2017/12/29(金) - 18:54
2017年の国内レースを振り返る2回目。6月のツール・ド・熊野から、全日本選手権、インカレ、9月のツール・ド・北海道までを振り返ります。
6月
6月1日、ツール・ド・熊野が開幕。プロローグでシモン・サジノック(アタッキ・チームグスト)、第1ステージでは入部正太朗(シマノレーシング)とリーダージャージが入れ替わる。第2ステージでトマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)と共に逃げたホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)が総合首位に立つと、第3ステージも守りきって初の個人総合優勝を決めた。
マトリックス・パワータグにとっては2015年以来となる2回目の個人総合優勝。地元チームのキナンサイクリングチームは前年に続き団体総合優勝を決めたものの、悲願の個人総合優勝は翌年以降に持ち越しとなった。
スペインのレースに出場した吉川美穂がヨーロッパ初優勝を挙げた。非UCIレースのスペインカップ第7戦の103kmのレースで、持ち前のスプリント力を発揮して優勝。落車やDNF続きで自信をなくしていたと言う吉川にとって大きな1勝となった。
青森県の階上町で初開催された全日本選手権。タイムトライアルとロードレースが3日間に渡り開催された。
個人タイムトライアル男子エリートでは、西薗良太(ブリヂストン・アンカー)が前年に続き連覇。2012年とあわせ自信3回目のタイムトライアル全日本チャンピオンに輝いた。2位は2年連続で佐野淳哉(マトリックスパワータグ)、本来ならU23の小野寺怜(宇都宮ブリッツェン)が「飛び級」で出場し、3位に入った。
女子エリートは與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)が他を圧倒するスピードで優勝。2015年からの連覇記録を3に伸ばした。2位は昨年に続き梶原悠未(筑波大学)、3位は唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)。
男子U23は新城雄大(EQADS)が優勝。男子ジュニアは松田祥位(岐阜第一高校)、U17+15では津田悠義(EQUADS)が優勝。女子のジュニア+U17は下山美寿々(大阪教育大学附属高校天王寺校舎)が連覇した。
ロードレース男子エリートは、リアルスタート直後に前年優勝の初山翔(ブリヂストン・アンカー)らが落車に巻き込まれる波乱の幕開け。その後は逃げと吸収が何度も繰り返される混戦となった。勝負を決めたのは畑中勇介(チーム右京)の残り3周からの単独アタック。牽制する集団をよそに畑中はそのまま逃げ切って全日本初優勝。終盤に落車して遅れた別府史之(トレック・セガフレード)は集団に復帰するも2位に終わったが、存在感を示した。
女子エリートは、レース序盤から與那嶺と唐見の2人が先行するが、後半に入ると與那嶺が唐見を切り離して独走を開始。対抗馬不在と言われたレースで、最終的に7分以上の大差を後続につけて優勝。タイムトライアルと併せて2年連続の2冠を達成した。
U23は、レース終盤に横山航太(シマノレーシング)、野本空(明治大学)、山本大喜(鹿屋体育大学)の3人の争いに。最終周回の登りでのアタック合戦では勝負がつかず、残り300mからのスプリント勝負を制した横山が優勝した。
7月
7月9日、UCIグランフォンドのニセコクラシックが開催された。140kmクラスは、田崎友康(F(t)麒麟山レーシング)と高岡亮寛(Roppongi Express)の一騎打ちとなり、10秒差で先着した田崎が総合優勝。平均時速37.27kmというハイペースだった。70kmクラスはスタートと同時にアタックした西谷雅史(サイクルポイントオーベスト)がそのまま独走して優勝。女子はソチオリンピックのスピードスケート代表藤村祥子(Brassica)が優勝した。
MTBの全日本選手権、XCO男子エリートは、山本幸平(BH-SR SUNTOUR-KMC)が9回目のタイトルを手にした。今シーズンは不調と言われながらも、終わってみれば2位以下に1分以上の差をつけての勝利だった。
XCO女子エリートは小林可奈子(MTBクラブ安曇野)が18年ぶりの優勝。U23では平林安里(SPECIALIZED RACING JAPAN)が連覇。どちらも序盤の落車による遅れを取り返して優勝した。
今年は栃木県でのレースが一気に増えた。Jプロツアーは3月に宇都宮、6月に那須、そして7月は大田原クリテリウムとやいた片岡ロードレースが開催された。ツール・ド・とちぎを加えると、実に6つのレースが初開催。その全てが公道コースで、ロケーションも駅の近くや観光地など観客が集まりやすい場所に設定。飲食ブースなどの出店も多く、どのレースも盛況だった。宇都宮ブリッツェンや那須ブラーゼンの存在があってこそ可能になったことではあるが、栃木県全体への広がりは改めて驚かされた。
8月
8月6日、ジュニア以下の全日本選手権ロードレースが島根県の益田市で開催された。昨年からジュニア以下のロードレースは別開催となり、益田市で2回目の開催となった。
