平穏な集団スプリントが予想されていた第4ステージで横風分断が発生。総合2位アンネミエク・ヴァンヴルーテン(オランダ、オリカ・スコット)や與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)が遅れ、接戦のスプリントをジョリーン・ドール(ベルギー、ウィグル・ハイファイブ)が制した。



ボローニャからほど近いヴェネト州の街、オッキオベッロを周回するジロ・ローザ第4ステージは118km。ヴェネツィア湾とアルプス山脈の間に広がるヴェネト平野を駆け抜けるだけあってコースは完全にフラットで、この日の予想は100%集団スプリント。しかしそれを前に、横風によって総合成績が動くこととなる。

Livの新型オールラウンドバイク「LANGMA(ランマ)」を投入しているサンウェブLivの新型オールラウンドバイク「LANGMA(ランマ)」を投入しているサンウェブ photo:CorVosリーダージャージやアルカンシエル、ナショナルチャンピオンが揃うブールス・ドルマンス・プロサイクリングリーダージャージやアルカンシエル、ナショナルチャンピオンが揃うブールス・ドルマンス・プロサイクリング photo:CorVos


比較的平穏に進んでいたプロトンに異変が起こったのは80km地点。エリザベス・ダイグナン(イギリス)が「76km地点の交差点で横風区間に入ると監督から知らされていた」と語るように、ブールス・ドルマンス・プロサイクリングが横風分断作戦を開始する。

初日チームTTで優勝したブールスの攻撃に中切れが起こり、「それまでずーっと気をつけて位置取りしていたのに、その時は、スプリンターのロキシーと一緒にみんなで後方にいた瞬間でした」と言う與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)や、18秒差の総合2位アンネミエク・ヴァンヴルーテン(オランダ、オリカ・スコット)らが後方に取り残される事態に。

ヴァンヴルーテン以外の総合勢は全員前の集団に残ったため、この好機を逃すまいと複数チームが全力でプッシュ。第2集団も「誰かが躊躇した訳でもなく、全開で私たちとオリカとサーベロが働いて45km/h以上、50km/h近くで追いかけているのに、それ以上の速度で前は逃げていった(與那嶺)」と追いつかない。ゴールまで到達した時にタイム差は2分近くにもなっていた。

世界王者のアマリー・ディデリクセン(デンマーク、ブールス・ドルマンス・プロサイクリング)世界王者のアマリー・ディデリクセン(デンマーク、ブールス・ドルマンス・プロサイクリング) photo:CorVosウィグル・ハイファイブやWM3エネルジーが集団スプリントに向けて突進するウィグル・ハイファイブやWM3エネルジーが集団スプリントに向けて突進する photo:CorVos

クロエ・ホスキング(オーストラリア、アレ・チポッリーニ)とジョリーン・ドール(ベルギー、ウィグル・ハイファイブ)がハンドルを投げ込むクロエ・ホスキング(オーストラリア、アレ・チポッリーニ)とジョリーン・ドール(ベルギー、ウィグル・ハイファイブ)がハンドルを投げ込む photo:CorVos
勢いそのままなだれ込んできた集団前方では、クロエ・ホスキング(オーストラリア、アレ・チポッリーニ)とジョリーン・ドール(ベルギー、ウィグル・ハイファイブ)がハンドルを投げ込む接戦のスプリントを繰り広げる。ホスキングが両手を挙げたものの、写真判定の結果、ごく僅か先着していたのはドールだった。

遅れた集団は1分59秒遅れでゴールしたため、ヴァンヴルーテンは総合で2分17秒差の4位にダウン。これによってマリアローザのアンナ・ヴァンデルブレゲン(オランダ、ブールス・ドルマンス・プロサイクリング)に対して26秒差の2位エリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、ウィグル・ハイファイブ)以外は軒並み2分以上というビハインドを背負うことになった。

