2018/02/24(土) - 10:19
ドイツ生まれのスプリンターがトップ3を独占したアブダビツアー第3ステージ。マルセル・キッテルを写真判定で下した23歳のフィル・バウハウスが勝利し、サンウェブに今シーズン初勝利をもたらした。
アブダビツアー2日目はUAE(アラブ首長国連邦)の首都アブダビ市を駆け抜ける133km。今大会最短の、再びスプリンター向きの平坦コースが用意された。高層ビルが建ち並ぶアブダビ市内をスタートし、巨大なシェイク・ザーイド・モスク、ヤス・マリーナ・サーキットがあるヤス島、開発が進むサディヤット島を経て、ペルシャ湾に突き出たアル・マリーナにフィニッシュする。
スタート直後からアタックを連発したピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)にセルゲイ・フィルサノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)、サム・ブランド(イギリス、ノボノルディスク)、マルコ・マロネーゼ(イタリア、バルディアーニCSF)がジョイン。クイックステップフロアーズの集団牽引によってタイム差は2分30秒以内に抑え込まれた。
幅広で真っ平らなコースは逃げグループに不利。残り70km地点でタイム差が早くも1分を切ると、ニコライ・トルソーフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)のスプリント賞ジャージを守りたいガスプロム・ルスヴェロが集団牽引を開始する。ペースの上がったメイン集団によって逃げは早めの吸収。残り51km地点の第2スプリントで本格的なスプリントバトルが繰り広げられ、リーダージャージを着るエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)が先頭通過している。
横風区間でのペースアップによって集団が割れたが、その後の幹線道路で集団は一つに戻る。ラウンドアバウトで落車したアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)も難なく集団に復帰。アタックが生まれないまま、クイックステップフロアーズを先頭に集団は淡々とフィニッシュへと向かった。
この日もフレッシュなスプリンターチームが人数を揃えて隊列を組んだ。残り1kmを切ってから先頭に立ったのは、40秒間にわたって平均852Wを出力したミッチェルトン・スコットのルカ・メズゲッツ(スロベニア)。カレブ・ユアン(オーストラリア)のリードアウトを担うスロベニアチャンピオンを先頭に、60km/hオーバーを維持したまま残り300mの最終コーナーを抜ける。
真っ先に仕掛けたのは4番手につけていたユアンで、サバティーニのリードアウトを受けたヴィヴィアーニが少しタイミングを遅らせてからスプリントをスタートさせる。すぐさま先頭に立ったユアンとヴィヴィアーニ。しかしその後ろからジャーマンスプリンターたちが追い上げを見せた。
フィル・バウハウス(ドイツ、サンウェブ)、パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)が先行するヴィヴィアーニに並び、別ラインで突き進んでいたユアンをも抜く。さらには最終コーナーの時点で13〜14番手に下がっていたマルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)も猛烈な勢いで差し込み、最後はアッカーマン、バウハウス、ヴィヴィアーニ、キッテルが横並びでハンドルを投げ込んだ。
トップスピード65.9km/hのスプリントバトルの栄冠は、数センチ差でキッテルを下したバウハウスの手にわたった。キッテルは同じアル・マリーナにフィニッシュした2017年大会の第2ステージでユアンを差し切って勝利したが、その再現はならなかった。僅差で初勝利を逃したキッテルは「ようやく自分のスピードが戻ってきた」と語っている。この日はドイツ人スプリンターがトップ3を独占した。
23歳の新鋭バウハウスは「エリア・ヴィヴィアーニの番手につけて最終コーナーを抜け、彼の後ろからスプリントを開始した。後方から追い上げたマルセル・キッテルとの差が極めて小さかったので、フィニッシュした時点で勝ったかどうか分からなかった。勝利が確定した時はもちろんスーパーハッピーだったよ」と喜ぶ。
バウハウスは2015年にボーラ・アルゴン18でプロ入りし、2016年ロード世界選手権U23ロードで4位。サンウェブに加入した2017年にクリテリウム・デュ・ドーフィネでステージ優勝を飾っている。「ビッグネームを打ち負かしたことを誇りに思う。チームにシーズン初勝利をもたらすことができたし、昨年のドーフィネでのステージ優勝とはまた違った喜びだ」とバウハウスは語る。サンウェブはこれが今シーズン初勝利。サンウェブの勝利により、すべてのUCIワールドチームが今シーズン勝利を手にしたことになる。
ステージ4位に終わったヴィヴィアーニは「最終コーナーでの位置取りは悪くなかった。最後はファビオ・サバティーニの後ろから残り150mでスプリントを開始。早すぎたわけじゃないけど、後ろから迫るドイツのスプリンターたちを振り切れなかった」と振り返る。なお、ヴィヴィアーニが第2スプリントを先頭通過した際に記録した出力は13秒間1,213Wで最大1,481W。熾烈なポジション争いによってスプリント前に力を使ったため、フィニッシュでの出力は13秒間907W、最大1,214Wにとどまった。