男子ジュニアは、1週間前に行われたインターハイロードの勝者である日野泰静(松山城南高校)と、前年優勝の松田祥位(岐阜第一高校)を中心にレースが進行。最後は5人でのスプリントとなり、日野が優勝。2位に日野凌羽(松山城南高校)が入り、インターハイロードに続き松山城南高校の1-2フィニッシュとなった。
男子U17+U15では、個人TTで優勝している津田悠義(EQADS)が勝って2冠達成。女子ジュニア+U17は、中川由理(川越工業高校)が優勝した。
なお、2018年の全日本選手権ロードは、この益田市のコースで行われる。
福井県で行われた都道府県大会。ロードレースでは男子を中島康晴(キナンサイクリングチーム)、女子を中村愛花(日本体育大学)と、男女共福井県勢が優勝した。福井県はトラック種目でも活躍。地元での国体に向けて期待が膨らむ結果となった。
9月
今年のインカレは、長野県での開催。トラックは松本市美鈴湖自転車競技場、ロードは大町市美麻の公道コースで行われた。
男子は強い日本大学が復活。トラックでは、配点の高い団体種目のチームスプリントで1位、4kmチームパーシュートで2位となって大きくリード。最終日のロードレースでも武山晃輔が優勝して4年ぶりの総合優勝を果たした。女子は筑波大学の梶原悠未がトラック2種目とロードで優勝。総合では日本体育大学が優勝した。
函館を中心に3日間3ステージが行われた今年のツール・ド・北海道は、大学生の活躍が目立った。第1ステージでは逃げに乗った草場啓吾(日本大学)が山岳賞ジャージを獲得。続く第2ステージでは、愛三工業レーシングチームから出場する岡本隼(日本大学)が、現役大学生としては2012年以来となるステージ優勝とリーダージャージ獲得をしてみせた。岡本は最終日にリーダージャージは失うものの、ポイント賞を獲得。草場と冨尾大地(鹿屋体育大学)の大学生同士の争いとなった山岳賞は、逆転で冨尾が獲得。大学生が山岳賞、ポイント賞を獲得するのは、ツール・ド・北海道史上初めての事だ。
個人総合優勝争いは最終第3ステージ、函館山の頂上ゴールに向かう残り4kmの登りに集約された。NIPPOヴィーニファンティーニが主導権を握る中、残り1kmでマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)と西薗良太(ブリヂストン・アンカー)の2人が抜け出し、最後はガルシアが先着して優勝。個人総合優勝も決めた。
・・・その3に続く
text:Satoru Kato
6月
6月1日、ツール・ド・熊野が開幕。プロローグでシモン・サジノック(アタッキ・チームグスト)、第1ステージでは入部正太朗(シマノレーシング)とリーダージャージが入れ替わる。第2ステージでトマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)と共に逃げたホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)が総合首位に立つと、第3ステージも守りきって初の個人総合優勝を決めた。
マトリックス・パワータグにとっては2015年以来となる2回目の個人総合優勝。地元チームのキナンサイクリングチームは前年に続き団体総合優勝を決めたものの、悲願の個人総合優勝は翌年以降に持ち越しとなった。
スペインのレースに出場した吉川美穂がヨーロッパ初優勝を挙げた。非UCIレースのスペインカップ第7戦の103kmのレースで、持ち前のスプリント力を発揮して優勝。落車やDNF続きで自信をなくしていたと言う吉川にとって大きな1勝となった。
青森県の階上町で初開催された全日本選手権。タイムトライアルとロードレースが3日間に渡り開催された。
個人タイムトライアル男子エリートでは、西薗良太(ブリヂストン・アンカー)が前年に続き連覇。2012年とあわせ自信3回目のタイムトライアル全日本チャンピオンに輝いた。2位は2年連続で佐野淳哉(マトリックスパワータグ)、本来ならU23の小野寺怜(宇都宮ブリッツェン)が「飛び級」で出場し、3位に入った。
女子エリートは與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)が他を圧倒するスピードで優勝。2015年からの連覇記録を3に伸ばした。2位は昨年に続き梶原悠未(筑波大学)、3位は唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)。
男子U23は新城雄大(EQADS)が優勝。男子ジュニアは松田祥位(岐阜第一高校)、U17+15では津田悠義(EQUADS)が優勝。女子のジュニア+U17は下山美寿々(大阪教育大学附属高校天王寺校舎)が連覇した。
ロードレース男子エリートは、リアルスタート直後に前年優勝の初山翔(ブリヂストン・アンカー)らが落車に巻き込まれる波乱の幕開け。その後は逃げと吸収が何度も繰り返される混戦となった。勝負を決めたのは畑中勇介(チーム右京)の残り3周からの単独アタック。牽制する集団をよそに畑中はそのまま逃げ切って全日本初優勝。終盤に落車して遅れた別府史之(トレック・セガフレード)は集団に復帰するも2位に終わったが、存在感を示した。
