2017/07/13(木) - 19:46
美しい田舎が多いフランスの中でも、とっておきに美しい風景の中で動き出したツール中盤戦。休息日インタビューに臨んだ新城幸也選手の横顔や、産地ならではの「ワインの自販機」なども紹介したいと思います。
美しい田舎が多いフランスの中でも、とっておきの田舎が数多く存在するのがフランス南西部、ドルドーニュ川に沿ったこの地方。当然、第一回目の休息日を過ごすのもこの地域。バーレーン・メリダに割り当てられたホテルは、ドルドーニュ川のそば、トレモラという村に位置する古く美しいヴィラ。一瞬、ゴルフ場?と思うような広くきれいな公園の中にあり、屋外スイミングプールとサンテラスもあるようです。バーレーン・メリダのチームバスやチームカーは広いガーデンに駐車されており、作業をするスタッフも気持ちよさそう。選手もときおり部屋から降りてきて気分転換しているようでした。
そのホテルのガーデンで開かれた新城幸也選手の単独記者会見。「よく寝れました」という朗らかな笑顔から始まり、気心が知れたメディアもいるため笑いが絶えない記者会見となりました。新城選手自らがチームスポンサーのミネラルウォーターやジュースをメディアに配ってくれたりと、もはやチーム内でキャプテンのような存在となっている新城選手は私たちメディアにも優しい心遣いを示してくれます。
インタビュー途中に雨が降り出し、アンティーク調の家具に包まれた室内に会場を移すと、同じホテルの宿泊者で新城選手に気づいたファンがサインをお願いする場面も。こころよく応じる新城選手。休息日のアクティブレストの練習では、「フランスの最も美しい村」にも登録されている「リムーユ」を通ったと言い「すごくきれいでした」とのこと。
記者会見の質疑応答が終わった後の談笑では、「そういえばこのホテル、ワインの自販機があるんですよ」とメディアを案内してくれた新城選手。冷蔵庫のようなものの中にワインが入れられており、一杯ずつ注げるようにサーバーが取り付けてあります。種類は4つで、値段は一杯8ユーロから。自分で、またはホテルの方が注ぐスタイルになっているようです。ここドルドーニュ県はボルドーを有するアキテーヌ地域圏であり、ドルドーニュ川はボルドー付近でガロンヌ川と合流し、ジロンド川となる立地。「この自販機は珍しいですよね」とメディアと笑い合います。
そのワインサーバーの近くには、チームメンバーがいつでも取れるようにミネラルウォーターがたくさん入れられたアイスボックスが置かれてあり、そばにはチームで使っているという体重計がありました。「この体重計で体重を計って、自己申告するんです」とのこと。
後でアシスタントでもありフォトグラファーでもある飯島美和さんに伺ったのですが、朝食前と夜寝る前、毎日体重を計ることになっていて、各ライダーの名前が書かれた表に書き込んでいくそうです。チーム専属のドクターがそれをチェック。多少の体重変動ならいいが、あまりにも大きな変動があるようなときには「疲れすぎているのではないか?」「栄養が取れていないのか?」「食欲はあるかないか」等、体調管理の一つの判断材料にしているそうです。
コースによって、気候によって、ときにはストレスによって、ライダーの中には一日で3kgも落ちてしまうこともあるそう。そうなるとレースのパフォーマンスにも関わってくるため元に戻すのが賢明ですが、3kg落ちた体重を一日二日で元に戻すのには簡単ではなく、内臓にも負担をかけてしまうのであまりよくないこと。ツールがはじまってからのこの1週間で、落車によるけがのほかには体調が悪くなった選手はいないようですが、3週間つづくステージレースですから、少しの変化にも敏感になり毎日の体調管理が行われているようです。
