2017/10/06(金) - 13:23
10月7日(土)に北イタリアのロンバルディア州を舞台に第111回イル・ロンバルディアが開催される。トップレーサーが集う「落ち葉のクラシック」のコース特性や注目選手をチェックしておこう。
最大勾配27%のムーロ・ディ・ソルマーノが登場
2017年で開催111回目を迎えるイル・ロンバルディア(元ジロ・ディ・ロンバルディア)。第1回大会が開催されたのは1905年のこと。ミラノ〜サンレモ(1907年〜)、ロンド・ファン・フラーンデレン(1913年〜)、パリ〜ルーベ(1896年〜)、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ(1892年〜)と並んで「モニュメント」と称される伝統の一戦だ。例年決まって秋に開催されることから、「落ち葉のクラシック(クラッシカ・デッレ・フォリエ・モルテ)」と呼び親しまれている。
長年UCIワールドツアー最終戦として開催されてきたが、2017年は同シリーズ合計37戦のうちこれが35戦目。10月中旬にトルコのツアー・オブ・ターキーと中国のツアー・オブ・広西が控えている。10月8日にフランスで開催されるパリ〜トゥール(UCI1.HC)とともにヨーロッパ最終戦だと言っていいだろう。
レースの舞台となるのはレース名の通りイタリア北部のロンバルディア州。2017年大会は前年度のフィニッシュ地点であるベルガモをスタートし、山岳地帯を経てコモに至る247kmコースが用意された。数あるクラシックレースの中で最も登坂力を要求するレースとして知られ、その獲得標高差は4,000mを超える。つまりグランツールで総合優勝を争うようなオールラウンダーやクライマーが出場するため注目度は必然的に高くなる。
レース展開が慌ただしくなるのは残り80kmを切ってから。名物マドンナ・デル・ギザッロの登りを皮切りに勝負所が連続する。コースプロフィールで赤く記された残り51km地点のムーロ・ディ・ソルマーノ(ソルマーノの壁)が今大会の最高地点(標高1,124m)かつ最難関山岳。約2kmにわたって15%の勾配が続くムーロ・ディ・ソルマーノは最大勾配が27%(30%という説もある)に達する正真正銘の「壁」。山岳部を大きく迂回する県道44号線を通らず、山の斜面を直線的に登るこの旧道でレースは動くだろう。
テクニカルなスイッチバックを含む下りを経て、コモ湖沿いの平坦路を走ってコモの町を通過。しかし直線的にフィニッシュラインに向かうことなく、コースはチヴィリオ(長さ4.2km/平均9.7%/最大14%)とサンフェルモ・ディ・バッターリア(長さ2.7km/平均7.2%/最大10%)という2つの登りに向かう。
サンフェルモ・ディ・バッターリアの頂上はフィニッシュラインから5.3kmしか離れていない。いずれも急勾配のムーロ・ディ・ソルマーノとチヴィリオでセレクションがかかった小集団の中からサンフェルモ・ディ・バッターリアでアタックするのが常套の勝ちパターン。もしくは2015年にヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)がチヴィリオの下りでアタックを成功させて独走逃げ切りを果たしたように、テクニカルな下りが勝敗を左右するかもしれない。天気予報によると現地コモは最高19度の晴れで、降水確率は0%に近い。
好調ウランやイェーツ、ニーバリらがシーズン最後のモニュメントを狙う
前述の通りグランツールレーサーが集結するイル・ロンバルディア。直前のイタリアンレースの結果を見れば選手の好調or不調の判断は容易だ。同じRCSスポルト主催のミラノ〜トリノで優勝したリゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)は優勝候補の筆頭だと言える。ウランは2008年と2012年、2016年に3度3位を経験。スプリント力もあるため様々な勝ちパターンを選択可能だ。
ディフェンディングチャンピオンのエステバン・チャベス(コロンビア)はジロ・デッレミリアの落車で肩を骨折したため欠場する。代わって背番号1を付けるアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)はミラノ〜トリノで2位と好調だ。ミラノ〜トリノ3位のファビオ・アル(イタリア、アスタナ)も初のモニュメント制覇を狙っている。
2015年大会の優勝者ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)やディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)ら、地元イタリア勢にとってイル・ロンバルディアは特別な存在。ニーバリは直前のミラノ〜トリノをパスしてこのイル・ロンバルディアに照準を合わしている。ちなみにこれまでの110回の大会のうちイタリア人選手が優勝したのは68回に上る。
2016年大会2位のディエゴ・ローザ(イタリア)やミケル・ランダ(スペイン)、ワウト・プールス(オランダ)、ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド)という強力なメンバーを揃えるチームスカイや、ジュリアン・アラフィリップ(フランス)、ダニエル・マーティン(アイルランド)、フィリップ・ジルベール(ベルギー)を揃えるクイックステップフロアーズはチーム力で攻撃を仕掛けるはず。
ティボー・ピノ(フランス、エフデジ)やナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)、イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)といったグランツールレーサーもスタートに並ぶ。登坂力とスプリント力を備えたルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)やティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)といったアタッカーにも要注意だ。オランダは未だイル・ロンバルディアで優勝者を輩出していないが、2017年はトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)やバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)、ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ)というラインナップを揃える。
9月下旬からイタリアのジロ・デッラ・トスカーナ、コッパ・サバティーニ、ジロ・デッレミリア、GPブルーノベゲッリ、トレ・ヴァッリ・ヴァレジーネ、ミラノ〜トリノを連戦出場してきたNIPPOヴィーニファンティーニの小林海はモニュメント初出場。チームメイトのダミアーノ・クネゴ(イタリア)は2004年、2007年、2008年の優勝者だ。
