2017/12/28(木) - 14:58
2017年シーズンの海外ロードレースシーンを振り返るプレーバックシリーズを全4回に分けてお届けします。第1回は1月のシーズンインから3月のクラシックシーズンまでをプレーバック!
1月
シーズン開幕戦としてすっかり定着したのがオーストラリアで開催されるUCIワールドツアー初戦のサントス・ツアー・ダウンアンダー。新城幸也(バーレーン・メリダ)やペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)も出場した1週間の戦いは、真冬がハイシーズンの地元オーストラリア勢の独壇場となる。顔見せクリテリウムのピープルズチョイスクラシックで2年連続勝利を飾ったカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット)が、集団スプリントで圧巻の4戦4勝をマーク。総合争いは第2ステージ山頂フィニッシュを制したリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)が主導権を握ると、ポートは最難関ウィランガヒル山頂フィニッシュでも優勝。文句無しの強さで初の総合優勝に輝いた。
ダウンアンダーの1週間後に開催され、今シーズン初めてUCIワールドツアーに組み込まれたカデルエヴァンス・グレートオーシャンロードレースでクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)が早めのシーズンイン。最終的な集団スプリントでニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ)が勝利し、前日開催の女子レースで萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ)が3位表彰台。
ダウンアンダーと同時期にアルゼンチンで開催されたブエルタ・ア・サンフアンにもビッグネームが多く出場。平坦ステージでクイックステップフロアーズが圧倒的な力を発揮し、フェルナンド・ガビリア(コロンビア)とトム・ボーネン(ベルギー)、マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)がそれぞれ勝利。山頂フィニッシュでリードしたバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)が総合優勝に輝いている。
ロードシーズンが世界各地で開幕するその裏では、フランスの105歳のおじいちゃんが22.547kmのアワーレコードを樹立するというニュースも。
2月
UCIワールドツアーレースとして予定されていたツアー・オブ・カタールが開催中止に追い込まれたものの、2月は中東レース月間。ドバイツアーではマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)が怒涛のスプリント勝を飾り、強風ステージを制したジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)を振り切って2年連続総合優勝を果たしている。なお同大会では強風により難関山岳ステージがキャンセル。UCIの「悪天候時実施要綱(エクストリーム・ウェザー・プロトコル)」が適用された。
ツアー・オブ・オマーンは2つの山頂フィニッシュでライバルをふるい落としたベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)が総合優勝に。平坦ステージではアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)がスプリント3章の活躍ぶり。続くアブダビツアーにはヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)やアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)らビッグネームが出場し、難関山岳ステージを制した地元UAEチームのルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)が総合優勝。ユアンがビッグスプリンターを蹴散らすスピードを見せた。
チーム右京も出場したスペインのボルタ・ア・バレンシアナではBMCレーシングやトニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)がステージ優勝の活躍。山頂フィニッシュ制覇のナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)が総合優勝。ヴォルタ・アン・アルガルヴェはプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)、「ルタデルソル(太陽のレース)」として知られるブエルタ・ア・アンダルシアはアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)がそれぞれ総合優勝に輝いている。
ツール・ド・ランカウイではライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ)が総合優勝を飾るとともに中根英登(愛三工業レーシング)がアジアンライダー賞を獲得。バーレーン開催のアジア選手権では、U23個人TTで小野寺玲が金メダル、女子エリート個人TTで梶原悠未が銅メダル、女子エリートロードで吉川美穂が銅メダル、U23ロードで岡本隼が金メダル、女子ジュニアロードで下山美寿々が銀メダルを獲得している。
2月下旬にはベルギーでクラシックシーズンが開幕。クラシックの主役グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)とペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)がそれぞれオンループ・ヘットニュースブラッドとクールネ〜ブリュッセル〜クールネで優勝した。
