2018/01/28(日) - 20:17
最高気温が39度まで上がる過酷なコンディションの中で開催されたカデルエヴァンス・グレートオーシャン・ロードレース。終盤の登りでアタックが連発するスリリングな展開の末、24名による小集団スプリントでジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)が勝利した。
1月28日、女子レース(UCI1.1)の翌日に開催されたカデルエヴァンス・グレートオーシャン・ロードレース。ヴィクトリア州政府がバックアップする大会は2017年にUCIワールドツアー入りを果たし、今年で開催4回目を迎える。サントス・ツアー・ダウンアンダーの翌週に開催されることから、多くのUCIワールドチーム(今年は12チーム)がそのままオーストラリアに居残り、大会の拠点であるジーロングもしくはその郊外に1週間滞在。温暖な気候を利用し、ハイシーズンに向けて乗り込んだ。
レース名の通り、コースは景勝地グレートオーシャンロードの一部を走る164km。2010年のUCIロード世界選手権の会場となったジーロングの街から、2011年ツール・ド・フランス覇者カデル・エヴァンスが居を構えるバーウォンヘッズを駆け抜け、サーファーの名所トーキーやベルズビーチを通過。終盤にかけて「チャランブラクレセント(全長1.4km/平均7%/最大20%)」と「クイーンズパーク(全長400m/平均7%/最大20%)」を含む周回コースを3周する。例年よりも周回内の登りが1つ削られたものの、急勾配の2つの登りの通過回数は増加。この新たなコースレイアウトと、湿度を伴う最高気温39度の暑さがレース展開を左右した。
レースディレクターのスコット・サンダーランド氏が旗を振るとすぐ、パヴェル・コチェトコフ(ロシア、カチューシャ・アルペシン)とロバート・デグレーフ(オランダ、ルームポット)、ラッセノーマン・ハンセン(デンマーク、アクアブルー)、サムエル・ウェルスフォードとアレックス・ポーター(オーストラリア、コーダメンタリアルエステート)の5名による逃げがスタート。タイム差は瞬く間に6分を超えた。
メイン集団は主にミッチェルトン・スコットとクイックステップフロアーズによるコントロール下に置かれ、後半に入るとサンウェブとボーラ・ハンスグローエもここに加わる。サーファーが浮かぶビーチを抜けて内陸に入り、ジーロングに戻った時点でタイム差は4分30秒。そこから「チャランブラクレセント」と「クイーンズパーク」の登りをこなす度にタイム差は縮まっていった。
残り2周回に入るとタイム差は1分を割り込み、フィニッシュまで23kmを残して集団は活性化。ミッチェルトン・スコットがペースを上げると、ウィランガヒルの王様リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)は脱落してしまう。集団先頭ではサブエース級の選手がカウンターアタックを連発させ、不安定なままレースは最終周回に入った。
逃げ続けたコチェトコフとハンセンを最終周回の鐘を聞いてすぐに吸収した集団は、最後の「チャランブラクレセント」に向けてスピードを上げる。登りが始まるとロットNLユンボが先頭に立ってハイペースを刻み、急勾配区間でピーター・ケニャック(イギリス、ボーラ・ハンスグローエ)が仕掛けた。「登りに入るポジションが後ろ過ぎた」という別府史之(トレック・セガフレード)はここで集団から脱落してしまう。
ケニャックのアタックにはジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)とエステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット)がすかさず反応。体重54kgのチャベスは2分37秒間の登坂で平均443W(1分間ピーク543W)を出力している。チャベスとベネットが競り合うようにして先頭で頂上をクリアすると、残り9km地点で9名が先行を開始した。
チャベスとベネットに追いついたのは、ダニエル・オス(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)、ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップフロアーズ)、ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)、ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)、サイモン・ゲランス(オーストラリア、BMCレーシング)、ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)、ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)というエース級メンバー。オスが献身的にペースを作り、協調体制を築けない9名の先頭グループを導く。
