2018/01/21(日) - 20:30
力強いスプリントでカレブ・ユアンを抜き去ったアンドレ・グライペルのステージ2勝でサントス・ツアー・ダウンアンダーは閉幕。リードを守り抜いたミッチェルトン・スコットのダリル・インピーが初の総合優勝に輝いた。
クリテリウムの「ピープルズチョイスクラシック」を含めると8日間の日程で開催されたサントス・ツアー・ダウンアンダーを締めくくるのは、大会の拠点であるアデレードの市街地を舞台にした周回レース。街のメインストレートであるキングウィリアムズ通りを大々的に規制して作られた4.5kmコースを20周する。
短い緩斜面のKOMを含む周回は1周につき30mほどの標高差があるが、コースは完全にスプリンターのためのもの。最終スプリントでのボーナスタイム獲得(10秒、6秒、4秒)が事実上不可能なため、総合上位陣が8周目と12周目に設定されたスプリントポイント(ボーナスタイム3秒、2秒、1秒)に向かって積極的に動く。特に同タイムで9名が並ぶ総合8位から総合16位までの選手の動きに注目が集まった。
最高気温35度という暑さの中、ローラン・ディディエ(ルクセンブルク、トレック・セガフレード)、トルルス・コルシャイス(ノルウェー、アスタナ)、ローガン・オーウェン(アメリカ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)の3名が飛び出したところでスタートから続いたアタック合戦は一旦落ち着く。しかし8周目のスプリントポイントが近づくとトレック・セガフレードのペースアップが始まり、別府史之(トレック・セガフレード)がチームメイトを引き連れてリードアウト。先頭ではオーウェンだけが生き残り、集団スプリントの末に総合17位のルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)と総合13位のルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、トレック・セガフレード)が2番手と3番手通過した。サンチェスとゲレイロは戦略的な走りでそれぞれ総合8位と総合9位にジャンプアップした。
続いて集団から飛び出したベン・オコーナー(オーストラリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)が先頭オーウェンに追いつくと、そこから長い二人旅が始まる。メイン集団とのタイム差が2分まで広がったため、総合22位・29秒遅れのオコーナーが暫定リーダージャージに。
もちろんスプリンターチームはオーウェンとオコーナーの逃げ切りを許すはずもなく、ミッチェルトン・スコットとロット・スーダルを中心にした追撃によってタイム差は縮まっていく。先にオコーナーが失速し、粘り強く逃げ続けた元アメリカU23シクロクロス王者のオーウェンもフィニッシュまで2周回を残して吸収された。
どのチームもリードアウトトレインを組めないまま残り1km。サンウェブとクイックステップフロアーズがそれぞれ三枚を揃えて先頭に上がるも完璧なリードアウトには繋がらない。最終的にボーラ・ハンスグローエのリュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ)がペテル・サガン(スロバキア)を連れて先頭に立ったものの、その遥か後ろからロケットのようにカレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)が加速した。
ポジション取りに苦戦して後方からの早駆けを強いられたユアンが、スピード差をつけた状態でサガンをパスしていく。独特の低いエアロポジションを維持して先頭で最終ストレートをかっ飛んだユアン。しかしそのスリップストリームからアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)が抜け出した。
残り100mから加速したグライペルがユアンと並び、それぞれハンドルを投げ込んでフィニッシュ。その差はホイール半分。先にハンドルを投げたグライペルが差し切った。勾配2%ほどの登り基調だったにもかかわらずスプリント中のトップスピードは65.4km/h。グライペル(体重81kg)は最高1,903W、12秒間1,609Wという強烈なパワー数値を叩き出している。対して早めに仕掛けたユアン(体重61kg)は最大1,427W、16秒間1,171Wだった。
「決してイージーな勝利ではなかった」と、ステージ通算勝利数を18勝に伸ばしたグライペルは語る。「今日は飛び出すタイミングをできるだけ待ち続けた。すると後ろからミサイルのようにカレブ(ユアン)が飛んできて、なんとか彼のスリップストリームに入ったんだ。18勝目を誇りに思うし、ダウンアンダーに(4年ぶりに)帰ってきてよかったよ」。第1ステージに続く2勝目を飾ったグライペルが今大会最速の称号を得たと言っていい。なおポイント賞ジャージはサガンの手に渡っている。
そして総合2位リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)と同タイムでフィニッシュしたダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)が総合優勝。インピーが大会期間中に獲得したボーナスタイムは合計12秒だったのに対し、ポートは合計10秒だった。つまり純粋なレース時間だけを見るとポートがより短い時間で全長784kmコースを走りきっているが、合計3ステージで2位に入ったインピーがより多くのボーナスタイムを獲得。ポートのボーナスタイム獲得は第5ステージ優勝の1回のみで、規定によりステージ順位の合計が少ないインピーが総合優勝に輝いた。
