2017/07/15(土) - 02:21
101kmという密度の濃いピレネー山岳コースでコンタドールやキンタナがアタック。4名によるスプリントを制したワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)がフランス革命記念日に自身初のステージ優勝を掴んだ。
ツール第13ステージのコース全長は前日の半分にも満たない101km。舞台は引き続きピレネー山脈で、3つの1級山岳がサン・ジロンとフォワの間に鎮座している。1級山岳ラトラップ峠(全長5.6km/平均7.3%)と1級山岳アニェス峠(全長10km/平均8.2%)、そして急勾配の1級山岳ミュール・ド・ペゲール(全長9.3km/平均7.9%)を越えてフィニッシュを迎える内容の濃いステージだ。
スタートとともに飛び出したのはマイヨアポワを着るワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)とトマ・ヴォクレール(フランス、ディレクトエネルジー)の2人。その後もメイン集団のアタック合戦が収束せず、新城幸也(バーレーン・メリダ)も集団から飛び出して逃げを試みる。バルギルとヴォクレールの先行は決まらず、シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)やフィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)、アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)の3人が一時的にリードを得た。
エスケープトリオとのタイム差が広がらない状態で迎えたスプリントポイント(13.5km地点)では、この日もマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)がマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)を下して集団先頭通過している。
その後、新城やディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)を含む追走グループが先頭に合流して合計10名が逃げグループを形成。レースが高速な展開を見せる中、2箇所の骨折を抱えながらレースを続けていたヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)とアルテュール・ヴィショ(フランス、エフデジ)がバイクを降りている。
1級山岳ラトラップ峠に突入した逃げグループの中からアタックを仕掛けたデマルキが単独でこの日最初の難所をクリアする。新城ら他の逃げメンバーを飲み込んだメイン集団の中からはフィニッシュまで70kmを残してアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)がアタック。チェックに入ったミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)とバルギルを引き連れるコンタドールはメイン集団から20秒ほどのリードでラトラップ峠を越え、デマルキを追い抜いて先頭に立った。
先頭コンタドールがランダとともに1級山岳アニェス峠の登坂を開始すると、メイン集団からは続いてナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)がカウンターアタック。キンタナはバルギルとミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)とともに追走グループを形成した。コンタドールとランダはキンタナを含む追走グループから30秒、メイン集団から2分30秒のリードを得て1級山岳アニェス峠をクリアしている。
休む間も無くこの日最後の1級山岳ミュール・ド・ペゲールの登坂が始まってもコンタドールとランダの先行は続き、最大勾配が18%に達する急勾配の「壁」でキンタナとバルギルが追い上げる。メイン集団のペースを作ったのはマイヨジョーヌのファビオ・アル(イタリア、アスタナ)を擁するアスタナではなくUAEチームエミレーツ。急坂でダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)やフルームが加速すると、総合9位ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)が脱落した。
1級山岳ミュール・ド・ペゲールの頂上手前で先頭のコンタドールとランダに追走のバルギルとキンタナが合流。先頭で頂上をクリアしたバルギルが山岳賞ランキングで圧倒的なリードを築くことに成功する。追走グループから脱落したクウィアトコウスキーがペースを作る8名(アル、フルーム、バルデ、ウラン、イェーツ、マーティン、マインティーズ、クウィアトコウスキー)のメイン集団は先頭から1分43秒遅れで「壁」を乗り越えた。
協調体制を築いた先頭4名は快調に下りをこなし、メイン集団を2分近く引き離したままフォワの街にやってきた。街中の複雑なコーナーを抜けて始まった4名によるスプリント。先に仕掛けたコンタドールに反応したバルギルが先頭で最終コーナーをクリアし、そのままリードを守ってフィニッシュラインを駆け抜けた。
フランス革命記念日という特別な1日に勝利を果たしたバルギル。「子供の頃からの憧れだったコンタドールを下して勝利した意味は大きい」と、第9ステージの接戦スプリント敗北のリベンジを達成した25歳は語る。バルギルは山岳賞ランキングでは断トツのトップを快走中。ピレネーを勝利で締めくくったバルギルは「わざと総合順位を落としていると批判されることもあるけど、5月には(ツール・ド・ロマンディでの骨盤骨折で)病院のベッドにいた。その影響でフレッシュな状態で挑んだ今回のツール。ロマン・バルデが総合で好位置につけている今、アルプスで手伝えることがあればフランス人の総合優勝に力添えしたい」と、次なる山場であるアルプスに向けてコメントしている。
メイン集団はクウィアトコウスキーを先頭に下りを進み、フルームやバルデ、ウランがそれぞれ抜け出しを図ったが決まらない。フォワの街が近づくとマーティンとイェーツの2人がアタック成功。両者は先頭バルギルから1分39秒遅れでフィニッシュし、アルとフルームを含むメイン集団は1分48秒遅れでフィニッシュラインを切った。
アルがマイヨジョーヌを守り、フルームが6秒差、バルデが25秒差、そしてウランが35秒差で続く総合順位に変動はなし。逃げ切ったランダが総合7位から1分09秒差の総合5位に浮上し、4分08秒遅れたベネットに代わってコンタドールが総合トップ10に返り咲いた。コンタドールはステージ優勝を逃したもののステージ敢闘賞を手にしている。