女子エリートは、レース序盤から與那嶺と唐見の2人が先行するが、後半に入ると與那嶺が唐見を切り離して独走を開始。対抗馬不在と言われたレースで、最終的に7分以上の大差を後続につけて優勝。タイムトライアルと併せて2年連続の2冠を達成した。
U23は、レース終盤に横山航太(シマノレーシング)、野本空(明治大学)、山本大喜(鹿屋体育大学)の3人の争いに。最終周回の登りでのアタック合戦では勝負がつかず、残り300mからのスプリント勝負を制した横山が優勝した。
7月
7月9日、UCIグランフォンドのニセコクラシックが開催された。140kmクラスは、田崎友康(F(t)麒麟山レーシング)と高岡亮寛(Roppongi Express)の一騎打ちとなり、10秒差で先着した田崎が総合優勝。平均時速37.27kmというハイペースだった。70kmクラスはスタートと同時にアタックした西谷雅史(サイクルポイントオーベスト)がそのまま独走して優勝。女子はソチオリンピックのスピードスケート代表藤村祥子(Brassica)が優勝した。
MTBの全日本選手権、XCO男子エリートは、山本幸平(BH-SR SUNTOUR-KMC)が9回目のタイトルを手にした。今シーズンは不調と言われながらも、終わってみれば2位以下に1分以上の差をつけての勝利だった。
XCO女子エリートは小林可奈子(MTBクラブ安曇野)が18年ぶりの優勝。U23では平林安里(SPECIALIZED RACING JAPAN)が連覇。どちらも序盤の落車による遅れを取り返して優勝した。
今年は栃木県でのレースが一気に増えた。Jプロツアーは3月に宇都宮、6月に那須、そして7月は大田原クリテリウムとやいた片岡ロードレースが開催された。ツール・ド・とちぎを加えると、実に6つのレースが初開催。その全てが公道コースで、ロケーションも駅の近くや観光地など観客が集まりやすい場所に設定。飲食ブースなどの出店も多く、どのレースも盛況だった。宇都宮ブリッツェンや那須ブラーゼンの存在があってこそ可能になったことではあるが、栃木県全体への広がりは改めて驚かされた。
8月
8月6日、ジュニア以下の全日本選手権ロードレースが島根県の益田市で開催された。昨年からジュニア以下のロードレースは別開催となり、益田市で2回目の開催となった。
男子ジュニアは、1週間前に行われたインターハイロードの勝者である日野泰静(松山城南高校)と、前年優勝の松田祥位(岐阜第一高校)を中心にレースが進行。最後は5人でのスプリントとなり、日野が優勝。2位に日野凌羽(松山城南高校)が入り、インターハイロードに続き松山城南高校の1-2フィニッシュとなった。
男子U17+U15では、個人TTで優勝している津田悠義(EQADS)が勝って2冠達成。女子ジュニア+U17は、中川由理(川越工業高校)が優勝した。
なお、2018年の全日本選手権ロードは、この益田市のコースで行われる。
福井県で行われた都道府県大会。ロードレースでは男子を中島康晴(キナンサイクリングチーム)、女子を中村愛花(日本体育大学)と、男女共福井県勢が優勝した。福井県はトラック種目でも活躍。地元での国体に向けて期待が膨らむ結果となった。
9月
今年のインカレは、長野県での開催。トラックは松本市美鈴湖自転車競技場、ロードは大町市美麻の公道コースで行われた。
男子は強い日本大学が復活。トラックでは、配点の高い団体種目のチームスプリントで1位、4kmチームパーシュートで2位となって大きくリード。最終日のロードレースでも武山晃輔が優勝して4年ぶりの総合優勝を果たした。女子は筑波大学の梶原悠未がトラック2種目とロードで優勝。総合では日本体育大学が優勝した。
函館を中心に3日間3ステージが行われた今年のツール・ド・北海道は、大学生の活躍が目立った。第1ステージでは逃げに乗った草場啓吾(日本大学)が山岳賞ジャージを獲得。続く第2ステージでは、愛三工業レーシングチームから出場する岡本隼(日本大学)が、現役大学生としては2012年以来となるステージ優勝とリーダージャージ獲得をしてみせた。岡本は最終日にリーダージャージは失うものの、ポイント賞を獲得。草場と冨尾大地(鹿屋体育大学)の大学生同士の争いとなった山岳賞は、逆転で冨尾が獲得。大学生が山岳賞、ポイント賞を獲得するのは、ツール・ド・北海道史上初めての事だ。
個人総合優勝争いは最終第3ステージ、函館山の頂上ゴールに向かう残り4kmの登りに集約された。NIPPOヴィーニファンティーニが主導権を握る中、残り1kmでマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)と西薗良太(ブリヂストン・アンカー)の2人が抜け出し、最後はガルシアが先着して優勝。個人総合優勝も決めた。
・・・その3に続く
text:Satoru Kato
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