2017/07/19(水) - 01:31
ローヌ渓谷を吹き抜ける風によって集団が分裂。マーティンやマインティーズ、コンタドールを欠く小集団によるスプリント勝負に持ち込まれマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)が今大会2勝目を飾るとともにマイヨヴェールまで29ポイント差に迫った。
大会最後の休息地ル・ピュイ=アン=ヴレをスタートし、3級山岳と4級山岳を越えてローヌ川渓谷へ。165kmコースの獲得標高差は2,000m。難易度が極めて高いとは言えないが、南から吹く強い風によって序盤から集団が割れる荒れた展開となった。
スタート直後からアタック合戦が始まり、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)とシルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)、ニコラ・エデ(フランス、コフィディス)、ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・スコット)、トーマス・デハント(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)の5名が逃げグループを形成。しかしメイン集団がペースを弱めなかったため逃げのリードは広がらない。
集団先頭でアクティブに動いたのはサンウェブで、ポイント賞2位のマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)がマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)を振り切るためにカウンターアタック。やがて3級山岳でマイヨヴェールのキッテルは脱落する。強い横風が吹く厳しいコンディションの中、サンウェブが集団のペースを作ってキッテルの集団復帰を阻止した。
先頭で最後まで抵抗したシャヴァネルも44km地点で吸収される。サンウェブのコントロール下に置かれた約130名のメイン集団はその後もハイペースで進行したため、キッテル集団とのタイム差は徐々に拡大していく。このタフな展開によって、数日間体調不良に苦しんでいた総合12位ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)はバイクを降りている。
メイン集団に乗り遅れたナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)はチームメイトの力を借りてキッテル集団から抜け出し、長時間の追走の末に残り56km地点で集団合流を果たしている。
スプリントポイント(121.km地点)でアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)とソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)を下したマシューズは20ポイント獲得に成功。フィニッシュまで44km地点を残したこのスプリントポイント通過時点でキッテル集団は5分50秒遅れ。序盤に遅れたキッテルがメイン集団に復帰することはなかった。
やがてローヌ渓谷を吹き抜ける風が選手たちを苦しめる。残り20kmを切って向かい風が横風に変わるとチームスカイがペースアップを開始。フィニッシュまで16kmを残して集団はエシュロンを形成しながら分裂していった。
このチームスカイのイニシアティブによってメイン集団は30名強に絞り込まれ、総合5位ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)と総合8位ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ)、総合9位アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)は後方に置き去りに。その他にもアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)やアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)、ブアニ、そして新城幸也(バーレーン・メリダ)も遅れてしまった。
横風から追い風に変わって第1集団はさらに加速し、マーティンやマインティーズ、グライペルらを含む第2集団とのタイム差を35秒まで広げてロマン=シュル=イゼールの街に突入。残り2kmからのダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、モビスター)のロングスパートは決まらず、最終的に28名によるスプリント勝負が始まった。
残り1kmを切ってニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ)がマシューズを連れて先頭に立ったが、残り400mの複合コーナーを前にグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)が先頭を奪い、そのままリオ五輪金メダリストがスプリントを開始する。ヴァンアーヴェルマートは他のスプリンターたちにとっての完璧なリードアウトとなり、残り200mでマシューズがそのスリップストリームから抜け出した。
マシューズの番手からほぼ同時にジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)が発進し、2人が肩をつき合わせながら先頭に立つ。マシューズがフェンス際に寄ったためデゲンコルブは加速を続けることができない。その後ろからエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)が勢いよく追い上げ、最後はデゲンコルブ、マシューズ、ボアッソンハーゲンがハンドルを投げ込んだ。
写真判定の結果、ボアッソンハーゲンを僅差で下したマシューズの勝利が確定。第14ステージに続く2勝目で荒れたステージを締めくくったマシューズは「現実とは思えない。今日は仮に逃げが決まったとしても、スプリントポイントでポイントを稼いでキッテルと差をつけようと思っていた。キッテルはいつもよりも登りで苦しんでいるので、登りが自分のアドバンテージになると思っていたんだ。最後のスプリントまで脚が残っているか不安だったけど、チームは完璧な仕事でスプリントまで導いてくれた。ベンナーティがアタックした時も、頼んでもないのにバルギルが集団先頭に立って追いかけてくれた。こんな素晴らしいチームは他にないよ」と所属1年目のチームを讃える。
この日、合計50ポイント(スプリントポイント20ポイント、フィニッシュ30ポイント)を量産したマシューズはキッテルのマイヨヴェールまで29ポイント差に迫った。マイヨヴェールを諦めないマシューズは「平坦ステージではキッテルがポイントを加算するだろうから、これからも取れるポイントは全て取りに行く。サンウェブはクイックステップフロアーズとは違う戦略でマイヨヴェールを狙う。最後にどうなっているのか見ものだ」とコメント。第19ステージと第21ステージの勝者には50ポイントが与えられるため、マイヨヴェール争いは最終日までもつれることになりそうだ。
