2017/09/05(火) - 05:11
再び接戦スプリントに持ち込まれたツアー・オブ・ブリテン。先頭でフィニッシュラインを切ったエドヴァルド・ボアッソンハーゲンは斜行により降格処分に。代わってエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)がステージ優勝とリーダージャージを手にした。
キールダー・ウォーター・フォレストパークをスタートしていく photo:Kei Tsuji / TDWsport
ヨーロッパチャンピオンのアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) photo:Kei Tsuji / TDWsport
山岳賞ジャージを着るルーカス・オウシアン(ポーランド、CCCスプランディ・ポルコウィチェ)を含む逃げ photo:Kei Tsuji / TDWsport
ツアー・オブ・ブリテンはスコットランドを離れてイングランドへ。第2ステージは北海に面したブライスでフィニッシュを迎える211kmの大会最長ステージ。中盤にかけて3つの2級山岳を越え、カテゴリーの付いていない急勾配の短い登りや凸凹路面の田舎道、横風が吹く平坦路が組み込まれている。
悪天候が名物とも言えるツアー・オブ・ブリテンだが、この日は青空が時折顔をのぞかせる薄曇り。気温が20度を超える陽気で、暑くもなく寒くもない快適な初秋の1日は7名のファーストアタックでスタートした。
山岳賞ジャージのルーカス・オウシアン(ポーランド、CCCスプランディ・ポルコウィチェ)グラハム・ブリッグス(イギリス、JLTコンドル)、ジェイコブ・スコット(イギリス、アンポスト・チェーンリアクション)の3名は2日連続の逃げ。この日はスイスチャンピオンのシルヴァン・ディリエ(スイス、BMCレーシング)も加わり、チームスカイとディメンションデータ、オリカ・スコットが統率するメイン集団から最大で5分のアドバンテージを得た。
タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームスカイ)とロブ・パワー(オーストラリア、オリカ・スコット)というクライマー系アシストの長時間牽引によって逃げグループはリードを広げることができない。決定的なタイム差を得ることができないまま逃げグループはリードを失い、独走に持ち込んだマシュー・ホルムズ(イギリス、マディソンジェネシス)も残り15km地点のスプリントポイント通過後に吸収された。2011年大会の総合優勝者ラース・ボーム(オランダ、アスタナ)はこのスプリントポイントでボーナスタイム2秒を獲得している。
シルヴァン・ディリエ(スイス、BMCレーシング)を含む逃げグループ photo:Kei Tsuji / TDWsport
紫色のヘザーに覆われた丘を行く photo:Kei Tsuji / TDWsport
並んで走るフィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)とミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
通過する街がツアー・オブ・ブリテンを暖かく迎える photo:Kei Tsuji / TDWsport
逃げ吸収後はカチューシャ・アルペシンが人数を揃えて集団先頭に上がり、オリカ・スコットやチームスカイ、ディメンションデータ、BMCレーシングも対抗して集団スプリントに向けてカウントダウン。すると残り9kmを切った緩斜面でフィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)が不意を突くアタック。元世界チャンピオンは独力でタイム差を広げにかかったが、スプリンターチームが支配する集団に残り5kmで吸収される。
チームスカイ、ディメンションデータ、カチューシャ・アルペシン、オリカ・スコットのトレインが折り重なるようにポジション争いを繰り広げ、残り300mを切ってからマーク・レンショー(オーストラリア、ディメンションデータ)が最終リードアウトを開始する。その後ろにエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)、カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット)、ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)が位置。完璧なリードアウトを得たボアッソンハーゲンが先頭でスプリントを開始した。
しかしボアッソンハーゲンの進路が左に逸れた。左側から追い抜きにかかったヴィヴィアーニはフェンス際に追いやられて減速を強いられ、ボアッソンハーゲンが先頭を譲らないままフィニッシュラインを切る。僅差のため手を挙げることができないボアッソンハーゲンに対し、イタリア人ならではのジェスチャーでヴィヴィアーニが不満を爆発させた。
カテゴリーの付いていない幾つもの登りを越える photo:Kei Tsuji / TDWsport
ディメンションデータやチームスカイが長時間にわたって集団を牽引 photo:Kei Tsuji / TDWsport
スプリントポイントで動くシルヴァン・ディリエ(スイス、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji / TDWsport
ノースイーストイングランド特有の古城をピースしながら通過するタオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
独走で逃げ続けたマシュー・ホルムズ(イギリス、マディソンジェネシス) photo:Kei Tsuji / TDWsport
メイン集団を率いて逃げを追撃するチームスカイとオリカ・スコット photo:Kei Tsuji / TDWsport
曇り空のイングランド北部を走る photo:Kei Tsuji / TDWsport
謝罪のため駆け寄るボアッソンハーゲンを振り切ってチームバスに戻ったヴィヴィアーニ。先頭でフィニッシュしたボアッソンハーゲンがそのまま優勝者インタビューに答え、表彰台でステージ優勝のトロフィーとリーダージャージを受け取ったが、その後UCIコミッセールの判断でボアッソンハーゲンの斜行による降格処分とヴィヴィアーニの繰り上げ勝利が発表された。