「開幕時には自分が総合優勝するなんて夢にも思っていなかったけど、全てが作戦通り進んで今ここにいる。最終ステージも多くのアタックがかかって混沌としていたし、総合リードを守りきることができてホッとしたよ。この勝利は南アフリカにいる家族に捧げたい」と、ミッチェルトン・スコットにオーストラリア最大のタイトルをもたらしたインピーは語る。ミッチェルトン・スコットはダウンアンダー男女ダブルタイトルを達成した。
クリテリウムの「ピープルズチョイスクラシック」を含めると8日間の日程で開催されたサントス・ツアー・ダウンアンダーを締めくくるのは、大会の拠点であるアデレードの市街地を舞台にした周回レース。街のメインストレートであるキングウィリアムズ通りを大々的に規制して作られた4.5kmコースを20周する。
短い緩斜面のKOMを含む周回は1周につき30mほどの標高差があるが、コースは完全にスプリンターのためのもの。最終スプリントでのボーナスタイム獲得(10秒、6秒、4秒)が事実上不可能なため、総合上位陣が8周目と12周目に設定されたスプリントポイント(ボーナスタイム3秒、2秒、1秒)に向かって積極的に動く。特に同タイムで9名が並ぶ総合8位から総合16位までの選手の動きに注目が集まった。
最高気温35度という暑さの中、ローラン・ディディエ(ルクセンブルク、トレック・セガフレード)、トルルス・コルシャイス(ノルウェー、アスタナ)、ローガン・オーウェン(アメリカ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)の3名が飛び出したところでスタートから続いたアタック合戦は一旦落ち着く。しかし8周目のスプリントポイントが近づくとトレック・セガフレードのペースアップが始まり、別府史之(トレック・セガフレード)がチームメイトを引き連れてリードアウト。先頭ではオーウェンだけが生き残り、集団スプリントの末に総合17位のルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)と総合13位のルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、トレック・セガフレード)が2番手と3番手通過した。サンチェスとゲレイロは戦略的な走りでそれぞれ総合8位と総合9位にジャンプアップした。
続いて集団から飛び出したベン・オコーナー(オーストラリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)が先頭オーウェンに追いつくと、そこから長い二人旅が始まる。メイン集団とのタイム差が2分まで広がったため、総合22位・29秒遅れのオコーナーが暫定リーダージャージに。
もちろんスプリンターチームはオーウェンとオコーナーの逃げ切りを許すはずもなく、ミッチェルトン・スコットとロット・スーダルを中心にした追撃によってタイム差は縮まっていく。先にオコーナーが失速し、粘り強く逃げ続けた元アメリカU23シクロクロス王者のオーウェンもフィニッシュまで2周回を残して吸収された。
どのチームもリードアウトトレインを組めないまま残り1km。サンウェブとクイックステップフロアーズがそれぞれ三枚を揃えて先頭に上がるも完璧なリードアウトには繋がらない。最終的にボーラ・ハンスグローエのリュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ)がペテル・サガン(スロバキア)を連れて先頭に立ったものの、その遥か後ろからロケットのようにカレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)が加速した。
ポジション取りに苦戦して後方からの早駆けを強いられたユアンが、スピード差をつけた状態でサガンをパスしていく。独特の低いエアロポジションを維持して先頭で最終ストレートをかっ飛んだユアン。しかしそのスリップストリームからアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)が抜け出した。
残り100mから加速したグライペルがユアンと並び、それぞれハンドルを投げ込んでフィニッシュ。その差はホイール半分。先にハンドルを投げたグライペルが差し切った。勾配2%ほどの登り基調だったにもかかわらずスプリント中のトップスピードは65.4km/h。グライペル(体重81kg)は最高1,903W、12秒間1,609Wという強烈なパワー数値を叩き出している。対して早めに仕掛けたユアン(体重61kg)は最大1,427W、16秒間1,171Wだった。
「決してイージーな勝利ではなかった」と、ステージ通算勝利数を18勝に伸ばしたグライペルは語る。「今日は飛び出すタイミングをできるだけ待ち続けた。すると後ろからミサイルのようにカレブ(ユアン)が飛んできて、なんとか彼のスリップストリームに入ったんだ。18勝目を誇りに思うし、ダウンアンダーに(4年ぶりに)帰ってきてよかったよ」。第1ステージに続く2勝目を飾ったグライペルが今大会最速の称号を得たと言っていい。なおポイント賞ジャージはサガンの手に渡っている。
