2017/10/21(土) - 09:15
高いCNC切削加工技術を持つ台湾の軽量パーツブランド、ユニパー。同社がラインアップする新作のロード用ハブとカーボンリムを用いた軽量チューブラーホイールをテストした。
ユニパー カーボンチューブラーホイール (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
ドイツ人のエンジニア、アンドレアス・ダーマン氏と台湾人のデザイナー、ホーラー・チェン氏によって2009年より創業を開始したユニパー。軽量サイクルパーツに力を入れ、ハブやヘッドセット、ベアリング、クイックリリース、ボルトといった各種製品ラインアップにて展開しているブランドだ。
自転車業界でも指折りの超軽量パーツメーカーにて開発エンジニアとして働いていたアンドレアス氏が、「自身のパーツブランドを興したい」「自前のCNCマシンを持ちたい」といった希望を叶えるため台湾へ移住。元々知り合いであり、有名カーメーカーのパーツデザインも請け負っていた工業製品デザイナーであるホーラー氏とタッグを組んだことがブランドの始まりとなる。
独特な織り目のカーボン柄が特徴的なリム
リムは無塗装でマットな質感。ブランドロゴのステッカーが貼られるのみのシンプルなルックスだ
2:1組みを可能とするリアハブ。ハイローフランジ設計でスポークテンションを最適化する
フロントはオーソドックスな20Hのラジアル組み
大量生産販売や価格競争を良しとせず、独自の製品を開発していくことを重視するユニパーは、当初MTB製品をメインにスタート。得意とするアルミのCNC加工技術を用いその製品ラインアップを拡大させてきた。アルミ製品ならではの、カラフルで鮮やかなアルマイト加工は同社の大きな特徴でもある。アルミ削り出しの軽量パーツに始まり、より軽いチタン製品やオリジナルのセラミックベアリング等、バイクのカスタムパーツを総合的に手掛けるブランド展開を行っている。
今回紹介するのは、そんなユニパーからリリースされた新型ハブと、オリジナルのカーボンリムを用いて組まれた軽量カーボンホイールである。大きな特徴はリアハブがフリー側と反フリー側で2:1のスポーク設計となっていること。左右のスポークテンションを揃えることが容易になるこのデザインは、完組ホイールでは多くのブランドが採用するが、このハブを使えばそれが手組みホイールでも簡単に実現できる。
溝などは設けず平滑面となるブレーキトラック
ニップルホール付近までワイドなデザインとなったエアロプロファイルを採用
Pillar社のエアロスポークを用いて組まれる
16:8の24Hもしくは14:7の21Hの2種類が用意され、ストレートプルタイプのスポークに対応する。またハイローフランジのボディとなり、左右のスポークテンションを最適化する狙いも。シールドベアリングがフロントに2個、リアに4個搭載されており滑らかな回転を実現している。肉薄に削られ形作られるハブボディにより、その重量はフロントが75g以下、リアが200g以下と軽量な値をマークしている点も見逃せない。
対して特徴的なカーボン柄を見せるオリジナルのリムは、35mmハイトで単体重量360gとこちらも軽量な仕上がり。スポークホール付近までワイドな造形となったエアロプロファイルが採用されており、かつ石畳の走行にも対応した強度テストもクリアしており、抜け目のない性能を獲得している。表面は無塗装でブランドステッカーが貼られるのみのシンプルなルックスだ。ブレーキ面は異なるカーボンレイアップが用いられ、カーボンリムの欠点である制動力を確保する工夫も見て取れる。タイヤタイプはチューブラーのみの展開だ。
ニップルは外出しでメンテナンス性に優れる
スポークのマックステンションは1300N
これらのハブ、リムを同じく台湾のスポークメーカーPillar(ピラー)社のエアロスポークを用いて組み上げる。ニップルはリム側の外出しとなるためセルフメンテナンスも可能である。以上の仕様でセット重量約1180gと軽量ホイールに仕上がるのだという。完組仕様で前後セット180,000円(税抜)だ。またハブ、リムはそれぞれ単体でも販売され、手組みホイール用のパーツとしても購入できる。
今回はこのホイールにヴィットリアのルビノプロチューブラーを合わせ、ウィリエールのCento10 NDRにアッセンブルした状態でテストした。新興軽量パーツブランドの実力やいかに。早速、インプレッションへ移ろう。
― インプレッション
「オールマイティに使えるハイトの高さと軽さが光るホイール」奥村貴(正屋)
今回初めてユニパーの製品を使ったのですが、比較的新しいブランドとあって正直どうなんだろうと侮っていましたね。剛性もしっかり確保されていますし乗り心地も悪くない。18万円でこれだけ軽く高性能なカーボンホイールに仕上がっていると考えると、他メーカーを脅かすような製品と言っていいと思います。
