2017/09/09(土) - 12:06
「強い選手がたくさん逃げていたので、正直自分のチャンスは多くないと思っていた」と語ったのはトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)。その他の逃げメンバーや、明日に向けて意気込むクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)ら総合勢のコメントを紹介します。
グランツアー全てでのステージ優勝を達成したトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)
今日は逃げにチャンスがあると感じていたので、アタック合戦に加わるべく最前列からスタートを切った。予想通りマイヨプントスを狙う(マッテオ)トレンティンとマイヨモンターニャの(ダヴィデ)ヴィレッラもそこにいた。19名の逃げグループができた後に人数がもっと膨らみ、更に強い選手がたくさん入っていたので正直自分が優勝するチャンスはそこまで多くないと思っていたんだ。
残り60km地点では自分が一番最初にステージ優勝に向けてのセレクションを掛けて、集団の人数を削ろうと試みた。もちろんバルデに対しては山岳で敵わないので、ユンゲルスを脱落させることが目的だった。最終盤ではバルデとロッシュ、ガルシア、コスタを追いかけていたけれど、追走グループはうまく協調体制を築けたのでなんとか追いつくことができたんだ。自分だって小集団スプリントに弱くはない。人生を賭けてスプリントすればいけるかもしれないと思っていた。ガルシアの早掛けは少し予想外だったものの、失速したので余裕を持って勝つことができた。
マルチンスキーが勝利してからというもの、チーム内のプレッシャーは解きほぐされて、逆にストレスなくレースに集中できるようになった。僕はブエルタで勝てば全てのグランツアーで勝利できる。だから前からブエルタで勝ちたいとは思っていたけれど、それが今日になるとは思っていなかった。第1週目は調子が悪く、2週目で回復して、今週はだいぶ良くなってきていた中で、しかもコースは全く僕向きではなかった。コーチは僕に耐え続けていれば今日チャンスがあると教えてくれてていたけれど、自分にとってはサプライズの勝利なんだ。
ステージ2位のヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード)
今日はチームメイトのエドワード(トゥーンス)含め逃げグループがかなりの数を揃えた。その中でも今日のフィニッシュは僕向きだと分かっていたので、最後まで力を温存したいとチームに伝えたんだ。ここ数ヶ月の中で最も調子が良かったし、最高のチャンスだと感じてかなりモチベーションは高かった。こんな滅多にない機会を無駄にするわけにはいかなかったんだ。
コンタドールが最後までアタックを続けることは分かっていた。平坦のフィニッシュはトゥーンスの得意とするところじゃないので、彼がコンタドールを前待ちするよう動いたんだ。ありがたいことに今回自分がスプリントに参加することができたし2位にも入れた。山岳ではかなり苦しかった分、結果が出せて本当に嬉しいよ。もちろん勝てるに越したことはなかったが、これがレース。勝つこともあれば負けることもある。今日はただ自分より強い選手がいたということ。
積極的な走りを見せたイヴァン・ガルシア(スペイン、バーレーン・メリダ)
今日のフィニッシュ地点は僕の地元。チームにはニーバリを守るという任務があったけれど、僕はステージを狙っても良いと許可がでたので自分のカードを切ることにしたんだ。この辺りの道は知り尽くしていて、土地の利を活かして残り30kmから独走勝利したかったので勾配がキツくなった区間でアタックしたんだ。最後は脚が攣りかけていたのでスピードに乗せられなかった。けれど素晴らしい気分だったよ。明日はとてつもなくタフな戦いになるけれど、マドリードまで無事に辿り着きたいと思う。
ステージ優勝候補に挙げられていたボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)
調子は良かったけれど、コースガイドよりもずっとキツかった最後の登りで遅れてしまった。でも下りと平坦を経てステージ優勝を諦めていなかったので何とか合流に成功。けれどガルシアのスプリントには敵わなかった。もっと早掛けすれば良かったのかもしれないけれど、強い向かい風だったので良い判断だったかどうかは分からない。自分の脚はよく動いたけれど、チャンスを逃してしまって残念だ。
何度もアタックを仕掛けたニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)
レース状況はいつもと違って少し予想外だった。メイン集団は総合勢を守ることだけに集中していたのであっという間に差が広がった。終盤には何度も抜け出そうと試みたけれど上手くいかなかった。自分に同調してくれる選手がいなかったので単独で数kmを走らざるを得なくて、メンバーは僕に追いついてきても前に出なかったので若干イラついていたんだ。でもレースはレース。デヘントの走りはフェアプレー。彼は1年中逃げに乗っていて、それを勝利に繋げた。
マイヨモンターニャを守ったダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)
今日も逃げに乗った。チームからの指示で序盤の1級山岳でポイントを稼ぐための作戦だったんだ。狙い通り第1、そして第2山岳も先頭通過できたけれど、その分非常に疲れが溜まってしまった。明日は明日の戦いが始まる。もちろん僕もまた仕掛けていくつもり。
マイヨロホのクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)
今日は明日のためにできる限り力をセーブすること、そして問題なく乗り切ることが目標だった。結果的にうまくまとまったし、今は明日に向けて集中している状態さ。明日はとてつもなく厳しい登りステージで、120kmと短く、アングリルの前にもタフな登りがあるので最後だけが勝負だと思っていない。スタート直後から激しい総合争いが繰り広げられることになるだろう。スタートからゴールまで、どんなことにも対応するよう準備が必要だ。ここまで来ると誰もが疲れているけれど、僕はOKで、チームもOK。問題なく困難を乗り越えたい。
総合3位のウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)
最初の1級山岳コリャドナ峠はタフな登りだけれど、逃げが既に出来上がっていたのでイージーペースでクリアできた。総合系のチームが最後の3級山岳でペースアップしたら苦しむだろうと思ってたけれど、それも起こらず。コンタドールのアタックにもチームメイトが対処してくれたので助けられたんだ。明日は今日と全く異なる厳しい展開になるだろう。何としても総合表彰台を守りたいし、脚の感覚も良いので自信を持って臨みたい。
攻撃を続けるアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)
最後のアタックは特にそれほど期待したものではなかったんだ。ブエルタもすでにここまで走ってきて、どの程度の距離に抑えておけばコントロール下にあるかなんてみんな分かっていることだ。今日は難しいフィニッシュだった。なので、ゴールを狙うパンタノと自分をサポートするトゥーンスの2人を逃げに送り込んだんだ。
下りに備えてメカニックにフロント55Tを提案したんだけど、今日は向かい風が強かったからそれは止めて明日のために力をセーブすることにしたんだ。表彰台はまだ遠いけれど、どうやってそこのタイム差を埋めていくか考えなければならない。もしステージ優勝でもできれば話は違うんだけれど。明日は天気も悪くて寒いし、そして短いステージだ。何かが起きるかもしれないね。
路肩に衝突して骨盤骨折を負ったマトヴィ・マミキン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)
若干チームメイトから離れたポジションで下りに入って、ポジションを回復しようとしている最中に見えていなかったコンクリート壁に衝突してしまった。橋があったから道が狭くなっていたんだ。避けようがなかった。ブエルタからの離脱は悲しいけれど、ザカリンには何とか良い結果を出して欲しいと願っている。
text:So.Isobe,Yuto.Murara
photo:CorVos/Unipublic
グランツアー全てでのステージ優勝を達成したトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)
今日は逃げにチャンスがあると感じていたので、アタック合戦に加わるべく最前列からスタートを切った。予想通りマイヨプントスを狙う(マッテオ)トレンティンとマイヨモンターニャの(ダヴィデ)ヴィレッラもそこにいた。19名の逃げグループができた後に人数がもっと膨らみ、更に強い選手がたくさん入っていたので正直自分が優勝するチャンスはそこまで多くないと思っていたんだ。
残り60km地点では自分が一番最初にステージ優勝に向けてのセレクションを掛けて、集団の人数を削ろうと試みた。もちろんバルデに対しては山岳で敵わないので、ユンゲルスを脱落させることが目的だった。最終盤ではバルデとロッシュ、ガルシア、コスタを追いかけていたけれど、追走グループはうまく協調体制を築けたのでなんとか追いつくことができたんだ。自分だって小集団スプリントに弱くはない。人生を賭けてスプリントすればいけるかもしれないと思っていた。ガルシアの早掛けは少し予想外だったものの、失速したので余裕を持って勝つことができた。
マルチンスキーが勝利してからというもの、チーム内のプレッシャーは解きほぐされて、逆にストレスなくレースに集中できるようになった。僕はブエルタで勝てば全てのグランツアーで勝利できる。だから前からブエルタで勝ちたいとは思っていたけれど、それが今日になるとは思っていなかった。第1週目は調子が悪く、2週目で回復して、今週はだいぶ良くなってきていた中で、しかもコースは全く僕向きではなかった。コーチは僕に耐え続けていれば今日チャンスがあると教えてくれてていたけれど、自分にとってはサプライズの勝利なんだ。
ステージ2位のヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード)
今日はチームメイトのエドワード(トゥーンス)含め逃げグループがかなりの数を揃えた。その中でも今日のフィニッシュは僕向きだと分かっていたので、最後まで力を温存したいとチームに伝えたんだ。ここ数ヶ月の中で最も調子が良かったし、最高のチャンスだと感じてかなりモチベーションは高かった。こんな滅多にない機会を無駄にするわけにはいかなかったんだ。