アルは「すべてのアタックに反応していると自滅してしまうので、総合で危険な選手を選別しながらアタックに反応した。3分遅れのランダに先行を許したけど、もうこれ以上彼を逃すわけにはいかない。結果には満足している。フランスの観客からこれほど大きな声援を受けるとは思わなかった」とマイヨジョーヌ初日を振り返っている。
「チームとして戦略的に動いた」と語るのは総合2位のフルーム。1級山岳ミュール・ド・ペゲールでアルに対して攻撃を仕掛けたフルームは「今日は昨日よりも感触がよかった。ランダが逃げて総合成績を上げる展開はチームにとって理想的。ランダは最終的なマイヨジョーヌ候補でもある。彼と2人でまたレースを動かしたい」と、結果に満足している様子を見せた。
ツール第13ステージのコース全長は前日の半分にも満たない101km。舞台は引き続きピレネー山脈で、3つの1級山岳がサン・ジロンとフォワの間に鎮座している。1級山岳ラトラップ峠(全長5.6km/平均7.3%)と1級山岳アニェス峠(全長10km/平均8.2%)、そして急勾配の1級山岳ミュール・ド・ペゲール(全長9.3km/平均7.9%)を越えてフィニッシュを迎える内容の濃いステージだ。
スタートとともに飛び出したのはマイヨアポワを着るワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)とトマ・ヴォクレール(フランス、ディレクトエネルジー)の2人。その後もメイン集団のアタック合戦が収束せず、新城幸也(バーレーン・メリダ)も集団から飛び出して逃げを試みる。バルギルとヴォクレールの先行は決まらず、シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)やフィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)、アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)の3人が一時的にリードを得た。
エスケープトリオとのタイム差が広がらない状態で迎えたスプリントポイント(13.5km地点)では、この日もマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)がマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)を下して集団先頭通過している。
その後、新城やディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)を含む追走グループが先頭に合流して合計10名が逃げグループを形成。レースが高速な展開を見せる中、2箇所の骨折を抱えながらレースを続けていたヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)とアルテュール・ヴィショ(フランス、エフデジ)がバイクを降りている。
1級山岳ラトラップ峠に突入した逃げグループの中からアタックを仕掛けたデマルキが単独でこの日最初の難所をクリアする。新城ら他の逃げメンバーを飲み込んだメイン集団の中からはフィニッシュまで70kmを残してアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)がアタック。チェックに入ったミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)とバルギルを引き連れるコンタドールはメイン集団から20秒ほどのリードでラトラップ峠を越え、デマルキを追い抜いて先頭に立った。
先頭コンタドールがランダとともに1級山岳アニェス峠の登坂を開始すると、メイン集団からは続いてナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)がカウンターアタック。キンタナはバルギルとミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)とともに追走グループを形成した。コンタドールとランダはキンタナを含む追走グループから30秒、メイン集団から2分30秒のリードを得て1級山岳アニェス峠をクリアしている。
休む間も無くこの日最後の1級山岳ミュール・ド・ペゲールの登坂が始まってもコンタドールとランダの先行は続き、最大勾配が18%に達する急勾配の「壁」でキンタナとバルギルが追い上げる。メイン集団のペースを作ったのはマイヨジョーヌのファビオ・アル(イタリア、アスタナ)を擁するアスタナではなくUAEチームエミレーツ。急坂でダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)やフルームが加速すると、総合9位ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)が脱落した。
1級山岳ミュール・ド・ペゲールの頂上手前で先頭のコンタドールとランダに追走のバルギルとキンタナが合流。先頭で頂上をクリアしたバルギルが山岳賞ランキングで圧倒的なリードを築くことに成功する。追走グループから脱落したクウィアトコウスキーがペースを作る8名(アル、フルーム、バルデ、ウラン、イェーツ、マーティン、マインティーズ、クウィアトコウスキー)のメイン集団は先頭から1分43秒遅れで「壁」を乗り越えた。
協調体制を築いた先頭4名は快調に下りをこなし、メイン集団を2分近く引き離したままフォワの街にやってきた。街中の複雑なコーナーを抜けて始まった4名によるスプリント。先に仕掛けたコンタドールに反応したバルギルが先頭で最終コーナーをクリアし、そのままリードを守ってフィニッシュラインを駆け抜けた。
フランス革命記念日という特別な1日に勝利を果たしたバルギル。「子供の頃からの憧れだったコンタドールを下して勝利した意味は大きい」と、第9ステージの接戦スプリント敗北のリベンジを達成した25歳は語る。バルギルは山岳賞ランキングでは断トツのトップを快走中。ピレネーを勝利で締めくくったバルギルは「わざと総合順位を落としていると批判されることもあるけど、5月には(ツール・ド・ロマンディでの骨盤骨折で)病院のベッドにいた。その影響でフレッシュな状態で挑んだ今回のツール。ロマン・バルデが総合で好位置につけている今、アルプスで手伝えることがあればフランス人の総合優勝に力添えしたい」と、次なる山場であるアルプスに向けてコメントしている。
メイン集団はクウィアトコウスキーを先頭に下りを進み、フルームやバルデ、ウランがそれぞれ抜け出しを図ったが決まらない。フォワの街が近づくとマーティンとイェーツの2人がアタック成功。両者は先頭バルギルから1分39秒遅れでフィニッシュし、アルとフルームを含むメイン集団は1分48秒遅れでフィニッシュラインを切った。
