ダニーロ・ナポリターノ(イタリア、カチューシャ)は2002年のミラノ〜サンレモを良く覚えている。シチリアを飛び出したばかりのナポリターノの目に映ったのは、マリオ・チポッリーニがサンレモで勝利した姿。ナポリターノの瞼の裏には、未だにその姿が神聖なものとして焼き付いている。

カチューシャのチームプレゼンテーションに出席したダニーロ・ナポリターノ(イタリア)カチューシャのチームプレゼンテーションに出席したダニーロ・ナポリターノ(イタリア) photo:Gregor Brown「いつもマリオ・チポッリーニの背中を追いかけていた。一人のファンとして、トレーニング中の彼にただ食らいついたこともあった。サンレモは僕にとって夢のレース。世界で一番美しいレースだと思っている」。

北イタリアや同国中部出身の選手が多い中で、ナポリターノは珍しく南のシチリア島出身。自転車一家出身で、叔父は当時ジュニアチームを経営していた。兄のマッシミリアーノに譲渡されたバイクでレースデビューを飾ったのは、ナポリターノが7歳の時。

チポッリーニのサンレモ制覇の2年後、ナポリターノはチームLPRでプロデビューを果たした。現在北イタリアに居を構えるナポリターノは、2006年のミラノ〜サンレモで5位。そして2007年、ジロ・デ・イタリアのリード・ディ・カマイオーレで自身初のグランツールステージ優勝を飾る。

ナポリターノは南米アルゼンチンで開催されたツール・ド・サンルイスに出場し、ステージ2位に2度、ステージ3位に1度入った。「今年は2007年と同じような良いオフトレーニングをこなしたんだ。理想のスタートと言ったところ。今シーズンはすでに好感触を掴んでいる」。

次戦は2月7日から12日にかけて開催されるツアー・オブ・カタール。そこでナポリターノはシーズン1勝目をスコアボードに刻みたいと願っている。

「もちろんもっと多くのレースで勝ちたいけど、先ずはミラノ〜サンレモとジロ・デ・イタリアだね」。かつてチポッリーニが辿った道を、ナポリターノは一歩一歩踏みしめて歩いて行く。


text&photo:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji

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