超級山岳マウント・バルディへと登り詰めるカリフォルニアのクイーンステージで、激しい総合争いが勃発。アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)がスプリントでステージを獲り、同タイムで続いたラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)が首位を守った。



スタートサインを済ませたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)スタートサインを済ませたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:www.amgentourofcalifornia.com各賞ジャージホルダーが最前列に並ぶ各賞ジャージホルダーが最前列に並ぶ photo:www.amgentourofcalifornia.com

1回目の1級山岳グレンドラを通過していく集団1回目の1級山岳グレンドラを通過していく集団 photo:www.amgentourofcalifornia.com
ロサンゼルス郊外のオンタリオからスタートし、山岳地帯を駆け巡る第5ステージの距離は125km。ショートコースながらスタート直後から標高1379mの1級山岳グレンドラを登り、大きなループを1周してから再びグレンドラをクリアすると、そのまま標高1964mのマウント・バルディを上り詰めるという獲得標高3300mの過酷なレイアウトであり、間違いなく今大会の最難関ステージだ。

この日の大半は総合争いを控える集団が15名という大きなエスケープを追いかける展開で進む。中間スプリントポイントを稼ぎたいペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)、山岳賞を確定させたいダニエル・ハラミーリョ(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア)という2名のジャージホルダーが入ったほか、昨日劇的なワンツー勝利を挙げたラリーサイクリングのホフマン&ブリットンコンビもジョイン。ステージ優勝狙いのペーター・ケノー(イギリス、チームスカイ)といった強力なメンツ揃いの逃げグループだったが、逃げ切りを実らせるほどのタイム差は稼ぎ出せなかった。

逃げに乗り山岳賞を確定させたダニエル・ハラミーリョ(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア)逃げに乗り山岳賞を確定させたダニエル・ハラミーリョ(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア) photo:www.amgentourofcalifornia.comピザを差し出す観客と、手が伸びないアルチョム・ザハロフ(カザフスタン、アスタナ)ピザを差し出す観客と、手が伸びないアルチョム・ザハロフ(カザフスタン、アスタナ) photo:www.amgentourofcalifornia.com

1級山岳グレンドラで抜け出すロブ・ブリットン(カナダ、ラリーサイクリング)1級山岳グレンドラで抜け出すロブ・ブリットン(カナダ、ラリーサイクリング) photo:www.amgentourofcalifornia.comブリットンを追いかけたペーター・ケノー(イギリス、チームスカイ)は届かずブリットンを追いかけたペーター・ケノー(イギリス、チームスカイ)は届かず photo:www.amgentourofcalifornia.com

およそ40kmに渡る登りに取り掛かると、先頭からは前日2位のロブ・ブリットン(カナダ、ラリーサイクリング)がアタックを仕掛け、2回目の1級山岳グレンドラを独走通過する。追走集団からはケノーとジャック・バウアー(ニュージーランド、クイックステップフロアーズ)がそれぞれ単独で追いかけるも、ハイペースを刻むブリットンには届かない。ロットNLユンボがペースを上げるメイン集団はバウアー、ケノーを順に飲み込み、残り5km地点でブリットンをも飲み込んだ。

およそ15名の精鋭グループとなったメイン集団からまず遅れたのはロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)。互いに見合う展開から「今日はチーム全体としてもやる気十分。結果が楽しみだ」とスタート前に語っていたアンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)が二度に渡って仕掛けると、フォローできたのは総合リーダーのラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)と同2位ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)、同3位イアン・ボズウェル(アメリカ、チームスカイ)のみ。ここから総合優勝を賭けたリアルファイトが幕開けた。

メイン集団のペースアップを行うロットNLユンボメイン集団のペースアップを行うロットNLユンボ photo:www.amgentourofcalifornia.comラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)をリードするアンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)をリードするアンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック) photo:CorVos

クイーンステージを制したアンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)クイーンステージを制したアンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック) photo:www.amgentourofcalifornia.com
「脚にパワーを感じていた」というタランスキーのペーシングに何度もボズウェルは遅れかけるも、粘りの走りで集団に復帰してくる。急勾配によってマイカとベネットのアタックは思うように伸びず、4人一塊となってゴール前へ。激しいポジション争いからゴール直前の180度コーナーのイン側を奪ったタランスキーが有利に持ち込み、2勝目を狙ったマイカを下して勝利。今シーズン怪我や病気でコンディショニングが遅れていた”ピットブル”が、本来の力を証明する今季初勝利を挙げた。

リーダージャージを守ったラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)リーダージャージを守ったラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) photo:www.amgentourofcalifornia.com
「素晴らしい勝利だ。カリフォルニアで生まれ育った僕としては待ち望んだ結果。正直脚の調子を把握できていなかったけれど、残り1kmを切ってもがいた時の反応が良く、スプリントに持ち込めれば勝てるかもしれないと考えていた」と振り返るタランスキーは、今日の結果で総合8位から4位までジャンプアップに成功。2位に入り首位をキープしたマイカから50秒以内に4名が続いているため、より明日の個人タイムトライアルの重要度が増す結果となった。



ツアー・オブ・カリフォルニア2017第5ステージ結果
1位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック) 3h43’15”
2位 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)         +02”
4位 イアン・ボズウェル(アメリカ、チームスカイ)              +05”
5位 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシング)         +08”
6位 サム・オーメン(オランダ、サンウェブ)                 +20”
7位 ラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ)       +27”
8位 タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームスカイ)            +40”
9位 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ) 
10位 セップ・クス(アメリカ、ラリーサイクリング)              +56”

個人総合成績
1位 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)      19h47’57”
2位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)        +06”
3位 イアン・ボズウェル(アメリカ、チームスカイ)             +25”
4位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)   +44”
5位 ラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ)       +49”
6位 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシング)        +1’02”
7位 サム・オーメン(オランダ、サンウェブ)                 +1’14”
8位 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)            +1’31”
9位 タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームスカイ)            +1’34”
10位 ヴェガールステイク・ラエンゲン(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)  +1’50”

ポイント賞
1位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)       37pts
2位 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)      28pts
3位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)      24pts

山岳賞
1位 ダニエル・ハラミーリョ(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア)   38pts
2位 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)      25pts
3位 エヴァン・ホフマン(アメリカ、ラリーサイクリング)        25pts

ヤングライダー賞
1位 ラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ)   19h48’46”
2位 サム・オーメン(オランダ、サンウェブ)                +25”
3位 タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームスカイ)           +45”

チーム総合成績
1位 チームスカイ                          58h29’34”
2位 BMCレーシング                           +6’23”
3位 コフィディス・ソルシオンクレディ                  +9’18”   

text:So.Isobe

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