつ選手は必然的に総合争いに流れ、さらに多くのクライマーたちがアシストとしてエースのために走ることを強いられるため、登坂力ランキングがそのまま山岳賞ランキングになることはない。総合順位を落としたマリアローザ候補たちが山岳賞に目標をスイッチすることもあるため予想が難しい賞だ。
過去2年間は総合争いで苦戦したチームスカイが山岳賞を獲得している。チームスカイは登坂力勝負でライバルたちを圧倒すると見られるが、クリストファー・フルーム(イギリス)のマリアローザが第一目標であり、よほどのトラブルがない限りアシストのクライマーたちは自由に動くことができないだろう。
マリアローザ候補になるような絶対的なエースのいないトレック・セガフレードはヤルリンソン・パンタノ(コロンビア)とジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア)を揃えての出場。同じく明確な総合エースのいないモビスターはカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア)やエドゥアルド・セプルベダ(アルゼンチン)、ラファエル・バルス(スペイン)といったクライマーを揃えており、山岳ステージでの活躍を目指すうちに山岳賞ランキングでも順位を上げるはずだ。
歴代山岳賞受賞者
2017年 ミケル・ランダ(スペイン)
2016年 ミケル・ニエベ(スペイン)
2015年 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア)
2014年 ジュリアン・アレドンド(コロンビア)
2013年 ステファノ・ピラッツィ(イタリア)
2012年 マッテーオ・ラボッティーニ(イタリア)
2011年 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア)
2010年 マシュー・ロイド(オーストラリア)
2009年 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア)
2008年 エマヌエーレ・セッラ(イタリア)
2007年 レオナルド・ピエポリ(イタリア)
2006年 フアンマヌエル・ガラーテ(スペイン)
2005年 ホセ・ルハノ(ベネズエラ)
2004年 ファビアン・ウェーグマン(ドイツ)
2003年 フレディ・ゴンザレス(コロンビア)
2002年 フリオ・ペレスクアピオ(メキシコ)
2001年 フレディ・ゴンザレス(コロンビア)
2000年 フランチェスコ・カーザグランデ(イタリア)
マリアビアンカ ヤングライダー賞
若手選手を対象としたヤングライダー賞。トップの選手には純白のホワイトジャージが与えられる。長らくブルーの複合賞ジャージにその座を奪われていたが、10年前に復活した。対象となるのは誕生日が1993年1月1日以降の選手。ディスカウント系スーパーマーケットのユーロスピンがスポンサーを務める。
マリアビアンカ着用は1日につき750ユーロ(約99000円)で、最終的なヤングライダー賞獲得者には賞金10,000ユーロ(約131万7000円)が与えられる。
出場予定の176名の選手のうち対象となるのは39名。その中で1994年2月4日生まれの24歳ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)がマリアビアンカ候補の筆頭だと言える。同じく南米出身で、直前のブエルタ・アストゥリアスで総合優勝を飾ったリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター)もダークホースとして注目だ。
サム・オーメン(オランダ、サンウェブ)やベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ)、ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、ジャック・ヘイグ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)らもマリアビアンカ対象選手。しかし先輩オールラウンダーのアシストという使命を負っているため自分の成績は二の次となる。
なお、メンバーの平均年齢が最も高いのは31.9歳のグルパマFDJで、次いで平均31.5歳のチームスカイ。最年少チームは平均26.1歳のバルディアーニCSFで、モビスターも平均27.8歳と若いメンバーを揃えている。
歴代ヤングライダー賞受賞者
2017年 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク)
2016年 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク)
2015年 ファビオ・アル(イタリア)
2014年 ナイロ・キンタナ(コロンビア)
2013年 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア)
2012年 リゴベルト・ウラン(コロンビア)
2011年 ロマン・クロイツィゲル(チェコ)
2010年 リッチー・ポート(オーストラリア)
2009年 ケヴィン・シールドライヤース(ベルギー)
2008年 リカルド・リッコ(イタリア)
2007年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク)
1995年〜2006年 ジャージ未設定
その他の特別賞
ステージ成績、総合成績、ポイント賞、山岳賞、ヤングライダー賞の他にも、ジロには中間スプリント賞(ステージ&総合)、10名以下のグループで逃げた距離で争われる逃げ賞(ステージ&総合)、ステージ成績と中間スプリントと山岳ポイントの合計で争われる敢闘賞(ステージ&総合)、時間制のチーム総合成績"ウィニングチーム"、ポイント制のチーム総合成績”スーパーチーム”、警告や罰金など処分の少ないチームを対象にしたフェアプレー賞が設定されている。
text:Kei Tsuji in Jerusalem, Israel
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