2017/07/08(土) - 17:56
木陰に入るとひんやりするのに、太陽の真下ではじりじりとした暑さ。気温は34度に。選手は一日中この太陽の下で走っているのか…。ふとそんな風に思いを巡らせてしまいます。ワイン街道を駆け抜けた第7ステージで、さいたまクリテリウムについて聞きました。
第7ステージのスタート地点は、パリから特急で一時間半ほど、かつてシャンパーニュ地方の首都として栄えたトロワ。街の形はシャンパンのコルク栓の形をしていると言われ、中心部は「歴史保存地区」に指定されています。
この美しい街・トロワのスタート前のポディウムで行われたのは、さいたまクリテリウムのセレモニー。昨年に引き続き、今年も「ツール・ド・フランス」にひっかけて、「鶴どふらんす」の千羽鶴がツール・ド・フランスに贈られました。
昨年と形を変えて、ジャージの形をした透明ケースに千羽鶴が入れられています。これまでは上を見上げなければ鶴を見られませんでしたから、より見やすく、また、より親しみやすくなった感じがします。バーレーンメリダの新城幸也選手もセレモニーに出席、さいたまクリテリウムの関係者と、鶴どふらんすを手に記念撮影です。
千羽鶴はこれから毎日サルドプレスに飾られることになります。さいたまクリテリウムへの参戦経験があるマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)やジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)も「サイタマ、サイタマ」と笑顔で反応。会場からも温かい拍手が上がっていました。
ツール・ド・フランスの名を冠した「ツール・ド・フランス さいたまクリテリウム」の名前もすっかり定着し、今年で5回目の開催を迎えることになります。このクリテリウムは、世界中で唯一、さいたまのみの開催でしたが、今年より「ツール・ド・フランス上海クリテリウム」開催が決定。さいたまクリテリウム開催の11月4日の一週間前、10月29日の開催が決まっています。上海でも、ツール・ド・フランスを走った60名のライダーが走ることになります。加えて、さいたまクリテリウムはこれまで、10月に開催される「ジャパンカップサイクルロードレース」の翌週に開かれてきましたが、今年は約2週間後の開催となる予定。つまり、10月21、22日ジャパンカップ、10月29日上海クリテリウム、11月4日さいたまクリテリウムとなるわけです。
このクリテリウム、ツール・ド・フランスで活躍した選手が招致されるのが大目玉。さいたまクリテに合わせて来日、京都や沖縄など「日本でそのままバケーション」をご褒美に…、と楽しみにしている選手もいるようですが、このスケジュールでは、選手は、上海にも行って、さいたまにも来ることになるのでしょうか?選手によっては、ジャパンカップ、上海、さいたま、とずーっとアジアにいることになるのでしょうか。行ったり来たりなのか、それともずっと日本(または中国)なのか。もしクリス・フルームがマイヨジョーヌを取ったら、フルームはどちらも来ることになるの?などなど、素朴な疑問をA.S.O.の海外ビジネスデヴェロップメントのヘッドに聞いてみました。
「上海とさいたまの間は実質5日間になります。一旦ヨーロッパへ帰るのか、またはずっと日本または中国にいるのかは選手の自由。選手自身に決めてもらいます」。
また、これまでさいたまのみの開催だったのに上海ができたことについても聞くと、「これ以上クリテリウムを拡大することはありません。さいたまと上海のみです」とのこと。
そうなると、10月は、ジャパンカップ→上海クリテリウム→さいたまクリテリウムと、ファンにとっても夢のアジアツアーとなりそうですし、現在行われているツール・ド・フランスの成績によって選手も選定されますから、応援にも力が入るというものです。
さて、第7ステージのレースは、トロワーニュイ・サン・ジョルジュまでの213.5kmでした。セレモニー後、トロワの歴史保存地区をパレードしレースはスタート。私はと言えば、セーヌ川が流れ、麦畑が一面に広がる25km地点のブルギニョンで待機。ワイナリーも時折姿を見せ、その後も南東方面にブルゴーニュ地方を走りました。
ディジョンの西側を通過したら、4級山岳があり、弧を描くようにしてニュイ・サン・ジョルジュへとフィニッシュ。このあたり一帯は、ブルゴーニュ地方の赤ワインのグラン・クリュ(特級格付畑)が集中する地区で、「ルート・デ・グラン・クリュ(特級街道)」とも呼ばれています。ニュイ・サン・ジョルジュの隣町になるのは、「ヴォ—ヌ・ロマネ」。世界的に有名で、日本で買えば一本100万円するときもある赤ワイン、「ロマネ・コンティ」の畑がある場所です。グランクリュ(特級格付畑)で採れるピノ・ノワール種を原料とし、年間わずか4,000〜7,000本しか生産されない「ロマネ・コンティ」は希少性が高く、世界中でまさに争奪戦となるわけです。
この日のステージも平坦が続いた末の特級街道のロマネ・コンティ争奪戦…いや、特急街道のスプリント争奪戦をわずか5.8mmの差で制したのは、マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)でした。このままキッテルがマイヨ・ヴェールを着続ければ、再びさいたまにも来てくれそうですね。
text&photo:Seiko.Meguro
筆者プロフィール:目黒 誠子(めぐろせいこ)
2006年ジャパンカップサイクルロードレースに業務で携わってからロードレースの世界に魅了される。2014年よりツアー・オブ・ジャパンでは海外チームの招待・連絡を担当していた。ロードバイクでのサイクリングを楽しむ。趣味はバラ栽培と鑑賞。航空会社の広報系の仕事にも携わり、折り紙飛行機の指導員という変わりダネ資格を持つ。ライター、自転車とまちづくり・クリーン工房アドバイザー、宮城インバウンドDMOアドバイザー。
