テクニカルなニームの13.7kmコースでBMCレーシングが唯一16分を切るトップタイムをマーク。第72回ブエルタ・ア・エスパーニャの初日にローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)がマイヨロホに袖を通した。


15分58秒のトップタイムで優勝したBMCレーシング15分58秒のトップタイムで優勝したBMCレーシング photo:Tim de Waele / TDWsport
ニームの円形闘技場を通過するクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)ニームの円形闘技場を通過するクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele / TDWsport
8月19日、南フランスのニームでブエルタが開幕した。初日はデニムの語源にもなったニームの中心地を発着する13.7kmのチームタイムトライアル(以下チームTT)。開催72回目を迎えるブエルタがチームTTで開幕するのは8年連続となる。

第1走マンサナ・ポストボンから最終走トレック・セガフレードまで、4分間隔で街中コーナーが連続するテクニカルコースに繰り出していく22チーム。レース中盤に3級山岳(長さ2.4km/高低差38m)を含むリズムをつかみにくいコースでは落車が相次ぎ、序盤の落車で数名を失ったロットNLユンボやUAEチームエミレーツがタイムを伸ばせず下位に沈む。

後続の指標となるタイムをマークしたのは11番手スタートのサンウェブで、16分04秒(平均51.2km/h)の暫定トップタイムをマーク。メンバーの平均年齢が24歳335日という、22チームの中で2番目に若いドイツチームがホットシートに座ったが、2012年と2013年、2015年にチームTT世界チャンピオンに輝いているクイックステップフロアーズが1秒以下の差でトップタイムを更新した。

しかしベルギーチームのホットシートも長続きしなかった。3級山岳でトップタイムを更新した18番手スタートのBMCレーシングが後半にさらにペースアップする走りを披露。2014年と2015年のチームTT世界チャンピオンが16分を壁を破る15分58秒(平均51.5km/h)で、ローハン・デニス(オーストラリア)を先頭にフィニッシュに飛び込んだ。

6秒差のステージ3位に入ったサンウェブ6秒差のステージ3位に入ったサンウェブ photo:Tim de Waele / TDWsport
キャリア最終レースをスタートさせたアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)キャリア最終レースをスタートさせたアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) photo:Tim de Waele / TDWsport
ステージ4位に入ったチームスカイステージ4位に入ったチームスカイ photo:Tim de Waele / TDWsport
チームTT上位常連のオリカ・スコットやチームスカイもBMCレーシングのタイムにはそれぞれ17秒と6秒届かない。現役最終レースをスタートさせたアルベルト・コンタドール(スペイン)擁するトレック・セガフレードが35秒遅れのタイムで第1ステージを終えた瞬間、BMCレーシングのステージ優勝とデニスのマイヨロホ獲得が決まった。また、3級山岳をトップタイムで通過したのもBMCレーシングで、先頭で頂上を通過したニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)がマイヨモンターニャを獲得。総合成績+ポイント賞+山岳賞の合計で争われるマイヨコンビナーダはダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)の手に渡っている。

「すべてがプラン通りの走りだった。後続のチームスカイにタイムを更新されるんじゃないかとヒヤヒヤしたけどBMCレーシングが最速だった。コーナーやアップダウンが連続するコースは非常にテクニカル。チームTTでチームの真価を見せることができたと思う。ミッションを完璧にやり遂げることができたよ」と、マイヨロホに初めて袖を通したデニスは語る。

デニスは2015年ツール・ド・フランスの開幕個人TTで勝利してマイヨジョーヌを着ており、これが自身2度目のグランツール初日リーダージャージ獲得。デニスは「これはチームの勝利であり、自分が代表してリーダージャージを着ているだけ。マイヨジョーヌは個人の努力の賜物だったけど、このマイヨロホはチームの努力の結晶なんだ」とコメントし、チームの走りを讃えた。

ニームの円形闘技場を通過するニームの円形闘技場を通過する photo:Tim de Waele / TDWsport
グランツール初出場のアクアブルースポートグランツール初出場のアクアブルースポート photo:Tim de Waele / TDWsport
BMCレーシングの他、マイヨロホ候補の中で好スタートを切ったと言えるのはステージ4位のチームスカイで、ダブルツールを狙うクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)を基準に考えるとエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)は8秒、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)は22秒、コンタドールは26秒のタイムを失っていることになる。フルームは「堅実なスタートを切ることができた。ミスを犯さずに走りきり、他のライバルたちからリードを奪うことができたので結果には満足している。チームメイトたちの走りも素晴らしく、3週間の戦いに向けて自身を得たよ」と手応えを感じている様子だ。

ステージ優勝を飾ったBMCレーシングステージ優勝を飾ったBMCレーシング photo:Tim de Waele / TDWsport
マイヨロホに袖を通したローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)マイヨロホに袖を通したローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) photo:Tim de Waele / TDWsportマイヨモンターニャはニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)の手にマイヨモンターニャはニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)の手に photo:Tim de Waele / TDWsport
マイヨプントスは設定なしだがローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)が獲得マイヨプントスは設定なしだがローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)が獲得 photo:Tim de Waele / TDWsport本来ダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)が受け取るはずのマイヨコンビナーダを受け取ったローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)本来ダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)が受け取るはずのマイヨコンビナーダを受け取ったローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) photo:Tim de Waele / TDWsport
ステージ成績
1位 BMCレーシング 0:15:58
2位 クイックステップフロアーズ 0:00:06
3位 サンウェブ
4位 チームスカイ 0:00:09
5位 オリカ・スコット 0:00:17
6位 ボーラ・ハンスグローエ 0:00:21
7位 ロット・ソウダル 0:00:24
8位 モビスター
9位 バーレーン・メリダ 0:00:31
10位 カチューシャ・アルペシン 0:00:33
11位 トレック・セガフレード 0:00:35
12位 エフデジ 0:00:38
13位 アクアブルースポート
14位 ディメンションデータ 0:00:39
15位 ロットNLユンボ 0:00:40
16位 アスタナ 0:00:41
17位 キャノンデール・ドラパック 0:00:46
18位 アージェードゥーゼール
19位 UAEチームエミレーツ 0:00:47
20位 マンサナ・ポストボン 0:00:53
21位 カハルーラル・セグロスRGA 0:00:56
22位 コフィディス 0:00:57
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) 0:15:58
2位 ダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)
3位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)
4位 アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)
5位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)
6位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
7位 イヴ・ランパールト(ベルギー、クイックステップフロアーズ) 0:00:06
8位 ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)
9位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)
10位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)
マイヨプントス(ポイント賞)
設定なし
マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)
1位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング) 3pts
2位 ダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング) 2pts
3位  フランシスコホセ・ベントソ(スペイン、BMCレーシング) 1pt
マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位 ダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング) 4pts
2位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング) 4pts
3位 フランシスコホセ・ベントソ(スペイン、BMCレーシング) 153pts
チーム総合成績
1位 BMCレーシング 0:15:58
2位 クイックステップフロアーズ 0:00:06
3位 サンウェブ

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