アルがマイヨジョーヌを守り、フルームが6秒差、バルデが25秒差、そしてウランが35秒差で続く総合順位に変動はなし。逃げ切ったランダが総合7位から1分09秒差の総合5位に浮上し、4分08秒遅れたベネットに代わってコンタドールが総合トップ10に返り咲いた。コンタドールはステージ優勝を逃したもののステージ敢闘賞を手にしている。
アルは「すべてのアタックに反応していると自滅してしまうので、総合で危険な選手を選別しながらアタックに反応した。3分遅れのランダに先行を許したけど、もうこれ以上彼を逃すわけにはいかない。結果には満足している。フランスの観客からこれほど大きな声援を受けるとは思わなかった」とマイヨジョーヌ初日を振り返っている。
「チームとして戦略的に動いた」と語るのは総合2位のフルーム。1級山岳ミュール・ド・ペゲールでアルに対して攻撃を仕掛けたフルームは「今日は昨日よりも感触がよかった。ランダが逃げて総合成績を上げる展開はチームにとって理想的。ランダは最終的なマイヨジョーヌ候補でもある。彼と2人でまたレースを動かしたい」と、結果に満足している様子を見せた。
H3
ツール・ド・フランス2017第13ステージ結果
ステージ成績
1位 | ワレン・バルギル(フランス、サンウェブ) | 2:36:29 |
2位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | |
3位 | アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) | |
4位 | ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) | 0:02 |
5位 | サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | 1:39 |
6位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) | |
7位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 1:48 |
8位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | |
9位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | |
10位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック) | |
11位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | |
12位 | ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ) | |
22位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) | 4:08 |
102位 | 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) | 15:41 |
DNF | ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) | |
DNF | アルテュール・ヴィショ(フランス、エフデジ) | |
敢闘賞 | アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | 55:30:06 |
2位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 0:06 |
3位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:25 |
4位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック) | 0:35 |
5位 | ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) | 1:09 |
6位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) | 1:32 |
7位 | サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | 2:04 |
8位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | 2:07 |
9位 | ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ) | 4:51 |
10位 | アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) | 5:22 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) | 363ts |
2位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) | 235pts |
3位 | アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) | 180pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | ワレン・バルギル(フランス、サンウェブ) | 94pts |
2位 | ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) | 33pts |
3位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) | 32pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | 55:32:10 |
2位 | ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ) | 2:47 |
3位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | 8:29 |
チーム総合成績
1位 | チームスカイ | 166:35:40 |
2位 | アージェードゥーゼール | 19:18 |
3位 | モビスター | 1:01:00 |
text&photo:Kei Tsuji in Foix, France
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