2017/08/27(日) - 03:29
ゴール直前に置かれた1級山岳で登坂勝負が勃発。ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)の攻撃を防ぎきったジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)がスプリント勝負を制し、メイン集団から抜け出したクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)とアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)がタイムを稼いだ。
カスティーリャ・ラ・マンチャ州のエリンからバレンシア州ショレト・デ・カティまでの199.5kmで行われた第8ステージ。前日に引き続き200km前後のステージで、フィニッシュ手前にカテゴリー山岳が登場するレイアウトも前日と同じ。しかしこの日の登りはカテゴリー1級で、勾配は険しく、しかも頂上はフィニッシュから2.9kmしか離れていない。
ショレト・デ・カティの街はこれまで5回フィニッシュを迎えており、前回は現在ユーロスポーツのコメンテーターとして活躍するダヴィ・モンクティエ(フランス)が勝利した場所。この日は予想通りゴール手前に用意された1級山岳で総合争い、そしてステージ優勝争いが激化した。
この日はスタート前に、ツール・ド・フランスで山岳賞(マイヨ・アポワ)を獲得したワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)のDNSが発表され話題を呼ぶ。チームが配信したプレスリリースによれば、その理由は「チーム戦略に従わなかったための除外」。昨ステージでパンクした総合エース、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ)を待たなかったためとされ、「作戦通りに動くことがチーム設立以来の成功の基礎であり、今回のバルギルの動きは看過できない」とリリース内で語られている。
バルギルは前日終了時点でチーム内成績トップの総合13位につけており、アシストとしてのメンバー入りであったものの、展開次第ではエースを担うことも十分に有りえた。来シーズンはサンウェブとの契約を1年残して地元ブルターニュのフォルトゥネオ・オスカロへの移籍を決めているため、バルギルが今後サンウェブのメンバーとしてレースに出場するかは不明瞭だ。
この日は逃げ切りのチャンスがあることから、21名という大きなエスケープグループが構成される。ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)や、ステージ優勝に目標を切り替えたラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)、ヤン・ポランツェ(スロベニア)とプシェメスワフ・ニエミエツ(ポーランド)のUAEチームエミレーツコンビ、このブエルタで引退する大ベテランのヘスス・エルナンデス(スペイン、トレック・セガフレード)ら強力なメンバーが入り、3分2秒遅れの22位につけるネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター)がバーチャルリーダーとなってレースが進んでいった。
その後方でコントロールを担ったのは、もちろんマイヨロホのクリストファー・フルーム(イギリス)を擁するチームスカイ。37度という酷暑の中、逃げる21名に対して5分差でペースを刻んでいく。
111.1km地点と127.5km地点に用意された3級山岳では、ニエミエツとローレンス・デヴリーズ(ベルギー)、ブレンダン・カンティ(オーストラリア)の3名が争い、それぞれデヴリーズとニエミエツが先着。残り25kmを切ってもチームスカイは吸収の意思を見せずタイム差は4分半をキープしたため、逃げ切りにGOサインが灯った。
1級山岳ショレト・デ・カティが近づくと、逃げグループ内ではマイカを勝たせるべくボーラ・ハンスグローエがペースアップを開始する。登坂まで5kmを残してデヴリーズが単独アタックしたものの、エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)がチェックに回る。一時は12秒のリードを稼いだデヴリーズだったが、本格的な登坂勝負を前に吸収された。
ブッフマンが頂上まで3kmを残してペースアップを図ると一気に集団が割れ、前に残ったのは僅かにマイカ、アラフィリップ、そしてセルジュ・パウェルス(ベルギー、ディメンションデータ)。マイペースを刻んだポランツェが追いついた瞬間にマイカがアタックし、追従できたのはアラフィリップのみだった。
15%以上の勾配が続く区間で執拗にアタックを繰り返すマイカだったが、ゴール勝負に持ち込みたいアラフィリップは千切れない。牽制でペースが落ちる度にポランツェも復活してくるが、結局マイカは独走に持ち込めないまま、アラフィリップと二人でダウンヒル区間をクリアした。
残り1kmを切って追いつきざまにアタックしたポランツェの攻撃は交わされ、アラフィリップの加速を機にスプリントがスタートする。マイカとポランツェが追従したものの、後ろを振り向きながら軽やかにダンシングしたアラフィリップが2秒差を付けて勝利を飾った。
チームスカイではなく、サンウェブの牽きでショレト・デ・カティに突入したプロトンでは、まずサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)がアタック。ここにアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)が反応したものの、遅れてフルームが最前線に上がってくる。ハイケイデンスでペースアップしたフルームにはコンタドールだけが食らいつき、粘ったヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)やエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)も含め、ライバル達は軒並み遅れを喫した。
協力して先を急ぐフルームとコンタドールは、最終盤にヘルナンデスの力を借りてアラフィリップから1分27秒差でフィニッシュ。ニーバリとファビオ・アル(イタリア、アスタナ)、エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)、イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ)に対して17秒、ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)やダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)に対して28秒差をつけ、総合タイム差を稼ぎ出すことに成功している。
これによってフルームと総合2位チャベスの差は11秒→28秒となったほか、総合4位ヴァンガーデレンと5位ニーバリの順位が逆転し、アルは総合8位から6位に、ザカリンは12位から10位に、そしてコンタドールは24位から17位に順位を上げている。