そんな休息日明けの第10ステージは、ドルドーニュ県の県庁所在地であるペリグーからスタート。フィニッシュのベルジュラックはわずか50kmしか離れていませんが、東部の美しい村々を通るようにぐるりと弧が描かれるコースとなりました。この地域は、ボルドーの赤ワインと相性の良いフォアグラやトリュフなど食の宝庫でもあります。豊かな自然の中、ひまわり畑も数多くあり、ドルドーニュ川付近では、カモやガチョウの姿も多く見られ、フランスらしい自然と古城に包まれた美しい景色が続きました。
翌第11ステージはエイメ~ポーの203.5km。アキテーヌ地方ドルドーニュ県からピレネー山脈へと南下していきます。時おり広大なひまわり畑があるも、その他はあまり変わり映えのない風景…フォトグラファー泣かせの道が続きました。それもそのはず、コースはずうっと「ランドの森」と呼ばれるフランス最大の森林地帯の中にあったから。ちなみにこの森の大多数の木が植樹されたフランス海岸松で、この樹皮から抽出されるピクノジェノール(水溶性フラボノイド)は優れた抗酸化作用を発揮する、サプリメントの材料としても知られているんです。
レースも代わり映えのしない平和な展開かと思いきや落車があり、新城選手も巻き込まれたという情報が入り冷や冷やしましたが、落車したのはエースのコルブレッリで、新城選手は自身のホイールを差し出していました。このステージも、11ステージ目にして早くも5勝を飾るマルセル・キッテルによるスプリントの勝利に終わりました。キッテルは近くで見ても華々しく、運にも味方されて絶好調と言えますね。
text&photo:Seiko.Meguro
筆者プロフィール:目黒 誠子(めぐろせいこ)
2006年ジャパンカップサイクルロードレースに業務で携わってからロードレースの世界に魅了される。2014年よりツアー・オブ・ジャパンでは海外チームの招待・連絡を担当していた。ロードバイクでのサイクリングを楽しむ。趣味はバラ栽培と鑑賞。航空会社の広報系の仕事にも携わり、折り紙飛行機の指導員という変わりダネ資格を持つ。ライター、自転車とまちづくり・クリーン工房アドバイザー、宮城インバウンドDMOアドバイザー。
https://global-wifi.com/go-beyonder/067.html
美しい田舎が多いフランスの中でも、とっておきの田舎が数多く存在するのがフランス南西部、ドルドーニュ川に沿ったこの地方。当然、第一回目の休息日を過ごすのもこの地域。バーレーン・メリダに割り当てられたホテルは、ドルドーニュ川のそば、トレモラという村に位置する古く美しいヴィラ。一瞬、ゴルフ場?と思うような広くきれいな公園の中にあり、屋外スイミングプールとサンテラスもあるようです。バーレーン・メリダのチームバスやチームカーは広いガーデンに駐車されており、作業をするスタッフも気持ちよさそう。選手もときおり部屋から降りてきて気分転換しているようでした。
そのホテルのガーデンで開かれた新城幸也選手の単独記者会見。「よく寝れました」という朗らかな笑顔から始まり、気心が知れたメディアもいるため笑いが絶えない記者会見となりました。新城選手自らがチームスポンサーのミネラルウォーターやジュースをメディアに配ってくれたりと、もはやチーム内でキャプテンのような存在となっている新城選手は私たちメディアにも優しい心遣いを示してくれます。
インタビュー途中に雨が降り出し、アンティーク調の家具に包まれた室内に会場を移すと、同じホテルの宿泊者で新城選手に気づいたファンがサインをお願いする場面も。こころよく応じる新城選手。休息日のアクティブレストの練習では、「フランスの最も美しい村」にも登録されている「リムーユ」を通ったと言い「すごくきれいでした」とのこと。
記者会見の質疑応答が終わった後の談笑では、「そういえばこのホテル、ワインの自販機があるんですよ」とメディアを案内してくれた新城選手。冷蔵庫のようなものの中にワインが入れられており、一杯ずつ注げるようにサーバーが取り付けてあります。種類は4つで、値段は一杯8ユーロから。自分で、またはホテルの方が注ぐスタイルになっているようです。ここドルドーニュ県はボルドーを有するアキテーヌ地域圏であり、ドルドーニュ川はボルドー付近でガロンヌ川と合流し、ジロンド川となる立地。「この自販機は珍しいですよね」とメディアと笑い合います。