第4ステージの12.6km個人タイムトライアルを前に、総合首位のヴィヴィアーニは「距離があと4km短ければ総合リードを守れるかもしれないけど、実際は難しいと思う。明日の個人TTではリーダージャージに敬意を表して最大限の走りをしたい。ポイント賞の座を守るために最終日(山岳ステージ)では再びスプリントポイントを狙うよ」とコメント。総合争いの行方は、翌日の12.6km個人TTと最終日のジュベルハフィート山頂フィニッシュに委ねられた。
アブダビツアー2日目はUAE(アラブ首長国連邦)の首都アブダビ市を駆け抜ける133km。今大会最短の、再びスプリンター向きの平坦コースが用意された。高層ビルが建ち並ぶアブダビ市内をスタートし、巨大なシェイク・ザーイド・モスク、ヤス・マリーナ・サーキットがあるヤス島、開発が進むサディヤット島を経て、ペルシャ湾に突き出たアル・マリーナにフィニッシュする。
スタート直後からアタックを連発したピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)にセルゲイ・フィルサノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)、サム・ブランド(イギリス、ノボノルディスク)、マルコ・マロネーゼ(イタリア、バルディアーニCSF)がジョイン。クイックステップフロアーズの集団牽引によってタイム差は2分30秒以内に抑え込まれた。
幅広で真っ平らなコースは逃げグループに不利。残り70km地点でタイム差が早くも1分を切ると、ニコライ・トルソーフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)のスプリント賞ジャージを守りたいガスプロム・ルスヴェロが集団牽引を開始する。ペースの上がったメイン集団によって逃げは早めの吸収。残り51km地点の第2スプリントで本格的なスプリントバトルが繰り広げられ、リーダージャージを着るエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)が先頭通過している。
横風区間でのペースアップによって集団が割れたが、その後の幹線道路で集団は一つに戻る。ラウンドアバウトで落車したアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)も難なく集団に復帰。アタックが生まれないまま、クイックステップフロアーズを先頭に集団は淡々とフィニッシュへと向かった。
この日もフレッシュなスプリンターチームが人数を揃えて隊列を組んだ。残り1kmを切ってから先頭に立ったのは、40秒間にわたって平均852Wを出力したミッチェルトン・スコットのルカ・メズゲッツ(スロベニア)。カレブ・ユアン(オーストラリア)のリードアウトを担うスロベニアチャンピオンを先頭に、60km/hオーバーを維持したまま残り300mの最終コーナーを抜ける。
真っ先に仕掛けたのは4番手につけていたユアンで、サバティーニのリードアウトを受けたヴィヴィアーニが少しタイミングを遅らせてからスプリントをスタートさせる。すぐさま先頭に立ったユアンとヴィヴィアーニ。しかしその後ろからジャーマンスプリンターたちが追い上げを見せた。
フィル・バウハウス(ドイツ、サンウェブ)、パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)が先行するヴィヴィアーニに並び、別ラインで突き進んでいたユアンをも抜く。さらには最終コーナーの時点で13〜14番手に下がっていたマルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)も猛烈な勢いで差し込み、最後はアッカーマン、バウハウス、ヴィヴィアーニ、キッテルが横並びでハンドルを投げ込んだ。
トップスピード65.9km/hのスプリントバトルの栄冠は、数センチ差でキッテルを下したバウハウスの手にわたった。キッテルは同じアル・マリーナにフィニッシュした2017年大会の第2ステージでユアンを差し切って勝利したが、その再現はならなかった。僅差で初勝利を逃したキッテルは「ようやく自分のスピードが戻ってきた」と語っている。この日はドイツ人スプリンターがトップ3を独占した。
23歳の新鋭バウハウスは「エリア・ヴィヴィアーニの番手につけて最終コーナーを抜け、彼の後ろからスプリントを開始した。後方から追い上げたマルセル・キッテルとの差が極めて小さかったので、フィニッシュした時点で勝ったかどうか分からなかった。勝利が確定した時はもちろんスーパーハッピーだったよ」と喜ぶ。
バウハウスは2015年にボーラ・アルゴン18でプロ入りし、2016年ロード世界選手権U23ロードで4位。サンウェブに加入した2017年にクリテリウム・デュ・ドーフィネでステージ優勝を飾っている。「ビッグネームを打ち負かしたことを誇りに思う。チームにシーズン初勝利をもたらすことができたし、昨年のドーフィネでのステージ優勝とはまた違った喜びだ」とバウハウスは語る。サンウェブはこれが今シーズン初勝利。サンウェブの勝利により、すべてのUCIワールドチームが今シーズン勝利を手にしたことになる。
