2018/01/14(日) - 23:46
1月14日にサントス・ツアー・ダウンアンダーが開幕。「ピープルズチョイスクラシック」と名付けられたクリテリウムレースで別府史之(トレック・セガフレード)が果敢に逃げ、最終スプリントでペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が勝利した。
8日間にわたって開催されるUCIワールドツアー初戦サントス・ツアー・ダウンアンダーが開幕した。初日の1月14日は、アデレード市東部の公園をぐるっと回る2.3km周回コースを22周する50.6kmのクリテリウムレース。選手たちは1985年から1995年までF1オーストラリアGPの舞台となったサーキットの一部を走る。なお、1996年にF1オーストラリアGPの開催地がメルボルンのアルバートパークに移ったことを受けて、南オーストラリア州が代替イベントとして1999年に立ち上げたのがこのサントス・ツアー・ダウンアンダーだ。
「ピープルズチョイスクラシック」と名付けられたクリテリウムには、2日後に控えたUCIワールドツアーレースに出場する選手が全員出場。アデレード市民への顔見せ的な意味合いが強く、UCI非公認であるとともにこの日の成績はUCIワールドツアーレースの総合成績に反映されない。傾いた太陽の光に照らされて、主催者発表10万人の観客に見守られながら、午後7時15分にスタートが切られた(日没は午後8時32分)。
アクチュアルスタートとともにアタックを仕掛けたのは「今日は逃げます」と宣言していた別府史之(トレック・セガフレード)だった。ザッカリ・デンプスター(オーストラリア、UniSAオーストラリア)とトム・ボーリ(スイス、BMCレーシング)が追いつき、数周回後にラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ)、ヨナタン・レストレポ(コロンビア、カチューシャ・アルペシン)、マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、バーレーン・メリダ)、ティモシー・ロー(オーストラリア、UniSAオーストラリア)も追いついて先頭は7名に。メイン集団から40秒リードした7名の逃げグループ内で5周回ごとに設定されたスプリントポイントを争うことに。
「逃げのメンバーを見て、これならスプリントは勝てると思っていたけど、逃げている状態での連続スプリントだったので、レース前に変えたフロント54Tのギアを踏み切れなかった」という別府は5周目2位、10周目3位、15周目3位。果敢に表彰台を狙ったが、1位通過は果たせなかった。一方で「チームとしてはナヴァルダウスカスでのスプリント狙いですが、ボアーロが逃げる予定。彼が逃げなかったら自分が逃げるかもしれない」と話していた新城幸也(バーレーン・メリダ)は集団内で周回をこなしていく。
ロット・スーダルとクイックステップフロアーズ、ミッチェルトン・スコットを中心とした集団牽引によって逃げグループはフィニッシュまで4周回を残して吸収される。スプリントに向けて注目が集まったのは、ツール・ド・フランス初出場を予定している23歳カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)。過去2年間ピープルズチョイスクラシックを制している身長165cmの「ポケットロケット」のためにミッチェルトン・スコットがトレインを組む。
昨年2位のペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)は「平坦コースのスプリントではサム・ベネットをアシストする」と宣言していたが、アイリッシュスプリンターのベネットは前週にヨーロッパからオーストラリアへの移動中に風邪を引いたため直前のトレーニングを行えず。その言葉通りボーラ・ハンスグローエはトレインを組んでベネットをエスコートする。しかしその近くにサガンの姿はなかった。
サンウェブ、クイックステップフロアーズ、ミッチェルトン・スコット、ボーラ・ハンスグローエ、チームスカイ、アスタナが代わる代わる集団先頭に立ち、そこからボーラ・ハンスグローエとミッチェルトン・スコットが競り合いながら最終周回の鐘を聞く。残り2kmからのマルコ・マルカート(イタリア、UAEチームエミレーツ)のアタックは不発。スプリンターチームが入り乱れる中、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)の番手につけていたサガンがするするとコーナーの度にポジションを上げていく。
最終コーナーを抜け、下り基調の残り200mから真っ先にスプリントを開始したのはユアンとアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)。残り100mでコースが下りから緩い登りに転じたタイミングでサガンがグライペルの後ろから加速する。レースを通して集団内に息を潜めていた世界チャンピオンがユアンとグライペルを抜き去った。
