2018/03/26(月) - 08:29
ツール・ド・とちぎの第3ステージが、那須町から真岡市の147kmで行われ、集団スプリントを制したレイモンド・クレダー(チーム右京、オランダ)がステージ優勝。マイケル・ポッター(オーストラリアン・サイクリング・アカデミー・ライド・サンシャイン・コースト、オーストラリア)が個人総合優勝した。
ツール・ド・とちぎ最終日の第3ステージは、2015年にロードレースの全日本選手権が開催された栃木県北部の那須町をスタートして南下し、宇都宮市の東に位置する真岡市にフィニッシュする147km。途中、1ヶ所のスプリントポイントと、2ヶ所の3級山岳が設定される。コースの中盤過ぎまではアップダウンが繰り返され、終盤は平坦になり、長い直線道路も現れる。
前日の夜は雷を交えた雨が降ったものの、朝から晴れた1日。朝こそ1桁の気温だったものの、フィニッシュの真岡市では4月中旬並みとなる17.8℃を記録。軽く日焼けするほどの暑さを感じられる中での最終日となった。
2015年全日本選手権のスタート・フィニッシュ地点になった那須町文化センター前をスタート。全日本選手権のコースを2kmほどパレードしたのちリアルスタートが切られると、前日同様にアタック合戦が始まる。
何度か飛び出しと吸収が繰り返されたのち、キム・クンス(LXサイクリング・チーム、韓国)、新城雄大(キナンサイクリングチーム)、ホセ・ヴィセンテ・トリビオ・アルコレア(マトリックスパワータグ、スペイン)の3名が抜け出す。メイン集団との差は30秒前後まで開くがそれ以上開くことはなく、49km地点のスプリントポイントを前に集団に吸収される。
スプリントポイントはトビー・オーチャード(オーストラリアン・サイクリング・アカデミー・ライド・サンシャイン・コースト、オーストラリア)が1位通過。個人総合優勝争いで2位からの逆転を狙う増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が2位通過して2秒のボーナスタイムを獲得する。
その後もアタック合戦は続くものの、新たな逃げは発生しないまま、61km地点の1つ目の3級山岳への登りに差し掛かる。ここから宇都宮ブリッツェンが集団前方に集まってペースアップ。集団の人数を絞って行く。
山頂は昨年覇者のベンジャミン・ヒル(リュブリャナ・グスト・ザウラム、オーストラリア)が1位通過し、ロビー・ハッカー(チーム右京、オーストラリア)が2位通過。ハッカーは第2ステージの3級山岳を3位通過しており、これで山岳賞ジャージを着る湊諒(シマノレーシングチーム)とポイントで並んだ。
この3級山岳の登りと下りで集団が分裂し、20名ほどが先行する。70km地点を過ぎたあたり、丘陵地が連続するところで、岡篤志(宇都宮ブリッツェン)の飛び出しに反応した4人が新たな逃げ集団を形成する。メンバーは、岡、ハッカー、ソ・インス(LXサイクリングチーム、韓国)、石原祐希(栃木県選抜チーム)。メイン集団との差は最大で1分50秒まで開く。
89km地点の2回目の3級山岳はハッカーが先頭で通過。「他の3人は山岳賞のポイントを持っていなかったので、山岳賞には興味が無いようだった」とハッカーが言う通り、特に争うことなく山頂を通過する。これでハッカーは山岳賞トップに立った。
メイン集団では、アシスト勢が後方集団に取り残されてしまったリーダージャージのマイケル・ポッター(オーストラリアン・サイクリング・アカデミー・ライド・サンシャイン・コースト、オーストラリア)が自ら先頭を引く場面も見られた。しかしその後、登りで遅れた集団が追いついて1つにまとまり、スプリント勝負に持ち込みたい愛三工業レーシングチームが追走に加勢し始めたことでタイム差が縮まり始める。
残り20km、メイン集団との差が1分未満になると、逃げ集団から岡が単独アタックして独走。「逃げ集団のハッカー選手を連れて行くと個人総合で増田選手が逆転されてしまうので、切り離したかった」とレース後に話した岡は、メイン集団との差を再び1分まで広げる。しかし、フィニッシュに向けてさらに加速するメイン集団は岡との差をジリジリと削り、残り5kmを過ぎたところで岡を吸収。大集団でのスプリント勝負に持ち込まれた。
