ツール・ド・ポローニュ(UCIワールドツアー)開幕ステージで世界王者ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が集団スプリントを制して勝利。失格に終わったツール・ド・フランスの雪辱を晴らし総合リーダーとなった。



美しいクラクフの中心街が第1ステージの舞台美しいクラクフの中心街が第1ステージの舞台 photo:CorVos
クラシカ・サンセバスティアンと同じタイミングで、ポーランドでは同国最大のロードレース、ツール・ド・ポローニュ(UCIワールドツアー)が開幕した。

第1ステージの舞台となったクラクフ発着の130kmコースはスプリンター向けながら、中盤まで標高300m台の山がノコギリ歯のように連続する。山岳ポイントや中間スプリントも用意されているため、序盤から逃げを狙う熾烈なアタック合戦が繰り広げられた。

その中からエスケープしたのは、マルティン・ケイゼル(オランダ、ロットNLユンボ)やマチェイ・パテルスキー(ポーランド、CCCスプランディ・ポルコウィチェ)、パウェル・ベルナス(ポーランド、ポーランドナショナルチーム)、シャルル・プラネット(フランス、ノボ ノルディスク)という4名。すぐさまリードを築いたものの、130kmと短距離ステージであったため、持ちタイムは3分程度で推移した。

人数を減らしながらも逃げるマルティン・ケイゼル(オランダ、ロットNLユンボ)やマチェイ・パテルスキー(ポーランド、CCCスプランディ・ポルコウィチェ)人数を減らしながらも逃げるマルティン・ケイゼル(オランダ、ロットNLユンボ)やマチェイ・パテルスキー(ポーランド、CCCスプランディ・ポルコウィチェ) photo:CorVosブエルタ・ア・エスパーニャを目指すヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)ブエルタ・ア・エスパーニャを目指すヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) photo:CorVos

7度目のポローニュを走る別府史之(トレック・セガフレード)7度目のポローニュを走る別府史之(トレック・セガフレード) photo:CorVos
特に大きな展開もなく距離を消化し、フィニッシュまで60kmを残した段階で世界王者ペテル・サガン(スロバキア)のスプリントを狙うボーラ・ハンスグローエがペースアップを開始する。ベルナスとプラネットが遅れ、粘ったパテルスキーとケイゼルも残り14.5kmで集団に飲み込まれた。

サンウェブとアスタナ、ボーラ・ハンスグローエらが主導権を争いつつ、3km×4周回をこなすサーキットコースへ。各チームが列車を横一線に並べて周回をこなし、ハイスピードを保ったまま最終周回に入っていく。

地元トップチームCCCスプランディ・ポルコウィチェが先頭に立って55km/h以上で集団を率いたものの、牽引力不足で撃沈。すると「一瞬集団がスローダウンしたので、チャンスを見出した」とダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)がアタック。追従したトーマス・マルチンスキー(ポーランド、ロット・ソウダル)と共に60km/hに達するハイペースで逃げたものの、カレイブ・ユアン(オーストラリア)で勝利を狙うオリカ・スコットによって引き戻された。

終盤にペースを上げるサンウェブ終盤にペースを上げるサンウェブ photo:CorVos各チームがせめぎ合いながら集団スプリントに向けてペースを上げる各チームがせめぎ合いながら集団スプリントに向けてペースを上げる photo:CorVos


「脚があったので逃げにトライし、全力で踏み込んだ」とカウンターでアタックしたダヴィデ・マルティネッリ(イタリア、クイックステップフロアーズ)も残り500mで飲み込まれ、同時に集団前方では行き場を失ったクリスティアン・ズバラーリ(イタリア、ディメンションデータ)がバランスを崩し、アレックス・ダウセット(イギリス、モビスター)らを巻き込むクラッシュが発生する。

落車を尻目に、真っ先にスプリントしたのはネイサン・ハース(オーストア、ディメンションデータ)。しかしツール・ド・フランスでの失格に雪辱を誓うペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)の伸びは圧倒的だった。囲まれたことでタイミングが遅れたユアンをホイール1.5個分リードして優勝。3位にはダニー・ファンポッペル(オランダ、チームスカイ)が入った。

集団スプリントで勝利したペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)集団スプリントで勝利したペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
慣れた手つきでシャンパンを開けるペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)慣れた手つきでシャンパンを開けるペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVosリーダージャージを着用するペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)リーダージャージを着用するペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos


「勝利と共にレースに戻ってこれて本当に嬉しい。教科書通りの動きができて、大切な勝利を収める事ができたんだ。ツール・ド・フランス以降も僕を支えてくれたチーム、スポンサーに感謝したい。この勝利でツールは過去の記憶になり、ポロ−ニュに100%集中できる。まずは今日の勝利をお祝いしたいと思う」とは、アルカンシエルにリーダージャージを重ねたサガン。山岳ステージではツールを落車リタイアし、地元の期待を背負うラファル・マイカ(ポーランド)をサポートすることも明言した。

翌第2ステージは、タルノフスキェ・グルィからカトヴィツェへと向かう142km。同じくスプリンター向けと目されているが、ゴール直前には4級山岳が用意されているため、逃げ切りにもチャンスがある。
H3
ツール・ド・ポローニュ2017第1ステージ
結果
1位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 2h56'16"
2位 カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット)
3位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、チームスカイ)
4位 リカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ)
5位 ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ)
6位 ネイサン・ハース(オーストア、ディメンションデータ)
7位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
8位 パウェル・フランツァク(ポーランド、ポーランドナショナルチーム)
9位 ボーイ・ファンポッペル(オランダ、トレック・セガフレード)
10位 イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル)
121位 別府史之(トレック・セガフレード)
個人総合成績
1位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 2h56'06"
2位 カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット) +04"
3位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、チームスカイ) +06"
4位 ネイサン・ハース(オーストア、ディメンションデータ) +09"
5位 リカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ) +10"
6位 ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ)
7位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
8位 パウェル・フランツァク(ポーランド、ポーランドナショナルチーム)
9位 ボーイ・ファンポッペル(オランダ、トレック・セガフレード)
10位 イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル)
ポイント賞
1位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 20pts
2位 カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット) 19pts
3位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、チームスカイ) 18pts
山岳賞
1位 マルティン・ケイゼル(オランダ、ロットNLユンボ) 1pts
2位 パウェル・ベルナス(ポーランド、ポーランドナショナルチーム) 1pts
チーム総合成績
1位 ガスプロム・ラスヴェロ 8h48'48
2位 チームスカイ
3位 ディメンションデータ
text:So.Isobe
photo:CorVos

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