2017/09/10(日) - 10:31
アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)の劇的なアングリル制覇、クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)のマイヨロホ確定、そして落車や総合順位ダウンなど、様々なドラマが凝縮されたブエルタ第20ステージを各選手のコメントで振り返る。
超級アングリルを制したアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)
とても、本当にとても特別な一日になった。このブエルタで、これより最良の方法でさよならを言うことなんて思いもつかない。プロとして引退する前に望んだことが実現した。今日は総合表彰台よりもステージ優勝を優先して走ったんだ。もし総合成績のために走っていたのであれば、もっとコンサバティブな作戦を取っていたし、ステージは取れなかった。僕のブエルタの写真はほぼ一人で写っているけれど、それはアタックし続けていたからこそ。
道路には鈴なりの観客がいて、そして誰もがこのステージに注目し、そして僕はアングリルで勝つことに焦点を合わせた。今日は特別な一日になると分かっていたよ。フィニッシュラインを切った時は「目標完了」と心の中で呟いた。
最終的に総合表彰台には届かなかったけれど、実際はそこまで大切なことでじゃない。本当に大切なことは、人生を賭けて引退前にステージ優勝を挙げることだった。
昨日のステージ終了後にチームメイトに対して「明日は歴史的な一日になる」と話をした。全員が100%力を尽くして序盤のコントロールを行い、全員が僕のために走ってくれた。特にパンタノはコルダル峠の下りで逃げのきっかけを作り、そして二人でアングリルに突入した。そこからは僕の時間だと分かっていたよ。ステージ優勝のためには全力で頂上まで駆け上がる必要があった。
ここまでのブエルタではたくさんの人が僕にありがとうと言いに来てくれる。楽しめているし、決して忘れられない1ヶ月を過ごしてきた。今後年月が経ったとしても、今こうしてキャリア最終盤にステージを勝ったことを忘れることはないだろう。
マイヨロホを確定させたクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)
こんな形で3週間に渡る激しい戦いを締めくくっただなんて、信じられないような気持ち。そしてもちろんツール/ブエルタを2連続制覇したことにもそう感じているよ。
今回のブエルタは自分のキャリアの中で最もタフなグランツールの一つだった。平穏なようでいて実は毎日何かが起こっていたから、その分、優勝を確定させた今はすごく解放されたような気分を強く感じている。ここまでブエルタでは総合2位を3度取っていて、マイヨロホを着てマドリードを走るのは初めてだ。明日がすごく楽しみだよ。
アングリルは見ての通り非常に厳しい登り。2011年はギア選択を間違えて失敗に終わったので、今年は周到に準備を重ねてきた。そしてコンタドールには祝福を。引退レースであんな勝ち方をするだなんて、間違いなく賞賛に値すると思う。個人的には最後の最後までサポートしてくれたプールスに勝ってほしかった。
チームはこの3週間、素晴らしい走りで僕を支えてくれた。十分にして余りあるだけのサポートを続けてくれたことはまさにファンタスティック。彼らチームメイト全員、そして遠く離れた場所から僕を応援してくれている家族に感謝したいと思っている。
苦しみつつ総合2位をキープしたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
濡れたコーナーでスリップ落車したことがとても残念。雨が降っていた上に路面は汚れていて、とてもスリッピーだったんだ。そこまでは素晴らしい展開でレースできていたのに。でも最終的にアングリルで総合順位を守ることができてよかった。今日はペッリツォッティの働きに感謝しなくてはいけない。打ち付けた左半身の痛みがひどく、彼無しでは総合2位を守れたかどうか分からない。
総合3位に浮上したイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ)
まだ現実だと思えない。奇跡が起こったよ。残り3kmの時点でこの状況をどうにかしなきゃと思っていたけれど、実際ノープランだった。身体中全てのエネルギーを総動員して登っていたし、過去にあそこまで追い込んだことはなかった。だから脚が売り切れてしまうことに少し恐怖を感じていた。でもとにかく全力を尽くして、そして素晴らしい結果が舞い込んできた。