ゆるい左カーブを曲がって残り150mのストレートに、スプリントする集団が姿を現わす。先頭はレイモンド・クレダー(チーム右京、オランダ)。右から岡本隼(愛三工業レーシングチーム)、左から黒枝咲哉(シマノレーシングチーム)が競るも及ばず。クレダーは第3ステージ優勝と同時に、次点で着用していたポイント賞ジャージを自分の物にした。
第2ステージで落車しながらも2位に入り、今日は優勝して見せたクレダーは、「今朝起きたら昨日の落車の痛みが残っていたが、走り出したら痛みは無くなった。でもレースが終わってから痛みがまだ出てきて、表彰台に立った時はつらかった。最後のスプリントは残り250mから仕掛けた。チームのためにも表彰台に立ちたいと思っていたが、日本に来るのも日本のレースを走るのも初めてだったので、日本での良いスタートになったと思う」と語った。
一方、僅差で2位の岡本は、「スプリント勝負にするために、ダミアン選手と早川選手と阿曽選手が岡選手の逃げを潰してくれたので、勝たないといけないと思っていた。ラスト300mのカーブがグーグルマップで見たのよりもきつくて、アウト側にいたので厳しくなってしまった。2位という結果は満足していないが、UCIポイントを獲れたことは良かったと思う」とコメント。
3位の黒枝は「チームとして湊選手の山岳賞と、入部選手の個人総合を維持し、自分はステージ優勝狙いで今日のレースに臨んだ。最初の山岳はペースが速く、山岳賞を守ることができなかった時点で、自分のスプリントでステージ優勝を狙うことに切り替えた。横山選手が先頭まで連れて行ってくれ、ラスト300mから仕掛けた。でもカーブの先が思ったより長くて、最後は我慢のスプリントだった」と振り返った。
リーダージャージのポッターはメイン集団内でフィニッシュ。個人総合優勝を確定させた。
「3日間のうち、今日が一番ストレスフルだった。最初の山岳賞のあと、チームメイトが後ろの集団に下がってしまった時は、リーダージャージを守れないかもしれないと思った。でもその後立て直して総合優勝を決めることが出来た」と、最終日のレースを振り返った。今年21歳になるポッターは「次の目標はオーストラリア選手権。カデル・エバンスのような選手になりたい」と、将来の抱負を語った。
地元チームとして最後まで個人総合優勝を目指した増田成幸は個人総合3位でレースを終えた。「マイケル(ポッター)選手がとても強いので、利害が一致する他チームと協力して攻撃した。途中、アシストが1人しかいなくなってマイケル選手自身が逃げを追走する場面があった。それがチャンスだったが活かし切れなかった。結果は伴わなかったけれど、最後まで諦めずにチャレンジし続けたので悔いはない。今回はマイケル選手が強かったということに尽きる」と語った。
第1ステージのタイムトライアルの速さもさることながら、第2ステージで見せた圧倒的な強さに格の違いを感じさせたマイケル・ポッター。近い将来、グランツールを走る姿を見られるかもしれない。
ツール・ド・とちぎ最終日の第3ステージは、2015年にロードレースの全日本選手権が開催された栃木県北部の那須町をスタートして南下し、宇都宮市の東に位置する真岡市にフィニッシュする147km。途中、1ヶ所のスプリントポイントと、2ヶ所の3級山岳が設定される。コースの中盤過ぎまではアップダウンが繰り返され、終盤は平坦になり、長い直線道路も現れる。
前日の夜は雷を交えた雨が降ったものの、朝から晴れた1日。朝こそ1桁の気温だったものの、フィニッシュの真岡市では4月中旬並みとなる17.8℃を記録。軽く日焼けするほどの暑さを感じられる中での最終日となった。
2015年全日本選手権のスタート・フィニッシュ地点になった那須町文化センター前をスタート。全日本選手権のコースを2kmほどパレードしたのちリアルスタートが切られると、前日同様にアタック合戦が始まる。