https://global-wifi.com/go-beyonder/067.html
第7ステージのスタート地点は、パリから特急で一時間半ほど、かつてシャンパーニュ地方の首都として栄えたトロワ。街の形はシャンパンのコルク栓の形をしていると言われ、中心部は「歴史保存地区」に指定されています。
この美しい街・トロワのスタート前のポディウムで行われたのは、さいたまクリテリウムのセレモニー。昨年に引き続き、今年も「ツール・ド・フランス」にひっかけて、「鶴どふらんす」の千羽鶴がツール・ド・フランスに贈られました。
昨年と形を変えて、ジャージの形をした透明ケースに千羽鶴が入れられています。これまでは上を見上げなければ鶴を見られませんでしたから、より見やすく、また、より親しみやすくなった感じがします。バーレーンメリダの新城幸也選手もセレモニーに出席、さいたまクリテリウムの関係者と、鶴どふらんすを手に記念撮影です。
千羽鶴はこれから毎日サルドプレスに飾られることになります。さいたまクリテリウムへの参戦経験があるマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)やジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)も「サイタマ、サイタマ」と笑顔で反応。会場からも温かい拍手が上がっていました。
ツール・ド・フランスの名を冠した「ツール・ド・フランス さいたまクリテリウム」の名前もすっかり定着し、今年で5回目の開催を迎えることになります。このクリテリウムは、世界中で唯一、さいたまのみの開催でしたが、今年より「ツール・ド・フランス上海クリテリウム」開催が決定。さいたまクリテリウム開催の11月4日の一週間前、10月29日の開催が決まっています。上海でも、ツール・ド・フランスを走った60名のライダーが走ることになります。加えて、さいたまクリテリウムはこれまで、10月に開催される「ジャパンカップサイクルロードレース」の翌週に開かれてきましたが、今年は約2週間後の開催となる予定。つまり、10月21、22日ジャパンカップ、10月29日上海クリテリウム、11月4日さいたまクリテリウムとなるわけです。
このクリテリウム、ツール・ド・フランスで活躍した選手が招致されるのが大目玉。さいたまクリテに合わせて来日、京都や沖縄など「日本でそのままバケーション」をご褒美に…、と楽しみにしている選手もいるようですが、このスケジュールでは、選手は、上海にも行って、さいたまにも来ることになるのでしょうか?選手によっては、ジャパンカップ、上海、さいたま、とずーっとアジアにいることになるのでしょうか。行ったり来たりなのか、それともずっと日本(または中国)なのか。もしクリス・フルームがマイヨジョーヌを取ったら、フルームはどちらも来ることになるの?などなど、素朴な疑問をA.S.O.の海外ビジネスデヴェロップメントのヘッドに聞いてみました。
「上海とさいたまの間は実質5日間になります。一旦ヨーロッパへ帰るのか、またはずっと日本または中国にいるのかは選手の自由。選手自身に決めてもらいます」。
また、これまでさいたまのみの開催だったのに上海ができたことについても聞くと、「これ以上クリテリウムを拡大することはありません。さいたまと上海のみです」とのこと。
そうなると、10月は、ジャパンカップ→上海クリテリウム→さいたまクリテリウムと、ファンにとっても夢のアジアツアーとなりそうですし、現在行われているツール・ド・フランスの成績によって選手も選定されますから、応援にも力が入るというものです。
さて、第7ステージのレースは、トロワーニュイ・サン・ジョルジュまでの213.5kmでした。セレモニー後、トロワの歴史保存地区をパレードしレースはスタート。私はと言えば、セーヌ川が流れ、麦畑が一面に広がる25km地点のブルギニョンで待機。ワイナリーも時折姿を見せ、その後も南東方面にブルゴーニュ地方を走りました。
ディジョンの西側を通過したら、4級山岳があり、弧を描くようにしてニュイ・サン・ジョルジュへとフィニッシュ。このあたり一帯は、ブルゴーニュ地方の赤ワインのグラン・クリュ(特級格付畑)が集中する地区で、「ルート・デ・グラン・クリュ(特級街道)」とも呼ばれています。ニュイ・サン・ジョルジュの隣町になるのは、「ヴォ—ヌ・ロマネ」。世界的に有名で、日本で買えば一本100万円するときもある赤ワイン、「ロマネ・コンティ」の畑がある場所です。グランクリュ(特級格付畑)で採れるピノ・ノワール種を原料とし、年間わずか4,000〜7,000本しか生産されない「ロマネ・コンティ」は希少性が高く、世界中でまさに争奪戦となるわけです。
この日のステージも平坦が続いた末の特級街道のロマネ・コンティ争奪戦…いや、特急街道のスプリント争奪戦をわずか5.8mmの差で制したのは、マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)でした。このままキッテルがマイヨ・ヴェールを着続ければ、再びさいたまにも来てくれそうですね。
text&photo:Seiko.Meguro
筆者プロフィール:目黒 誠子(めぐろせいこ)
2006年ジャパンカップサイクルロードレースに業務で携わってからロードレースの世界に魅了される。2014年よりツアー・オブ・ジャパンでは海外チームの招待・連絡を担当していた。ロードバイクでのサイクリングを楽しむ。趣味はバラ栽培と鑑賞。航空会社の広報系の仕事にも携わり、折り紙飛行機の指導員という変わりダネ資格を持つ。ライター、自転車とまちづくり・クリーン工房アドバイザー、宮城インバウンドDMOアドバイザー。
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