2018/04/13(金) - 13:37
パリ〜ルーベを走った各チームのバイクを紹介する第1弾。優勝したペテル・サガンの特別バイク、アレクサンドル・クリストフやワウト・ヴァンアールトの特別塗装を始め、百花繚乱の石畳対策各種にフォーカス。
ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
スペシャライズド S-Works Roubaix
ボーネンが2012年にアタックした場所でライバルを置き去りにし、初のパリ〜ルーベ制覇を果たした世界王者のペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)。ロンド・ファン・フラーンデレンに続いてゴールドカラーの特別バイクをルーベでも使った。
バイクはもちろん、スペシャライズドがパリ〜ルーベのために生み出したS-Works Roubaix。ただしホイール交換時のリスクを踏まえ、昨年に引き続き一般発売されていない特別なリムブレーキモデルをメインバイクに使用した。これはホリゾンタルに近い市販品とは異なるフォルムを採用したフランドルクラシック専用モデルだ。
Roubaix独自のフューチャーショックもアップデートが加えられ、ロックアウト、もしくはダンパーと思われるダイヤルがステム上に確認できる。機械式のR9100系デュラエースはサガンのフランドル用定番カスタムで、ロンド用のS-Works Tarmacにも使われていたワンオフ品と思われるダイレクトマウントタイプのディレイラーハンガーを引き続き使用した。ホイールはロヴァールのCLX50で、28mmのHell of the Northタイヤを組み合わせた。
ボーラ・ハンスグローエは今年からPROのハンドル類を使っているが、相変わらずサガンはジップのSL SPRINTステムを愛用中。wahooのコンピュータを固定するK-Edgeのマウントは、コンピュータのエアロフォルムとツライチになる専用の未発表モデル。K-Edgeによれば来週中に新製品アナウンスが行われるという。
また、チームカーのルーフ上に搭載されていたサブバイクは、メインバイクと同じゴールドカラーにペイントされたディスクブレーキモデル。ただしホリゾンタル寄りのジオメトリーを持つ特別タイプと思われ、スペシャライズドのパリ〜ルーベに対する意気込みが垣間見える。なおセットされていたタイヤはFMBの30mm幅であり、両バイクのセッティングの違いが興味深い。
平坦基調の高速レースであることから、アシスト勢の中にはS-Works Venge Viasを選択した選手も。ただし現在ラインアップから消えたリムブレーキモデルであり、メカ作業の複雑さからVenge専用のAerofly ViASコクピットではなくノーマルハンドル+ステムが用いられている。
アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)
コルナゴ V2-R
重量級スプリンターのアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)は、ヨーロッパチャンピオンカラーにペイントされたコルナゴの軽量モデルV2-Rでパリ〜ルーベに挑んだ。発表されたばかりのハイエンドモデル、C64を駆る選手も存在し、その割合は半々程度。
UAEチームエミレーツは数少ないカンパニョーロサポートチームであり、メンバー全員がスーパーレコードEPSを使う。ただしルーベ用のカスタムとして、リアホイール脱着の利便性を踏まえてシマノのクイックレリーズ式ケーブルアジャスターをシマノロゴを塗り潰した上で数台のバイクに搭載していた。また、レコードグレードのブレーキキャリパーを搭載するバイクも。
ホイールは多くの選手がBORA ULTRA 35を使用し、タイヤは石畳用に強化したCORSA CONTROLでスキンサイドと通常タイプの2種類が使い分けられていた。高速レースを想定してクリストフのチェーンリング歯数は53-46Tで、ボトルケージは定番のCiussi GELに換装されていた。
イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・スーダル)
リドレー NOAH SL
10位フィニッシュを果たしたイェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・スーダル)が駆ったのは、リドレーのエアロロードであるNOAH SL。他に軽量オールラウンダーのHELIUM SLXを選択した選手もいた。
ロット・スーダルはUAEと同じくカンパニョーロのサポートチームでスーパーレコードEPSを使用するが、BORA ULTRA 50をメインで使用するなど選択の違いが興味深い。タイヤはヴィットリアのCORSAで、デブシェールはルーベ用としては細身の25mmをチョイス。ニコラス・マース(ベルギー)のバイクのトップチューブには「4.9/5.2」と空気圧を示すメモ書きが貼られていた。
ボトムブラケットはチームと同じベルギーブランドのC-BEARで、アウターケーブルはジャグワイヤーの分割式でそれぞれチューニング済みで、ペダルの踏面にリザードスキンズのバーテープを貼るのはチーム定番の音鳴りとスリップ防止対策。サドルはセライタリアで、デブシェールはショートノーズのFlite TTを使用する。
ワウト・ヴァンアールト(ベルギー、ベランダスヴィレムス・クレラン)
スティーヴンス Xenon
初のパリ〜ルーベ挑戦で13位に食い込んだシクロクロス世界王者、ワウト・ヴァンアールト(ベルギー、ベランダスヴィレムス・クレラン)が駆ったのはロンドに引き続きスティーヴンスのオールラウンドモデル、Xenon。スティーヴンスがレース直前の記者会見でお披露目させた特別ペイントが目を引く。