ステージ4位に終わったヴィヴィアーニは「最終コーナーでの位置取りは悪くなかった。最後はファビオ・サバティーニの後ろから残り150mでスプリントを開始。早すぎたわけじゃないけど、後ろから迫るドイツのスプリンターたちを振り切れなかった」と振り返る。なお、ヴィヴィアーニが第2スプリントを先頭通過した際に記録した出力は13秒間1,213Wで最大1,481W。熾烈なポジション争いによってスプリント前に力を使ったため、フィニッシュでの出力は13秒間907W、最大1,214Wにとどまった。
第4ステージの12.6km個人タイムトライアルを前に、総合首位のヴィヴィアーニは「距離があと4km短ければ総合リードを守れるかもしれないけど、実際は難しいと思う。明日の個人TTではリーダージャージに敬意を表して最大限の走りをしたい。ポイント賞の座を守るために最終日(山岳ステージ)では再びスプリントポイントを狙うよ」とコメント。総合争いの行方は、翌日の12.6km個人TTと最終日のジュベルハフィート山頂フィニッシュに委ねられた。
アブダビツアー2018第3ステージ結果
1位 | フィル・バウハウス(ドイツ、サンウェブ) | 3:02:55 |
2位 | マルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) | |
3位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
4位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | |
5位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | |
6位 | アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル) | |
7位 | ルディ・バルビエ(フランス、アージェードゥーゼール) | |
8位 | アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) | |
9位 | ダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNLユンボ) | |
10位 | アンドレア・グアルディーニ(イタリア、バルディアーニCSF) |
個人総合成績
1位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 11:06:36 |
2位 | アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) | 0:00:03 |
3位 | フィル・バウハウス(ドイツ、サンウェブ) | |
4位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:05 |
5位 | ダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNLユンボ) | 0:00:07 |
6位 | マルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) | |
7位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:09 |
8位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 0:00:10 |
9位 | トムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード) | |
10位 | アレッサンドロ・トネッリ(イタリア、バルディアーニCSF) |
ポイント賞
1位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 46pts |
2位 | アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) | 27pts |
3位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 26pts |
ヤングライダー賞
1位 | フィル・バウハウス(ドイツ、サンウェブ) | 11:06:39 |
2位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:02 |
3位 | ダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNLユンボ) | 0:00:04 |
スプリント賞
1位 | ニコライ・トルソーフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ) | 12pts |
2位 | ヴィンチェンツォ・アルバネーゼ(イタリア、バルディアーニCSF) | 10pts |
3位 | トムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード) | 9pts |
チーム総合成績
1位 | バーレーン・メリダ | 33:20:27 |
2位 | クイックステップフロアーズ | |
3位 | バルディアーニCSF |
text:Kei Tsuji
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