2017/10/30(月) - 16:55
重馬場の泥コースを飛ぶように駆け抜けた小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)が、JCXシリーズ第3戦で圧勝。女子は與那嶺恵理(エフデジ・ヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)が勝利し、共にUCIポイントを獲得した。
JCXシリーズ第3戦、国内UCIレース第2戦の舞台は、随一のサクランボの産地として知られる山形県は寒河江市。東北CXシリーズ初戦のコースはボート競技場「グリバーさがえ」の周囲をコの字に囲う1周3000mで、長い舗装区間や重い芝生区間など、スピードとパワーが重視されるもの。台風22号が運んだ強い雨雲がコースを泥沼化させ、芝をより重く、無数のキャンバー区間の乗車をより困難なものに作り替えた。
会場では風雨を凌げるテントが用意され、山形名物の芋煮や玉こんにゃく、肉そばといった地元グルメがずらり勢揃い。これから最高の時期がやってくるラフランスのプレゼントや洗車場の完備、会場すぐ側にある温泉無料券配布など、暖かなホスピタリティが冷えた選手や観客の身体を暖めてくれる。
地元山形出身の土井雪広(マトリックスパワータグ)は「実は山形って自転車のイベントが多くて、走る場所もたくさんあるんです。アクセスはあんまり良くないですが、もっとたくさんの方に注目してもらいたいですね」と言う。
男子エリート:泥を駆け抜けた小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)が圧勝
この日、最高峰の男子エリートカテゴリーに出場したのは合計63名。前日に群馬CSCで開催されたJプロツアー第22戦から連戦するロードレーサーも多く、土井や阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)、そして鈴木龍(ブリヂストンアンカー)ら豪華なメンツが揃った。
重い泥コースに向けて、長い長いホームストレートのダッシュで主導権を握ったのは今シーズン絶好調をキープしている小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)。「1周目の混戦から早めに抜け出す必要があると感じたので、最初から攻める走りでプッシュしました」と言う小坂は前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)を引き連れつつ、3番手以降を引き離していく。
しかし度重なるチェーン落ちで前田が後退すると、小坂がフィニッシュまで続く独走態勢を築き上げた。「脚の感触が良かったので漕ぎの重いマッドタイヤを選択。ラインが掘れて石が見え隠れしていたので、空気圧はあえて高めの2.0で臨みました」と言うその走りは圧倒的。ただ一人難しいキャンバー区間で脚を出さずに乗車し、10分フラットの圧倒的なラップタイムを刻んでいく。
この日躍進したのが後方からスタートした鈴木龍だ。「こんなに泥々のレースは初めて。脚もキツかったしコースを攻略できませんでした」と振り返るが、昨年の全日本選手権でも16位に食い込んだフィジカルはトップクラス。後方スタートながら1周目終了時には3番手に浮上し、宮津旭(PAX PROJECT)と絡みながら前を追った。
その後ろに迫ったのは最後尾スタートから58人抜きを見せた土井雪広だ。「3位集団を捉えたところでオールアウトしてしまいました(笑)。完成車仕様そのままのバイクだったので、もう少し機材面を整えて臨めばもっと結果が出るはず」と言う土井は最終的に5位でフィニッシュ。今後も野辺山やマキノなどUCIレースを中心に出場するつもりだという。
レース中盤、単独2位を走る前田がメカトラブルで足止めを食らう間に、宮津と鈴木が2位、3位に浮上する。しかし粘る前田は30秒以上ついた差を再び埋め、5周目の中盤に二人をキャッチ。鈴木のみ前田のハイペースに追従して最終周回に入った。
出入りの激しい2位争いの前では、終始スムーズな走りでラップを重ねた小坂が2年連続の独走勝利を達成。実力差が現れやすい泥レースが好き、と言う小坂は「先週の(9位に食い込んだ)ジャパンカップクリテリウムでも調子が良かったし、もう一段階フィジカルを上げられると思います」と悲願の全日本選手権優勝を見据える。
2位争いは最終盤までもつれ込み、キャンバー区間で最短ラインを押し、有利な態勢でゴールスプリントに持ち込んだ前田が先着。最後はシクロクロスの経験量が差を分けたと言う。「今日は泥がシャバシャバだったのでセンタースリックのタイヤを選びました。メカトラは残念でしたが、これも練習では起こらないことなので全日本前に見つけることができて良かった。4位に落ちてもへこたれずにプッシュできたのも収穫でした」。
女子エリート:全日本狙いの與那嶺恵理(エフデジ・ヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)が独走
17名が出走した女子エリートでは、今季シクロクロス初戦となった與那嶺恵理(エフデジ・ヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)が圧倒的な走りを見せつけることとなる。
スタートこそ今井美穂(CO2bicycle)の先行を許したものの、1周目中盤から先頭に立つと、今井はハイペースに対応できずに脱落。唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が2番手に上がって追走したが、安定した走りで逃げる與那嶺の背中は徐々に遠くなっていく。