3月
3月に入るとフランスでパリ〜ニースが、イタリアでティレーノ〜アドリアティコが開催。「太陽へのレース」として知られるパリ〜ニースではコンタドールやポートらが激しいバトルを繰り広げた。山岳個人TTでリードしたジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)が首位の座についたものの、ポートが勝利した難関山岳ステージでセルジオルイス・エナオ(コロンビア、チームスカイ)が総合リーダーに。最終ステージで猛攻を仕掛けたコンタドールだったが2秒届かず、エナオが総合優勝に輝いている。
ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)が勝利したストラーデビアンケ後に行われたティレーノ〜アドリアティコは、BMCレーシングによる2年連続チームTT勝利で開幕。第2ステージでゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)が独走勝利を飾り、サガンが丘陵コースで2勝を飾る中、標高1,675mのテルミニッロ山頂フィニッシュを制したキンタナが最終日の個人TTでそのリードを守って総合優勝。総合2位には個人TT優勝のローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)が入った。
3月中旬に入るとロードレース界の注目はクラシックレースへ。「モニュメント」の初戦であるミラノ〜サンレモは終盤のポッジオで抜け出した三強による接戦に持ち込まれ、サガンとアラフィリップを下したクウィアトコウスキーが初勝利を収めている。
フランドルウィーク開幕を告げるドワーズ・ドール・フラーンデレンは地元出身のイヴ・ランパールト(ベルギー、クイックステップフロアーズ)で勝利。そのランパールトをアシストしたフィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)は、デパンヌ〜コクサイデ3日間レースで総合優勝して調子の良さを見せる。対して、クイックステップフロアーズ勢とベルギーの人気を二分する存在のヴァンアーヴェルマートは、レコードバンク・E3ハーレルベーケとヘント〜ウェヴェルヘムで連勝。いずれも好調のまま4月のロンドに挑むことになった。
スペインではフルームやコンタドール出場のボルタ・ア・カタルーニャが開催。序盤からレースをリードしたのはチームTT制覇のモビスターで、クイーンステージを制したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が首位に。フルームは超級山岳ステージでもコンタドールとフルームを寄せ付けない強さを見せ、最終日に逃げ切りスプリントを制する圧巻の走りで総合優勝を果たしている。ツール・ド・台湾ではベンジャミン・プラデス(スペイン、チーム右京)が総合優勝と山岳賞に輝いた。
text:Kei Tsuji
1月
シーズン開幕戦としてすっかり定着したのがオーストラリアで開催されるUCIワールドツアー初戦のサントス・ツアー・ダウンアンダー。新城幸也(バーレーン・メリダ)やペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)も出場した1週間の戦いは、真冬がハイシーズンの地元オーストラリア勢の独壇場となる。顔見せクリテリウムのピープルズチョイスクラシックで2年連続勝利を飾ったカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット)が、集団スプリントで圧巻の4戦4勝をマーク。総合争いは第2ステージ山頂フィニッシュを制したリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)が主導権を握ると、ポートは最難関ウィランガヒル山頂フィニッシュでも優勝。文句無しの強さで初の総合優勝に輝いた。
ダウンアンダーの1週間後に開催され、今シーズン初めてUCIワールドツアーに組み込まれたカデルエヴァンス・グレートオーシャンロードレースでクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)が早めのシーズンイン。最終的な集団スプリントでニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ)が勝利し、前日開催の女子レースで萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ)が3位表彰台。
ダウンアンダーと同時期にアルゼンチンで開催されたブエルタ・ア・サンフアンにもビッグネームが多く出場。平坦ステージでクイックステップフロアーズが圧倒的な力を発揮し、フェルナンド・ガビリア(コロンビア)とトム・ボーネン(ベルギー)、マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)がそれぞれ勝利。山頂フィニッシュでリードしたバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)が総合優勝に輝いている。
ロードシーズンが世界各地で開幕するその裏では、フランスの105歳のおじいちゃんが22.547kmのアワーレコードを樹立するというニュースも。
2月
UCIワールドツアーレースとして予定されていたツアー・オブ・カタールが開催中止に追い込まれたものの、2月は中東レース月間。ドバイツアーではマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)が怒涛のスプリント勝を飾り、強風ステージを制したジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)を振り切って2年連続総合優勝を果たしている。なお同大会では強風により難関山岳ステージがキャンセル。UCIの「悪天候時実施要綱(エクストリーム・ウェザー・プロトコル)」が適用された。