途中でケルデルマンが距離を詰めてきたけれど、とにかく彼ではなくコンタドールだけに集中して踏み続けた。最終盤はケルデルマンがどこに消えたか分からなかったけれど、コンタドールだけを見ていたから気にしている場合じゃなかったんだ。
今こうしてグランツールでの総合表彰台圏内に位置していることが何よりも嬉しい。自分自身これからの3年でもっと上の成績を出せると信じているし、より良い結果を狙わない理由がない。総合3位はチームにとっても素晴らしい結果さ。自分としてはここ数年で亡くなった僕の両親に今回の結果を捧げたい。きっと二人とも僕の活躍を見守ってくれていたはずだ。
総合5位に後退したウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)
今日の結果に対して複雑な気分。今日は男と男のガチンコ勝負で、僕よりも強い選手が他にいた。長いこと耐え続けていたけれど、終盤にライバルを逃してしまった。でも大会前に総合5位を目標にしていたことを踏まえればスーパーハッピー。
下りで遅れ、総合8位に落ちたミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)
雨、寒さ、危険な下り。すごく難しいステージだった。ハイスピードの下りで一瞬コントロールを失ってしまい、その時点からものすごく恐怖心が出てきてしまった。コルダル峠登りに入った時点で集団は遙か先で、自分のペースで登りをこなし、危険な下り、そしてアングリルを全て一人でこなさなければいけなかった。
コンタドールを助けたエンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)
デラクルスの前待ち作戦で逃げグループに乗ったけれど、彼の落車リタイアで作戦を変更せざるを得なくなった。残念だし、グランツールの総合順位逆転を賭けたクイーンステージでレースから去るなんてとても辛いことだ。事故を聞いてから自分のステージ優勝に切り替えて、ちょうど追い上げてきたコンタドールに合流して、そのままフィニッシュまで行こうと考えた。結局力が足りずにちぎれたけれど、今日の経験は将来きっと役に立ってくれるだろうし、憧れの存在であるアルベルトと一緒にレースができていたことをとても幸せに感じている。
text:So.Isobe
超級アングリルを制したアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)
とても、本当にとても特別な一日になった。このブエルタで、これより最良の方法でさよならを言うことなんて思いもつかない。プロとして引退する前に望んだことが実現した。今日は総合表彰台よりもステージ優勝を優先して走ったんだ。もし総合成績のために走っていたのであれば、もっとコンサバティブな作戦を取っていたし、ステージは取れなかった。僕のブエルタの写真はほぼ一人で写っているけれど、それはアタックし続けていたからこそ。
道路には鈴なりの観客がいて、そして誰もがこのステージに注目し、そして僕はアングリルで勝つことに焦点を合わせた。今日は特別な一日になると分かっていたよ。フィニッシュラインを切った時は「目標完了」と心の中で呟いた。
最終的に総合表彰台には届かなかったけれど、実際はそこまで大切なことでじゃない。本当に大切なことは、人生を賭けて引退前にステージ優勝を挙げることだった。
昨日のステージ終了後にチームメイトに対して「明日は歴史的な一日になる」と話をした。全員が100%力を尽くして序盤のコントロールを行い、全員が僕のために走ってくれた。特にパンタノはコルダル峠の下りで逃げのきっかけを作り、そして二人でアングリルに突入した。そこからは僕の時間だと分かっていたよ。ステージ優勝のためには全力で頂上まで駆け上がる必要があった。
ここまでのブエルタではたくさんの人が僕にありがとうと言いに来てくれる。楽しめているし、決して忘れられない1ヶ月を過ごしてきた。今後年月が経ったとしても、今こうしてキャリア最終盤にステージを勝ったことを忘れることはないだろう。
マイヨロホを確定させたクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)
こんな形で3週間に渡る激しい戦いを締めくくっただなんて、信じられないような気持ち。そしてもちろんツール/ブエルタを2連続制覇したことにもそう感じているよ。