写真判定の末にステージ優勝が決まったジョリーン・ドール(ベルギー、ウィグル・ハイファイブ)写真判定の末にステージ優勝が決まったジョリーン・ドール(ベルギー、ウィグル・ハイファイブ) photo:CorVos横風分断を成功させたアンナ・ヴァンデルブレゲン(オランダ、ブールス・ドルマンス・プロサイクリング)がマリアローザをキープ横風分断を成功させたアンナ・ヴァンデルブレゲン(オランダ、ブールス・ドルマンス・プロサイクリング)がマリアローザをキープ photo:CorVos


また、総合15位以内を目指していた與那嶺は5分48秒差の30位へとランクダウン。以下は本人からのコメントを紹介する。

「いつ何が起こるかわからないので、レースが進むのに合わせて、危なそうなところでは前に行き、後ろに下がりすぎないようにしていたのですが、それでも何も起きないままボトルを取りに車に下がったりしているチームもあった80kmを過ぎたあたりで、いきなり集団が分裂。

何も考えずに全力でロキシーを戻すために前を追ったのですが、ゴールしてタイム差を聞いて、チームでもスプリンターを後ろに残していて自分の総合も落としてしまった…。と、何だか呆然としてしまいました。

本当に大きなミスをしてしまったことをレース後の移動中のキャンパーで、後悔して、コーチからも厳しく改善を言われ、目標としていた総合順位には絡めないなあと後悔しか残らず。チームとしても、自分としても取り返しのつかないミスをしてしまったレースでした。

私たちがチームカーで戻れないように、他のチームカーは2台か3台ずつ時間をおいて、私たちの取り残された集団の前に入っていきました。これぞ、ステージレースだ!っていうのを改めて思い知り、ほっぺたを叩かれたような思い。でも、これもステージレース。失敗したからって、取り返しがつかないからって、レースを降りることはできません」。

H3
ジロ・ローザ2017第4ステージ結果
ステージ成績
1位 ジョリーン・ドール(ベルギー、ウィグル・ハイファイブ) 2h42'04"
2位 クロエ・ホスキング(オーストラリア、アレ・チポッリーニ)
3位 コリン・リヴェラ(アメリカ、サンウェブ)
4位 ハンナ・バーンズ(イギリス、キャニオン・スラム)
5位 ジョルジア・ブロンジーニ(イタリア、ウィグル・ハイファイブ)
6位 アーレニス・シエラ(キューバ、アスタナ・ウィメンズチーム))
7位 アンナリサ・クチノッタ(イタリア、レンスワールド・クォータ)
8位 クラウディア・クレッティ(イタリア、ヴァルかー・PBM)
9位 アマリー・ディデリクセン(デンマーク、ブールス・ドルマンス・プロサイクリング)
10位 イラリア・サングイネーティ(イタリア、ビーピンク・コガース)
119位 與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ) +1'59"
個人総合成績
1位 アンナ・ヴァンデルブレゲン(オランダ、ブールス・ドルマンス・プロサイクリング) 8h36'25"
2位 エリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、ウィグル・ハイファイブ) +26"
3位 メーガン・グアルニエ(アメリカ、ブールス・ドルマンス・プロサイクリング) +1'56"
4位 アンネミエク・ヴァンヴルーテン(オランダ、オリカ・スコット) +2'17"
5位 アマンダ・スプラット(オーストラリア、オリカ・スコット) +2'22"
6位 カタルジーナ・ニウイアドマ(ポーランド、WM3エネルジー) +2'37"
7位 カロルアン・カヌエル(カナダ、ブールス・ドルマンス・プロサイクリング) +2'43"
8位 ルシンダ・ブラント(オランダ、サンウェブ) +2'59"
9位 マッカイ・フロールチェ(オランダ、サンウェブ) +3'02"
10位 サブリナ・ストゥルテンス(オランダ、サンウェブ)
30位 與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ) +5'48"
text:So.Isobe
photo:CorVos

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