2017/09/06(水) - 06:02
強風吹き荒れる40.2kmの個人タイムトライアルで、マイヨロホのクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)が圧倒的なタイムでステージ優勝。総合リードを1分近く広げる王者の走りを披露した。
2回目の休息日を挟んだブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)は、第72代マイヨロホを大きく左右する第16ステージの個人タイムトライアルに直面した。休息日中にスペイン南部のアンダルシア州からスペイン北部のナバラ州まで大移動(空路もしくは陸路で800kmもの遠路だ)した選手たちは、その日の内に慌ただしくコースの下見を済ませることに。
様々なモータースポーツの開催地ナバラ・サーキットのホームストレートを発ち、いくつものコーナーをこなしてから幹線道路へ。州道1110号線と国道111号線を走って、ラ・リオハ州のログローニョにフィニッシュする。中盤にかけて起伏のあるワインディング区間があり、合計で300mほどを登るが、ここでは登坂力よりも平坦独走力がカギを握る。レース後半に掛けて風が強まったため、軽量級選手は苦しい戦いを迫られることとなった。
そんな40.2kmの個人タイムトライアルで48分49秒、平均時速49.409km/hという後続選手への指標を打ち立てたのは総合141位のダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)だった。最終的にステージ10位となるオスは暫く首位を守ったものの、2014年のジュニア個人TT世界王者で若干20歳のレナード・ケムナ(ドイツ、サンウェブ)が19秒上回ってみせる。更にスウェーデンTT王者のトビアス・ルドヴィクソン(スウェーデン、エフデジ)が23秒更新し、総合上位陣の走りをホットシートから見守った。
出走のタイム差が1分から2分に切り替わり、総合トップ10の走りが始まると、現役最終タイムトライアルのアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)が魂の走りで第1、第2中間計測ポイントのトップタイムを次々と更新。「SRMのメーターを隠して自分の感覚に全てを頼って走った」というピストレロのフィニッシュタイムは47分59秒。ルドヴィクソンを7秒上回って暫定首位に躍り出た。
コンタドールの後ろからスタートした4名、マイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック)、ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)、エスデバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)は全員苦戦した。最も善戦したロペスでさえコンタドールから1分半遅れ、チャベスは3分のビハインド。これによってコンタドールは総合順位を9位から5位へと一気にジャンプアップしてみせる。
すると第15ステージのフィニッシュ前でイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)に先行され、総合表彰台圏内から追いやられたウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)が気を吐いた。「風が強くTTポジションをキープするのが難しかったけれど、集中して走りきることができた」と言う元オランダTT王者は2箇所の中間計測でコンタドールを共に上回り、フィニッシュタイムを30秒縮めた。
続いた総合3位ザカリンはケルデルマンから離れない好タイムで第1計測を通過したものの、後半に掛けて徐々に失速してしまう。「全力を尽くした。自分がどこかでミスしたとは思えない」と振り返るザカリンはコンタドールと同タイム(ケルデルマンから30秒遅れ)となり、総合3位の座をケルデルマンに再び明け渡した。
前輪にバトンホイールを装着して走った総合2位のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)は、第2中間計測でケルデルマンから38秒遅れて総合順位逆転も漂わせたが、最終セクションでペースアップに成功。「風が強く苦労したけれど、追い風区間ではケイデンス100で80km/hに近いスピードが出た」と語るニーバリは28秒遅れに持ち直して総合2位をキープする。
しかし、ニーバリの後ろを走るクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)の走りは圧倒的だった。マイヨロホのスキンスーツを纏って走るフルームは序盤こそマイペースに努めたが、中盤から一気にギアを切り替える戦略的な走りで第2中間計測でトップタイムをマーク。「完璧にスピードに乗せることができていた。残り6〜7km地点でステージ優勝を狙えるポジションにいると分かったんだ」というフルームは勢いを落とすことなくフィニッシュに到達。47分フラットでゴールラインを割り、ステージ優勝と総合リード加算を成功させた。
平均時速51.319km/hで走り抜けたフルームは総合2位ニーバリとのタイム差を1分01秒から1分58秒にまで広げることに成功。最大勾配26%という過激な超級山岳ロス・マチュコスへの頂上フィニッシュを前に大きな余裕を稼ぎ出してみせた。
「すごく安心しているし、4日間の総合争いを残して現時点での自分の順位に満足しているよ。でもレースはまだ終わっていない。日々戦い、今日も1日マドリードまで近づいた。明日は間違いなく決定的な1日となるはずで、ロス・マチュコスは僕の見た感じでは壁。間違いなく激しい総合争いが繰り広げられるだろう」と大成功の1日を終えたフルームは語っている。
2回目の休息日を挟んだブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)は、第72代マイヨロホを大きく左右する第16ステージの個人タイムトライアルに直面した。休息日中にスペイン南部のアンダルシア州からスペイン北部のナバラ州まで大移動(空路もしくは陸路で800kmもの遠路だ)した選手たちは、その日の内に慌ただしくコースの下見を済ませることに。
様々なモータースポーツの開催地ナバラ・サーキットのホームストレートを発ち、いくつものコーナーをこなしてから幹線道路へ。州道1110号線と国道111号線を走って、ラ・リオハ州のログローニョにフィニッシュする。中盤にかけて起伏のあるワインディング区間があり、合計で300mほどを登るが、ここでは登坂力よりも平坦独走力がカギを握る。レース後半に掛けて風が強まったため、軽量級選手は苦しい戦いを迫られることとなった。
そんな40.2kmの個人タイムトライアルで48分49秒、平均時速49.409km/hという後続選手への指標を打ち立てたのは総合141位のダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)だった。最終的にステージ10位となるオスは暫く首位を守ったものの、2014年のジュニア個人TT世界王者で若干20歳のレナード・ケムナ(ドイツ、サンウェブ)が19秒上回ってみせる。更にスウェーデンTT王者のトビアス・ルドヴィクソン(スウェーデン、エフデジ)が23秒更新し、総合上位陣の走りをホットシートから見守った。
出走のタイム差が1分から2分に切り替わり、総合トップ10の走りが始まると、現役最終タイムトライアルのアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)が魂の走りで第1、第2中間計測ポイントのトップタイムを次々と更新。「SRMのメーターを隠して自分の感覚に全てを頼って走った」というピストレロのフィニッシュタイムは47分59秒。ルドヴィクソンを7秒上回って暫定首位に躍り出た。