今回のブエルタは自分のキャリアの中で最もタフなグランツールの一つだった。平穏なようでいて実は毎日何かが起こっていたから、その分、優勝を確定させた今はすごく解放されたような気分を強く感じている。ここまでブエルタでは総合2位を3度取っていて、マイヨロホを着てマドリードを走るのは初めてだ。明日がすごく楽しみだよ。
アングリルは見ての通り非常に厳しい登り。2011年はギア選択を間違えて失敗に終わったので、今年は周到に準備を重ねてきた。そしてコンタドールには祝福を。引退レースであんな勝ち方をするだなんて、間違いなく賞賛に値すると思う。個人的には最後の最後までサポートしてくれたプールスに勝ってほしかった。
チームはこの3週間、素晴らしい走りで僕を支えてくれた。十分にして余りあるだけのサポートを続けてくれたことはまさにファンタスティック。彼らチームメイト全員、そして遠く離れた場所から僕を応援してくれている家族に感謝したいと思っている。
苦しみつつ総合2位をキープしたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
濡れたコーナーでスリップ落車したことがとても残念。雨が降っていた上に路面は汚れていて、とてもスリッピーだったんだ。そこまでは素晴らしい展開でレースできていたのに。でも最終的にアングリルで総合順位を守ることができてよかった。今日はペッリツォッティの働きに感謝しなくてはいけない。打ち付けた左半身の痛みがひどく、彼無しでは総合2位を守れたかどうか分からない。
総合3位に浮上したイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ)
まだ現実だと思えない。奇跡が起こったよ。残り3kmの時点でこの状況をどうにかしなきゃと思っていたけれど、実際ノープランだった。身体中全てのエネルギーを総動員して登っていたし、過去にあそこまで追い込んだことはなかった。だから脚が売り切れてしまうことに少し恐怖を感じていた。でもとにかく全力を尽くして、そして素晴らしい結果が舞い込んできた。
途中でケルデルマンが距離を詰めてきたけれど、とにかく彼ではなくコンタドールだけに集中して踏み続けた。最終盤はケルデルマンがどこに消えたか分からなかったけれど、コンタドールだけを見ていたから気にしている場合じゃなかったんだ。
今こうしてグランツールでの総合表彰台圏内に位置していることが何よりも嬉しい。自分自身これからの3年でもっと上の成績を出せると信じているし、より良い結果を狙わない理由がない。総合3位はチームにとっても素晴らしい結果さ。自分としてはここ数年で亡くなった僕の両親に今回の結果を捧げたい。きっと二人とも僕の活躍を見守ってくれていたはずだ。
総合5位に後退したウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)
今日の結果に対して複雑な気分。今日は男と男のガチンコ勝負で、僕よりも強い選手が他にいた。長いこと耐え続けていたけれど、終盤にライバルを逃してしまった。でも大会前に総合5位を目標にしていたことを踏まえればスーパーハッピー。
下りで遅れ、総合8位に落ちたミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)
雨、寒さ、危険な下り。すごく難しいステージだった。ハイスピードの下りで一瞬コントロールを失ってしまい、その時点からものすごく恐怖心が出てきてしまった。コルダル峠登りに入った時点で集団は遙か先で、自分のペースで登りをこなし、危険な下り、そしてアングリルを全て一人でこなさなければいけなかった。
コンタドールを助けたエンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)
デラクルスの前待ち作戦で逃げグループに乗ったけれど、彼の落車リタイアで作戦を変更せざるを得なくなった。残念だし、グランツールの総合順位逆転を賭けたクイーンステージでレースから去るなんてとても辛いことだ。事故を聞いてから自分のステージ優勝に切り替えて、ちょうど追い上げてきたコンタドールに合流して、そのままフィニッシュまで行こうと考えた。結局力が足りずにちぎれたけれど、今日の経験は将来きっと役に立ってくれるだろうし、憧れの存在であるアルベルトと一緒にレースができていたことをとても幸せに感じている。
text:So.Isobe
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