グランツール初勝利を飾った25歳のアラフィリップは、「素晴らしい気分だよ。ここまでは体調が良くなかったので勝てるなんて思ってもみなかった。今日はマッテーオ・トレンティンと一緒に逃げに乗ったことも上手く働いた。7日間でチームとして3勝しているけれど、まだまだ終わっていないよ」と喜びを語っている。
カスティーリャ・ラ・マンチャ州のエリンからバレンシア州ショレト・デ・カティまでの199.5kmで行われた第8ステージ。前日に引き続き200km前後のステージで、フィニッシュ手前にカテゴリー山岳が登場するレイアウトも前日と同じ。しかしこの日の登りはカテゴリー1級で、勾配は険しく、しかも頂上はフィニッシュから2.9kmしか離れていない。
ショレト・デ・カティの街はこれまで5回フィニッシュを迎えており、前回は現在ユーロスポーツのコメンテーターとして活躍するダヴィ・モンクティエ(フランス)が勝利した場所。この日は予想通りゴール手前に用意された1級山岳で総合争い、そしてステージ優勝争いが激化した。
この日はスタート前に、ツール・ド・フランスで山岳賞(マイヨ・アポワ)を獲得したワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)のDNSが発表され話題を呼ぶ。チームが配信したプレスリリースによれば、その理由は「チーム戦略に従わなかったための除外」。昨ステージでパンクした総合エース、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ)を待たなかったためとされ、「作戦通りに動くことがチーム設立以来の成功の基礎であり、今回のバルギルの動きは看過できない」とリリース内で語られている。
バルギルは前日終了時点でチーム内成績トップの総合13位につけており、アシストとしてのメンバー入りであったものの、展開次第ではエースを担うことも十分に有りえた。来シーズンはサンウェブとの契約を1年残して地元ブルターニュのフォルトゥネオ・オスカロへの移籍を決めているため、バルギルが今後サンウェブのメンバーとしてレースに出場するかは不明瞭だ。
この日は逃げ切りのチャンスがあることから、21名という大きなエスケープグループが構成される。ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)や、ステージ優勝に目標を切り替えたラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)、ヤン・ポランツェ(スロベニア)とプシェメスワフ・ニエミエツ(ポーランド)のUAEチームエミレーツコンビ、このブエルタで引退する大ベテランのヘスス・エルナンデス(スペイン、トレック・セガフレード)ら強力なメンバーが入り、3分2秒遅れの22位につけるネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター)がバーチャルリーダーとなってレースが進んでいった。
その後方でコントロールを担ったのは、もちろんマイヨロホのクリストファー・フルーム(イギリス)を擁するチームスカイ。37度という酷暑の中、逃げる21名に対して5分差でペースを刻んでいく。
111.1km地点と127.5km地点に用意された3級山岳では、ニエミエツとローレンス・デヴリーズ(ベルギー)、ブレンダン・カンティ(オーストラリア)の3名が争い、それぞれデヴリーズとニエミエツが先着。残り25kmを切ってもチームスカイは吸収の意思を見せずタイム差は4分半をキープしたため、逃げ切りにGOサインが灯った。
1級山岳ショレト・デ・カティが近づくと、逃げグループ内ではマイカを勝たせるべくボーラ・ハンスグローエがペースアップを開始する。登坂まで5kmを残してデヴリーズが単独アタックしたものの、エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)がチェックに回る。一時は12秒のリードを稼いだデヴリーズだったが、本格的な登坂勝負を前に吸収された。
ブッフマンが頂上まで3kmを残してペースアップを図ると一気に集団が割れ、前に残ったのは僅かにマイカ、アラフィリップ、そしてセルジュ・パウェルス(ベルギー、ディメンションデータ)。マイペースを刻んだポランツェが追いついた瞬間にマイカがアタックし、追従できたのはアラフィリップのみだった。
15%以上の勾配が続く区間で執拗にアタックを繰り返すマイカだったが、ゴール勝負に持ち込みたいアラフィリップは千切れない。牽制でペースが落ちる度にポランツェも復活してくるが、結局マイカは独走に持ち込めないまま、アラフィリップと二人でダウンヒル区間をクリアした。
残り1kmを切って追いつきざまにアタックしたポランツェの攻撃は交わされ、アラフィリップの加速を機にスプリントがスタートする。マイカとポランツェが追従したものの、後ろを振り向きながら軽やかにダンシングしたアラフィリップが2秒差を付けて勝利を飾った。
チームスカイではなく、サンウェブの牽きでショレト・デ・カティに突入したプロトンでは、まずサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)がアタック。ここにアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)が反応したものの、遅れてフルームが最前線に上がってくる。ハイケイデンスでペースアップしたフルームにはコンタドールだけが食らいつき、粘ったヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)やエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)も含め、ライバル達は軒並み遅れを喫した。
協力して先を急ぐフルームとコンタドールは、最終盤にヘルナンデスの力を借りてアラフィリップから1分27秒差でフィニッシュ。ニーバリとファビオ・アル(イタリア、アスタナ)、エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)、イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ)に対して17秒、ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)やダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)に対して28秒差をつけ、総合タイム差を稼ぎ出すことに成功している。
これによってフルームと総合2位チャベスの差は11秒→28秒となったほか、総合4位ヴァンガーデレンと5位ニーバリの順位が逆転し、アルは総合8位から6位に、ザカリンは12位から10位に、そしてコンタドールは24位から17位に順位を上げている。
