チームスカイはじめボーラ・ハンスグローエなどUCIワールドチームをサポートするフィットネス機器ブランドのワフー。今回紹介するのは自動負荷調整機能を備える固定ローラー台シリーズ「KICKR(キッカー)」のダイレクトドライブ仕様とタイヤドライブ仕様のSNAPの2種類だ。



ワフー KICKR
ワフー KICKRワフー KICKR
KICKRは、リアホイールを外し、ドライブトレインを直接トレーナーにセットするダイレクトドライブ方式が採用された固定ローラー台だ。ダイレクトドライブ方式は、タイヤの摩耗やホイールの振動による騒音など従来のタイヤドライブ式が持つデメリットを解消してくれることが特徴だ。ワフーによるとローラー台から発生する音は61dbと、一般的な会話の際に発生する音量に近いという。

チームスカイの選手たちが利用するハイエンドモデルと言うだけあり、2000wというハイパワーに耐えられる性能も特徴の1つである。また、ローラー台を展開した際のスタンスは約53cm×約71cmと広く、安心してペダリングできるボディの安定性を獲得した。

このモデル最大の特徴はズイフトやキノマップといった各種ソフトウェアと連携できること。ANT+やANT+FE-C、Bluetoothで双方向通信を行うため、ズイフトであれば仮想環境内での勾配を最大20%まで再現することが可能。飽きやすい室内トレーニングでも、アトラクティブなソフトを利用することで、練習を継続させられるはずだ。

ベース部分を折りたたむとコンパクトになるため、収納しやすそうだベース部分を折りたたむとコンパクトになるため、収納しやすそうだ ベース部の展開時は3本の足で高い安定感を生み出すベース部の展開時は3本の足で高い安定感を生み出す

ホイールベースを調整することで様々な車種に対応させることが可能だホイールベースを調整することで様々な車種に対応させることが可能だ スルーアクスルにも対応しているため、ディスクブレーキ仕様のバイクでもKICKRを利用できるスルーアクスルにも対応しているため、ディスクブレーキ仕様のバイクでもKICKRを利用できる


また、KICKR本体にスピード、距離、パワー、ケイデンスセンサーが内蔵されているため、自転車をローラー台にセットするのみでトレーニングやズイフトを楽しむことができる。フライホイールの慣性と電子制御が演出する実走感も加わるため、KICKRで行うバーチャルサイクリングは没入度が高そうだ。

対応する自転車サイズは豊富で、24インチから対応するためキッズバイクでもローラー台でのフィットネスが行える。もちろん700Cや26インチ、27.5インチ、29インチのホイールサイズにもマッチ。エンドタイプは通常130mm、135mm幅のクイックリリース式とされているが、別売のアクセサリーを使用することで142mm×12mm、148mm×12mmスルーアクスルにも対応する。対応ドライブトレインはシマノとスラムの11速、8~10速に対応する。スプロケットのピッチが同じためカンパニョーロの11速も問題ないだろう。


スラム製の11速スプロケットが標準装備される嬉しい仕様だスラム製の11速スプロケットが標準装備される嬉しい仕様だ ボディにはハンドルが備えられており、持ち運びやすいボディにはハンドルが備えられており、持ち運びやすい

エンドのアダプターを入れ替えることで、ロードやMTBなど様々な車種に対応するエンドのアダプターを入れ替えることで、ロードやMTBなど様々な車種に対応する ケイデンスセンサーや10速スプロケット用スペーサー、ディスクブレーキ用ブーツも付属するケイデンスセンサーや10速スプロケット用スペーサー、ディスクブレーキ用ブーツも付属する


使用してみてまず体感できるのがダイレクトドライブ式ならではの走行感の良さ。ペダリング中に余計な抵抗やギャップがなく、非常にスムースなフィーリングで以てトレーニングを行うことができる。また本体も安定感の高い重厚な作りとなっているため、パワーをかけても車体がブレることなく、ストレスなくトレーニングに集中することができるだろう。

特に秀逸なのが負荷機能のフィーリング。ズイフト等のトレーニングアプリと連携した際、コース上の勾配によって自動で負荷を調整してくれるのだが、ガクッと軽くなったり重くなったりせずじわじわと変化していく自然な感覚が味わえる。まさに実走に近いトレーニング環境を室内で再現するに相応しいローラー台と言えるだろう。

ワフー KICKRワフー KICKR
ケーブルを差し込めば自動で電源が入りすぐにBluetooth接続が可能となるため、余計な操作も必要ない。PCやタブレットとのペアリングもスムーズに行えるため、煩わしさもなく気軽にローラートレーニングを開始できるのも大きなポイントだ。

アプリとペアリングせずKICKR単体で使用した際は、パワーに応じて負荷がかかってくれる仕組みで、高強度トレーニングにも十分に対応してくれる。パワーを緩めれば自然と負荷も小さくなるので、インターバル練習が特にやりやすいのではないだろうか。電源がないと負荷はかからないため、レース会場等屋外では足を回す程度の軽いアップやダウンに使用するのが良さそうだ。持ち運ぶ際の重量はややネックだが、コンパクトにたためるため車への積み込みも省スペースで済むだろう。