そのワインサーバーの近くには、チームメンバーがいつでも取れるようにミネラルウォーターがたくさん入れられたアイスボックスが置かれてあり、そばにはチームで使っているという体重計がありました。「この体重計で体重を計って、自己申告するんです」とのこと。
後でアシスタントでもありフォトグラファーでもある飯島美和さんに伺ったのですが、朝食前と夜寝る前、毎日体重を計ることになっていて、各ライダーの名前が書かれた表に書き込んでいくそうです。チーム専属のドクターがそれをチェック。多少の体重変動ならいいが、あまりにも大きな変動があるようなときには「疲れすぎているのではないか?」「栄養が取れていないのか?」「食欲はあるかないか」等、体調管理の一つの判断材料にしているそうです。
コースによって、気候によって、ときにはストレスによって、ライダーの中には一日で3kgも落ちてしまうこともあるそう。そうなるとレースのパフォーマンスにも関わってくるため元に戻すのが賢明ですが、3kg落ちた体重を一日二日で元に戻すのには簡単ではなく、内臓にも負担をかけてしまうのであまりよくないこと。ツールがはじまってからのこの1週間で、落車によるけがのほかには体調が悪くなった選手はいないようですが、3週間つづくステージレースですから、少しの変化にも敏感になり毎日の体調管理が行われているようです。
そんな休息日明けの第10ステージは、ドルドーニュ県の県庁所在地であるペリグーからスタート。フィニッシュのベルジュラックはわずか50kmしか離れていませんが、東部の美しい村々を通るようにぐるりと弧が描かれるコースとなりました。この地域は、ボルドーの赤ワインと相性の良いフォアグラやトリュフなど食の宝庫でもあります。豊かな自然の中、ひまわり畑も数多くあり、ドルドーニュ川付近では、カモやガチョウの姿も多く見られ、フランスらしい自然と古城に包まれた美しい景色が続きました。
翌第11ステージはエイメ~ポーの203.5km。アキテーヌ地方ドルドーニュ県からピレネー山脈へと南下していきます。時おり広大なひまわり畑があるも、その他はあまり変わり映えのない風景…フォトグラファー泣かせの道が続きました。それもそのはず、コースはずうっと「ランドの森」と呼ばれるフランス最大の森林地帯の中にあったから。ちなみにこの森の大多数の木が植樹されたフランス海岸松で、この樹皮から抽出されるピクノジェノール(水溶性フラボノイド)は優れた抗酸化作用を発揮する、サプリメントの材料としても知られているんです。
レースも代わり映えのしない平和な展開かと思いきや落車があり、新城選手も巻き込まれたという情報が入り冷や冷やしましたが、落車したのはエースのコルブレッリで、新城選手は自身のホイールを差し出していました。このステージも、11ステージ目にして早くも5勝を飾るマルセル・キッテルによるスプリントの勝利に終わりました。キッテルは近くで見ても華々しく、運にも味方されて絶好調と言えますね。
text&photo:Seiko.Meguro
筆者プロフィール:目黒 誠子(めぐろせいこ)
2006年ジャパンカップサイクルロードレースに業務で携わってからロードレースの世界に魅了される。2014年よりツアー・オブ・ジャパンでは海外チームの招待・連絡を担当していた。ロードバイクでのサイクリングを楽しむ。趣味はバラ栽培と鑑賞。航空会社の広報系の仕事にも携わり、折り紙飛行機の指導員という変わりダネ資格を持つ。ライター、自転車とまちづくり・クリーン工房アドバイザー、宮城インバウンドDMOアドバイザー。
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ピクノジェノール-PB 30日分
DHC(ディー・エイチ・シー)