ツアー・オブ・オマーンは2つの山頂フィニッシュでライバルをふるい落としたベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)が総合優勝に。平坦ステージではアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)がスプリント3章の活躍ぶり。続くアブダビツアーにはヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)やアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)らビッグネームが出場し、難関山岳ステージを制した地元UAEチームのルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)が総合優勝。ユアンがビッグスプリンターを蹴散らすスピードを見せた。
チーム右京も出場したスペインのボルタ・ア・バレンシアナではBMCレーシングやトニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)がステージ優勝の活躍。山頂フィニッシュ制覇のナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)が総合優勝。ヴォルタ・アン・アルガルヴェはプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)、「ルタデルソル(太陽のレース)」として知られるブエルタ・ア・アンダルシアはアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)がそれぞれ総合優勝に輝いている。
ツール・ド・ランカウイではライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ)が総合優勝を飾るとともに中根英登(愛三工業レーシング)がアジアンライダー賞を獲得。バーレーン開催のアジア選手権では、U23個人TTで小野寺玲が金メダル、女子エリート個人TTで梶原悠未が銅メダル、女子エリートロードで吉川美穂が銅メダル、U23ロードで岡本隼が金メダル、女子ジュニアロードで下山美寿々が銀メダルを獲得している。
2月下旬にはベルギーでクラシックシーズンが開幕。クラシックの主役グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)とペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)がそれぞれオンループ・ヘットニュースブラッドとクールネ〜ブリュッセル〜クールネで優勝した。
3月
3月に入るとフランスでパリ〜ニースが、イタリアでティレーノ〜アドリアティコが開催。「太陽へのレース」として知られるパリ〜ニースではコンタドールやポートらが激しいバトルを繰り広げた。山岳個人TTでリードしたジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)が首位の座についたものの、ポートが勝利した難関山岳ステージでセルジオルイス・エナオ(コロンビア、チームスカイ)が総合リーダーに。最終ステージで猛攻を仕掛けたコンタドールだったが2秒届かず、エナオが総合優勝に輝いている。
ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)が勝利したストラーデビアンケ後に行われたティレーノ〜アドリアティコは、BMCレーシングによる2年連続チームTT勝利で開幕。第2ステージでゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)が独走勝利を飾り、サガンが丘陵コースで2勝を飾る中、標高1,675mのテルミニッロ山頂フィニッシュを制したキンタナが最終日の個人TTでそのリードを守って総合優勝。総合2位には個人TT優勝のローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)が入った。
3月中旬に入るとロードレース界の注目はクラシックレースへ。「モニュメント」の初戦であるミラノ〜サンレモは終盤のポッジオで抜け出した三強による接戦に持ち込まれ、サガンとアラフィリップを下したクウィアトコウスキーが初勝利を収めている。
フランドルウィーク開幕を告げるドワーズ・ドール・フラーンデレンは地元出身のイヴ・ランパールト(ベルギー、クイックステップフロアーズ)で勝利。そのランパールトをアシストしたフィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)は、デパンヌ〜コクサイデ3日間レースで総合優勝して調子の良さを見せる。対して、クイックステップフロアーズ勢とベルギーの人気を二分する存在のヴァンアーヴェルマートは、レコードバンク・E3ハーレルベーケとヘント〜ウェヴェルヘムで連勝。いずれも好調のまま4月のロンドに挑むことになった。
スペインではフルームやコンタドール出場のボルタ・ア・カタルーニャが開催。序盤からレースをリードしたのはチームTT制覇のモビスターで、クイーンステージを制したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が首位に。フルームは超級山岳ステージでもコンタドールとフルームを寄せ付けない強さを見せ、最終日に逃げ切りスプリントを制する圧巻の走りで総合優勝を果たしている。ツール・ド・台湾ではベンジャミン・プラデス(スペイン、チーム右京)が総合優勝と山岳賞に輝いた。
text:Kei Tsuji
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