苦手だった泥コンディションをものともせず走った與那嶺は、結局一度も追いつかれることなく、50秒差を付けて独走勝利。「シクロクロス初戦で、まだバイクにも慣れていない状態でしたが、上手く走れたかと思います」と振り返る。「ロードのワールドツアーレースの距離が伸びているので、40分しか走らないシクロクロスは今年で一区切りつけようと考えています」とも。
「でも、だからこそ、今年の(シクロクロス)全日本選手権は狙っていこうと思います。やっぱり日本の方々の前で走るのは楽しいし、その先にある世界選手権の会場は現在オランダの拠点からすぐ近くなんです。出場して、勝手知ったる本拠地で良い走りがしたいですね」。
2位には追い続けた唐見が入り、3分46秒遅れで今井が3位。10位の坂本沙弥(TeamCUORE)までがフルラップ完走を果たした。
JCXシリーズ第3戦、国内UCIレース第2戦の舞台は、随一のサクランボの産地として知られる山形県は寒河江市。東北CXシリーズ初戦のコースはボート競技場「グリバーさがえ」の周囲をコの字に囲う1周3000mで、長い舗装区間や重い芝生区間など、スピードとパワーが重視されるもの。台風22号が運んだ強い雨雲がコースを泥沼化させ、芝をより重く、無数のキャンバー区間の乗車をより困難なものに作り替えた。
会場では風雨を凌げるテントが用意され、山形名物の芋煮や玉こんにゃく、肉そばといった地元グルメがずらり勢揃い。これから最高の時期がやってくるラフランスのプレゼントや洗車場の完備、会場すぐ側にある温泉無料券配布など、暖かなホスピタリティが冷えた選手や観客の身体を暖めてくれる。
地元山形出身の土井雪広(マトリックスパワータグ)は「実は山形って自転車のイベントが多くて、走る場所もたくさんあるんです。アクセスはあんまり良くないですが、もっとたくさんの方に注目してもらいたいですね」と言う。
男子エリート:泥を駆け抜けた小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)が圧勝
この日、最高峰の男子エリートカテゴリーに出場したのは合計63名。前日に群馬CSCで開催されたJプロツアー第22戦から連戦するロードレーサーも多く、土井や阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)、そして鈴木龍(ブリヂストンアンカー)ら豪華なメンツが揃った。
重い泥コースに向けて、長い長いホームストレートのダッシュで主導権を握ったのは今シーズン絶好調をキープしている小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)。「1周目の混戦から早めに抜け出す必要があると感じたので、最初から攻める走りでプッシュしました」と言う小坂は前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)を引き連れつつ、3番手以降を引き離していく。
しかし度重なるチェーン落ちで前田が後退すると、小坂がフィニッシュまで続く独走態勢を築き上げた。「脚の感触が良かったので漕ぎの重いマッドタイヤを選択。ラインが掘れて石が見え隠れしていたので、空気圧はあえて高めの2.0で臨みました」と言うその走りは圧倒的。ただ一人難しいキャンバー区間で脚を出さずに乗車し、10分フラットの圧倒的なラップタイムを刻んでいく。
この日躍進したのが後方からスタートした鈴木龍だ。「こんなに泥々のレースは初めて。脚もキツかったしコースを攻略できませんでした」と振り返るが、昨年の全日本選手権でも16位に食い込んだフィジカルはトップクラス。後方スタートながら1周目終了時には3番手に浮上し、宮津旭(PAX PROJECT)と絡みながら前を追った。
その後ろに迫ったのは最後尾スタートから58人抜きを見せた土井雪広だ。「3位集団を捉えたところでオールアウトしてしまいました(笑)。完成車仕様そのままのバイクだったので、もう少し機材面を整えて臨めばもっと結果が出るはず」と言う土井は最終的に5位でフィニッシュ。今後も野辺山やマキノなどUCIレースを中心に出場するつもりだという。
レース中盤、単独2位を走る前田がメカトラブルで足止めを食らう間に、宮津と鈴木が2位、3位に浮上する。しかし粘る前田は30秒以上ついた差を再び埋め、5周目の中盤に二人をキャッチ。鈴木のみ前田のハイペースに追従して最終周回に入った。
出入りの激しい2位争いの前では、終始スムーズな走りでラップを重ねた小坂が2年連続の独走勝利を達成。実力差が現れやすい泥レースが好き、と言う小坂は「先週の(9位に食い込んだ)ジャパンカップクリテリウムでも調子が良かったし、もう一段階フィジカルを上げられると思います」と悲願の全日本選手権優勝を見据える。
2位争いは最終盤までもつれ込み、キャンバー区間で最短ラインを押し、有利な態勢でゴールスプリントに持ち込んだ前田が先着。最後はシクロクロスの経験量が差を分けたと言う。「今日は泥がシャバシャバだったのでセンタースリックのタイヤを選びました。メカトラは残念でしたが、これも練習では起こらないことなので全日本前に見つけることができて良かった。4位に落ちてもへこたれずにプッシュできたのも収穫でした」。
女子エリート:全日本狙いの與那嶺恵理(エフデジ・ヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)が独走
17名が出走した女子エリートでは、今季シクロクロス初戦となった與那嶺恵理(エフデジ・ヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)が圧倒的な走りを見せつけることとなる。