ヘッドチューブにはヴァンアールトのイラストが、フレーム各所に石畳のグラフィックが入るフレームは、パリ〜ルーベのために作られたもの。トップチューブには石畳セクター表があらかじめ表記され、シートステーには「Go hard or go gome」のスローガンも加えられている。
目立つ石畳対策はハンドル周りに集中している。テクトロ製のサブブレーキを取り付け、上ハンドルのステム寄りにRed eTapの変速スイッチ「Blips」を搭載、さらにバーテープを二重巻きにして衝撃を和らげつつコントロール性の確保を狙っている。ジップの303ホイールとシュワルベのG-ONE SPEED HTタイヤという組み合わせはロンドと変わらない。
ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
ピナレロ DOGMA K10-S
最初のパヴェ、セクター29トロワヴィルで起きた落車に巻き込まれ、リタイアに終わってしまったゲラント・トーマス(イギリス)を始め、チームスカイは全選手が電子制御のeDSSサスペンションを搭載したピナレロの石畳用モデル、DOGMA K10-Sを使用した。
目立つ石畳対策としては、サポートを受けるコンチネンタルではなく、スペアも含めた全ホイールにFMBの「PARIS ROUBAIX」タイヤ(27mmで統一)を装着したことが挙げられる。なおスペアバイクにはサスペンションを搭載しないDOGMA K10も用いられ、旧型のデュラエースホイールも多数充てがわれていた。ボトルケージは定番のCiussi GEL。
また、トーマスは2013年のツール・ド・フランスで骨盤骨折を負ってからパッド量を増やしたカスタムモデルのフィジーク・ARIONEを使用していた(後のトライアスロン用モデル ARIONE K1 TRI発売に繋がっている)が、現在はノーマルモデルに落ち着いている様子。一方ディラン・ファンバーレ(オランダ)はK1 TRIを使用していた。
ジュリアン・ヴェルモート(ベルギー、ディメンションデータ)
サーヴェロ R3
エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)やジュリアン・ヴェルモート(ベルギー)などディメンションデータの選手達は、トップモデルのR5ではなく、セカンドグレードのR3をフランドルクラシックで使用した。重量増よりも衝撃吸収性を重視しての選択だと思われる。
石畳用カスタムはボトルケージの変更(エリートのCiussi GEL)や、ワイドタイヤ(コンチネンタルのCOMPETITION PRO LTD RBX 28mm)の装着、インナーチェーンリングの大型化とやや控えめ。オークリーがスポンサードするチームだけに、新型のflightjacketを多くの選手が着用し注目を集めた。
text:So.Isobe
photo:Makoto.Ayano
ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
スペシャライズド S-Works Roubaix
ボーネンが2012年にアタックした場所でライバルを置き去りにし、初のパリ〜ルーベ制覇を果たした世界王者のペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)。ロンド・ファン・フラーンデレンに続いてゴールドカラーの特別バイクをルーベでも使った。
バイクはもちろん、スペシャライズドがパリ〜ルーベのために生み出したS-Works Roubaix。ただしホイール交換時のリスクを踏まえ、昨年に引き続き一般発売されていない特別なリムブレーキモデルをメインバイクに使用した。これはホリゾンタルに近い市販品とは異なるフォルムを採用したフランドルクラシック専用モデルだ。
Roubaix独自のフューチャーショックもアップデートが加えられ、ロックアウト、もしくはダンパーと思われるダイヤルがステム上に確認できる。機械式のR9100系デュラエースはサガンのフランドル用定番カスタムで、ロンド用のS-Works Tarmacにも使われていたワンオフ品と思われるダイレクトマウントタイプのディレイラーハンガーを引き続き使用した。ホイールはロヴァールのCLX50で、28mmのHell of the Northタイヤを組み合わせた。
ボーラ・ハンスグローエは今年からPROのハンドル類を使っているが、相変わらずサガンはジップのSL SPRINTステムを愛用中。wahooのコンピュータを固定するK-Edgeのマウントは、コンピュータのエアロフォルムとツライチになる専用の未発表モデル。K-Edgeによれば来週中に新製品アナウンスが行われるという。
また、チームカーのルーフ上に搭載されていたサブバイクは、メインバイクと同じゴールドカラーにペイントされたディスクブレーキモデル。ただしホリゾンタル寄りのジオメトリーを持つ特別タイプと思われ、スペシャライズドのパリ〜ルーベに対する意気込みが垣間見える。なおセットされていたタイヤはFMBの30mm幅であり、両バイクのセッティングの違いが興味深い。
平坦基調の高速レースであることから、アシスト勢の中にはS-Works Venge Viasを選択した選手も。ただし現在ラインアップから消えたリムブレーキモデルであり、メカ作業の複雑さからVenge専用のAerofly ViASコクピットではなくノーマルハンドル+ステムが用いられている。
アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)
コルナゴ V2-R