「オールマイティに使えるハイトの高さと軽さが光るホイール」奥村貴(正屋)
ガチガチな硬い剛性感ではありませんが、かといって柔らかいようなフィーリングでもなく上手くバランスが取れていると感じました。ハブとリムの相性を研究したような全体的なマッチ感があり、漕いだ時に違和感がなく快適な乗り味になっていますね。ブレーキの効きも不安はなかったので、リムの作りも良さそうです。
ホイール重量自体が軽いので登りはスイスイと進む感覚がありますし、セミディープなハイトで巡航性能も確保されています。踏んだ時の軽さは光りますが、特に登り向けといった印象ではなくオールマイティに使えるホイールとして活躍することでしょう。アップダウンのあるロードレースに良さそうですし、軽量バイクに合わせればヒルクライムホイールとしても使えると思います。
マイナーブランドという部分がネックかもしれませんが、性能は全く問題ない出来で、価格面を考慮すればコストパフォーマンスは非常に高いと思います。比較的安価で軽量なカーボンホイールを探している人にはオススメではないでしょうか。
「新興ブランドとは思えない完成度の高さ、価格以上の性能」錦織大祐(フォーチュンバイク)
乗った時に全体的に安定感のある走りの印象で、リムからスポーク、ハブまで一本筋の通った剛性感がありますね。リアは2:1で組んであるおかげなのか左右バランスも良く、踏み込んだ時にヨレる感覚は全くありませんでした。なによりリム剛性がしっかりしているので、タイヤに仕事をさせている感じを受け取れましたね。
「新興ブランドとは思えない完成度の高さ、価格以上の性能」錦織大祐(フォーチュンバイク)
縦剛性にしても横剛性にしても不満のない出来で、全体としてバランスの良さが感じられます。いい意味でパリッとした踏み味で、十分すぎるほどの軽さがありますね。どのバイクと合わせても使いやすいホイールとして機能してくれるのではないでしょうか。
ブレーキの性能も、例えばエグザリット系のリムと比較すれば初動の当たり感で若干の差はありますが、それでもカーボンリムとしては不満なく普通に使えるレベルになっています。ハブの回転も良いですし、ワイドフランジの設計やニップルホールもきちんと左右に振っている部分など、細かいところまで作り込んでいて完成度の高さを感じましたね。
これで18万円という価格なら自分でも欲しくなるほどの性能でした。最近はチューブラータイヤを敬遠するサイクリストも多いですが、パンク時の対処法をしっかり分かっていれば特に問題にすることはありませんし、それで選択肢を狭めてしまうのはもったいないかなと最後に付け加えておきましょう。
ユニパー カーボンチューブラーホイール (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
ユニパー カーボンチューブラーホイールセット
リム:ユニパーカーボン
ハブ:ユニパー ストレートプル F20H/R24H
スポーク:ピラー(PBA1420)
重 量:前後セット1180g
制限体重:110kg
価 格:180,000円(税抜)
ユニパー カーボンリム
ホール数:20H/24H
リムサイズ:ハイト35mm、幅27.0mm
重 量:360g
価 格:65,000円/本(税抜)
ユニパー ロードハブ
スポークタイプ:ストレートプル
ホール数:フロント20H、リア24H/21H
フリー:シマノ11S用
価 格:フロント16,000円(税抜)、リア36,000円(税抜)
前後セット48,000円(税抜)、前後ハブ+スポークセット66,000円
インプレッションライダーのプロフィール
奥村貴(正屋) 奥村貴(正屋)
福岡市東区千早の自転車店、正屋千早店の店長を務める。10代半ばからMTBの魅力に取り付かれ、2001年から2006年まではMTBジャパンシリーズのエリートクラスで全国を転戦。現在はロードバイクを中心として、ビギナーの方に自転車の楽しさを伝えるよう活動する一方、若きライダーをサポートするMASAYA YOUNG RIDERS PROGRAMで若手選手の育成に取り組んでいる。
CWレコメンドショップページ
正屋 HP
錦織大祐(フォーチュンバイク) 錦織大祐(フォーチュンバイク)
幼少のころより自転車屋を志し、都内の大型プロショップで店長として経験を積んだ後、2010年に東京錦糸町にフォーチュンバイクをオープンさせた新進気鋭の若手店主。台湾をはじめとした世界各国の自転車メーカーと繋がりを持ち、実際の製造現場で得た見聞をユーザーに伝えることを信条としている。シマノ鈴鹿ロードに18年連続で出場する一方、普段はロングライドやスローペースでのサイクリングを楽しむ。