「この勝利に満足せず、残るステージでも引き続き勝利を狙いたい」。ステージ優勝に輝き、ボーナスタイムによってリーダージャージを手にしたヴィヴィアーニは次なるチャンスに目を向ける。「イギリスの将来を背負う若き才能のタオ(ゲオゲガンハート)が2日間ずっと集団を牽引してくれた。チームメイトたちの素晴らしい働きで完璧なポジションからスプリント。今朝のミーティングでの打ち合わせ通り、オウェイン(ドゥール)に連れられてボアッソンハーゲンの番手につけた。この勝利はチームワークの賜物だ」。
降格処分を受け、同タイム集団の最後尾フィニッシュ扱いとなったボアッソンハーゲンは「確かにヴィヴィアーニに近かったけど、わざとじゃない。自分のラインで下を向いてスプリントしただけ。気づいたらヴィヴィアーニがすぐ隣にいた。働き続けてくれたチームメイトたちに恩返しできずに残念だ」と語る。ステージ優勝だけでなく総合優勝も見据えるボアッソンハーゲンは貴重なボーナスタイム10秒も剥奪。ヴィヴィアーニと7秒差の総合3位につけている。
この日は109名が同タイムの集団内でフィニッシュし、118名が完走扱いに。メカトラからの集団復帰時に遮断機が下がりつつあった踏切を渡ったとして、テイラー・フィニー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)に失格処分が下されている。UCI規則は「遮断機が降りている時、閉じている時、警報が鳴っている、点滅している時に平面交差の踏切を通過することを禁止する(2.3.034)」と定めており、フィニーはすぐさま自身のツイッターで謝罪。第5ステージの個人タイムトライアルに向けて意欲を見せていたフィニーのレースが終わった。
進路を変えるエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)と、フェンス際に追い込まれるエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
先着するエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)と、抗議の手を挙げるエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
抗議のジェスチャーを見せるエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
幻のグリーンジャージに袖を通すエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
表彰台裏で正式発表を待つエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
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悪天候が名物とも言えるツアー・オブ・ブリテンだが、この日は青空が時折顔をのぞかせる薄曇り。気温が20度を超える陽気で、暑くもなく寒くもない快適な初秋の1日は7名のファーストアタックでスタートした。
山岳賞ジャージのルーカス・オウシアン(ポーランド、CCCスプランディ・ポルコウィチェ)グラハム・ブリッグス(イギリス、JLTコンドル)、ジェイコブ・スコット(イギリス、アンポスト・チェーンリアクション)の3名は2日連続の逃げ。この日はスイスチャンピオンのシルヴァン・ディリエ(スイス、BMCレーシング)も加わり、チームスカイとディメンションデータ、オリカ・スコットが統率するメイン集団から最大で5分のアドバンテージを得た。
タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームスカイ)とロブ・パワー(オーストラリア、オリカ・スコット)というクライマー系アシストの長時間牽引によって逃げグループはリードを広げることができない。決定的なタイム差を得ることができないまま逃げグループはリードを失い、独走に持ち込んだマシュー・ホルムズ(イギリス、マディソンジェネシス)も残り15km地点のスプリントポイント通過後に吸収された。2011年大会の総合優勝者ラース・ボーム(オランダ、アスタナ)はこのスプリントポイントでボーナスタイム2秒を獲得している。
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逃げ吸収後はカチューシャ・アルペシンが人数を揃えて集団先頭に上がり、オリカ・スコットやチームスカイ、ディメンションデータ、BMCレーシングも対抗して集団スプリントに向けてカウントダウン。すると残り9kmを切った緩斜面でフィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)が不意を突くアタック。元世界チャンピオンは独力でタイム差を広げにかかったが、スプリンターチームが支配する集団に残り5kmで吸収される。
チームスカイ、ディメンションデータ、カチューシャ・アルペシン、オリカ・スコットのトレインが折り重なるようにポジション争いを繰り広げ、残り300mを切ってからマーク・レンショー(オーストラリア、ディメンションデータ)が最終リードアウトを開始する。その後ろにエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)、カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット)、ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)が位置。完璧なリードアウトを得たボアッソンハーゲンが先頭でスプリントを開始した。
しかしボアッソンハーゲンの進路が左に逸れた。左側から追い抜きにかかったヴィヴィアーニはフェンス際に追いやられて減速を強いられ、ボアッソンハーゲンが先頭を譲らないままフィニッシュラインを切る。僅差のため手を挙げることができないボアッソンハーゲンに対し、イタリア人ならではのジェスチャーでヴィヴィアーニが不満を爆発させた。
