2017/09/12(火) - 09:10
現在のエアロロード隆盛の嚆矢となった名車、スコット FOILにディスクブレーキモデルが登場。エアロ性能はそのままに、ディスクブレーキのコントローラブルな制動性能を手に入れた新作を紹介しよう。
スコット FOIL RC PREMIUM DISC (c)スコットジャパン
翼断面形状の後端を切り落としたような「カムテール」形状をロードバイクブランドとして初めてフレームに導入し、後のエアロロードバイク開発に大きな影響を与えた名車がスコットのFOILだ。それまでの翼断面形状のチューブを採用していたエアロロードが抱えてきた縦横の剛性バランスという難問を解決しつつも、既存のエアロロードに匹敵する空力性能を持つバイクとして、レーサーから高い評価を集めてきた。
エアロロードの金字塔とも言えるシリーズの2代目となる現行のFOILは、初代の設計思想を受け継ぎつつも、よりエアロに、そして快適性をも獲得したバイクとしてデビューした。主要なチューブはカムテール形状を採用しつつ、フロントフォーククラウンからダウンチューブへかけてのインテグレートデザインや、専用のステム&ハンドル、コンパクトで前方投影面積を減少させたリアトライアングルなど、多くの新機軸が投入され、さらなる進化を遂げた。
エアロダイナミクスを追い求めつつディスクブレーキを手に入れた (c)スコットジャパン
その性能は、オリカ・スコットの選手らによっても証明されている。特に印象的な勝利は、昨年のパリ~ルーベだろう。マシュー・ヘイマン(オーストラリア)がボーネンをスプリントで下したシーンは、FOILの持つレーシング性能の高さを如実に表していたはずだ。
つまり、スプリントに耐える高剛性、パリ~ルーベの過酷な路面からライダーを守り脚を残す快適性、そして高速域でライバルたちにアドバンテージを築く空力性能、これらを極めて高い次元で融合させたバイクとして、現行FOILは完成しているのだ。
そして、スコットはこのFOILにディスクブレーキという新たな武器を与えることを発表した。ディスクブレーキの持つコントローラブルな制動力が加わることで、更なる高みへとFOILは手を掛けたのだ。FOILをディスクブレーキ化するにあたり、スコットは様々な工夫を施している。前後ともスルーアクスル化することは当然だが、エアロロードであるFOILのディスクブレーキ化ということで、特筆すべきは空力面においての工作だ。
フォークブレード末端が左右で異なる形状となる
整流のために設けられたフォークフラップ
左側のフォークフラップはディスクブレーキキャリパーを覆うような大きさに
フロントフォークは完全に新規設計とされている。キャリパーをマウントする左側のフォークレッグ末端を太目にすることでキャリパーをカバーしている。また、フォーク末端にエアロフラップを装備することで更なる空力性能の向上を図っている。エアロフラップは左右で異なる形状とされており、左側はディスクブレーキキャリパーを覆い隠すような形とされた。この形状によって、0.5wの出力をセーブすることができるという。
左側のリアエンドにもフォークと同様にフラップが設けられており、ディスクブレーキキャリパーから流れてくる空気を整流するよう働きを果たしている。また、スルーアクスル化に伴い、リアエンドにもアップデートが加えられている。よりスムーズにホイールを取り付けられるように、ホイールガイドを設けていることに加え、ディレーラーハンガーがノーマルタイプとダイレクトマウントタイプから選択できるようになった。
リアディスクブレーキホースもダウンチューブより内蔵される
フォーククラウンの上部からホースが内蔵される
リアエンドはノーマルとダイレクトマウントを交換できる(写真はノーマル)
リアのディスクブレーキキャリパーの後ろにもフラップが設けられた
これらの変更および、ディスクブレーキへと対応するための剛性強化にもかかわらず、重量の増加は最小減に抑えられている。リア三角を刷新したフレームで25g、フォークが15g、全体として40gの重量増にとどまっている。それによりフレーム重量は985g(56サイズ)をマーク。他社もエアロロードのディスク化を推し進めているが、フレーム重量が1kgを切るモデルは少なく、FOIL Discは大きなアドバンテージを持っているといえる。
ディスクブレーキ化に伴い、タイヤクリアランスも広げられている。30cまでのタイヤを履くことが出来るように改良されているので、荒れた路面をもものともしない走破性も手に入れている。パリ~ルーベを制するだけの性能があることを考えれば、ディスクブレーキと太いタイヤというマッチングもFOILの新たな魅力を引き出してくれそうだ。
用意されるのはスコットの誇る最上級カーボングレードHMXを採用するFOIL RC PREMIUM DISCを筆頭に、より扱いやすいHMFカーボンを採用するアルテグラDi2完成車のFOIL 10 DISCと機械式アルテグラ完成車のFOIL 20 DISCという3車種となっている。
高速ダウンヒルでも大きな武器となるはずだ (c)スコットジャパン
スコット FOIL 10 DISC (c)スコットジャパン
スコット FOIL 20 DISC (c)スコットジャパン
スコット FOIL RC PREMIUM DISC
フレーム:FOIL DISC HMX / IMP F01 AERO Carbon tech.#Road Race geometryt
フォーク:FOIL DISC HMX#1 1/4" - 1 1/2" Carbon steerer
コンポーネント:シマノ DURA-ACE R9170
ホイール:ジップ 303 NSW Disc Firecrest Carbon Clincher Tubeless
価格:1,490,000円(税抜)
スコット FOIL 10 DISC
フレーム:FOIL DISC HMF / IMP F01 AERO Carbon tech.#Road Race geometry#Replaceable Dropout
フォーク:FOIL DISC HMF#1 1/4 - 1 1/2 Carbon steerer
コンポーネント:シマノ ULTEGRA R8070
ホイール:シンクロス RR2.0 Disc
価格:629,000円(税抜)
スコット FOIL 20 DISC
フレーム:FOIL DISC HMF / IMP F01 AERO Carbon tech.#Road Race geometry#Replaceable Dropout
フォーク:FOIL DISC HMF#1 1/4 - 1 1/2 Carbon steerer