何度か飛び出しと吸収が繰り返されたのち、キム・クンス(LXサイクリング・チーム、韓国)、新城雄大(キナンサイクリングチーム)、ホセ・ヴィセンテ・トリビオ・アルコレア(マトリックスパワータグ、スペイン)の3名が抜け出す。メイン集団との差は30秒前後まで開くがそれ以上開くことはなく、49km地点のスプリントポイントを前に集団に吸収される。
スプリントポイントはトビー・オーチャード(オーストラリアン・サイクリング・アカデミー・ライド・サンシャイン・コースト、オーストラリア)が1位通過。個人総合優勝争いで2位からの逆転を狙う増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が2位通過して2秒のボーナスタイムを獲得する。
その後もアタック合戦は続くものの、新たな逃げは発生しないまま、61km地点の1つ目の3級山岳への登りに差し掛かる。ここから宇都宮ブリッツェンが集団前方に集まってペースアップ。集団の人数を絞って行く。
山頂は昨年覇者のベンジャミン・ヒル(リュブリャナ・グスト・ザウラム、オーストラリア)が1位通過し、ロビー・ハッカー(チーム右京、オーストラリア)が2位通過。ハッカーは第2ステージの3級山岳を3位通過しており、これで山岳賞ジャージを着る湊諒(シマノレーシングチーム)とポイントで並んだ。
この3級山岳の登りと下りで集団が分裂し、20名ほどが先行する。70km地点を過ぎたあたり、丘陵地が連続するところで、岡篤志(宇都宮ブリッツェン)の飛び出しに反応した4人が新たな逃げ集団を形成する。メンバーは、岡、ハッカー、ソ・インス(LXサイクリングチーム、韓国)、石原祐希(栃木県選抜チーム)。メイン集団との差は最大で1分50秒まで開く。
89km地点の2回目の3級山岳はハッカーが先頭で通過。「他の3人は山岳賞のポイントを持っていなかったので、山岳賞には興味が無いようだった」とハッカーが言う通り、特に争うことなく山頂を通過する。これでハッカーは山岳賞トップに立った。
メイン集団では、アシスト勢が後方集団に取り残されてしまったリーダージャージのマイケル・ポッター(オーストラリアン・サイクリング・アカデミー・ライド・サンシャイン・コースト、オーストラリア)が自ら先頭を引く場面も見られた。しかしその後、登りで遅れた集団が追いついて1つにまとまり、スプリント勝負に持ち込みたい愛三工業レーシングチームが追走に加勢し始めたことでタイム差が縮まり始める。
残り20km、メイン集団との差が1分未満になると、逃げ集団から岡が単独アタックして独走。「逃げ集団のハッカー選手を連れて行くと個人総合で増田選手が逆転されてしまうので、切り離したかった」とレース後に話した岡は、メイン集団との差を再び1分まで広げる。しかし、フィニッシュに向けてさらに加速するメイン集団は岡との差をジリジリと削り、残り5kmを過ぎたところで岡を吸収。大集団でのスプリント勝負に持ち込まれた。
ゆるい左カーブを曲がって残り150mのストレートに、スプリントする集団が姿を現わす。先頭はレイモンド・クレダー(チーム右京、オランダ)。右から岡本隼(愛三工業レーシングチーム)、左から黒枝咲哉(シマノレーシングチーム)が競るも及ばず。クレダーは第3ステージ優勝と同時に、次点で着用していたポイント賞ジャージを自分の物にした。
第2ステージで落車しながらも2位に入り、今日は優勝して見せたクレダーは、「今朝起きたら昨日の落車の痛みが残っていたが、走り出したら痛みは無くなった。でもレースが終わってから痛みがまだ出てきて、表彰台に立った時はつらかった。最後のスプリントは残り250mから仕掛けた。チームのためにも表彰台に立ちたいと思っていたが、日本に来るのも日本のレースを走るのも初めてだったので、日本での良いスタートになったと思う」と語った。
一方、僅差で2位の岡本は、「スプリント勝負にするために、ダミアン選手と早川選手と阿曽選手が岡選手の逃げを潰してくれたので、勝たないといけないと思っていた。ラスト300mのカーブがグーグルマップで見たのよりもきつくて、アウト側にいたので厳しくなってしまった。2位という結果は満足していないが、UCIポイントを獲れたことは良かったと思う」とコメント。