CWレコメンドショップページ
フォーチュンバイク HP
ウェア協力:カペルミュール
text:Yuto.Murata
photo:Makoto.AYANO
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ドイツ人のエンジニア、アンドレアス・ダーマン氏と台湾人のデザイナー、ホーラー・チェン氏によって2009年より創業を開始したユニパー。軽量サイクルパーツに力を入れ、ハブやヘッドセット、ベアリング、クイックリリース、ボルトといった各種製品ラインアップにて展開しているブランドだ。
自転車業界でも指折りの超軽量パーツメーカーにて開発エンジニアとして働いていたアンドレアス氏が、「自身のパーツブランドを興したい」「自前のCNCマシンを持ちたい」といった希望を叶えるため台湾へ移住。元々知り合いであり、有名カーメーカーのパーツデザインも請け負っていた工業製品デザイナーであるホーラー氏とタッグを組んだことがブランドの始まりとなる。
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大量生産販売や価格競争を良しとせず、独自の製品を開発していくことを重視するユニパーは、当初MTB製品をメインにスタート。得意とするアルミのCNC加工技術を用いその製品ラインアップを拡大させてきた。アルミ製品ならではの、カラフルで鮮やかなアルマイト加工は同社の大きな特徴でもある。アルミ削り出しの軽量パーツに始まり、より軽いチタン製品やオリジナルのセラミックベアリング等、バイクのカスタムパーツを総合的に手掛けるブランド展開を行っている。
今回紹介するのは、そんなユニパーからリリースされた新型ハブと、オリジナルのカーボンリムを用いて組まれた軽量カーボンホイールである。大きな特徴はリアハブがフリー側と反フリー側で2:1のスポーク設計となっていること。左右のスポークテンションを揃えることが容易になるこのデザインは、完組ホイールでは多くのブランドが採用するが、このハブを使えばそれが手組みホイールでも簡単に実現できる。
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16:8の24Hもしくは14:7の21Hの2種類が用意され、ストレートプルタイプのスポークに対応する。またハイローフランジのボディとなり、左右のスポークテンションを最適化する狙いも。シールドベアリングがフロントに2個、リアに4個搭載されており滑らかな回転を実現している。肉薄に削られ形作られるハブボディにより、その重量はフロントが75g以下、リアが200g以下と軽量な値をマークしている点も見逃せない。
対して特徴的なカーボン柄を見せるオリジナルのリムは、35mmハイトで単体重量360gとこちらも軽量な仕上がり。スポークホール付近までワイドな造形となったエアロプロファイルが採用されており、かつ石畳の走行にも対応した強度テストもクリアしており、抜け目のない性能を獲得している。表面は無塗装でブランドステッカーが貼られるのみのシンプルなルックスだ。ブレーキ面は異なるカーボンレイアップが用いられ、カーボンリムの欠点である制動力を確保する工夫も見て取れる。タイヤタイプはチューブラーのみの展開だ。
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これらのハブ、リムを同じく台湾のスポークメーカーPillar(ピラー)社のエアロスポークを用いて組み上げる。ニップルはリム側の外出しとなるためセルフメンテナンスも可能である。以上の仕様でセット重量約1180gと軽量ホイールに仕上がるのだという。完組仕様で前後セット180,000円(税抜)だ。またハブ、リムはそれぞれ単体でも販売され、手組みホイール用のパーツとしても購入できる。
今回はこのホイールにヴィットリアのルビノプロチューブラーを合わせ、ウィリエールのCento10 NDRにアッセンブルした状態でテストした。新興軽量パーツブランドの実力やいかに。早速、インプレッションへ移ろう。
― インプレッション
「オールマイティに使えるハイトの高さと軽さが光るホイール」奥村貴(正屋)
今回初めてユニパーの製品を使ったのですが、比較的新しいブランドとあって正直どうなんだろうと侮っていましたね。剛性もしっかり確保されていますし乗り心地も悪くない。18万円でこれだけ軽く高性能なカーボンホイールに仕上がっていると考えると、他メーカーを脅かすような製品と言っていいと思います。