コンタドールが最後までアタックを続けることは分かっていた。平坦のフィニッシュはトゥーンスの得意とするところじゃないので、彼がコンタドールを前待ちするよう動いたんだ。ありがたいことに今回自分がスプリントに参加することができたし2位にも入れた。山岳ではかなり苦しかった分、結果が出せて本当に嬉しいよ。もちろん勝てるに越したことはなかったが、これがレース。勝つこともあれば負けることもある。今日はただ自分より強い選手がいたということ。
積極的な走りを見せたイヴァン・ガルシア(スペイン、バーレーン・メリダ)
今日のフィニッシュ地点は僕の地元。チームにはニーバリを守るという任務があったけれど、僕はステージを狙っても良いと許可がでたので自分のカードを切ることにしたんだ。この辺りの道は知り尽くしていて、土地の利を活かして残り30kmから独走勝利したかったので勾配がキツくなった区間でアタックしたんだ。最後は脚が攣りかけていたのでスピードに乗せられなかった。けれど素晴らしい気分だったよ。明日はとてつもなくタフな戦いになるけれど、マドリードまで無事に辿り着きたいと思う。
ステージ優勝候補に挙げられていたボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)
調子は良かったけれど、コースガイドよりもずっとキツかった最後の登りで遅れてしまった。でも下りと平坦を経てステージ優勝を諦めていなかったので何とか合流に成功。けれどガルシアのスプリントには敵わなかった。もっと早掛けすれば良かったのかもしれないけれど、強い向かい風だったので良い判断だったかどうかは分からない。自分の脚はよく動いたけれど、チャンスを逃してしまって残念だ。
何度もアタックを仕掛けたニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)
レース状況はいつもと違って少し予想外だった。メイン集団は総合勢を守ることだけに集中していたのであっという間に差が広がった。終盤には何度も抜け出そうと試みたけれど上手くいかなかった。自分に同調してくれる選手がいなかったので単独で数kmを走らざるを得なくて、メンバーは僕に追いついてきても前に出なかったので若干イラついていたんだ。でもレースはレース。デヘントの走りはフェアプレー。彼は1年中逃げに乗っていて、それを勝利に繋げた。
マイヨモンターニャを守ったダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)
今日も逃げに乗った。チームからの指示で序盤の1級山岳でポイントを稼ぐための作戦だったんだ。狙い通り第1、そして第2山岳も先頭通過できたけれど、その分非常に疲れが溜まってしまった。明日は明日の戦いが始まる。もちろん僕もまた仕掛けていくつもり。
マイヨロホのクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)
今日は明日のためにできる限り力をセーブすること、そして問題なく乗り切ることが目標だった。結果的にうまくまとまったし、今は明日に向けて集中している状態さ。明日はとてつもなく厳しい登りステージで、120kmと短く、アングリルの前にもタフな登りがあるので最後だけが勝負だと思っていない。スタート直後から激しい総合争いが繰り広げられることになるだろう。スタートからゴールまで、どんなことにも対応するよう準備が必要だ。ここまで来ると誰もが疲れているけれど、僕はOKで、チームもOK。問題なく困難を乗り越えたい。
総合3位のウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)
最初の1級山岳コリャドナ峠はタフな登りだけれど、逃げが既に出来上がっていたのでイージーペースでクリアできた。総合系のチームが最後の3級山岳でペースアップしたら苦しむだろうと思ってたけれど、それも起こらず。コンタドールのアタックにもチームメイトが対処してくれたので助けられたんだ。明日は今日と全く異なる厳しい展開になるだろう。何としても総合表彰台を守りたいし、脚の感覚も良いので自信を持って臨みたい。
攻撃を続けるアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)
最後のアタックは特にそれほど期待したものではなかったんだ。ブエルタもすでにここまで走ってきて、どの程度の距離に抑えておけばコントロール下にあるかなんてみんな分かっていることだ。今日は難しいフィニッシュだった。なので、ゴールを狙うパンタノと自分をサポートするトゥーンスの2人を逃げに送り込んだんだ。
下りに備えてメカニックにフロント55Tを提案したんだけど、今日は向かい風が強かったからそれは止めて明日のために力をセーブすることにしたんだ。表彰台はまだ遠いけれど、どうやってそこのタイム差を埋めていくか考えなければならない。もしステージ優勝でもできれば話は違うんだけれど。明日は天気も悪くて寒いし、そして短いステージだ。何かが起きるかもしれないね。
路肩に衝突して骨盤骨折を負ったマトヴィ・マミキン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)
若干チームメイトから離れたポジションで下りに入って、ポジションを回復しようとしている最中に見えていなかったコンクリート壁に衝突してしまった。橋があったから道が狭くなっていたんだ。避けようがなかった。ブエルタからの離脱は悲しいけれど、ザカリンには何とか良い結果を出して欲しいと願っている。
text:So.Isobe,Yuto.Murara
photo:CorVos/Unipublic
Amazon.co.jp