text:Kei Tsuji
最大勾配27%のムーロ・ディ・ソルマーノが登場
2017年で開催111回目を迎えるイル・ロンバルディア(元ジロ・ディ・ロンバルディア)。第1回大会が開催されたのは1905年のこと。ミラノ〜サンレモ(1907年〜)、ロンド・ファン・フラーンデレン(1913年〜)、パリ〜ルーベ(1896年〜)、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ(1892年〜)と並んで「モニュメント」と称される伝統の一戦だ。例年決まって秋に開催されることから、「落ち葉のクラシック(クラッシカ・デッレ・フォリエ・モルテ)」と呼び親しまれている。
長年UCIワールドツアー最終戦として開催されてきたが、2017年は同シリーズ合計37戦のうちこれが35戦目。10月中旬にトルコのツアー・オブ・ターキーと中国のツアー・オブ・広西が控えている。10月8日にフランスで開催されるパリ〜トゥール(UCI1.HC)とともにヨーロッパ最終戦だと言っていいだろう。
レースの舞台となるのはレース名の通りイタリア北部のロンバルディア州。2017年大会は前年度のフィニッシュ地点であるベルガモをスタートし、山岳地帯を経てコモに至る247kmコースが用意された。数あるクラシックレースの中で最も登坂力を要求するレースとして知られ、その獲得標高差は4,000mを超える。つまりグランツールで総合優勝を争うようなオールラウンダーやクライマーが出場するため注目度は必然的に高くなる。
レース展開が慌ただしくなるのは残り80kmを切ってから。名物マドンナ・デル・ギザッロの登りを皮切りに勝負所が連続する。コースプロフィールで赤く記された残り51km地点のムーロ・ディ・ソルマーノ(ソルマーノの壁)が今大会の最高地点(標高1,124m)かつ最難関山岳。約2kmにわたって15%の勾配が続くムーロ・ディ・ソルマーノは最大勾配が27%(30%という説もある)に達する正真正銘の「壁」。山岳部を大きく迂回する県道44号線を通らず、山の斜面を直線的に登るこの旧道でレースは動くだろう。
テクニカルなスイッチバックを含む下りを経て、コモ湖沿いの平坦路を走ってコモの町を通過。しかし直線的にフィニッシュラインに向かうことなく、コースはチヴィリオ(長さ4.2km/平均9.7%/最大14%)とサンフェルモ・ディ・バッターリア(長さ2.7km/平均7.2%/最大10%)という2つの登りに向かう。
サンフェルモ・ディ・バッターリアの頂上はフィニッシュラインから5.3kmしか離れていない。いずれも急勾配のムーロ・ディ・ソルマーノとチヴィリオでセレクションがかかった小集団の中からサンフェルモ・ディ・バッターリアでアタックするのが常套の勝ちパターン。もしくは2015年にヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)がチヴィリオの下りでアタックを成功させて独走逃げ切りを果たしたように、テクニカルな下りが勝敗を左右するかもしれない。天気予報によると現地コモは最高19度の晴れで、降水確率は0%に近い。
好調ウランやイェーツ、ニーバリらがシーズン最後のモニュメントを狙う
前述の通りグランツールレーサーが集結するイル・ロンバルディア。直前のイタリアンレースの結果を見れば選手の好調or不調の判断は容易だ。同じRCSスポルト主催のミラノ〜トリノで優勝したリゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)は優勝候補の筆頭だと言える。ウランは2008年と2012年、2016年に3度3位を経験。スプリント力もあるため様々な勝ちパターンを選択可能だ。
ディフェンディングチャンピオンのエステバン・チャベス(コロンビア)はジロ・デッレミリアの落車で肩を骨折したため欠場する。代わって背番号1を付けるアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)はミラノ〜トリノで2位と好調だ。ミラノ〜トリノ3位のファビオ・アル(イタリア、アスタナ)も初のモニュメント制覇を狙っている。
2015年大会の優勝者ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)やディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)ら、地元イタリア勢にとってイル・ロンバルディアは特別な存在。ニーバリは直前のミラノ〜トリノをパスしてこのイル・ロンバルディアに照準を合わしている。ちなみにこれまでの110回の大会のうちイタリア人選手が優勝したのは68回に上る。
2016年大会2位のディエゴ・ローザ(イタリア)やミケル・ランダ(スペイン)、ワウト・プールス(オランダ)、ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド)という強力なメンバーを揃えるチームスカイや、ジュリアン・アラフィリップ(フランス)、ダニエル・マーティン(アイルランド)、フィリップ・ジルベール(ベルギー)を揃えるクイックステップフロアーズはチーム力で攻撃を仕掛けるはず。
ティボー・ピノ(フランス、エフデジ)やナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)、イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)といったグランツールレーサーもスタートに並ぶ。登坂力とスプリント力を備えたルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)やティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)といったアタッカーにも要注意だ。オランダは未だイル・ロンバルディアで優勝者を輩出していないが、2017年はトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)やバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)、ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ)というラインナップを揃える。
9月下旬からイタリアのジロ・デッラ・トスカーナ、コッパ・サバティーニ、ジロ・デッレミリア、GPブルーノベゲッリ、トレ・ヴァッリ・ヴァレジーネ、ミラノ〜トリノを連戦出場してきたNIPPOヴィーニファンティーニの小林海はモニュメント初出場。チームメイトのダミアーノ・クネゴ(イタリア)は2004年、2007年、2008年の優勝者だ。
text:Kei Tsuji
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