横風区間でメイン集団から脱落し、51秒遅れでフィニッシュしたマーティンは総合5位から7位にダウン。マインティーズは総合8位をキープしている。また、1分33秒遅れの新城と同集団でフィニッシュしたコンタドールは総合9位から総合11位に順位を落としている。
「序盤から集団が割れるクレイジーなステージだった」と振り返るのはマイヨジョーヌを守ったフルーム。「キッテルのためにチームメイトを後ろに下げていたダニエル・マーティンは脱落。幸い自分とミケル・ランダは集団前方にいて、ナーバスなステージを無事に終えることができた。明日と明後日は今大会最も決定的なタイム差が生まれるステージになる。とにかく自分は望み通りのコンディションで勝負の山に挑むことができそうだ」と、アルプス決戦を前にマイヨジョーヌは語っている。
大会最後の休息地ル・ピュイ=アン=ヴレをスタートし、3級山岳と4級山岳を越えてローヌ川渓谷へ。165kmコースの獲得標高差は2,000m。難易度が極めて高いとは言えないが、南から吹く強い風によって序盤から集団が割れる荒れた展開となった。
スタート直後からアタック合戦が始まり、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)とシルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)、ニコラ・エデ(フランス、コフィディス)、ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・スコット)、トーマス・デハント(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)の5名が逃げグループを形成。しかしメイン集団がペースを弱めなかったため逃げのリードは広がらない。
集団先頭でアクティブに動いたのはサンウェブで、ポイント賞2位のマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)がマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)を振り切るためにカウンターアタック。やがて3級山岳でマイヨヴェールのキッテルは脱落する。強い横風が吹く厳しいコンディションの中、サンウェブが集団のペースを作ってキッテルの集団復帰を阻止した。
先頭で最後まで抵抗したシャヴァネルも44km地点で吸収される。サンウェブのコントロール下に置かれた約130名のメイン集団はその後もハイペースで進行したため、キッテル集団とのタイム差は徐々に拡大していく。このタフな展開によって、数日間体調不良に苦しんでいた総合12位ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)はバイクを降りている。
メイン集団に乗り遅れたナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)はチームメイトの力を借りてキッテル集団から抜け出し、長時間の追走の末に残り56km地点で集団合流を果たしている。
スプリントポイント(121.km地点)でアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)とソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)を下したマシューズは20ポイント獲得に成功。フィニッシュまで44km地点を残したこのスプリントポイント通過時点でキッテル集団は5分50秒遅れ。序盤に遅れたキッテルがメイン集団に復帰することはなかった。
やがてローヌ渓谷を吹き抜ける風が選手たちを苦しめる。残り20kmを切って向かい風が横風に変わるとチームスカイがペースアップを開始。フィニッシュまで16kmを残して集団はエシュロンを形成しながら分裂していった。
このチームスカイのイニシアティブによってメイン集団は30名強に絞り込まれ、総合5位ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)と総合8位ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ)、総合9位アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)は後方に置き去りに。その他にもアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)やアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)、ブアニ、そして新城幸也(バーレーン・メリダ)も遅れてしまった。
横風から追い風に変わって第1集団はさらに加速し、マーティンやマインティーズ、グライペルらを含む第2集団とのタイム差を35秒まで広げてロマン=シュル=イゼールの街に突入。残り2kmからのダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、モビスター)のロングスパートは決まらず、最終的に28名によるスプリント勝負が始まった。
残り1kmを切ってニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ)がマシューズを連れて先頭に立ったが、残り400mの複合コーナーを前にグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)が先頭を奪い、そのままリオ五輪金メダリストがスプリントを開始する。ヴァンアーヴェルマートは他のスプリンターたちにとっての完璧なリードアウトとなり、残り200mでマシューズがそのスリップストリームから抜け出した。
マシューズの番手からほぼ同時にジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)が発進し、2人が肩をつき合わせながら先頭に立つ。マシューズがフェンス際に寄ったためデゲンコルブは加速を続けることができない。その後ろからエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)が勢いよく追い上げ、最後はデゲンコルブ、マシューズ、ボアッソンハーゲンがハンドルを投げ込んだ。
写真判定の結果、ボアッソンハーゲンを僅差で下したマシューズの勝利が確定。第14ステージに続く2勝目で荒れたステージを締めくくったマシューズは「現実とは思えない。今日は仮に逃げが決まったとしても、スプリントポイントでポイントを稼いでキッテルと差をつけようと思っていた。キッテルはいつもよりも登りで苦しんでいるので、登りが自分のアドバンテージになると思っていたんだ。最後のスプリントまで脚が残っているか不安だったけど、チームは完璧な仕事でスプリントまで導いてくれた。ベンナーティがアタックした時も、頼んでもないのにバルギルが集団先頭に立って追いかけてくれた。こんな素晴らしいチームは他にないよ」と所属1年目のチームを讃える。