「チームのために勝つことができてよかった。そして最高のシーズンスタートになったよ。この勝利を息子と妻に捧げたい」。開幕戦を白星でスタートさせたサガンはシーズン初勝利を喜ぶ。「この勝利は予想していなかったのが正直なところだけど、結果的にポジション取りも上手くいって勝利で締めくくることができた。コンディションが良いことも確認できたよ」と語るサガンはもちろん火曜日からのUCIワールドツアー本戦でも注目の存在だ。
「スプリント開始が早すぎたんだと思う。向かい風が予想よりも強くて失速してしまった」と語るのは3年連続の勝利を逃したユアン。「サガンが警戒すべき相手だとは分かっていたけど、彼らはカードが二枚(サガンとマッカーシー)あるので作戦を読めない。今日は負けたけど、明後日からのステージレースに向けて手応えは得た」。
残り150mで落車した2016年のU23世界王者クリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー、チームスカイ)はチームメイトに支えられてフィニッシュしたものの、右手を骨折してUCIワールドツアーレース欠場を決めている。
新城は26位でフィニッシュし、逃げた別府は85位。別府は「このダウンアンダーに向けて雨や雪が降るヨーロッパの悪天候の中を走りに行って、帰ってきたきたらズイフトで室内トレーニングするオフシーズンを過ごしてきました。その甲斐あってコンディション良くオーストラリア入り。シーズン初戦でポディウムに乗ることは出来なかったけど調子も良く、実際にパワーデータを見てもコンディションは良い。レースはこれから本番を迎えるから明後日から楽しみです」とのコメントを残している。
8日間にわたって開催されるUCIワールドツアー初戦サントス・ツアー・ダウンアンダーが開幕した。初日の1月14日は、アデレード市東部の公園をぐるっと回る2.3km周回コースを22周する50.6kmのクリテリウムレース。選手たちは1985年から1995年までF1オーストラリアGPの舞台となったサーキットの一部を走る。なお、1996年にF1オーストラリアGPの開催地がメルボルンのアルバートパークに移ったことを受けて、南オーストラリア州が代替イベントとして1999年に立ち上げたのがこのサントス・ツアー・ダウンアンダーだ。
「ピープルズチョイスクラシック」と名付けられたクリテリウムには、2日後に控えたUCIワールドツアーレースに出場する選手が全員出場。アデレード市民への顔見せ的な意味合いが強く、UCI非公認であるとともにこの日の成績はUCIワールドツアーレースの総合成績に反映されない。傾いた太陽の光に照らされて、主催者発表10万人の観客に見守られながら、午後7時15分にスタートが切られた(日没は午後8時32分)。
アクチュアルスタートとともにアタックを仕掛けたのは「今日は逃げます」と宣言していた別府史之(トレック・セガフレード)だった。ザッカリ・デンプスター(オーストラリア、UniSAオーストラリア)とトム・ボーリ(スイス、BMCレーシング)が追いつき、数周回後にラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ)、ヨナタン・レストレポ(コロンビア、カチューシャ・アルペシン)、マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、バーレーン・メリダ)、ティモシー・ロー(オーストラリア、UniSAオーストラリア)も追いついて先頭は7名に。メイン集団から40秒リードした7名の逃げグループ内で5周回ごとに設定されたスプリントポイントを争うことに。
「逃げのメンバーを見て、これならスプリントは勝てると思っていたけど、逃げている状態での連続スプリントだったので、レース前に変えたフロント54Tのギアを踏み切れなかった」という別府は5周目2位、10周目3位、15周目3位。果敢に表彰台を狙ったが、1位通過は果たせなかった。一方で「チームとしてはナヴァルダウスカスでのスプリント狙いですが、ボアーロが逃げる予定。彼が逃げなかったら自分が逃げるかもしれない」と話していた新城幸也(バーレーン・メリダ)は集団内で周回をこなしていく。
ロット・スーダルとクイックステップフロアーズ、ミッチェルトン・スコットを中心とした集団牽引によって逃げグループはフィニッシュまで4周回を残して吸収される。スプリントに向けて注目が集まったのは、ツール・ド・フランス初出場を予定している23歳カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)。過去2年間ピープルズチョイスクラシックを制している身長165cmの「ポケットロケット」のためにミッチェルトン・スコットがトレインを組む。
昨年2位のペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)は「平坦コースのスプリントではサム・ベネットをアシストする」と宣言していたが、アイリッシュスプリンターのベネットは前週にヨーロッパからオーストラリアへの移動中に風邪を引いたため直前のトレーニングを行えず。その言葉通りボーラ・ハンスグローエはトレインを組んでベネットをエスコートする。しかしその近くにサガンの姿はなかった。
