ベルギー国内を走るビンクバンク・ツアー第4ステージは再び雨。2016年ツールの落車で脊椎骨を骨折し、長い期間を経てカムバックしたエドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)が大会最後の集団スプリントを制した。


出走サインエリアに置かれたタンキンク息子のバイク出走サインエリアに置かれたタンキンク息子のバイク photo:LC / TDWsport
晴れ間ののぞくステージ前半はBMCレーシングが集団コントロール晴れ間ののぞくステージ前半はBMCレーシングが集団コントロール photo:LC / TDWsport
逃げるアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)ら3名逃げるアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)ら3名 photo:LC / TDWsport
ベルギー東部、オランダのマーストリヒトにほど近いラナケンを発着する154.2kmで行われたビンクバンク・ツアー第4ステージ。大小2つの周回コースを2周ずつするレイアウトで、終盤にかけて街中のテクニカルコーナーが連続するのが特徴だ。

今シーズン精彩を欠き、ツール・ド・フランスでステージ0勝に終わったアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)がこの日は逃げに乗った。グランツールのステージ連勝記録が途絶えたグライペルは、ニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)とピム・リヒハルト(オランダ、ルームポット)とともに平坦コースをエスケープ。しかし前半BMCレーシング、後半スプリンターチームの主導によりタイム差は押さえ込まれ、残り24kmで早くもグライペルらは吸収されてしまう。

雨で濡れた路面と細くて曲がりくねったコース、そして早めの逃げ吸収はカウンターアタックを誘発した。BMCレーシングがまとめ上げるメイン集団から残り13km地点でアレックス・ドーセット(イギリス、モビスター)とディオン・スミス(ニュージーランド、ワンティ・グループゴベール)の2人が飛び出し、20秒のリードでテクニカルコースを駆け抜ける。

元アワーレコード保持者のドーセットとスミスを、この日はアシスト役に徹したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)やグライペルがメイン集団を牽引して追いかけた。残り4kmで逃げを吸収したメイン集団からは続けざまにイヴ・ランパールト(ベルギー、クイックステップフロアーズ)がカウンターアタック。

タイミングよく抜け出すことに成功したベルギーTTチャンピオンのランパールトが力走し、8秒リードでフラムルージュを通過した。何度も後ろを振り返りながらも逃げ続けるランパールト。逃げ切りの可能性が浮上したが、スプリンターチームがこれを許さず猛追する。ランパールトはスプリンターたちに残りおよそ70mで追い抜かれてしまう。

トレック・セガフレードのボーイ・ファンポッペル(オランダ)とジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー)のリードアウトを受けたエドワード・トゥーンス(ベルギー)を先頭に、残り150mから一斉にスプリントが始まる。勝てば総合首位浮上のペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が後方に沈む中、トゥーンスは先頭をキープし続けた。マルコ・クンプ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)らを振り切ったトゥーンスが雄叫びをあげながら両手を挙げた。

雨の第4ステージを走る新城幸也(バーレーン・メリダ)雨の第4ステージを走る新城幸也(バーレーン・メリダ) photo:Miwa Iijima
雨のスプリントで勝利したエドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)雨のスプリントで勝利したエドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード) photo:LC / TDWsport
雨のスプリントを制したエドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)雨のスプリントを制したエドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード) photo:LC / TDWsport
トゥーンスは2016年ツール・ド・フランス第13ステージの落車で脊椎骨を骨折。手術を受けて今年1月からレースに復帰し、パリ〜ルーベ8位という成績を残したものの未勝利の状態が続いていた。「大きな安堵感とともに幸せな気分に包まれている。昨年ツールの落車負傷以降、このカムバックまで長い道のりだった。今年の春のクラシックの後に背骨のピンを抜く手術をして、それからというもの調子はずっと上がり続けていたんだ。ツール期間中に行っていた高地トレーニングの結果が出たよ」と、ヘント生まれの26歳は語る。

「チームメイトと連携すれば勝負できることは昨日確認したので、今日も再び同じ作戦で勝負に挑んだ。ボーイ(ファンポッペル)が一気にポジションを上げて、ジャスパー(ストゥイヴェン)が最終リードアウト。最後は逃げていたランパールトを追いかけ、短い時間だけどスリップストリームに入ってからさらに加速した。すべてがパーフェクトだった」。ライバルたちがアシストを欠く中、終盤まで人数を残したトレック・セガフレードが理想の形でスプリントに持ち込み、勝利した。

翌日の第5ステージはアムステル・ゴールド・レースを彷彿とさせるアップダウンコース。トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)とペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)から5秒のリードを得ているシュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング)がリーダージャージを着て難関3ステージに挑む。

ステージ前半のアタック合戦に加わった新城幸也(バーレーン・メリダ)はステージ53位フィニッシュ。新城は「今日は逃げに乗るべく動いた。途中、トニー・ギャロパン(ロット・ソウダル)と2人で抜け出して、集団も容認してくれたかと思ったが、程なくして集団で追いかけて来て振り出しに戻ってしまった。結局50km近くのアタック合戦で決まってしまった。この時点でアベレージ47km/h。そこからも雨で集団にいてもゆっくり出来ないハイスピードな1日となった」と振り返る。自身も得意とするアップダウンコースが設定された残る3ステージに向けて「先ずは明日はアムステルゴールドレースなコース。ガスパロットをエースにどう戦うかっ。ただ天気だけが心配」と語っている(チームユキヤ通信より)。

ビールをゲットしたエドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)ビールをゲットしたエドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード) photo:LC / TDWsport
ステージ成績
1位 エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード) 3:24:23
2位 マルコ・クンプ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
3位 ティム・メルリエ(ベルギー、ヴェランダスウィレムス・クレラン)
4位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
5位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)
6位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、チームスカイ)
7位 マグナスコルト・ニールセン(デンマーク、オリカ・スコット)
8位 マルク・サロー(フランス、エフデジ)
9位 フィル・バウハウス(ドイツ、サンウェブ)
10位 セップ・ヴァンマルク(ベルギー、キャノンデール・ドラパック)
53位 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ)
個人総合成績
1位 シュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング) 11:39:31
2位 マチェイ・ボドナル(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) 0:00:04
3位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) 0:00:05
4位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
5位 ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ) 0:00:08
6位 ラルス・ボーム(オランダ、ロットNLユンボ) 0:00:10
7位 イヴ・ランパールト(ベルギー、クイックステップフロアーズ) 0:00:12
8位 マティアス・ブランドル(オーストリア、トレック・セガフレード) 0:00:14
9位 エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード) 0:00:17
10位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)
ポイント賞
1位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 79pts
2位 エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード) 55pts
3位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ) 55pts
コンバティビティ賞
1位 ピート・アレガールト(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ) 48pts
2位 エルマー・レインダース(オランダ、ルームポット) 38pts
3位  ローレンス・デヴリーズ(ベルギー、アスタナ) 26pts
チーム総合成績
1位 BMCレーシング 24:46:07
2位 サンウェブ 0:00:01
3位 ロットNLユンボ 0:00:03

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