重量級スプリンターのアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)は、ヨーロッパチャンピオンカラーにペイントされたコルナゴの軽量モデルV2-Rでパリ〜ルーベに挑んだ。発表されたばかりのハイエンドモデル、C64を駆る選手も存在し、その割合は半々程度。
UAEチームエミレーツは数少ないカンパニョーロサポートチームであり、メンバー全員がスーパーレコードEPSを使う。ただしルーベ用のカスタムとして、リアホイール脱着の利便性を踏まえてシマノのクイックレリーズ式ケーブルアジャスターをシマノロゴを塗り潰した上で数台のバイクに搭載していた。また、レコードグレードのブレーキキャリパーを搭載するバイクも。
ホイールは多くの選手がBORA ULTRA 35を使用し、タイヤは石畳用に強化したCORSA CONTROLでスキンサイドと通常タイプの2種類が使い分けられていた。高速レースを想定してクリストフのチェーンリング歯数は53-46Tで、ボトルケージは定番のCiussi GELに換装されていた。
イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・スーダル)
リドレー NOAH SL
10位フィニッシュを果たしたイェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・スーダル)が駆ったのは、リドレーのエアロロードであるNOAH SL。他に軽量オールラウンダーのHELIUM SLXを選択した選手もいた。
ロット・スーダルはUAEと同じくカンパニョーロのサポートチームでスーパーレコードEPSを使用するが、BORA ULTRA 50をメインで使用するなど選択の違いが興味深い。タイヤはヴィットリアのCORSAで、デブシェールはルーベ用としては細身の25mmをチョイス。ニコラス・マース(ベルギー)のバイクのトップチューブには「4.9/5.2」と空気圧を示すメモ書きが貼られていた。
ボトムブラケットはチームと同じベルギーブランドのC-BEARで、アウターケーブルはジャグワイヤーの分割式でそれぞれチューニング済みで、ペダルの踏面にリザードスキンズのバーテープを貼るのはチーム定番の音鳴りとスリップ防止対策。サドルはセライタリアで、デブシェールはショートノーズのFlite TTを使用する。
ワウト・ヴァンアールト(ベルギー、ベランダスヴィレムス・クレラン)
スティーヴンス Xenon
初のパリ〜ルーベ挑戦で13位に食い込んだシクロクロス世界王者、ワウト・ヴァンアールト(ベルギー、ベランダスヴィレムス・クレラン)が駆ったのはロンドに引き続きスティーヴンスのオールラウンドモデル、Xenon。スティーヴンスがレース直前の記者会見でお披露目させた特別ペイントが目を引く。
ヘッドチューブにはヴァンアールトのイラストが、フレーム各所に石畳のグラフィックが入るフレームは、パリ〜ルーベのために作られたもの。トップチューブには石畳セクター表があらかじめ表記され、シートステーには「Go hard or go gome」のスローガンも加えられている。
目立つ石畳対策はハンドル周りに集中している。テクトロ製のサブブレーキを取り付け、上ハンドルのステム寄りにRed eTapの変速スイッチ「Blips」を搭載、さらにバーテープを二重巻きにして衝撃を和らげつつコントロール性の確保を狙っている。ジップの303ホイールとシュワルベのG-ONE SPEED HTタイヤという組み合わせはロンドと変わらない。
ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
ピナレロ DOGMA K10-S
最初のパヴェ、セクター29トロワヴィルで起きた落車に巻き込まれ、リタイアに終わってしまったゲラント・トーマス(イギリス)を始め、チームスカイは全選手が電子制御のeDSSサスペンションを搭載したピナレロの石畳用モデル、DOGMA K10-Sを使用した。
目立つ石畳対策としては、サポートを受けるコンチネンタルではなく、スペアも含めた全ホイールにFMBの「PARIS ROUBAIX」タイヤ(27mmで統一)を装着したことが挙げられる。なおスペアバイクにはサスペンションを搭載しないDOGMA K10も用いられ、旧型のデュラエースホイールも多数充てがわれていた。ボトルケージは定番のCiussi GEL。
また、トーマスは2013年のツール・ド・フランスで骨盤骨折を負ってからパッド量を増やしたカスタムモデルのフィジーク・ARIONEを使用していた(後のトライアスロン用モデル ARIONE K1 TRI発売に繋がっている)が、現在はノーマルモデルに落ち着いている様子。一方ディラン・ファンバーレ(オランダ)はK1 TRIを使用していた。
ジュリアン・ヴェルモート(ベルギー、ディメンションデータ)
サーヴェロ R3
エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)やジュリアン・ヴェルモート(ベルギー)などディメンションデータの選手達は、トップモデルのR5ではなく、セカンドグレードのR3をフランドルクラシックで使用した。重量増よりも衝撃吸収性を重視しての選択だと思われる。
石畳用カスタムはボトルケージの変更(エリートのCiussi GEL)や、ワイドタイヤ(コンチネンタルのCOMPETITION PRO LTD RBX 28mm)の装着、インナーチェーンリングの大型化とやや控えめ。オークリーがスポンサードするチームだけに、新型のflightjacketを多くの選手が着用し注目を集めた。
text:So.Isobe
photo:Makoto.Ayano
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