ワフー KICKR
サイズ(展開時):54 cm×71cm
重量:約21kg
対応ホイールサイズ:24”、650c、700c、26”、27.5”、29”
対応ハブタイプ:130/135mm QR、142x12mm Thru Axle with Adapter
ドライブトレイン:11 Speed Shimano/SRAM(compatible with 8, 9 & 10)
負荷装置:電磁式
精度:+/-2%
計測データ:スピード、距離、パワー、ケイデンス
通信規格:ANT+、ANT+ FE-C、Bluetooth
最大ワット数:2000W
最大斜度:20%
価格:152,550円(税抜)



ワフー KICKR SNAP
ワフー KICKR SNAPワフー KICKR SNAP
ハイエンドモデルKICKRの美点を受け継いだセカンドグレードが「KICKR SNAP(キッカースナップ)」だ。KICKR SNAPは後輪のハブを保持し、タイヤを負荷装置に押し付けるタイヤドライブ方式を採用。ダイレクトドライブのようにホイールを外す必要が無いため、気軽にセットできることが魅力の固定ローラー台タイプである。

高強度のステンレススチールによるフレーム、展開時74cm×66cmというワイドスタンスにより、ハイエンドモデルと遜色ない安定性を獲得している。電磁式の負荷装置は最大1500Wというパワーに対応。プロ級の脚力では出力したパワーが上回ってしまう可能性があるが、ほとんどのホビーサイクリストには十分なスペックだ。

KICKR SNAPもスマートフォンやタブレット、PCと連携し、双方向通信が行えるスマートトレーナーだ。ズイフトであれば仮想現実内に登場する勾配に合わせて、ローラー台の負荷を自動調整。最大12%の勾配を再現することができ、思う存分にバーチャルサイクリングを楽しむことができる。もちろんスピード、走行距離、パワーを+/-3%の精度でローラー台が計測してくれるため、各種センサーを搭載していないバイクでも充実したトレーニングを行えるはずだ。

幅広く取られたスタンスにより、ハイパワーを出力した際も安定する幅広く取られたスタンスにより、ハイパワーを出力した際も安定する エンドを支えるステーにはメモリが表記されているため、幅の調整を行いやすいエンドを支えるステーにはメモリが表記されているため、幅の調整を行いやすい

「crank it up」と書かれているフライホイール「crank it up」と書かれているフライホイール タイヤ押し込みの方法もベーシックなスタイルだタイヤ押し込みの方法もベーシックなスタイルだ


ホイール径は650C、700C、26インチ、27.5インチ、29インチとロードからMTBまで幅広く対応する。ハブは130mmと135mmのクイックリリース、アダプターを介すことで142×12mmスルーアクスルまでホールド可能だ。

広く普及している一般的なタイヤドライブ式であるため、慣れ親しんだ扱いやすさが大きなポイントであろうKICKR SNAP。本体の重量もあってガッチリと固定されている感覚が強いKICKRと比較すると、ペダリング時にやや左右への逃しがある印象だが、大股に開いたスタンド形状から安定感の高さは十分に確保されていると感じた。

ワフー KICKR SNAPワフー KICKR SNAP
KICKRと同じくケーブルを差し込むだけのシンプルな操作に加え、フレーム固定用のレバーやローラーを押し付けるダイヤル、スタンドの脚の開閉もそれぞれ軽い力で動作してくれるため、女性でも使いやすい製品になるだろう。

セカンドグレードであるものの、ズイフトと連携した際の自動負荷調整のフィーリングはKICKRと遜色なく、同じように実走に近い感覚でトレーニングを行うことができる。フライホイールのサイズがKICKRから一回り小さいせいか、乗り比べてみると負荷のかかり方が微妙に小さい感覚はあるが、それでも十分に高い強度でローラートレーニングを行うことができるため特に不満となることはないだろう。

またKICKR SNAPに特筆すべきは優れた静粛性であると感じた。一般的なローラー台ではパワーを上げていくと総じてブオーンという騒音が発生してしまうが、KICKR SNAPはその音がかなり抑えられているのだ。アパートやマンション等でのローラートレーニングであればぜひKICKR SNAPをオススメしたい。


ワフー KICKR SNAP
サイズ(展開時):74cm×66cm
重量:約17kg
対応ホイールサイズ:650c、700c、26”、27.5”、29”
対応ハブタイプ:130/135mm QR、142x12mm Thru Axle with Adapter
負荷装置:電磁式
精度:+/-3%
計測データ:スピード、距離、パワー
通信規格:ANT+、ANT+ FE-C、Bluetooth
最大ワット数:1500W
最大斜度:12%
価格:69,285円(税抜)

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