3位の黒枝は「チームとして湊選手の山岳賞と、入部選手の個人総合を維持し、自分はステージ優勝狙いで今日のレースに臨んだ。最初の山岳はペースが速く、山岳賞を守ることができなかった時点で、自分のスプリントでステージ優勝を狙うことに切り替えた。横山選手が先頭まで連れて行ってくれ、ラスト300mから仕掛けた。でもカーブの先が思ったより長くて、最後は我慢のスプリントだった」と振り返った。
リーダージャージのポッターはメイン集団内でフィニッシュ。個人総合優勝を確定させた。
「3日間のうち、今日が一番ストレスフルだった。最初の山岳賞のあと、チームメイトが後ろの集団に下がってしまった時は、リーダージャージを守れないかもしれないと思った。でもその後立て直して総合優勝を決めることが出来た」と、最終日のレースを振り返った。今年21歳になるポッターは「次の目標はオーストラリア選手権。カデル・エバンスのような選手になりたい」と、将来の抱負を語った。
地元チームとして最後まで個人総合優勝を目指した増田成幸は個人総合3位でレースを終えた。「マイケル(ポッター)選手がとても強いので、利害が一致する他チームと協力して攻撃した。途中、アシストが1人しかいなくなってマイケル選手自身が逃げを追走する場面があった。それがチャンスだったが活かし切れなかった。結果は伴わなかったけれど、最後まで諦めずにチャレンジし続けたので悔いはない。今回はマイケル選手が強かったということに尽きる」と語った。
第1ステージのタイムトライアルの速さもさることながら、第2ステージで見せた圧倒的な強さに格の違いを感じさせたマイケル・ポッター。近い将来、グランツールを走る姿を見られるかもしれない。
第3ステージ 結果(那須町−真岡市 147km)
個人総合成績(第3ステージ終了時)
1位 | マイケル・ポッター(オーストラリアン・サイクリング・アカデミー・ライド・サンシャイン・コースト、オーストラリア) | 5時間46分16秒 |
2位 | レイモンド・クレダー(チーム右京、オランダ) | +14秒 |
3位 | 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) | +20秒 |
4位 | ロビー・ハッカー(チーム右京、オーストラリア) | +32秒 |
5位 | 入部正太朗(シマノレーシングチーム) | +36秒 |
6位 | 鈴木 譲(宇都宮ブリッツェン) | +40秒 |
7位 | フレディ・オヴェット(オーストラリアン・サイクリング・アカデミー・ライド・サンシャイン・コースト、オーストラリア) | +41秒 |
8位 | ベンジャミ・プラデス・レヴェルテル(チーム右京、スペイン) | +53秒 |
9位 | 岡 篤志(宇都宮ブリッツェン) | +1分2秒 |
10位 | ベンジャミン・ヒル(リュブリャナ・グスト・ザウラム、オーストラリア) | +1分6秒 |
ポイント賞(第3ステージ終了時)
1位 | レイモンド・クレダー(チーム右京、オランダ) | 49p |
2位 | マイケル・ポッター(オーストラリアン・サイクリング・アカデミー・ライド・サンシャイン・コースト、オーストラリア) | 38p |
3位 | ベンジャミ・プラデス・レヴェルテル(チーム右京。スペイン) | 25p |
山岳賞(第3ステージ終了時)
1位 | ロビー・ハッカー(チーム右京、オーストラリア) | 10p |
2位 | ベンジャミン・ヒル(リュブリャナ・グスト・ザウラム、オーストラリア) | 5p |
3位 | 湊 諒(シマノレーシングチーム) | 5p |
チーム総合(第3ステージ終了時)
1位 | チーム右京 | 17時間20分32秒 |
2位 | 宇都宮ブリッツェン | +19秒 |
3位 | オーストラリアン・サイクリング・アカデミー・ライド・サンシャイン・コースト | +36秒 |
text&photo:Satoru Kato
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