スタートこそ今井美穂(CO2bicycle)の先行を許したものの、1周目中盤から先頭に立つと、今井はハイペースに対応できずに脱落。唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が2番手に上がって追走したが、安定した走りで逃げる與那嶺の背中は徐々に遠くなっていく。
苦手だった泥コンディションをものともせず走った與那嶺は、結局一度も追いつかれることなく、50秒差を付けて独走勝利。「シクロクロス初戦で、まだバイクにも慣れていない状態でしたが、上手く走れたかと思います」と振り返る。「ロードのワールドツアーレースの距離が伸びているので、40分しか走らないシクロクロスは今年で一区切りつけようと考えています」とも。
「でも、だからこそ、今年の(シクロクロス)全日本選手権は狙っていこうと思います。やっぱり日本の方々の前で走るのは楽しいし、その先にある世界選手権の会場は現在オランダの拠点からすぐ近くなんです。出場して、勝手知ったる本拠地で良い走りがしたいですね」。
2位には追い続けた唐見が入り、3分46秒遅れで今井が3位。10位の坂本沙弥(TeamCUORE)までがフルラップ完走を果たした。
男子エリート
1位 | 小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム) | 1h02’28” |
2位 | 前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム) | +2:46” |
3位 | 鈴木龍(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) | +2:51” |
4位 | 宮津旭(PAX PROJECT) | +3:59” |
5位 | 土井雪広(マトリックスパワータグ) | +5:21” |
6位 | 加藤健悟(臼杵レーシング) | +5:40” |
7位 | 澤木紀雄(SNEL CYCLOCROSS TEAM) | +5:42” |
8位 | 斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT) | +6:15” |
9位 | 中里仁(Speedvagen Family Racing) | +6:23” |
10位 | 合田正之(Cycle club 3UP) | +6:24” |
女子エリート
1位 | 與那嶺恵理(エフデジ・ヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ) | 53’42” |
2位 | 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム) | +1’14” |
3位 | 今井美穂(CO2bicycle) | +3’46” |
4位 | 須藤むつみ(Ready Go JAPAN) | +4’34” |
5位 | 福本千佳(Live GARDEN Bici Stelle) | +5’18” |
6位 | 西山 みゆき(ToyoFrame) | +5’52” |
7位 | 上田 順子(ダム部) | +6’35” |
8位 | 高橋 織江(PEDAL NATION) | +7’06” |
9位 | 林口 ゆきえ(Live GARDEN Bici Stelle) | +8’09” |
10位 | 坂本沙弥(TeamCUORE) | +9’54” |
C2
1位 | 後藤啓(東北ぼっちフレンズ) | 44’44” |
2位 | 積田連(Team CHAINRING) | 46’56” |
3位 | 小久保登志貴(TEAM AGRI withAST) | 47’20” |
C3
1位 | 柳沼龍佑(東京ヴェントス) | 33’23” |
2位 | 塙亜樹徳(MilePostRacing) | 33’27” |
3位 | 柳堀伸(042-703-9122) | 34’08” |
C4
1位 | 平原大雅(F(t)麒麟山racing) | 29’41” |
2位 | 鈴木将 | 29’56” |
3位 | 林健太郎(ベルエキップしびれ隊) | 30’19” |
CL2
1位 | 鈴木成美(MilePost BMC Racing) | 31’51” |
2位 | 柳原あゆみ(臼杵レーシング) | 33’31” |
CM1
1位 | 海口秀幸(F(t)麒麟山racing CX Team) | 49’26” |
2位 | 小岩浩(Celeste 幸寿司 水沢) | 49”31” |
3位 | 宇野一成(茨城CXレーシングチーム) | 49”43” |
CM2+3
1位 | 鈴木孝(あぶくまサイクリングクラブサーリー部) | 35’26” |
2位 | 高橋綾一(SAGAMI RACING) | 35’37” |
3位 | 高橋誠(B.B.Q) | 37’44” |
Kids
1位 | 高橋壮(SAGAMI RACING) | 13’27” |
2位 | 山田禅人(亘理小学校) | 15”28” |
3位 | 佐々木啄人(ベルエキップしびれ隊) | 15’29” |
CK2
1位 | 成田光志 | 14’43” |
2位 | 山田駿太郎(茨城CXレーシング) | 15’19” |
3位 | 千葉明(北上SOULRIDER CX部) | 21”00” |
CK1
1位 | 佐々木琉名(ベルエキップしびれ隊) | 13’29” |
2位 | 阿崎大和(チーム アザキン) | 14’37” |
textg&photo:So.Isobe
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