グランツール初勝利を飾った25歳のアラフィリップは、「素晴らしい気分だよ。ここまでは体調が良くなかったので勝てるなんて思ってもみなかった。今日はマッテーオ・トレンティンと一緒に逃げに乗ったことも上手く働いた。7日間でチームとして3勝しているけれど、まだまだ終わっていないよ」と喜びを語っている。
H3
ブエルタ・ア・エスパーニャ2017第8ステージ
ステージ結果
1位 | ジュリアン・アラフィリップ (フランス、クイックステップフロアーズ) | 4h37'55" |
2位 | ヤン・ポランツェ(スロべニア、UAEチームエミレーツ) | +02" |
3位 | ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | |
4位 | セルジュ・パウェルス(ベルギー、ディメンションデータ) | +26" |
5位 | ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター) | +28" |
6位 | ミシェル・クレダー(オランダ、アクアブルースポート) | +32" |
7位 | マキシム・モンフォール(ベルギー、ロット・ソウダル) | |
8位 | バルト・デクレルク(ベルギー、ロット・ソウダル) | +34" |
9位 | アルベルト・ロサダ(スペイン、カチューシャ・アルペシン) | +37" |
10位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | +1'04" |
13位 | アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) | +1'27" |
14位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | |
16位 | ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | +1'44" |
17位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | |
18位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ) | |
20位 | エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット) | |
23位 | アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | +1'55" |
24位 | マイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック) | |
26位 | ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング) | |
27位 | ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) | |
29位 | ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) | |
DNF | ジェスパー・ハンセン(デンマーク) | |
DNF | チェザーレ・ベネデッティ(イタリア) | |
DNS | スヴェンエリック・ビストラム(ノルウェー) | |
DNS | ワレン・バルギル(フランス) |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 32h26'13" |
2位 | エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット) | +28" |
3位 | ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング) | +41" |
4位 | ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | +53" |
5位 | ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) | +58" |
6位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | +1'06" |
7位 | ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) | +1'08" |
8位 | アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | +1'18" |
9位 | マイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック) | +1'41" |
10位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ) | +1'57" |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | マッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 49pts |
2位 | パウェル・ポリャンスキー(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 44pts |
3位 | マテイ・モホリッチ(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 43pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)
1位 | ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) | 38pts |
2位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) | 17pts |
3位 | ダルウィン・アタプマ(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | 12pts |
マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 17pts |
2位 | ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 32pts |
3位 | エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) | 40pts |
チーム総合成績
1位 | モビスター | 96h40'18" |
2位 | UAEチームエミレーツ | +35" |
3位 | アスタナ | +7'12" |
text:So.Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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