サンウェブ、クイックステップフロアーズ、ミッチェルトン・スコット、ボーラ・ハンスグローエ、チームスカイ、アスタナが代わる代わる集団先頭に立ち、そこからボーラ・ハンスグローエとミッチェルトン・スコットが競り合いながら最終周回の鐘を聞く。残り2kmからのマルコ・マルカート(イタリア、UAEチームエミレーツ)のアタックは不発。スプリンターチームが入り乱れる中、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)の番手につけていたサガンがするするとコーナーの度にポジションを上げていく。
最終コーナーを抜け、下り基調の残り200mから真っ先にスプリントを開始したのはユアンとアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)。残り100mでコースが下りから緩い登りに転じたタイミングでサガンがグライペルの後ろから加速する。レースを通して集団内に息を潜めていた世界チャンピオンがユアンとグライペルを抜き去った。
「チームのために勝つことができてよかった。そして最高のシーズンスタートになったよ。この勝利を息子と妻に捧げたい」。開幕戦を白星でスタートさせたサガンはシーズン初勝利を喜ぶ。「この勝利は予想していなかったのが正直なところだけど、結果的にポジション取りも上手くいって勝利で締めくくることができた。コンディションが良いことも確認できたよ」と語るサガンはもちろん火曜日からのUCIワールドツアー本戦でも注目の存在だ。
「スプリント開始が早すぎたんだと思う。向かい風が予想よりも強くて失速してしまった」と語るのは3年連続の勝利を逃したユアン。「サガンが警戒すべき相手だとは分かっていたけど、彼らはカードが二枚(サガンとマッカーシー)あるので作戦を読めない。今日は負けたけど、明後日からのステージレースに向けて手応えは得た」。
残り150mで落車した2016年のU23世界王者クリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー、チームスカイ)はチームメイトに支えられてフィニッシュしたものの、右手を骨折してUCIワールドツアーレース欠場を決めている。
新城は26位でフィニッシュし、逃げた別府は85位。別府は「このダウンアンダーに向けて雨や雪が降るヨーロッパの悪天候の中を走りに行って、帰ってきたきたらズイフトで室内トレーニングするオフシーズンを過ごしてきました。その甲斐あってコンディション良くオーストラリア入り。シーズン初戦でポディウムに乗ることは出来なかったけど調子も良く、実際にパワーデータを見てもコンディションは良い。レースはこれから本番を迎えるから明後日から楽しみです」とのコメントを残している。
サントス・ツアー・ダウンアンダー2018ピープルズチョイスクラシック結果
1位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 1:04:25 |
2位 | アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル) | |
3位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | |
4位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | |
5位 | シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
6位 | クリストファー・ローレス(イギリス、チームスカイ) | |
7位 | サム・ウェルスフォード(オーストラリア、UniSAオーストラリア) | |
8位 | エンリコ・バッタリーン(イタリア、ロットNLユンボ) | |
9位 | ヤシャ・ズッタリン(ドイツ、モビスター) | |
10位 | マーク・レンショー(オーストラリア、ディメンションデータ) | |
26位 | 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) | 0:00:03 |
85位 | 別府史之(日本、トレック・セガフレード) | 0:00:39 |
スプリント賞
5周目 | マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、バーレーン・メリダ) |
10周目 | ヨナタン・レストレポ(コロンビア、カチューシャ・アルペシン) |
15周目 | ヨナタン・レストレポ(コロンビア、カチューシャ・アルペシン) |
20周目 | ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) |
text&photo:kei Tsuji
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