2017/09/11(月) - 20:22
カナダ2連戦の2戦目、GPモンレアルで強力な6名がエスケープし、ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)が狙い通りの勝利。ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)らは16秒遅れの集団に沈んだ。
グランプリ・シクリスト・ド・モンレアル(UCIワールドツアー)は、その名の通りカナダ東部ケベック州最大の都市モントリオールを舞台にしたワンデーレース。英語名はモントリオールだが、現地の公用語フランス語の読みはモンレアルである。
舞台となるのは市内中心部に位置するモンレアル大学とモンロイヤル公園を取り囲む、例年同様12.1kmの周回コース。1974年のロード世界選手権や1976年のモントリオール五輪ロードレースで使用された周回だ。2日前のグランプリ・シクリスト・ド・ケベックよりも1周あたりの高低差が大きいのが特徴で、登坂距離1800m/平均勾配8%の「カミリアン・ウードの丘」と最大勾配11%の「ポリテクニークの丘(大学理工学部横の丘)」が勝負の鍵を握る。
レースはこの周回コースを17周する200kmオーバーで、獲得標高はなんと3893mにものぼる非常にタフなレース。フィニッシュラインは勾配4%の「アヴェニュー・デュ・パルク」に置かれており、その難易度はGPケベックよりも高い。
この日スタート200mで一発逃げを決めたのはカナダ王者のマッテオ・ダルシン(カナダナショナルチーム)とベンジャミン・ペリー(カナダ、イスラエルサイクリングアカデミー)。自国最大級のレースでエスケープを決めた2人は、キャノンデール・ドラパックが率いるメイン集団に対しておよそ5分のリードを得て逃げ続けた。
しかし集団がペースアップを図り、残り80kmを残して2人のエスケープも少量してしまう。サンウェブやロット・ソウダルの牽きによって高速化した中からはイアン・ボズウェル(アメリカ、チームスカイ)がアタック。来季カチューシャ・アルペシンへの移籍を決めている26歳にはナトナエル・ベルハネ(エリトリア、ディメンションデータ)が追いつき、時間を置いてミヒャエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・スコット)やエドワルド・ラヴァージ(イタリア、UAEチームエミレーツ)も合流。しかしボーラ・ハンスグローエなどが牽くメイン集団は1分以上の猶予を与えることなく、4名は40kmを残して吸収されていった。
続いて元カナダ王者でキャノンデールにも所属していたギヨーム・ボワヴァン(イスラエルサイクリングアカデミー)がアタックし、合流したアルベルト・ベッティオール(イタリア、キャノンデール・ドラパック)が独走に持ち込んだ。これがアタックの呼び水となり、エンリーコ・ガスパロット(イタリア、バーレーン・メリダ)、ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、クイックステップフロアーズ)、ロマン・クロイツィゲル(チェコ、オリカ・スコット)ら、エースにもなり得る実力を持つ選手たちが逃げ始めた。
しかし危険な逃げを組織的に動くサンウェブが残り25km地点で潰し、前線ケベックでも動いたリゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)も勝負の最前線へ。ヤン・バークランツ(ベルギー、アージェードゥーゼル)の単独逃げに対して、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)やグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)らとのスプリントを避けたいチームがメンバーを送り込み、15km地点で強力な15名のエスケープが生まれた。メンバーは以下の通り。
ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング)
ルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)
ジャック・バウアー(ニュージーランド、クイックステップフロアーズ)
ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、クイックステップフロアーズ)
ピーター・ケニャック(イギリス、チームスカイ)
サイモン・ゲシュケ(ドイツ、サンウェブ)
ミヒャエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・スコット)
ヘスス・エラダ(スペイン、モビスター)
バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
ヤン・バークランツ(ベルギー、アージェードゥーゼル)
マティアス・フランク(スイス、アージェードゥーゼル)
トムイェルト・スラフトール(オランダ、キャノンデール・ドラパック)
ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)
ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)
13チームが乗ったこの動きによってメイン集団はコントロール役を失い、一気にスピードダウン。メンバーを送りそこねたアスタナが先頭に出たものの、今ひとつペースは上がらない。先頭では最終周回の登りでモレマが絞り込みを掛け、エラダ、バークランツ、スラフトール、ウリッシ、ガロパンが追従。6名に絞り込まれた。
ケベック覇者サガンは追走を試みたものの、「他選手の協力が得られず、自分ひとりでは追撃したくなかったので集団内に留まった」と集団頼み。しかし全力でローテーションを回す先頭6名は集団とイーブンペースを刻んだ。
残り2kmでリードは15秒。6名優位の状態から「勝機が見えたのはイチかバチか全力で攻め込んだ」とガロパンがアタック。しかし最終ストレートでウリッシとバークランツが冷静に距離を詰め、追い抜きざまにバークランツがロングスパートを仕掛けた。
登り勾配を踏み続けたバークランツだったが、冷静に番手に入ったウリッシにはまだ余裕があった。ゴール前の平坦で一気にスプリントを開始すると、そのまま先頭を守ってフィニッシュ。これまでキャリア27勝を飾っているウリッシにとって、今年2月のGPコスタ・デッリ・エトゥルスキ(UCI1.1)以来待望の勝利を掴んだ。
ウリッシは「ツールを終えてからも集中力を切らさずトレーニングに励んできた。どうしても勝利が欲しかったんだ。昨年はサガンとヴァンアーヴェルマートに次ぐ3位だったので、もし彼らと一緒にフィニッシュしたら昨年同様にやられてしまう。だから今日はアタックでチャンスを見出そうと考えていたんだ。勝つためには全てを失うリスクを背負わなければいけない瞬間がある。今日は全てが上手く働いた」と喜びを語った。
グランプリ・シクリスト・ド・モンレアル(UCIワールドツアー)は、その名の通りカナダ東部ケベック州最大の都市モントリオールを舞台にしたワンデーレース。英語名はモントリオールだが、現地の公用語フランス語の読みはモンレアルである。
舞台となるのは市内中心部に位置するモンレアル大学とモンロイヤル公園を取り囲む、例年同様12.1kmの周回コース。1974年のロード世界選手権や1976年のモントリオール五輪ロードレースで使用された周回だ。2日前のグランプリ・シクリスト・ド・ケベックよりも1周あたりの高低差が大きいのが特徴で、登坂距離1800m/平均勾配8%の「カミリアン・ウードの丘」と最大勾配11%の「ポリテクニークの丘(大学理工学部横の丘)」が勝負の鍵を握る。
レースはこの周回コースを17周する200kmオーバーで、獲得標高はなんと3893mにものぼる非常にタフなレース。フィニッシュラインは勾配4%の「アヴェニュー・デュ・パルク」に置かれており、その難易度はGPケベックよりも高い。
この日スタート200mで一発逃げを決めたのはカナダ王者のマッテオ・ダルシン(カナダナショナルチーム)とベンジャミン・ペリー(カナダ、イスラエルサイクリングアカデミー)。自国最大級のレースでエスケープを決めた2人は、キャノンデール・ドラパックが率いるメイン集団に対しておよそ5分のリードを得て逃げ続けた。
しかし集団がペースアップを図り、残り80kmを残して2人のエスケープも少量してしまう。サンウェブやロット・ソウダルの牽きによって高速化した中からはイアン・ボズウェル(アメリカ、チームスカイ)がアタック。来季カチューシャ・アルペシンへの移籍を決めている26歳にはナトナエル・ベルハネ(エリトリア、ディメンションデータ)が追いつき、時間を置いてミヒャエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・スコット)やエドワルド・ラヴァージ(イタリア、UAEチームエミレーツ)も合流。しかしボーラ・ハンスグローエなどが牽くメイン集団は1分以上の猶予を与えることなく、4名は40kmを残して吸収されていった。
続いて元カナダ王者でキャノンデールにも所属していたギヨーム・ボワヴァン(イスラエルサイクリングアカデミー)がアタックし、合流したアルベルト・ベッティオール(イタリア、キャノンデール・ドラパック)が独走に持ち込んだ。これがアタックの呼び水となり、エンリーコ・ガスパロット(イタリア、バーレーン・メリダ)、ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、クイックステップフロアーズ)、ロマン・クロイツィゲル(チェコ、オリカ・スコット)ら、エースにもなり得る実力を持つ選手たちが逃げ始めた。
しかし危険な逃げを組織的に動くサンウェブが残り25km地点で潰し、前線ケベックでも動いたリゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)も勝負の最前線へ。ヤン・バークランツ(ベルギー、アージェードゥーゼル)の単独逃げに対して、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)やグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)らとのスプリントを避けたいチームがメンバーを送り込み、15km地点で強力な15名のエスケープが生まれた。メンバーは以下の通り。
ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング)
ルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)
ジャック・バウアー(ニュージーランド、クイックステップフロアーズ)
ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、クイックステップフロアーズ)
ピーター・ケニャック(イギリス、チームスカイ)
サイモン・ゲシュケ(ドイツ、サンウェブ)
ミヒャエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・スコット)
ヘスス・エラダ(スペイン、モビスター)
バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
ヤン・バークランツ(ベルギー、アージェードゥーゼル)
マティアス・フランク(スイス、アージェードゥーゼル)
トムイェルト・スラフトール(オランダ、キャノンデール・ドラパック)
ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)
ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)
13チームが乗ったこの動きによってメイン集団はコントロール役を失い、一気にスピードダウン。メンバーを送りそこねたアスタナが先頭に出たものの、今ひとつペースは上がらない。先頭では最終周回の登りでモレマが絞り込みを掛け、エラダ、バークランツ、スラフトール、ウリッシ、ガロパンが追従。6名に絞り込まれた。
ケベック覇者サガンは追走を試みたものの、「他選手の協力が得られず、自分ひとりでは追撃したくなかったので集団内に留まった」と集団頼み。しかし全力でローテーションを回す先頭6名は集団とイーブンペースを刻んだ。
残り2kmでリードは15秒。6名優位の状態から「勝機が見えたのはイチかバチか全力で攻め込んだ」とガロパンがアタック。しかし最終ストレートでウリッシとバークランツが冷静に距離を詰め、追い抜きざまにバークランツがロングスパートを仕掛けた。
登り勾配を踏み続けたバークランツだったが、冷静に番手に入ったウリッシにはまだ余裕があった。ゴール前の平坦で一気にスプリントを開始すると、そのまま先頭を守ってフィニッシュ。これまでキャリア27勝を飾っているウリッシにとって、今年2月のGPコスタ・デッリ・エトゥルスキ(UCI1.1)以来待望の勝利を掴んだ。
ウリッシは「ツールを終えてからも集中力を切らさずトレーニングに励んできた。どうしても勝利が欲しかったんだ。昨年はサガンとヴァンアーヴェルマートに次ぐ3位だったので、もし彼らと一緒にフィニッシュしたら昨年同様にやられてしまう。だから今日はアタックでチャンスを見出そうと考えていたんだ。勝つためには全てを失うリスクを背負わなければいけない瞬間がある。今日は全てが上手く働いた」と喜びを語った。
H3
グランプリ・シクリスト・ド・モンレアル2017結果
1位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 5h22'29" |
2位 | ヘスス・エラダ(スペイン、モビスター) | |
3位 | トムイェルト・スラフトール(オランダ、キャノンデール・ドラパック) | |
4位 | ヤン・バークランツ(ベルギー、アージェードゥーゼル) | |
5位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | +06" |
6位 | トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル) | +11" |
7位 | グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) | +16" |
8位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) | |
9位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
10位 | セップ・ヴァンマルク(ベルギー、キャノンデール・ドラパック) | |
62位 | 新城幸也(バーレーン・メリダ) | +3'55" |
DNF | 別府史之(トレック・セガフレード) |
text:So.Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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