メンバー2名を揃えるミッチェルトン・スコットとロットNLユンボはアタックを繰り返し、やがて残り3kmからチャベスが独走をスタート。乗り遅れた8名は牽制とアタックを交互に繰り返しながらフィニッシュを目指し、そのすぐ後ろには15名の追走集団が迫った。
チャベスが独走のまま残り1kmサインを通過したその後ろでは、追走する8名に後方の集団から次々に合流する選手が現れる。チャベスは吸収され、時を同じくして追走集団も合流。こうしてスプリント開始直前のタイミングで24名にまで人数を増やした小集団がフィニッシュラインに向けて加速する。ジョセ・ゴンサルベス(ポルトガル、カチューシャ・アルペシン)の早駆けは決まらず、先頭グループ内で力を貯めていたマッカーシーが鋭い加速を見せた。
追走集団に入って勝負に残ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)やインピー、ゲランス、そして大会連覇を狙うニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ)も加わったスプリント。いずれの選手も先行するマッカーシーに追いつくことはできなかった。マッカーシーが悠々と両手を広げてフィニッシュし、ヴィヴィアーニが2位、インピーが3位。ヴィヴィアーニは最終スプリントで22秒間に渡って905Wを出力し、最大パワーは1245Wだった。
「ダウンアンダーでは総合争いに絡めず残念だったけど、結果以上に手応えを感じていた。オーストラリアの夏のラストレースで結果を残したいと切に願っていた。良い日もあれば悪い日もある。今日は自分の日だった」と、木曜日のレースメルボルン・アルバートパークGPでのサム・ベネット(アイルランド)の勝利に続いて、ボーラ・ハンスグローエに連勝をもたらしたマッカーシー。UCIワールドツアーのワンデーレースで初タイトルを獲得した25歳は翌日のフライトでヨーロッパに渡る。
1月28日、女子レース(UCI1.1)の翌日に開催されたカデルエヴァンス・グレートオーシャン・ロードレース。ヴィクトリア州政府がバックアップする大会は2017年にUCIワールドツアー入りを果たし、今年で開催4回目を迎える。サントス・ツアー・ダウンアンダーの翌週に開催されることから、多くのUCIワールドチーム(今年は12チーム)がそのままオーストラリアに居残り、大会の拠点であるジーロングもしくはその郊外に1週間滞在。温暖な気候を利用し、ハイシーズンに向けて乗り込んだ。
レース名の通り、コースは景勝地グレートオーシャンロードの一部を走る164km。2010年のUCIロード世界選手権の会場となったジーロングの街から、2011年ツール・ド・フランス覇者カデル・エヴァンスが居を構えるバーウォンヘッズを駆け抜け、サーファーの名所トーキーやベルズビーチを通過。終盤にかけて「チャランブラクレセント(全長1.4km/平均7%/最大20%)」と「クイーンズパーク(全長400m/平均7%/最大20%)」を含む周回コースを3周する。例年よりも周回内の登りが1つ削られたものの、急勾配の2つの登りの通過回数は増加。この新たなコースレイアウトと、湿度を伴う最高気温39度の暑さがレース展開を左右した。
レースディレクターのスコット・サンダーランド氏が旗を振るとすぐ、パヴェル・コチェトコフ(ロシア、カチューシャ・アルペシン)とロバート・デグレーフ(オランダ、ルームポット)、ラッセノーマン・ハンセン(デンマーク、アクアブルー)、サムエル・ウェルスフォードとアレックス・ポーター(オーストラリア、コーダメンタリアルエステート)の5名による逃げがスタート。タイム差は瞬く間に6分を超えた。
メイン集団は主にミッチェルトン・スコットとクイックステップフロアーズによるコントロール下に置かれ、後半に入るとサンウェブとボーラ・ハンスグローエもここに加わる。サーファーが浮かぶビーチを抜けて内陸に入り、ジーロングに戻った時点でタイム差は4分30秒。そこから「チャランブラクレセント」と「クイーンズパーク」の登りをこなす度にタイム差は縮まっていった。
残り2周回に入るとタイム差は1分を割り込み、フィニッシュまで23kmを残して集団は活性化。ミッチェルトン・スコットがペースを上げると、ウィランガヒルの王様リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)は脱落してしまう。集団先頭ではサブエース級の選手がカウンターアタックを連発させ、不安定なままレースは最終周回に入った。
逃げ続けたコチェトコフとハンセンを最終周回の鐘を聞いてすぐに吸収した集団は、最後の「チャランブラクレセント」に向けてスピードを上げる。登りが始まるとロットNLユンボが先頭に立ってハイペースを刻み、急勾配区間でピーター・ケニャック(イギリス、ボーラ・ハンスグローエ)が仕掛けた。「登りに入るポジションが後ろ過ぎた」という別府史之(トレック・セガフレード)はここで集団から脱落してしまう。
ケニャックのアタックにはジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)とエステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット)がすかさず反応。体重54kgのチャベスは2分37秒間の登坂で平均443W(1分間ピーク543W)を出力している。チャベスとベネットが競り合うようにして先頭で頂上をクリアすると、残り9km地点で9名が先行を開始した。
チャベスとベネットに追いついたのは、ダニエル・オス(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)、ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップフロアーズ)、ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)、ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)、サイモン・ゲランス(オーストラリア、BMCレーシング)、ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)、ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)というエース級メンバー。オスが献身的にペースを作り、協調体制を築けない9名の先頭グループを導く。
メンバー2名を揃えるミッチェルトン・スコットとロットNLユンボはアタックを繰り返し、やがて残り3kmからチャベスが独走をスタート。乗り遅れた8名は牽制とアタックを交互に繰り返しながらフィニッシュを目指し、そのすぐ後ろには15名の追走集団が迫った。
チャベスが独走のまま残り1kmサインを通過したその後ろでは、追走する8名に後方の集団から次々に合流する選手が現れる。チャベスは吸収され、時を同じくして追走集団も合流。こうしてスプリント開始直前のタイミングで24名にまで人数を増やした小集団がフィニッシュラインに向けて加速する。ジョセ・ゴンサルベス(ポルトガル、カチューシャ・アルペシン)の早駆けは決まらず、先頭グループ内で力を貯めていたマッカーシーが鋭い加速を見せた。
追走集団に入って勝負に残ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)やインピー、ゲランス、そして大会連覇を狙うニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ)も加わったスプリント。いずれの選手も先行するマッカーシーに追いつくことはできなかった。マッカーシーが悠々と両手を広げてフィニッシュし、ヴィヴィアーニが2位、インピーが3位。ヴィヴィアーニは最終スプリントで22秒間に渡って905Wを出力し、最大パワーは1245Wだった。
「ダウンアンダーでは総合争いに絡めず残念だったけど、結果以上に手応えを感じていた。オーストラリアの夏のラストレースで結果を残したいと切に願っていた。良い日もあれば悪い日もある。今日は自分の日だった」と、木曜日のレースメルボルン・アルバートパークGPでのサム・ベネット(アイルランド)の勝利に続いて、ボーラ・ハンスグローエに連勝をもたらしたマッカーシー。UCIワールドツアーのワンデーレースで初タイトルを獲得した25歳は翌日のフライトでヨーロッパに渡る。
カデルエヴァンス・グレートオーシャン・ロードレース2018結果
1位 | ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 4:04:00 |
2位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | |
3位 | ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) | |
4位 | ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップフロアーズ) | |
5位 | サイモン・ゲランス(オーストラリア、BMCレーシング) | |
6位 | ニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ) | |
7位 | スティール・ヴォンホフ(オーストラリア、コーダメンタリアルエステート) | |
8位 | ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、トレック・セガフレード) | |
9位 | エンリコ・バッタリーン(イタリア、ロットNLユンボ) | |
10位 | ラルスイティング・バク(デンマーク、ロット・スーダル) | |
34位 | 別府史之(日本、トレック・セガフレード) | 0:01:22 |
text&photo:Kei Tsuji
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