そして総合2位リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)と同タイムでフィニッシュしたダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)が総合優勝。インピーが大会期間中に獲得したボーナスタイムは合計12秒だったのに対し、ポートは合計10秒だった。つまり純粋なレース時間だけを見るとポートがより短い時間で全長784kmコースを走りきっているが、合計3ステージで2位に入ったインピーがより多くのボーナスタイムを獲得。ポートのボーナスタイム獲得は第5ステージ優勝の1回のみで、規定によりステージ順位の合計が少ないインピーが総合優勝に輝いた。
「開幕時には自分が総合優勝するなんて夢にも思っていなかったけど、全てが作戦通り進んで今ここにいる。最終ステージも多くのアタックがかかって混沌としていたし、総合リードを守りきることができてホッとしたよ。この勝利は南アフリカにいる家族に捧げたい」と、ミッチェルトン・スコットにオーストラリア最大のタイトルをもたらしたインピーは語る。ミッチェルトン・スコットはダウンアンダー男女ダブルタイトルを達成した。
ステージ成績
1位 | アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル) | 2:01:19 |
2位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | |
3位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
4位 | フィル・バウハウス(ドイツ、サンウェブ) | |
5位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | |
6位 | スティール・ヴォンホフ(オーストラリア、UniSAオーストラリア) | |
7位 | シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
8位 | マッズ・ペデルセン(デンマーク、トレック・セガフレード) | |
9位 | カルロス・バルベロ(スペイン、モビスター) | |
10位 | マッズウルス・シュミット(デンマーク、カチューシャ・アルペシン) | |
49位 | 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) | |
59位 | 別府史之(日本、トレック・セガフレード) |
個人総合成績
1位 | ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) | 20:03:34 |
2位 | リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) | |
3位 | トムイェルト・スラフテル(オランダ、ディメンションデータ) | 0:00:16 |
4位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 0:00:20 |
5位 | ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップフロアーズ) | |
6位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | |
7位 | ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) | |
8位 | ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) | 0:00:23 |
9位 | ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、トレック・セガフレード) | |
10位 | ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ) | 0:00:24 |
ポイント賞
1位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 64pts |
2位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 56pts |
3位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 52pts |
山岳賞
1位 | ニコラス・ドラミニ(南アフリカ、ディメンションデータ) | 48pts |
2位 | リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) | 36pts |
3位 | スコット・ボーデン(オーストラリア、UniSAオーストラリア) | 26pts |
ヤングライダー賞
1位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | 20:03:54 |
2位 | ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、トレック・セガフレード) | 0:00:03 |
3位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:00:04 |
チーム総合成績
1位 | バーレーン・メリダ | 60:11:50 |
2位 | ディメンションデータ | 0:00:26 |
3位 | クイックステップフロアーズ | 0:01:04 |
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