コンポーネント:シマノ ULTEGRA R8000
ホイール:シンクロス RR2.0 Disc
価格:469,000円(税抜)
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翼断面形状の後端を切り落としたような「カムテール」形状をロードバイクブランドとして初めてフレームに導入し、後のエアロロードバイク開発に大きな影響を与えた名車がスコットのFOILだ。それまでの翼断面形状のチューブを採用していたエアロロードが抱えてきた縦横の剛性バランスという難問を解決しつつも、既存のエアロロードに匹敵する空力性能を持つバイクとして、レーサーから高い評価を集めてきた。
エアロロードの金字塔とも言えるシリーズの2代目となる現行のFOILは、初代の設計思想を受け継ぎつつも、よりエアロに、そして快適性をも獲得したバイクとしてデビューした。主要なチューブはカムテール形状を採用しつつ、フロントフォーククラウンからダウンチューブへかけてのインテグレートデザインや、専用のステム&ハンドル、コンパクトで前方投影面積を減少させたリアトライアングルなど、多くの新機軸が投入され、さらなる進化を遂げた。
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その性能は、オリカ・スコットの選手らによっても証明されている。特に印象的な勝利は、昨年のパリ~ルーベだろう。マシュー・ヘイマン(オーストラリア)がボーネンをスプリントで下したシーンは、FOILの持つレーシング性能の高さを如実に表していたはずだ。
つまり、スプリントに耐える高剛性、パリ~ルーベの過酷な路面からライダーを守り脚を残す快適性、そして高速域でライバルたちにアドバンテージを築く空力性能、これらを極めて高い次元で融合させたバイクとして、現行FOILは完成しているのだ。
そして、スコットはこのFOILにディスクブレーキという新たな武器を与えることを発表した。ディスクブレーキの持つコントローラブルな制動力が加わることで、更なる高みへとFOILは手を掛けたのだ。FOILをディスクブレーキ化するにあたり、スコットは様々な工夫を施している。前後ともスルーアクスル化することは当然だが、エアロロードであるFOILのディスクブレーキ化ということで、特筆すべきは空力面においての工作だ。
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フロントフォークは完全に新規設計とされている。キャリパーをマウントする左側のフォークレッグ末端を太目にすることでキャリパーをカバーしている。また、フォーク末端にエアロフラップを装備することで更なる空力性能の向上を図っている。エアロフラップは左右で異なる形状とされており、左側はディスクブレーキキャリパーを覆い隠すような形とされた。この形状によって、0.5wの出力をセーブすることができるという。
左側のリアエンドにもフォークと同様にフラップが設けられており、ディスクブレーキキャリパーから流れてくる空気を整流するよう働きを果たしている。また、スルーアクスル化に伴い、リアエンドにもアップデートが加えられている。よりスムーズにホイールを取り付けられるように、ホイールガイドを設けていることに加え、ディレーラーハンガーがノーマルタイプとダイレクトマウントタイプから選択できるようになった。
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これらの変更および、ディスクブレーキへと対応するための剛性強化にもかかわらず、重量の増加は最小減に抑えられている。リア三角を刷新したフレームで25g、フォークが15g、全体として40gの重量増にとどまっている。それによりフレーム重量は985g(56サイズ)をマーク。他社もエアロロードのディスク化を推し進めているが、フレーム重量が1kgを切るモデルは少なく、FOIL Discは大きなアドバンテージを持っているといえる。
ディスクブレーキ化に伴い、タイヤクリアランスも広げられている。30cまでのタイヤを履くことが出来るように改良されているので、荒れた路面をもものともしない走破性も手に入れている。パリ~ルーベを制するだけの性能があることを考えれば、ディスクブレーキと太いタイヤというマッチングもFOILの新たな魅力を引き出してくれそうだ。
用意されるのはスコットの誇る最上級カーボングレードHMXを採用するFOIL RC PREMIUM DISCを筆頭に、より扱いやすいHMFカーボンを採用するアルテグラDi2完成車のFOIL 10 DISCと機械式アルテグラ完成車のFOIL 20 DISCという3車種となっている。
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スコット FOIL RC PREMIUM DISC
フレーム:FOIL DISC HMX / IMP F01 AERO Carbon tech.#Road Race geometryt
フォーク:FOIL DISC HMX#1 1/4" - 1 1/2" Carbon steerer
コンポーネント:シマノ DURA-ACE R9170
ホイール:ジップ 303 NSW Disc Firecrest Carbon Clincher Tubeless
価格:1,490,000円(税抜)
スコット FOIL 10 DISC
フレーム:FOIL DISC HMF / IMP F01 AERO Carbon tech.#Road Race geometry#Replaceable Dropout
フォーク:FOIL DISC HMF#1 1/4 - 1 1/2 Carbon steerer
コンポーネント:シマノ ULTEGRA R8070
ホイール:シンクロス RR2.0 Disc
価格:629,000円(税抜)
スコット FOIL 20 DISC
フレーム:FOIL DISC HMF / IMP F01 AERO Carbon tech.#Road Race geometry#Replaceable Dropout
フォーク:FOIL DISC HMF#1 1/4 - 1 1/2 Carbon steerer
コンポーネント:シマノ ULTEGRA R8000
ホイール:シンクロス RR2.0 Disc
価格:469,000円(税抜)
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