この日、合計50ポイント(スプリントポイント20ポイント、フィニッシュ30ポイント)を量産したマシューズはキッテルのマイヨヴェールまで29ポイント差に迫った。マイヨヴェールを諦めないマシューズは「平坦ステージではキッテルがポイントを加算するだろうから、これからも取れるポイントは全て取りに行く。サンウェブはクイックステップフロアーズとは違う戦略でマイヨヴェールを狙う。最後にどうなっているのか見ものだ」とコメント。第19ステージと第21ステージの勝者には50ポイントが与えられるため、マイヨヴェール争いは最終日までもつれることになりそうだ。
横風区間でメイン集団から脱落し、51秒遅れでフィニッシュしたマーティンは総合5位から7位にダウン。マインティーズは総合8位をキープしている。また、1分33秒遅れの新城と同集団でフィニッシュしたコンタドールは総合9位から総合11位に順位を落としている。
「序盤から集団が割れるクレイジーなステージだった」と振り返るのはマイヨジョーヌを守ったフルーム。「キッテルのためにチームメイトを後ろに下げていたダニエル・マーティンは脱落。幸い自分とミケル・ランダは集団前方にいて、ナーバスなステージを無事に終えることができた。明日と明後日は今大会最も決定的なタイム差が生まれるステージになる。とにかく自分は望み通りのコンディションで勝負の山に挑むことができそうだ」と、アルプス決戦を前にマイヨジョーヌは語っている。
H3
ツール・ド・フランス2017第16ステージ結果
ステージ成績
1位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) | 3:38:15 |
2位 | エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) | |
3位 | ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード) | |
4位 | グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) | |
5位 | クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス) | |
6位 | イェンス・クークレール(ベルギー、オリカ・スコット) | |
7位 | トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル) | |
8位 | ティエシー・ブノート(ベルギー、ロット・ソウダル) | |
9位 | マチェイ・ボドナル(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | |
10位 | ロメン・アルディ(フランス、フォルトゥネオ・オスカロ) | |
29位 | ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ) | 0:51 |
31位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) | |
45位 | 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) | 1:33 |
46位 | アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) | |
DNS | フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) | |
DNF | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) | |
敢闘賞 | シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー) |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 68:18:36 |
2位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | 0:18 |
3位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:23 |
4位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック) | 0:29 |
5位 | ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) | 1:17 |
6位 | サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | 2:02 |
7位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) | 2:03 |
8位 | ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ) | 6:00 |
9位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング) | 6:05 |
10位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | 6:16 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) | 373ts |
2位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) | 344pts |
3位 | アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) | 204pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | ワレン・バルギル(フランス、サンウェブ) | 117pts |
2位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) | 38pts |
3位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) | 38pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | 68:20:38 |
2位 | ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ) | 3:58 |
3位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | 12:30 |
チーム総合成績
1位 | チームスカイ | 205:06:20 |
2位 | アージェードゥーゼール | 10:07 |
3位 | トレック・セガフレード | 1:03:43 |
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