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謝罪のため駆け寄るボアッソンハーゲンを振り切ってチームバスに戻ったヴィヴィアーニ。先頭でフィニッシュしたボアッソンハーゲンがそのまま優勝者インタビューに答え、表彰台でステージ優勝のトロフィーとリーダージャージを受け取ったが、その後UCIコミッセールの判断でボアッソンハーゲンの斜行による降格処分とヴィヴィアーニの繰り上げ勝利が発表された。
「この勝利に満足せず、残るステージでも引き続き勝利を狙いたい」。ステージ優勝に輝き、ボーナスタイムによってリーダージャージを手にしたヴィヴィアーニは次なるチャンスに目を向ける。「イギリスの将来を背負う若き才能のタオ(ゲオゲガンハート)が2日間ずっと集団を牽引してくれた。チームメイトたちの素晴らしい働きで完璧なポジションからスプリント。今朝のミーティングでの打ち合わせ通り、オウェイン(ドゥール)に連れられてボアッソンハーゲンの番手につけた。この勝利はチームワークの賜物だ」。
降格処分を受け、同タイム集団の最後尾フィニッシュ扱いとなったボアッソンハーゲンは「確かにヴィヴィアーニに近かったけど、わざとじゃない。自分のラインで下を向いてスプリントしただけ。気づいたらヴィヴィアーニがすぐ隣にいた。働き続けてくれたチームメイトたちに恩返しできずに残念だ」と語る。ステージ優勝だけでなく総合優勝も見据えるボアッソンハーゲンは貴重なボーナスタイム10秒も剥奪。ヴィヴィアーニと7秒差の総合3位につけている。
この日は109名が同タイムの集団内でフィニッシュし、118名が完走扱いに。メカトラからの集団復帰時に遮断機が下がりつつあった踏切を渡ったとして、テイラー・フィニー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)に失格処分が下されている。UCI規則は「遮断機が降りている時、閉じている時、警報が鳴っている、点滅している時に平面交差の踏切を通過することを禁止する(2.3.034)」と定めており、フィニーはすぐさま自身のツイッターで謝罪。第5ステージの個人タイムトライアルに向けて意欲を見せていたフィニーのレースが終わった。
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ステージ成績
1位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ) | 5:16:32 |
2位 | ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ) | |
3位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) | |
4位 | カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット) | |
5位 | アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) | |
6位 | ゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ) | |
7位 | フローリス・ヘルツ(オランダ、BMCレーシング | |
8位 | ロジャー・クルーゲ(ドイツ、オリカ・スコット) | |
9位 | マルセル・シーベルグ(ドイツ、ロット・ソウダル) | |
10位 | ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、モビスター) |
個人総合成績
1位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ) | 9:50:35 |
2位 | カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット) | 0:00:04 |
3位 | エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) | 0:00:07 |
4位 | カロル・ドマガルスキー(ポーランド、ワンプロサイクリング) | 0:00:08 |
5位 | シルヴァン・ディリエ(スイス、BMCレーシング) | 0:00:09 |
6位 | カミル・グラデク(ポーランド、ワンプロサイクリング) | |
7位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) | 0:00:10 |
8位 | ラース・ボーム(オランダ、アスタナ) | 0:00:12 |
9位 | アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) | 0:00:14 |
10位 | ゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ) |
ポイント賞
1位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ) | 28pts |
2位 | カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット) | 27pts |
3位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) | 24pts |
山岳賞
1位 | ルーカス・オウシアン(ポーランド、CCCスプランディ・ポルコウィチェ) | 21pts |
2位 | ジェイコブ・スコット(イギリス、アンポスト・チェーンリアクション) | 21pts |
3位 | グラハム・ブリッグス(イギリス、JLTコンドル) | 17pts |
チーム総合成績
1位 | クイックステップフロアーズ | 29:32:27 |
2位 | カチューシャ・アルペシン | |
3位 | ロット・ソウダル |
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