コンタドールの後ろからスタートした4名、マイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック)、ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)、エスデバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)は全員苦戦した。最も善戦したロペスでさえコンタドールから1分半遅れ、チャベスは3分のビハインド。これによってコンタドールは総合順位を9位から5位へと一気にジャンプアップしてみせる。
すると第15ステージのフィニッシュ前でイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)に先行され、総合表彰台圏内から追いやられたウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)が気を吐いた。「風が強くTTポジションをキープするのが難しかったけれど、集中して走りきることができた」と言う元オランダTT王者は2箇所の中間計測でコンタドールを共に上回り、フィニッシュタイムを30秒縮めた。
続いた総合3位ザカリンはケルデルマンから離れない好タイムで第1計測を通過したものの、後半に掛けて徐々に失速してしまう。「全力を尽くした。自分がどこかでミスしたとは思えない」と振り返るザカリンはコンタドールと同タイム(ケルデルマンから30秒遅れ)となり、総合3位の座をケルデルマンに再び明け渡した。
前輪にバトンホイールを装着して走った総合2位のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)は、第2中間計測でケルデルマンから38秒遅れて総合順位逆転も漂わせたが、最終セクションでペースアップに成功。「風が強く苦労したけれど、追い風区間ではケイデンス100で80km/hに近いスピードが出た」と語るニーバリは28秒遅れに持ち直して総合2位をキープする。
しかし、ニーバリの後ろを走るクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)の走りは圧倒的だった。マイヨロホのスキンスーツを纏って走るフルームは序盤こそマイペースに努めたが、中盤から一気にギアを切り替える戦略的な走りで第2中間計測でトップタイムをマーク。「完璧にスピードに乗せることができていた。残り6〜7km地点でステージ優勝を狙えるポジションにいると分かったんだ」というフルームは勢いを落とすことなくフィニッシュに到達。47分フラットでゴールラインを割り、ステージ優勝と総合リード加算を成功させた。
平均時速51.319km/hで走り抜けたフルームは総合2位ニーバリとのタイム差を1分01秒から1分58秒にまで広げることに成功。最大勾配26%という過激な超級山岳ロス・マチュコスへの頂上フィニッシュを前に大きな余裕を稼ぎ出してみせた。
「すごく安心しているし、4日間の総合争いを残して現時点での自分の順位に満足しているよ。でもレースはまだ終わっていない。日々戦い、今日も1日マドリードまで近づいた。明日は間違いなく決定的な1日となるはずで、ロス・マチュコスは僕の見た感じでは壁。間違いなく激しい総合争いが繰り広げられるだろう」と大成功の1日を終えたフルームは語っている。
H3
ブエルタ・ア・エスパーニャ2017第16ステージ
ステージ結果
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 47'00" |
2位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | +29" |
3位 | ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | +57" |
4位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) | +59" |
5位 | アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) | |
6位 | トビアス・ルドヴィクソン(スウェーデン、エフデジ) | +1'07" |
7位 | ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ) | +1'11" |
8位 | レナード・ケムナ(ドイツ、サンウェブ) | +1'30" |
9位 | ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) | +1'41" |
10位 | ダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング) | +1'49" |
22位 | ミゲル・アンヘルロペス(コロンビア、アスタナ) | +2'34" |
26位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | +3'03" |
37位 | マイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック) | +3'40" |
45位 | エスデバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット) | +4'01" |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 62h53'25" |
2位 | ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | +1'58" |
3位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | +2'40" |
4位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) | +3'07" |
5位 | アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) | +4'58" |
6位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | +5'25" |
7位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | +6'27" |
8位 | ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ) | +6'33" |
9位 | エスデバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット) | +6'40" |
10位 | マイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック) | +7'06" |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 135pts |
2位 | マッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 108pts |
3位 | ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 104pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)
1位 | ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) | 49pts |
2位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 41pts |
3位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 29pts |
マイヨコンビナーダ(複合賞)
チーム総合成績
text:So.Isobe
photo:CorVos/unipublic
photo:CorVos/unipublic
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