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ガチガチな硬い剛性感ではありませんが、かといって柔らかいようなフィーリングでもなく上手くバランスが取れていると感じました。ハブとリムの相性を研究したような全体的なマッチ感があり、漕いだ時に違和感がなく快適な乗り味になっていますね。ブレーキの効きも不安はなかったので、リムの作りも良さそうです。
ホイール重量自体が軽いので登りはスイスイと進む感覚がありますし、セミディープなハイトで巡航性能も確保されています。踏んだ時の軽さは光りますが、特に登り向けといった印象ではなくオールマイティに使えるホイールとして活躍することでしょう。アップダウンのあるロードレースに良さそうですし、軽量バイクに合わせればヒルクライムホイールとしても使えると思います。
マイナーブランドという部分がネックかもしれませんが、性能は全く問題ない出来で、価格面を考慮すればコストパフォーマンスは非常に高いと思います。比較的安価で軽量なカーボンホイールを探している人にはオススメではないでしょうか。
「新興ブランドとは思えない完成度の高さ、価格以上の性能」錦織大祐(フォーチュンバイク)
乗った時に全体的に安定感のある走りの印象で、リムからスポーク、ハブまで一本筋の通った剛性感がありますね。リアは2:1で組んであるおかげなのか左右バランスも良く、踏み込んだ時にヨレる感覚は全くありませんでした。なによりリム剛性がしっかりしているので、タイヤに仕事をさせている感じを受け取れましたね。
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縦剛性にしても横剛性にしても不満のない出来で、全体としてバランスの良さが感じられます。いい意味でパリッとした踏み味で、十分すぎるほどの軽さがありますね。どのバイクと合わせても使いやすいホイールとして機能してくれるのではないでしょうか。
ブレーキの性能も、例えばエグザリット系のリムと比較すれば初動の当たり感で若干の差はありますが、それでもカーボンリムとしては不満なく普通に使えるレベルになっています。ハブの回転も良いですし、ワイドフランジの設計やニップルホールもきちんと左右に振っている部分など、細かいところまで作り込んでいて完成度の高さを感じましたね。
これで18万円という価格なら自分でも欲しくなるほどの性能でした。最近はチューブラータイヤを敬遠するサイクリストも多いですが、パンク時の対処法をしっかり分かっていれば特に問題にすることはありませんし、それで選択肢を狭めてしまうのはもったいないかなと最後に付け加えておきましょう。
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ユニパー カーボンチューブラーホイールセット
リム:ユニパーカーボン
ハブ:ユニパー ストレートプル F20H/R24H
スポーク:ピラー(PBA1420)
重 量:前後セット1180g
制限体重:110kg
価 格:180,000円(税抜)
ユニパー カーボンリム
ホール数:20H/24H
リムサイズ:ハイト35mm、幅27.0mm
重 量:360g
価 格:65,000円/本(税抜)
ユニパー ロードハブ
スポークタイプ:ストレートプル
ホール数:フロント20H、リア24H/21H
フリー:シマノ11S用
価 格:フロント16,000円(税抜)、リア36,000円(税抜)
前後セット48,000円(税抜)、前後ハブ+スポークセット66,000円
インプレッションライダーのプロフィール
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福岡市東区千早の自転車店、正屋千早店の店長を務める。10代半ばからMTBの魅力に取り付かれ、2001年から2006年まではMTBジャパンシリーズのエリートクラスで全国を転戦。現在はロードバイクを中心として、ビギナーの方に自転車の楽しさを伝えるよう活動する一方、若きライダーをサポートするMASAYA YOUNG RIDERS PROGRAMで若手選手の育成に取り組んでいる。
CWレコメンドショップページ
正屋 HP

幼少のころより自転車屋を志し、都内の大型プロショップで店長として経験を積んだ後、2010年に東京錦糸町にフォーチュンバイクをオープンさせた新進気鋭の若手店主。台湾をはじめとした世界各国の自転車メーカーと繋がりを持ち、実際の製造現場で得た見聞をユーザーに伝えることを信条としている。シマノ鈴鹿ロードに18年連続で出場する一方、普段はロングライドやスローペースでのサイクリングを楽しむ。
CWレコメンドショップページ
フォーチュンバイク HP
ウェア協力:カペルミュール
text:Yuto.Murata
photo:Makoto.AYANO
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